アリアがカナと戦って、何やら祭りがあって数日。
俺たちは金次の単位を取るために、カジノに来ていた。
何でも単位は1.9も足りないそうだ。
俺はもう、卒業できるほど単位は取っている。
さて、今回は金次とアリア、白雪、俺、レキの五人でやっている。
金次は若手IT社長みたいな格好で、アリア、白雪、レキはバニーガール。俺は金次の秘書、て感じだ。
アリアは堂々としていて、白雪は人気で、そういう目に慣れていないのか顔を真っ赤にするので更に人気を呼ぶ。最終的には退場させられていた。
「何やってるんだ。あいつ」
金次も同じ意見のようだ。
そこで、電話がかかって来た。
「すまん。少し外す」
「おう」
そう言って、少し外に出る。
「はい」
『やぁ、赤霧君』
「赤霧じゃない。今は風切だ」
『そうだったね』
「で?今回は何のようだ」
『少し礼を言いたくてね』
「礼?」
『そうだよ。あの子を、アリアを見ていてくれてありがとう』
「俺は何もしていない。アリア自身の頑張りで、それをサポートした金次の方が感謝されるべきだろ。それで?何の風の吹きまわしだ?」
『いや、なに。もう少しで私の寿命が尽きる頃なのでね』
「流石のシャーロック・ホームズでももう無理か」
『「
「そうか」
『それではね』
「ああ」
そうして、電話を切ろうとすると、
『ああ、少し待ってくれ』
止められた。
「なんだ?」
『君自身で何か変わったことはないかい?』
「変わったこと?」
『ああ』
……変わったこと、か。
そう言えばレキに目の色がおかしいって言われたな。
「そういえば、目の色がおかしいと言われたな。白っぽくなってるとかなんだか」
『……そうか。白か』
「なにか気になることでも?」
『いや、ありがとう。それではね』
「お、おう」
そう言って電話が切れる。
………何だったんだよ、全く。
俺はぶつぶつ言いながら会場に戻ると、なにやら盛り上がっていた。
座っている金次に話を聞く。
「何があった?」
「梓!いや、そこの男が賞品とか言ってレキが欲しいとか言い出して」
「ほう?俺の彼女を、
……あのやろう、『赤霧』でぶっ殺してやろうか。
「梓、抑えろ」
「大丈夫だ。殺しやしねぇよ」
「赤霧混ざってんじゃねえか」
そうツッコむ金次をほっといて、レキに視線を送る。
レキが気がついてこちらを見たところで、
親指を首に当て、切るような仕草をし、指を下に振り下ろす。
レキはこくっと頷き、机に向き直る。
そして、予告通りにその野郎が負けた。
………ざまぁ。
すると、その男に忍び寄る何かがいた。
俺はレキの横で立ちベレッタを構える。
「悪いな。この子は俺の恋人なんだ」
「な、なんだ君は」
「そこの奴。伏せろ」
その男に振り下ろそうとしていたやつの腕をうつ。
騒ぎ立てている中で、俺は机を踏み台にしてジャッカル?見たいなやつを蹴り飛ばす。
こけたところで首に銃を当て撃ち抜く。
後ろから斬りかかってくるジャッカルを胸から出したナイフで受け止め払ってナイフで真っ二つにする。
すると、一体ジャッカルが逃げ出した。
「金次!」
俺が金次に合図し、金次が頷いた。
「レキ!俺たちも行くぞ!」
「はい」
そう言って、俺たちも水上バイクに乗る。
「しっかり掴まっておけよ!」
「はい」
ハンドルを握って飛ばす。
ジャッカルを追っている金次たちを追う。
その時、スナイパーの音が聞こえた。
俺は咄嗟に風の壁を配置するが、ずるっと
「レキ!」
俺はレキを抱きかかえる。
水上バイクに乗せて、すぐに傷口を圧迫する。
「レキ!しっかりしろ!レキ!」
「あずさ、さん。す、みま、せん」
「黙ってろ!傷が開く!」
そう言って俺は風を使って、血を集める。
レキはゆっくりと手を伸ばしてきて、俺の頰に触れる。
「だい、じょうぶ、です。はぁ、はぁ、私は、所詮、47人の、うちの一人、ですから、悲しむ、必要は「ふざけんな!」」
レキの言葉を遮って俺が叫ぶ。
「何が47人の一人だ!お前はレキだ!レキと言う存在は俺の中でお前だけなんだよ!そのウルスとやらがお前を物と扱っても!俺だけはお前の味方だ!だからそんな事言うな!」
「………」
「お前はどうなんだ!レキ!ウルスとしてのお前ではなく!お前自身はどうなんだ!」
「……生き、たいです。梓、さんと一緒に」
「任せろ!」
そこに飛んできた銃弾をベレッタで撃ち落とす。
そこへ電話がかかってくる。
俺は電話を取る。
『お姫様の具合はどうだ?
