レキが武偵犬(ハイマキ)を手に入れて、次の日。
私達は理子からの要請の
何故、私かと言うと梓はやっぱり人に使われるのが嫌なんだってさ。
実際は三人が三人とも同じ武偵高の生徒って言うのが良くないって。なんとなく嫌な予感がするからと言っていた。
そんな訳で、理子を待っていると、
「キーくん、アリアと………誰?お待たせ」
茶髪の人が近づいてきた。
金次は知っている人なのかとても驚いていた。
「………り、理子!なんでその顔なんだよ!」
「くふっ。理子、ブラドに顔が割れちゃってるからさぁ。防犯カメラに映って、ブラドが帰って来ちゃったりしたらヤバいでしょ? だから変装したの」
「だったら他の顔になれ!なんで………よりによってカナなんだ!」
「カナちゃんが理子の知ってる世界一の美人だから。それにカナちゃんはキーくんの大切な人だもんね。理子、キーくんの好きな人のお顔で応援しようと思ったの。怒った?」
「……いちいち、ガキの悪戯に腹を立てるほど俺はガキじゃない。行くぞ」
「その前に……誰?」
理子は私を指差した。
「あ、私?私は風切亜里沙。梓のそうだね。双子、かな。梓は突然、急な依頼が入ったからそっちに行ってるよ。『理子悪かったな』だってさ。」
「そうなんだ」
私達はぽかーんとしていたアリアを忘れて歩いて行く。
アリアは金次がこの女の人を知っている事にとても驚いていた。
「な、何。急にどうしたのよキンジ。理子が……ずいぶん美人に化けてきたけど、これ、誰なのよ。ねえ――キンジ、理子! ちょっと! 誰なのよそれ! ねぇ――カナって誰よっ!」
金次と理子は全然取り合わず、私達はそのままモノレールに乗り、降りた先からタクシーで目的地の紅鳴館まで来たわけだが、その間カナに変装した理子とキンジが話しっ放しで、それをアリアが不安そうに見ていて、それをぼーっと見ていた私と、空気は良くなかった。
「の、呪いの館って感じね……」
紅鳴館を見てアリアが言った。金次も同じ気持ちなのか顔をひきつらせていた。
私は梓と記憶が一緒だからもっと怖い館を見たことがある。
理子が管理人に挨拶をすると言ったので静かに待つ。
理子がベルを鳴らし少し待つと、
「あれ?遠山くんに神崎さん」
小夜鳴が出てきた。
「いや〜依頼を出したらまさか武偵高の生徒が来てくれるとは思いませんでしたよ」
「本当ですわ。まさかこの子達と知り合いだったなんて」
なんと、ここの管理人はこの小夜鳴だったらしい。
理子も驚きを隠しながら言う。
「それに君は前に助けてくれた」
「風切亜里沙です。東京武偵高の風切梓の双子なんです」
「そうだったんですねぇ。」
「今回は梓が急な依頼が入ったものですから取りあえず、人数合わせで私が来させてもらいました。」
「わざわざありがとうございます。そう言う事情があるなら言ってくれれば良かったんですけどね」
小夜鳴は、はははっと笑う。
その笑い方に嫌な予感がした。
しかし、アリアも金次も何も感じて無さそうなので心だけに留めておこう。
「それでは私はこれで失礼しますね」
「はい。ここまで、遠山くんに神崎さん、風切さんを連れて来ていただきありがとうございました。」
そうして、理子は会釈をして紅鳴館を出て行った。
「それでは、各自に部屋が用意されてあります。
そこで、着替えをしてもらい、御飯時だけ働いてもらいます。それまでは好きにしてもらって構いません。二階にビリアードなどもありますから、好きに使ってください。私は地下の研究室にいますから、その御飯時に呼びに来てください。お願いしますね」
「「「はい」」」
そこから私達は別れる。
私の部屋に入り、
あとで小夜鳴に聞いたところ梓が来ると思っていたので、
メイド服を準備できなかったのだとか。
私が執事服を着て、金次も同じ執事服を着る。
金次には小夜鳴に言われた通りに言った。
最後のアリアで、まだ来ていなかったのでアリアの部屋に行く。
「アリア………ごめん邪魔だったね」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
部屋に入ると「こういうのもいいわね……」なんて呟いていたので見て見ぬ振りをして出て行く。
アリアは慌てて出て来たが、分かってる分かってると言って受け流した。
あと、金次と同じ事を聞かれたので同じように答えた。
小夜鳴へのご飯は少し炙っただけのレアステーキだった。
少し塩胡椒を振ってにんにくとかは何も使わない。
ここでもう既におかしい。
でも証拠が少ないので何も言わない。
こうして初日が終わりを告げた。