ファンデッキでも良いじゃないか。   作:skkコーポレーション

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初投稿です。暇が出来たら書いて投稿。見たいなスタイルだから不定期更新になります。チラシの裏ですが、評価と感想は受け付けてます。よろしくお願いします。


1.とある日の遊勝塾

この世界では、遊戯王が日常的な物となっており、質量を持った『リアルソリッドビジョンシステム』の実現によって行われる『アクションデュエル』が主流となっていた。

……そして今日も、この町、舞網町に住む少年、『榊遊矢』は友人である『権現坂昇』と、『遊勝塾』のデュエルスペースでアクションデュエルを行っていた……

 

「俺は超重武者ワカ-02と、超重武者ソード999を生贄に!」

 

桜が散る、和の趣が見える木造建築群の橋の上で、青と赤の機械仕掛けの武者がリリースされ緑の粒子となって消え、その粒子が集まってそこから橙と白を基調とした薙刀を持つ武者が呼び出される。

 

「超重武者ビックベン-Kをアドバンス召喚!」

 

そして機械仕掛けの武者を召喚した少年と呼ぶには大き過ぎるような身体を持つ権現坂は相手である榊遊矢に呼び掛ける。

 

「さあ遊矢!この漢 権現坂と一対一で勝負しろ!」

 

その呼び掛けに答えたのかは分からないが…

 

「レディースアーンドジェントルメーン!

俺は速攻魔法!《カバーカーニバル》を発動!」

 

シルクハットを被ったカバに跨って現れた彼、榊遊矢は魔法カードによって三体のカバを呼び出した。

 

「イッツ!ショーターイム!」

 

その声に反応して三体のカバはサンバを踊りだす。

 

「なっ!?お前!おちょくっとるのか!」

 

もちろん権現坂は文句を口にするが遊矢はそんなのどこ吹く風。調子に乗ってカバと一緒に踊り始めた。

 

「もう!マジメにやれ!遊矢!」

 

そして遊勝塾のデュエルスペースに展開されるアクションフィールドの制御を行う装置の前にいた少女、『柊柚子』がふざけている遊矢に苛立ち、目の前の装置に両手の拳を叩きつけた。

 

バチッ。

 

…バン!と音を立てて拳を叩きつけられた旧式の精密機器特有の脆さを発揮したその装置はショートしてしまったらしく……

 

バチバチッジジジッ!

 

「えっ!?うぇえぇ!?」

 

困惑する柚子をよそにそのままボフン!と冗談みたいな音をたてて爆発。

もちろん制御する機械がそんなものだからアクションフィールドも無事では済まない。

 

「きゃぁぁ!」

 

ガチャ!

 

「何やってんだ柚子!」

 

勢いよく扉を開けて入ってきたこの遊勝塾の塾長である柊修造。彼は柚子の父親である。……が今はそれはどうでもいい。

 

「あっ!ごめんなさいお父さん!」

 

「これが壊れたら!俺の熱血指導が!ソリッドビジョンシステムがぁ!」

 

頭を抱えて嘆く修造。そしてそのアクションフィールドでは……

 

「これが!遊勝塾が誇る!エンタメイトデュエルでございまーす!」

 

合計4体のカバと踊りながらデュエルスペースの横に設置されている部屋の窓から見ている見学に来ていた少年を楽しませようとしていたのだろう遊矢はその様に説明する…が。

ジッジジジッ

 

「ん?」

 

見学に来ていた青い髪が特徴的な小学生くらいの少年がソリッドビジョンのノイズという異変に気付いたが、時、既に遅し。直後にソリッドビジョンは消失し、フィールドの建造物の上に乗っていた遊矢はそれだけ高い位置にいたわけで……

 

「わ!?わぁぁ!うわぁぁぁぁ!!」

どっしーん!