「撃ったのはお前か、偽物」
『ああ、そうだ。それでお姫様を撃たれた感想はどうだ?』
「ふざけるなよ。何故、関係のない奴を撃つ」
『その方が面白いからさ』
「……なんだと?」
『お前は仲間を殺されるのが大嫌いだったなぁ。殺されない為に自分が一番前に出て戦った。仲間が目の前で死んて行くのを見るのが嫌だったんだろぉ?だから関係のないお姫様を撃ったのさ。今のお前の顔が見たくてなぁ。あっはははは!』
「もういい黙れ」
『は?』
俺はそのまま、偽物に向けて撃つ。
風を使って勢いをつけ、偽物のスコープを吹き飛ばす。
目が熱くなっていく。
シャーロックが言った変化はこれのことだったのだろう。
「待ってろ。今からお前のところへ行く。どうせ、俺の偽物を語るなら接近戦の方が得意なんだろ?」
『………』
俺は無理矢理電話を切り、レキを降ろす。
「梓、さん」
「待ってろ。すぐに終わらせてくる。」
そう言って俺はレキの額にキスする。
そして、風を使い風に乗って走って行く。
風を使って飛んでいき偽物が撃っていたビルの屋上に着地する。
そこには男が立っていた。
「よう、本物。顔合わせは初めてだな、俺は赤霧碧だ」
「よう、偽物。俺は風切梓だ。そうだ。偽物に一つ言っておいてやる」
「あ?」
「俺の赤霧碧は
「なんだと?」
「赤霧碧は俺が拐われて名前を言わされた時に咄嗟に考えた偽名だ。赤霧碧の本名は
「それがどうした」
「いや何。わざわざ赤霧碧になる為に戦ってるのを笑ってやりたかっただけさ」
「………」
「さぁ、始めようか。偽物」
「ああ、お前を殺して!俺が本物になる!」
『『赤霧の名の下に』』
そう言って俺の雰囲気が変わり、偽物は全身が赤く光る。
俺たちは同時に踏み出し、偽物が引き金を引く。
俺は『
「レッドライン!」
その銃弾が赤く光り速さが増し、俺の弾を弾き飛ばして俺に迫る。
俺は咄嗟にナイフを抜き、切る。
偽物はもう一度、同じように撃ってきたので、弓を撃つように構え、引き金を引く。
俺の撃った弾が燃え、今度こそ撃ち落とす。
「どうだ?俺の超能力は」
「俺の超能力は『光』か」
「そうだ、ぜっ!」
そう言って、偽物が上に撃つ。
俺は何をするか分かり、その場から離れる。
その逃げた先で偽物が撃ってくる。
俺はナイフを上に投げ、グロックも抜きバーストを入れ替えて撃ち落とす。
偽物がその光景を見て、ニヤッと笑う。
その瞬間、光の雨が降ってくる。
「ぐっ!」
「レッドレイン!」
俺は風を使って勢いをつけて避ける。
しかし、数本俺の体を貫く。
俺は下に血を吐き捨てる。
「は!そんなもんか本物!」
そう言って、レッドレインを撃ってくる。
俺は前に出て、ナイフを拾い偽物に斬りかかる。
偽物は受け止めて腹に銃口を突きつけ、
「レッドライン」
撃つ。
「がはっ!」
俺は後ろに下がる。
「ゴホッ!ゴホッ!」
「おいおい、もう終わりか?本物。そうだ。お前が死んだらどうなるか教えてやるよ」
「あ?」
「お前のお姫様。レキっつったか?そいつを殺してやるよ。犯して、痛めつけて、ボロボロの状態でお前のところに送ってやるよ!あっはははは!」
その言葉を聞いて俺の中で何かが切れた。
その瞬間、『不可視の銃弾』で撃つ。
「ちっ!」
笑っていた偽物は舌打ちをして避ける。
俺はレキのことを思い浮かべながら、すっと振り切る。
「もういい。武偵として、生かしてやろうと思ったよ。だが、お前だけは殺す。レキに、俺の大切な人に手を出させるかぁ!!」
そう言って、俺は地面に風を叩きつける。
「ぐおっ!」
偽物が風を食らって少し浮く。
俺は風を使って飛び、偽物の上に移動して、
「パイルトルネード!」
踵落としで風を叩きつける。
「がはっ!」
叩きつけた後、そのまま風を使って勢いをつけ拳を振るう。
「ごはっ!」
俺は跳びのき、手を合わせる。
風を手の中心に集め、ぶつける。
ばちっ!と音を立てて、エネルギーの塊を作っていく。
「プラズマ」
サッカーボールぐらいの大きさになったところで偽物に叩きつける。
「ぐぁぁぁぁ!」
偽物が膝立ちになる。
「ちっ!はぁ、はぁ、テメェ!超能力持ってたのかよ!」
「持ってないとは言ってないぞ。さて、もう終わりだ」
そう言って俺は腕を広げる。
風で空気を動かしていく。
「ぐっ!息が!」
「
このビルの屋上が真空になる。
「っっっ!」
偽物が喉を抑え、全身から血が噴き出る。
そして、偽物が倒れる。
俺は銃を抜き、頭に合わせる。
「じゃあな偽物」
そして、引き金を引く。
偽物の頭を貫き、ドサっと倒れた。
「ゴホッ!やっと倒したか。あ〜あ、やっちまった。ま、いいか」
俺は頭を叩く。
そして、レキの元へ飛んでいく。
そして、レキのいた水上バイクに着陸する。
「レキ!大丈夫か!」
「梓さん。大丈夫です」
「少し、見せてもらうぞ」
そう言ってレキの服に手をかけ、撃たれた胸の上を見ると、
「傷がない?」
そう。傷がなかった。
「はい。梓さんが私にキスをしてくれた時になぜか治りました。」
「そ、そうか。とりあえずよかった。ゴホッ!ゴホッ!」
「梓さん。大丈夫ですか?」
「ああ、腹に穴が開いたぐらい、ゴホッ!」
「本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫、死にはしない。金次たちのところに行くぞ」
そう言って水上バイクに乗って行く。
すると、海の中からとても大きな船が出てきた。