『新幹線がジャックされた!』
金次から電話がかかってきてそう言った。
「よくジャックされるよね。金次は」
『冗談はいい!風雪に頼んで応援に来てくれ!』
「了解だよ」
私はそう返し、電話を切る。
私は武器がない。
実際はあるんだけど寮にある。
梓も持って来てくれたらいいのに…。
そんな事も思いながら神社内を風雪を探しに行く。
そこで角を曲がった時に、
「きゃあ!?」
「うわっと!」
誰かとぶつかりそうになる。
よく見ると風雪だった。
「風雪ちゃん!」
「は、はい」
そう風雪の名前を呼び、金次からかかってきた電話の内容を説明する。
「と言うわけだから私とレキは先に行くよ。念のためにヘリでも用意しといて!」
そう言ってまた走る。
次はレキのところへ行った。
「レキ!」
「お話は聞いていました」
「オッケー!じゃあ飛ぶよ!」
私はレキの手を取り走る。
縁側まで走って思いっきり飛ぶ。
神社の外に出て、私は梓と変わるために降りて胡椒を取り出す。
胡椒を振って、
「クシュン!」
くしゃみをして入れ替わる。
「行くか」
「はい」
俺はレキの膝裏に手を入れて抱え上げる。
そして足に力を入れて飛び上がる。
風を蹴って進んで行く。
時々風に乗りながら進み、
「レキ、ドラグノフを使って駅を見つけてくれ。そこから追う」
「分かりました」
レキに確認を頼む。
実際、俺は本気で風を使うと音速を超えることが出来る。
そんなに長い時間使えないが。
「見つけました。ここから、約3kmです」
「了解だ」
了解して更に力を入れる。
勿論、レキに負担がいかないように風で覆う。
それからかれこれ10分ほど風を使って飛ぶ。
「あの、梓さん」
とレキが声をかけてきた。
「なんだ?」
「長時間能力を使っていますが、お身体の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。俺の超能力はグレードが低い。だから体にかかる負荷も少ないんだよ」
「しかし、白雪さんが最近、超能力を使いづらいと言っていました」
「あー……。レキ、誰にも言わないって約束出来るか?これは俺に関わる重大な秘密だから」
「はい、約束します」
そう言ってじっとこちらを見てくる。
その眼差しに俺はため息をついた。
「分かった。まず、最初に俺は
「?」
「そのままの意味だ。俺は超能力者というものに分類されない。風を操ること自体が俺の能力だからだ」
「というと?」
「生物にはあるだろ?能力が。周りを視認する能力とか、相手の意図を理解する能力とかが。俺のは風を操る能力があるだけなんだよ」
「ということは最初から使えるんですね。周りを見るとかと同様に」
「そうだ。更に言えば俺にはリミットがない。白雪やジャンヌのように能力の使いすぎとかな。
俺には
「………」
レキが驚いてるように見える。
表情が豊かになったような気がするなぁ。
「電車が見えました」
「了解だ、っと電車の上に誰かいるな」
「……金次さんがココにやられています」
「金次があいつに負けた技か。レキ、金次を締めているココのツインテールを撃てるか?」
「……難しいです。1秒でも止まれば撃てますが」
「分かった。5秒後に揺れを止める。行くぞ」
「はい」
レキは肩にかけていたドラグノフを手に取りスコープを覗く。
「5……4……3……2……1……」
「0、今だ」
俺は勢いを殺してパッと止まる。
その瞬間にレキが二回引き金を引いた。
その弾は真っ直ぐ飛んでいき、ココのツインテールを根元から撃ち抜いた。
ココのツインテールがショートカットになっている。
「よし、乗り込むぞ」
「はい」
そう言って風を思いっきり使って音速を超えるスピードを出し、新幹線の上にいる金次とココたちの間に降り立った。
「よう、金次。待たせたな」