 

落下した。思わず少年が手で目をふさいでしまうくらいには痛そうだった。

 

「いつつ……お?……ほぁ〜」

 

余程痛かったのだろう。落ちた時に打ち付けた腰をさすっていた遊矢はこちらを見ていた少年に気付いて、変顔をした。……笑わせようとしたようだが、それはあまりやるべきでは無かったようだ。

 

「まーたそんな事やって…君は人を楽しませたいのか笑わせたいのかどっちなんだい?笑わせたいのなら漫才デュエリストに改名すればいいんじゃない?」

 

デュエルスペースに入って来るなりそう言い放ったのは、遊矢、柚子と同じく、遊勝塾に在籍する少女の様な外見の少年、『御坂 真』。

 

「なっ!何言ってんだよ!俺はそんなつもりないぞ!俺はデュエルでみんなを笑顔にするエンタメデュエルをするんだ!」

 

「そんな怒らなくても良いじゃないか。そう言うけど君のやってた事は殆どが人を笑わせるだけの物だよ?エンタメの内容もっと考えて行こうぜ?なぁ、権現坂?」

 

「そうだな。実際俺は《カバーカーニバル》のところですごく腹が立った。」

 

「ええ!?何でだよぉ〜!」

 

鉄下駄を鳴らしながらこちらに歩いてきた権現坂は真の問いかけに同意し、やってた事を全て否定された遊矢はそのトマトの様な髪のヘタのように跳ねた緑の部分を萎れさせた。

 

「真剣勝負しろって言ってる人を笑顔にするには満足させなきゃダメでしょうに…笑わせようとおちょくるのは逆効果だよ?」

 

「……わかった。もっと方法を考えてみる。」

 

ヘタが萎れたまま真の言葉を受け入れ、頷くトマト。

 

「じゃあちょっと中の様子を見に行こうか。」

 

「そう言えば、ソリッドビジョンが故障した様だったな。」

 

「そうだよ。俺びっくりしたぜ。結構な高さから落ちるし。」

 

そして待合室に着いた3人は柊親子と合流。しかし……

 

「俺の熱血指導がぁぁぁぁ!!!」

 

遊勝塾の表にある河川敷の辺りの人すらも驚かせる嘆きの声が。

 

「ソリッドビジョンシステムが壊れるわ折角来てくれた入塾希望者は逃すわで、このままじゃ遊勝塾の経営がぁぁぁぁ!」

 

「はぁ……遊矢がふざけるから……」

 

「なっ!?何でだよ!柚子がコンソールを殴ったからだろ!?」

 

「「その原因がお前(遊矢)なんだよ(なのよ)!」」

 

「うっ……」

 

「萎びたトマトはほっといて取り敢えず、この現状をどうにかしないとまずいね。」

 

真と柚子の二人に正論を叩きつけられて何も言えなくなった遊矢をチラッと見やってから真が話を進めようとする。……すると、

 

「おやおやぁ?どうやらお困りの様ですねぇ?」

 

矢鱈と派手な格好の胡散臭そうなおっさんが突然部屋に入ってきた。

 

「?貴方は?」

 

もっと熱くなれよと同名の某太陽神に言われそうなほど気分が沈んでいる修造が突然の闖入者に名乗りを要求する。

 

「私は、アクションデュエル現役チャンピオン、ストロング石島のマネージャー兼、プロモーターをしております、ニコ・スマイリーと申します。」

 

「っ!?ストロング石島!?」

 

自己紹介をしたニコの発言に対して遊矢は反応した。

 

「LDSのイメージキャラクターであるストロング石島の、そのファン感謝デーに、榊遊矢君を是非お招きしたいのです。」

 

「確かに、あの榊遊勝の息子である。と言うのはかなりのネームバリューが有るからな。それに勝てばストロング石島の株は上がる。ファン感謝デーに呼ぶにはうってつけの人材だろうな。」

 

「ちょっと!真!」

 

真がニコの話に相槌をうち、柚子がその物言いに失礼だと思い、声をかける。ニコはそれにあまり反応せず、残念そうな表情で続ける。

 

「私はそこまで考えてはおりませんが、彼があの臆病者の榊遊勝の息子とは戦ってみたいと言っておりましたからねぇ。でも正直私としてはフクザツです。」

 

「複雑?」

 

「えぇ。フクザツです。私自身、榊遊勝は尊敬しているのです。なのに突然居なくなってしまってからと言うもの、彼はこの街中で臆病者呼ばわり。チャンプであるストロング石島ですらそんな事を言うものですからフクザツなのも理解出来るでしょう?」

 

「……ニコさんは父さんの事を尊敬しているんだ…」

 

ニコ自身は榊遊勝を尊敬している。と言う事実にその息子である遊矢は静かに、それでも嬉しそうに呟いた。

 

