緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第三十二弾 京都&大阪

修学旅行Ⅰ(キャラバン・ワン)当日。

腹の傷も完治して、京都に来ていた。

1日目は京都で社寺見学すること、最低三ヶ所に行ってレポートを提出すること。

2日3日は自由行動、大阪か神戸の都市部を見学すること。

 

アリア、武藤、白雪は2日3日は確か(くれ)で金次は……どこだったかな。

俺はレキとハイマキと行動している。

学校外と言うことで俺もヘカートを背負って来ている。

ちなみに友人の剣を背中に背負っていて某黒の剣士みたいになっている。

片方は剣ではないが。

 

清水寺と金閣寺を見て回り、三つ目に三十三間堂に向かった。

理由と言ってはこれと言ってなく、ただ誰も居なさそうな所に行こうと考えたわけである。

レキは終始無言のまま付いて来ていた。

 

受付で拝観券を買いつつ、壁の注意書きに『武偵育成学校からの修学旅行生の方は、銃器・刀剣類をお預けください』と買いてあるのを見て、一応、武器を全部預けた。

 

「レキ、お前も預けろよ?」

 

俺がそう言うと素直にドラグノフと銃剣を預けている。

 

「念のために聞くが口の中に何も仕込んでいないか?」

 

「はい」

 

「そうか、なら行こう。ハイマキはそこで待機」

 

と、視線をハイマキに逃してから、堂内に入っていく。

 

三十三間堂は、古くから弓矢の腕を試す場として有名らしい。

120mもある長い本堂の軒下を利用して和弓を射る「通し矢」と呼ばれる大会が、今でも形を変えて行われているという。

ーー言うなれば、狙撃と関わりのある寺とも言える。

千手観音立像が千体、ズラリと並んだ御堂の廊下を歩き、あっという間に堂内を身終えてしまった。

 

「さて、どうしよう。レキ、行きたい所……はないよな。どうしよう」

 

「………」

 

んー本当にどうしよう。

 

「……大阪にでも行くか。レキはどうせ私服とか持ってないんだろ?」

 

「持っていません」

 

「警戒するというのは疲れるものだ。多少は羽を伸ばすのもいいだろう。行くぞ」

 

「……はい」

 

と言うわけで京都から大阪・心斎橋へは、電車で小一時間といったところだ。

ここは若者の集う、まあ、東京で言えば渋谷や原宿みたいな雰囲気の街だ。服屋やアクセサリーショップもあちこちにある。

亜里沙に偶にこういうところに行ってもいいと行っているので雰囲気的には分かる。

 

レキとハイマキを連れて適当に周囲を見渡す。

コンビニやクラブハウス、猫のマークのカフェ……とまあ、都会だなぁ、と思う。

そこで『シャトンb(ベー)』という女の子向けのセレクトショップを見つける。

 

「……だが、男がレキの服を選ぶというのも周囲の視線が痛そうだ」

 

「私は気にしません」

 

「俺が気にする。というわけで亜里沙に変わる。ハイマキ、ジャンプ」

 

「わおっ!」

 

ハイマキがジャンプして視線がそっちに向いてる間に、胡椒を取り出し、振って、

 

「クシュン!」

 

くしゃみをして入れ替わる。

 

「行こっか?レキ」

 

「……はい」

 

そうして、猫の図柄をマークにしていた『シャトンb』の店内は森をイメージしてるのか、棚やケースが全部木製だった。装飾も葉っぱとかツタ植物を意識してるカンジだ。

 

店内に入ると、日焼けした茶髪の女性店員さんは「いらっしゃーい、おーかわええー!」などと言って、ハイマキに抱きついている。

ここはぺっとOKな店らしい。

 

そうして私は適当にレキに似合いそうなものを探してみる。何でも似合いそう。

色々試させて貰って、最終的に白のノースリーブのワンピースが一番似合っていた。

 

「うん、よく似合ってる」

 

「ありがとうございます」

 

さて、選んだし、財布が無いので梓に変わろう。

 

「ハイマキ、ジャンプ」

 

「わおんっ!」

 

梓と同じ手を使って胡椒を取り出して振る。

 

「クシュン!」

 

くしゃみをして入れ替わる。

 

「おお、よく似合ってるじゃないか」

 

「…ありがとう、ございます」

 

さて金額は……ていうか亜里沙、自分の分も買ってたのか…… 。

まぁ、良いけど。

そこで、

 

『大好評!本日15時より シャトンb&シャトン・カフェ合同イベント ☆シャトンコール ☆優勝者には当日お買い上げのシャトンbの商品を全品半額キャッシュバック!』

 

という看板を見つける。

 

「おい、あれに挑戦してみよう」

 

「……?」

 

レキはハテナを浮かべていたが手を引き、その方向に歩いて行く。

 

 

 

このイベントは猫をどれだけ引きつけられるかというものらしい。

そうレキに説明すると、

 

「ニャーン」

 

ニャーン、だと……。

レキからは想像も出来なかった言葉が出た。

レキの足元にこれでもかと言うぐらい猫が集まった。

 

「これで良かったですか?」

 

「……」

 

……正直何も言えん。

まあ、多少、金は浮いたからいいか。

 

そうしてお金を払い、今夜の泊まるところの民宿に向かって行った。

 


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