「……そのボディーガード、あたしたちがやるわ!」
通気口からアリア達が出てきた。
金次は無理矢理連れられてきたっぽい。
「アリア!?キンちゃん!?」
とっても白雪が驚いていた。
「ん〜?なにこれぇ?」
綴先生がアリア達を覗き込んでみる。
「あ〜、なんだぁ。こないだのハイジャックのパーティーじゃん」
すーっ、とタバコを一気に吸って、こき、こきと何か薄ら笑いを浮かべて、ナナメ上を見つつ首を鳴らしている。
「これは神崎・H・アリア――ガバメントの2丁拳銃に小太刀の二刀流。二つ名は『
そう言いながら、アリアのツインテールの片方を引っ張っている。
……痛そうだな。
「い、イタイわよっ!それにアタシはマヌケじゃない。貴族は自分の手柄を自慢しない。たとえそれを人が自分の手柄だと吹聴していても、否定しないものなの!」
「へー。損なご身分だねぇ。アタシは平民で良かった~。そういえば欠点……そうそう、アンタ、およ……」
「わぁ――――!」
高い声だから、すっごい頭に響いてくるぞ。
耳痛い。
「そそ、それは弱点じゃないわ!浮き輪があれば大丈夫だもんっ!」
「アリア……自爆してるぞ?」
「――ッ!」
そうか、泳げないのかこいつ。
「んで、こちらは、遠山キンジくん」
「あー……俺は来たくなかったんですが、アリアコイツが勝手に……」
「――性格は非社交的。他人から距離を置く傾向あり」
……まさかこの人、全生徒のデータが頭の中に入ってるんじゃないだろうな?
俺の余計な情報も知ってたし。
それなら簡単な熟語ぐらい知っとけよ。
「――しかし、強襲科アサルトの生徒には遠山に一目置いている者も多く、潜在的には、ある種のカリスマ性を備えているものと思われる。解決事件は……たしか青海の猫探し、ANA600便のハイジャック……ねぇ、何でアンタ、やることの大きい小さいが極端なのさ」
「俺に聞かないでください」
「武器は、違法改造のベレッタ・M92F。三点バーストどころかフルオートも可能な、通称・キンジモデルってやつだよなぁ?」
あ、キンジの顔が引き攣ってる。てかなんでそんなことまで知っているんだ?
「あー、いや……それはこの間ハイジャックで壊されました。今は米軍払い下げの安物で間に合わせてます。当然、合法の」
「へへぇー。
「うわっち!」
金次に根性焼きをしている。
熱そう。
って言うかこの時代のやつにそれはまずいだろ。
「……でぇー?どういう意味?『ボディーガードをやる』ってのは」
「――言った通りよ。白雪と風切のボディーガード、24時間体制、アタシ達が無償で引き受けるわ!」
「お、おいアリア……!」
金次は乗り気ではなさそうだな。
でも、恐らくもう金次は諦めている。
哀れなり。
「………星伽、なんか知らんけど、Sランク武偵が
「嫌です!アリアになんか警護して欲しくありません!」
「大丈夫よ。金次の部屋で」
「よろしくお願いします!」
金次の部屋って言った瞬間、白雪が飛びついた。
一応、俺の部屋でもあるんだけどな。
ま、俺はまだ入院中だし、いいか。
「アリア。俺の警護は昼間だけでいいからな。白雪を優先させてくれ。」
「は?何でよ」
「心的に白雪の方が弱い。白雪の場合、金次を人質に取られたら簡単に着いて行きそうだからな。それに、俺の能力上、一人の方が戦いやすい。」
「………分かったわ」
話が着いて、金次の部屋にアリア達は帰って行った。
俺は病院に戻る。
………しんど。