理子にとっても嫌なことを言われた翌日。
完全復活、と言うことで学校に来ていた。
………アリアの目が死んでいる。
何があった………。
さらに、理子は俺たちも特訓をすると言って来た。
その昼休み、俺たちは空き教室に来ていた。
理子が何故ここを指定したか分からなかったが。
すると、そこに女子達がこの教室に向かってきた。
俺と金次は咄嗟に、金次はロッカーに、俺はダンボールに隠れる。
そこに女子達がきて制服を脱いでいる。
俺は亜里沙と言う人間がいるから興奮したりしない。
と言うことは金次の特訓か。
そこへ理子からメールが届いた。
『しっかり見てるか確認!1分以内に理子の下着の色を当てて見て!出来なきゃロッカーを開けちゃいます!」
………俺は別に良いんだが。
ま、取り敢えずハニーゴールド、とうって送信する。
理子は解答を見てニヤッとロッカーを見た。
あいつ、ロッカーが空いているの知ってたな。
そこへ一人の男が入ってきた。
小夜鳴先生だ。
小夜鳴先生は女子達が制服を脱いでいることに驚いていた。
そして、血の検査をするだけだったと言う。
検査キットを置いた瞬間、
「……ボソボソ」
と何かを呟いた。
確かルーマニア語だったか?
すると、レキがロッカーを見つめて、ロッカーを開けた。
金次がバレた。
そこへ風を切って何かが走ってくるのを感じた。
俺は制服を脱いで入っている胡椒を振って、
「クシュン!」
くしゃみをして、女に変わる。
私はばっとダンボールから出て、
「金次!そこから出て!」
私がそう言うと、察したのか素早く金次が前に出た。
そこに、何かが飛び込んできた。
それは一匹のオオカミだった。
ロッカーを突き飛ばしてその上に立った。
「ぐわぁ!」
と、ロッカーから声が聞こえた。
武藤、あんたか。
その武藤が銃を取り出して、オオカミに向ける。
「「ダメ(だ)!女子達は防弾制服を着てない!」」
と金次と私が同時に言う。
そしてそのオオカミは小夜鳴先生に飛びかかった。
私は風を使い、オオカミの下に潜り込んで、
「白雷!」
下から電気を通すように掌底を打った。
オオカミは苦しそうに声を漏らすが、元来た場所から飛び出していった。
「待て!」
私は走り出して、レキに梓が脱いでいた制服を渡す。
「はい、レキ。どうせ来るんでしょ?」
私はレキにウインクして、風を使って跳び出した。
その風を使い、滑るように乗る。
途中、空中を踏みしめて飛び上がって、周りを見渡しながら、
何かが走っているのを見つけた。
それは一匹のオオカミだった。
「見つけた!」
私は風を解除して降りる。
「亜里沙!」
そこへ金次の声が聞こえた。
何処にあったのかバイクにレキと乗ってきた。
私は風を使い、金次の近くまでいってスピードを合わせて並走する。
「金次!どうする!?」
「取り敢えずあそこまでいくぞ!」
「了解!」
そう言って私達はオオカミを見たビルまで行った。
「どうする?私は銃もナイフも持ってないよ。梓に銃を調達するように言っとかなきゃ。」
「そうか。レキは?」
「通常弾で仕留めます」
「……そうか。俺は正面から行く。レキは狙撃してくれ」
「はい」
そう言って別れる。
私はレキが狙撃の体勢になったところで、
「レキ、麻痺させるよね?」
「はい」
レキが無感情にはい、とだけ答えた。
そして、いつものようにレキは唱える。
「私は一発の銃弾。銃弾は人の心を持たない。ゆえに何も考えない。ただ、目標に向かって飛ぶだけ」
そう言って引き金を引いた。
その弾は、オオカミを掠っていった。
「ビンゴ」
私はそういって、レキの手をとって風を使いオオカミがいた方は移動する。
「レキでも外すことがあるんだな」
「「外してませんよ。(外してないよ)」」
そう言ってオオカミが倒れている。
レキはそのオオカミに近づく。
「――脊椎と胸椎の中間、その上部を銃弾で掠めて瞬間的に圧迫しました。今、あなたは脊髄神経が麻痺し、首から下が動かない。ですが――5分ほどすればまた動けるようになるでしょう。元のように」
そう、レキは殺すために撃ったのではなく、麻痺させる為に撃った。
「逃げたければ逃げなさい。ただし次は----2キロ四方何処へ逃げても私の矢があなたを射抜く。----主を変えなさい。今から、私に」
そう言ったレキに対して狼はよろよろと立ち上がり、レキの前まで来ると、そのふくらはぎに頬ずりをした。まるで従順な犬のように。
その後、ハイマキと名付けられ、武偵犬としてレキに飼われることになった。