第二弾 出会い
そして、俺の転生から16年の時がたった。
……飛ばし過ぎ?
そんなの気にすんな。
ご都合主義ってやつだ。
そう言えば、俺の名前は風切梓だ。
前の世界よりは少し裕福で、結構自由に生きている。
この世界には『武偵』と呼ばれる奴らがいる。
まぁ、俺も武偵なんだがそもそも武偵とは武装探偵の略称だ。
小さいことでは猫探しや落し物探しなどで、大きいことでは武装グループの確保などだんだん危険が伴う物に変わっていく。
要は何でも屋だ。
依頼されてお金を貰って仕事をこなす。
まぁ、世の中そんなもんだ。
高校2年になった春。
武偵高でも入学式はある。
実際は行かなくてもいいが、単位が不足している奴なんかは行っている。俺は大丈夫だが。
のんびりとコンビニでパンを買って歩きながら食べていると、
ものすごい勢いで近づいてくる自転車を見た。
それはとても見覚えのある顔だった。
「悪い!梓!退いてくれ!」
「おわっ!」
突然ものすごい勢いで来たのでギリギリで避けれたのだが、
「ああっ!」
手に持っていたパンを落としてしまった。
………あの野郎、許すまじ!
食べ物の恨みを思い知れ!
「こんの野郎!待ちやがれぇ!」
俺は足元に風を集めて飛び上がった。
空中を駆けながらさっきの野郎を追いかける。
と、ここで、俺の能力を言っておこう。
俺の、この世界では超能力、は一言で言えば『風』だ。
『風』であれば何でもできる。
鎌鼬を作ったり竜巻を起こしてみたり、今俺がやっているように体に纏ったり出来る。
これはあの死後の世界で俺が言った「風のように自由に生きていたい」と言ったからだそうだ。
なんか10歳の時に手紙で送られてきた。
その手紙は読んだら燃えたけど。
あとはもう一つ、これはあの死後の世界の女が勝手にしたものだ。
これは今関係ないので黙っておく。
そろそろ追いつくとビルからパラグライダーで緋色の髪の少女が飛び降りて、さっきの野郎を助け、爆風で吹っ飛んだ。
……ああ、あの自転車、爆弾が仕掛けてあったのか。
俺はその一部始終を見た後、空中から降りてあいつらが飛ばされた方向に走って行った。
その倉庫ではさっきの野郎を追いかけていた機械が並んでいたので、弾が勿体無いので手を銃の形にして風を集め、
「エアロバレット」
子供が銃を撃つかのようにして風を撃つ。
機械は俺の弾に当たり砕けた。
機械は全部で7つで、中の俺のパンを吹き飛ばした野郎も撃っていた。全部、壊したので風を解除する。
近づいて行くと何か揉めているのか怒鳴り声が聞こえてきた。後銃声。そして何かが飛んできた。どちらかと言えば
投げ飛ばされていた。
「逃げられないわよ!あたしは犯人を逃したことは一度も!あ、あれ?ない!あれ、あれれ?」
あの野郎に続く形で出てきたツインテールの緋色の髪の少女は男に叫びながらスカートの内側を両手でまさぐっている。
「もう、許さない!ひざまずいて泣いて謝っても、許さない!」
その後その少女は銃をホルスターに強引にしまい、怒ったまま
背中から刀を2本、抜いて構えた。
「強猥男は神妙にお縄に、っわっきゃっ!」
男に突っ込んでいって足下に蒔かれた
その男はその隙に走って俺の横を通っていく。
俺は、後で話がある、と目線で送って肩を落としながら走って行った。
置いてけぼりを食らった本人は
「この卑怯者!でっかい風穴!……開けてやるんだからぁ!」
と叫んでいた。
俺はすっと今のうちに離れようとしたとき、
「ちょっとあんた、待ちなさい」
その少女に声をかけられた。
「………なんだ?」
「一部始終見てたわよね?」
「ああ、なんで怒ってるかは知らないけどな」
「あいつの名前は知ってる?」
「知ってるが、本人に聞け。じゃ、はっ、はっ、ハックション!」
立ち去る前にくしゃみをしてしまう。
………やば!
その刹那、
「………あんた誰?」
少女が言うのも当たり前。
さっきまでいた男が
「じ、じゃあな!」
「ま、待ちなさい!」
そう、あの死後の世界であった女が俺に与えた力のもう一つ。
『くしゃみで性別が変わる』
そんな、ToLOVEるみたいな能力だ。