緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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吸血鬼
第十六弾 泥棒


「知らない天井だ。」

 

と、俺は取り敢えずテンプレみたいなことを言う。

って言うかここ、前俺が入院したところじゃん。

 

「梓さん」

 

「レキ」

 

声のした方を見るとレキがいた。

俺は重い体を持ち上げて座る。

 

「レキ、今日は何日だ?」

 

「今は梓さんが倒れてから約1日です」

 

「そうか。俺はどうして運ばれたか知ってるか?」

 

「はい。全身に及ぶ凍傷でした。」

 

凍傷、か。

ジャンヌの全力は『赤霧』には効いたってことか。

まぁ、食らうことを前提にはしてないからな。

 

「で?今は何時だ?」

 

「一時間目が終わったところです。ですが、今日は出席しなくていいとのことです」

 

「そうか」

 

………休んでばっかだな。俺。

その後、医者が来て、寮に帰ってもいいけど安静にしていろと言われた。

……そう言えば、

 

「レキ、お前どうして学校行ってないんだ?」

 

「梓さんが行ってないからです」

 

………理由になってない。

 

「理由になってないぞ?」

 

「じゃあアリアさんにサポートしてやりなさいと言われたからです。」

 

「じゃあってなんだじゃあって。まぁ、いい。帰る用意するから少し待っててくれ。」

 

俺は風を起こし、指で動かして服をカバンに入れたりしてぱっぱと済ませる。

レキも手伝ってくれたので早く終わった。

 

 

病院を出て、レキと一緒に歩いていく。

カバンは手で持つフリをして風で浮かしている。

体も、普通に歩くのは痛いので風で歩いている。

亜里沙に変われば早いのだが、こんな街中で変わりたくない。

 

こうして、やっとの思いで男子寮に帰って来た。

カバンを自室に投げ入れてソファに寝転ぶ。

時計を見るとそろそろ昼時になっていた。

 

「レキ、もうすぐ昼だが何食べたい?」

 

「いえ、私にはこれがありますから」

 

そう言って、カバンからカロリーメイトを出した。

………それはダメだろ。

 

「待ってろ。どうせ、何も冷蔵庫に入ってないだろうから何か買ってくる。」

 

俺は台所まで歩き、胡椒を取って振る。

 

「クシュン!」

 

そしてくしゃみをして亜里沙に変わった。

 

「それじゃレキ。待っててね」

 

「いえ、あの「そうだ」?」

 

「梓と恋人になったと思うけどそのウルスは女の人しかいないんでしょ?」

 

「はい」

 

「私たちはこういう特殊体質だけどいいのかな?」

 

「………分かりません。少なくとも私は構いません。梓さんと亜里沙で一人ですから」

 

「そう」

 

私は梓の財布を持って外に出た。

下のコンビニではなく、近くのスーパーに行って食べ物を買う。

 

「んー。レキにも体にいい物食べさせてあげたいよね」

 

そして、私はすっと食べ物を取って行って買って帰った。

 

 

男子寮について食べ物を持って入ると、無言でレキがソファに座っていた。テレビも点けずに。

 

「レキ、ただいま。」

 

「お帰りなさい」

 

「すぐ作るから待っててね」

 

「………」

 

私はフライパンを取って温める。

そんなこんながあって料理が出来た。

 

「はい、レキ」

 

「ありがとうございます」

 

私が作ったのは野菜炒めとミートスパゲッティーだ。

 

「カロリーメイトよりは美味しいと思うけど」

 

私はいただきますと手を合わせながら言う。

レキは無言で手を合わせるだけ合わせていた。

 

「………美味しいです」

 

「そ?良かった」

 

少しレキの表情が緩んだような気がした。

 

 

 

 

 

夕暮れ時、くしゃみをして元に戻った俺は、

ぼーっと夕日を見ていると、何処からか銃声聞こえて来た。

 

「恐らく女子寮の屋上です」

 

と、レキが言ってくれる。

 

「ちょっと行ってくるわ」

 

俺はそのまま飛び出した。

風を使って女子寮の屋上付近まで行き、ワイヤーを使って登る。

そこにはアリア、金次。それとハイジャック犯の理子がいた。

銃声が聞こえて来たのに今はただ罵りあっている。

俺は金次の側に行く。

 

「金次、これはどう言う状況だ?」

 

「………梓か。もう体は平気なのかい?」

 

「その口調はヒステリアモードか。そうだな。まだ痛いけど大したことはない」

 

「そうか。で、この状況は、俺も分からない」

 

「……そろそろ止めたらどうだ?」

 

「そうだね」

 

理子とアリアがナイフと日本刀を振りかぶり振り下ろしたところに金次がアリアの日本刀はナイフで受け、

理子の腹にベレッタを突きつけた。

 

「キンジ!?」

 

「アリア、今理子と戦ってはいけないよ。」

 

「なんで止めるのよ!こいつにはお母さんの証言をさせなきゃいけないのに!それにハイジャックのことだって「司法取引だろ」」

 

俺が途中で割って入った。

アリアと理子は俺の登場に驚いていた。

 

「風切!?あんた無事だったの!?」

 

「無事じゃないから入院してたんだが?」

 

「それはそうだけど。まぁ、いいわ。それで司法取引?」

 

「そうだ。じゃなきゃこんなに早く帰ってこれないだろ?」

 

「でも、あーくんはハイジャックがあったことしか知らないんじゃないの?」

 

「いや?『武偵殺し』の犯人を見つけたのは俺だからな。

金次は大して驚いてなかっただろ?」

 

「………そう言うことかよ。」

 

俺が金次に助言したことを言うと、その時の情景を思い出したのか少し苛立ったように言った。」

 

「お?それが本当の口調か。で?何故今のタイミングで帰って来た?」

 

「そうだね!私はキーくんとアリアとあーくんにお願いしたいことがあるの」

 

「それは?」

 

そう言って、理子は満面の笑みを浮かべてこう言った。

 

「キーくん、アリア、あーくん。一緒に泥棒やろうよ!」

 

 

 

 


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