緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第二十九弾 序曲の終止線

「知らない天井、ではないなもう」

 

俺は天井を見上げて言った。

見上げたと言っても寝転がっているからだが。

 

「梓さん起きられましたか」

 

「レキ、か」

 

横を見るとレキが座っていた。

心なしか元気がないように見える。

 

「あれからどのくらい経った?」

 

「3日と20時間過ぎました」

 

「そうか」

 

恐らく、シャーロックとの戦闘後、直ぐに運ばれて来たのだろう。その間、見舞いが少し来たようだ。

レキをよく見てみると、目の下にクマが出来ていた。

 

「レキ、今日はもう寝ろ。寮に帰るなら亜里沙になって送るが?」

 

「いえ、ここで良いです。既に医者から許可を得ています」

 

「そうか。椅子で寝るのは身体に悪いし、今日はベットの上で寝ても良い。しっかり風は張るから安心しろ」

 

「………分かりました」

 

そう言っていそいそとベットの上に乗って布団の下か入ってくる。

その数秒後寝息が聞こえて来た。

目の下にクマが出来ていたし相当疲れていたのだろう。

俺も直ぐに眠気が襲って来たので一度、レキの頭を撫でて寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

いつも武偵高に行く時間に起きた。

レキはまだ寝ていて、俺の病院服を掴んで寝ている。

俺がその光景を微笑ましく見ていると、扉がガラッと開いた。

 

「失礼し……ました」

 

金次とアリアが入ってこようとして、俺のベットにレキが寝ているのを見たのかすぐに扉を閉めた。

俺はため息をつき、風で携帯を取ってメールする。

 

『昨日の夜中に目を覚ました。その時にレキがいて目の下にクマが出来ていたから、寝させた。お前が勘違いしていることは何もない。というか何か用があったんじゃないのか?』

 

そうメールを送ると、少しして金次たちが入って来た。

俺はレキの耳に届かないように風を操作する。

 

「よう、金次。4日ぶりだな」

 

「おう、梓。目を覚ましてよかったぜ」

 

「そうよ。生きてるのがおかしいって医者にも言われてたんだから」

 

「大量出血で死にそうだったからな。金次、その手は?」

 

「ああ、シャーロックに一発かましてやろうとした時の怪我だ。お前よりマシだ」

 

「ちょっとこっち来て包帯を取れ」

 

「は?何でだ?」

 

「いいから」

 

金次は渋々と言った感じで包帯を取って手を出してくる。

俺はその手を取って力を使う。

金次の手が淡く白く光って傷が治った。

 

「済まないな。傷跡が残った」

 

「いや、ありがとう。凄いな、その力」

 

「この力をある時に死んだってことが無ければそうかもな」

 

それからはシャーロックの話だった。

シャーロックは消えたそうだ。

元々、あの日までと言っていたんだからな。

シャーロック曰く、あの戦いは『序曲の終止線(プレリュード・フィーネ)』だそうだ。

 

「シャーロックが言ってたがこれからは色々起こるそうだ。イ・ウーがいたから他の奴らが手を出せなかったと。

そのイ・ウーが消滅して、リーダーのシャーロックもいない。これから、色金を持っているアリアや梓が狙われる事になるだろうってよ」

 

「そうか。ま、アリアにはお前がいるもんな?正義の味方さん?」

 

「よせよ。俺は武偵をやめるんだぞ」

 

「お前の兄が生きていて、アリアの力になるって言ってたのに、か?」

 

「……そうだよ」

 

「ま、お前が決めたのならいいさ。だが、武偵をやめてもアリアの味方ではいてやれよ?」

 

「分かってる」

 

「それじゃ、授業が始まるから俺たちは行く。ゆっくりと休めよ」

 

「おう」

 

「そうだ、シャーロックからこれを」

 

「これは」

 

金次から渡されたのは俺の身体ぐらいある剣。

それには見覚えがあった。

 

「シャーロック曰く、お前の大事な剣なんだってな」

 

「ああ、これは赤霧で戦場に出ていた時に、死んだ友人から貰ったものだ」

 

「これは梓に渡しておくぞ」

 

「ああ、ありがとう」

 

「それじゃ梓、お大事に」

 

「おう、アリアも頑張れよ」

 

そう言って金次たちが出て行く。

俺はその間、未だ寝ているレキの頭を撫で続けた。

 

 

 

その後は、警察や公安の人たちが来て、根掘り葉堀り聞かれたり、シャーロックやイ・ウーについて黙っておくように言われた。

 

 


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