「この御方は源義経様ーーチンギス・ハン様の末裔。大陸の姫君です」
そうレキを見ながら言った。
……へえ、チンギス・ハンね。
随分と古い人が出て来たもんだ。
「それに、その目は占いで出ていた3色金の継承者様ですね」
そう俺の方を見て言う。
「継承者、ねぇ」
「な、なんですか?」
「俺は継承者じゃないぞ?シャーロック曰く俺が初めてだ」
その言葉に更に驚く。
「し、しかしその目は一度死なないと発動しないとお姉様が」
「死んだのは俺だからな。正確には赤霧だが」
「キンちゃん!風切君とレキさんはっているね」
ひょこっと車から白雪が顔を出した。
俺はため息をつき白雪に少し文句を言う。
「白雪、しっかりと教えとけよ。『
「ごめんね、風切君。とりあえず此処を離れて星伽神社に行くから車に乗って。レキさんも」
白雪たちが乗って来たオープンカーに乗って白雪の実家?分家?の神社に行く。
俺たちの場所が分かったのは
ハイマキは俺が風で掴んで連れて来ている。
ついでに俺たちが襲われたことを学校側に言うと、
「ケースE8」だから動かないと言われた。
ケースE8…「内部犯の可能性が高いので周知は出さない。信用できる者にのみ連絡を取り、当事者の手で解決せよ」と言う意味の
『もし非武装の市民が巻き添えになるようなら、改めて連絡しろ』
とも言われた。
そうなってからでは遅いんだが……。
本当に危険なときは始末しよう。
星伽神社についた。
神社に入る前に俺だけが車から降ろされる。
何でも男子禁制らしい。
でも、遠山一族は別らしい。
レキは「あなたのそばにいます」と言って車から降りていた。
その言葉に風雪?は戸惑っていた。
流石にチンギス・ハンの末裔を外にほっぽり出す訳にはいかないのだろう。
俺はため息をついて、ポケットから胡椒を取り出す。
それを見て頭の上にハテナを浮かべた風雪。
俺は胡椒を振って、
「クシュン!」
くしゃみをして入れ替わる。
風雪はそれをみて困惑していた。
まぁ、いきなり男が女に変わったら驚くか。
「これでいい?」
私は風雪に聞く。
風雪は戸惑いながら白雪に確認して頷いたのを見て頷いた。
金次も白雪も、その手があったか、みたいな顔をしていた。
……忘れてたの。2人とも。
ここで一泊させて貰って次の日。
先に金次と白雪は電車に乗ったようでいなかった。
私は昨日、ここに来てからレキの事を聞いた。
チンギス・ハンは源義経。
最初の頃はドラグノフを立て掛け膝を立てて寝ていた。
所謂、サムライみたいに。
そしてレキの髪の色に関する色金。
璃璃色金の近くで永い時間を過ごしたと言う。
星伽神社に伝わる史書には、
『璃璃色金は穏やかにして、その力、無なり。人の心を厭い、人心が災厄をもたらすとし、ウルスを威迫す。璃璃色金に敬服せしウルスは、代々の姫に己の心を封じさせ、璃璃色金への心贄とした』
とあるらしい。
だから梓に結婚しろと迫ったのは、女を攫い、自分の妻とするーー文字通りの『掠奪婚』の風習が融合・転化したものだとか。
ウルスには男がおらず、47人全員が女だから『掠奪婚』みたいに優秀な異性をどこかから掠奪して子孫を残そうとする文化を女が継承していても無理はないと。
レキと言う名前もコードネームみたいなものだと。
苗字がないらしい。
かと言う梓も疑われた。
何処かの武将や歴史上の人物の子孫ではないか、と。
実際、金次のヒステリア・モードのように雰囲気はおろか、頭の回転や技術。そして、心の変わり方など大きく変わるから血統に何かあるんじゃないかって。
でも、梓のは唯の心の持ちようだし血統とかではなく、スイッチの切り替えだからね。
こう回想に浸っていると、梓の携帯に電話がかかって来た。
「はい」
『俺だ!金次だ!』
「なんだ?なんか用?」
と、ここで、何か聞いたことあるような事を金次が言った。
『新幹線がジャックされた!』