「えぇ!勿論です!なんたって今のアクションデュエルの雛形を作り上げたのは彼なんですから!」

 

「聞こえてたの!?」

 

「クククッ…」

 

遊矢の呟きに答えたニコと、聞こえてた事に驚く遊矢。それを見て笑いを堪える真。そしてニコは身を乗り出してまた話の続きをし始めた。

 

「だからこそ!私は貴方に声を掛けたのです!ストロング石島はチャンプとなってから少し調子に乗りすぎている様なので、華麗に勝利して、彼に灸を据えて貰いたい!是非!彼を倒して頂きたいのです!」

 

「うわっ!近い近い!」

 

二人の顔の距離、僅か5センチ。遊矢からすればおっさんの顔がドアップになる訳だから割と嫌なのである。

 

「まぁ、いいんじゃない?どうせ負けても勝っても損はないんだしさ。あわよくば石島ボコってこいよ?」

 

「ボコるって……まぁせっかくだしやってみるよ。」

 

「それではこの依頼は受けてくれるんですね!?良かったです!ああ、報酬として最新型のリアルソリッドビジョンシステムを手配させていただきます。これは勝てば、とかそう言うのではないのでご安心を。」

 

「ほっ!本当ですか!?」

 

ソリッドビジョンシステムがご臨終になって意気消沈だったが、ニコが告げた報酬の内容に一瞬で復活した。非常に現金なものである。

 

「それでは、また会いましょう。遊矢さんには後日、手紙をこちらから送らせていただきます。ごきげんよう。」

 

「「早っ!」」

 

ごきげんようと言ったのは残像のようで彼はいつの間にかそこにはおらず、音もなく帰って行ったようだ。そのスピードに驚き声に出してしまったのは柊親子。尚、他の3人はそれぞれ、腕組みをしながら無言で見送り、僅かに目を見開いた者、呆気に取られて何も言葉を発することができなかった者、そして何も言わず、ソファの上で俯いて微動だにもしない者……と言うより…

 

「真!?このタイミングの何処に寝るところがあったの!?起きなさーい!!」

 

「ンウェイ!?な、何!?敵襲!?」

 

寝ていただけなのだ。柚子が大声で起こしたが、何やら寝ぼけているのか訳のわからない事を言っている。

 

「何!?真は寝ていたのか!?この状況で!?全く!けしからんぞ!!」

 

「さっきまでちゃんと会話してたのに!?そして敵襲ってなにさ!?」

 

「お〜?…お〜!ニコさん帰ったのな。なんか人が足りないと思ったぜ。あと敵襲は敵襲。別に今は関係ないからいいよ。」

 

……まぁこんな感じで、この物語は始まるのだ。

ーこれは本来描かれた物語に介入した少年が色々と引っ掻き回す物語。

 

ーその昔に、やれそのデッキでは絶対に勝てない。やれそんなデッキ使うならこれを使えよ。などと言われながらもファンデッキを使い続け、大して所持金がないが故に未完成となったデッキでもなんだかんだ楽しんでデュエルをしていた少年がこの世界で戦う物語。

 

ーそして、悪ふざけでエレベーターの異世界転移をやって本当に成功してこの舞網に迷い込んだ少年のお話。

 

(………やっべ。このままじゃ原作介入がそろそろ難しいぞ。公式デュエルしてねえし。ニコを利用しないとな。)

 

ーそれとちょっとだけ、《原作知識》を持っている、基本どっかの某ポケットなモンスターアニメのDPに出てくる格闘系ジムリーダー見たいな服を着ている(髪型と髪の色は普通で少し天然パーマ気味のショートヘアで茶髪の少女のような)少年の奮闘記(?)である。




オリ主の名前は、自分の名前を一文字と後はそれっぽくにしただけなので「あれ?苗字が某ビリビリっぽくね?」とか言わないでください。下の名前の読みは『まこと』になります。因みに服装はあくまで「みたいな」だけです。裸足じゃ無いです。
あとぶっちゃけ自分が書きたかったから書いただけの作品だから割と中身が適当です。文才が無いとは思っているので批判は聞くけどそれに対してのリアクションはありません。原作(アニメ)を観ている方は分かる筈、観てない方なら読む時はサラッと観るだけでも良いので、原作知識は多少持ちわせている状態でお願いします。

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