戦場のヴァルキュリア3~懲罰部隊の黒と白~   作:戦闘狂の道化師

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幕間 リュウの過去と物資調達担当

新しく422部隊に配属されたクルトが上司のクロウ大佐に新たな命令を聞きに行っている間リュウはレイを連れてとある奴を訪ねていた。

 

「よっ、カリサ。やっと、見つかったんだって?」

 

「あっ、リュウさ~ん。大変だったんですよ~。リュウさんの愛銃を探して上層部のお偉いさんの欲しがる違法な品をを渡してやっと、横流しをしてもらったんですからね~」

彼女はカリサ コンツェン。ガリア軍兵站部所属の正規軍人で422部隊担当の物資調達係。実は422部隊の制服は一人一人違うのだが彼女の趣味が大きく性格はおっとりしているようで毒舌で守銭奴だが、リュウとレイには甘い。リュウは彼女にとある銃を探してもらっていた。それは....

 

「やっと俺の手に戻ったか...」

リュウはカリサから受け取ったのは真っ黒な狙撃銃だ。リュウは元ガンスミスで銃の設計や組み立てをしていたのだがガリア軍にダルクス人だからと身に覚えの無い罪で逮捕され422部隊に配属された。この銃は逮捕される2日前に完成した物で村を少しでも仲間が安全に守れるようにとリュウが研究していた物だった。カリサによるとガリア軍上層部はこの銃を解析し近い内に量産され各部隊に配備されるようだ。

 

ついでにダルクス人についても説明しよう。ダルクス人はこの地域周辺で信仰されているユグド教において災厄を巻き起こし蒼き戦乙女 ヴァルキュリアによって制圧された人種とされており、身体的特徴としては多くのものが紺色の髪を持つことが知られている。ダルクス人は災厄を起こしたとされている事が理由で差別によって名前を奪われさらには迫害されている。ダルクス人はその迫害に対して相手にやり返しても新たな恨みを生むだけと殴られたりしても抵抗したりやり返さない事が差別が終わらない理由かも知れない。

 

「よかった。また一から作ると大変なんだよな」

 

「特殊な弾薬を使っているとか言ってましたかどんなのを作っているんですか?」

 

「銃の音を少しでも静かにさせる方法はないものかと探って作ってみた試作品だ。カリサ、ちょっと向こうに瓶を置いてみてくれ」

そう頼まれたカリサは、リュウから10mほど離れた場所にビール瓶を一本置くとまたリュウの横に戻ってきた。

 

「これで良いですか~?」

 

「あぁ、それじゃあ行くぞ」

リュウは、瓶を狙って銃の引き金を引いた。銃はパスッと気の抜けるような音を出しながら弾丸を放つと弾丸は瓶の中心を捉え瓶を見事に砕た。

 

「こいつは他の銃より実は火薬の量を減らしたり他の弾より重くして弾速を遅くしていて銃声が殆どの鳴らなくした」

 

「あ~だからですか。上層部が火薬を足さねば役に立たないとか言ってたんですね~」

リュウ達が首を傾げるとカリサが説明してくれた。どうやら上層部は弾を分解した際に火薬の量が少な目なのに気がつき火薬の量を増やして威力を上げるつもりだそうだ。直線で狙うことしか考えてないのだろう。浅はかな考えだとリュウがため息を突いた時、

 

「次の任務について説明するぞ」

そう言いながらクルトが来た。クルトの周囲に戦車の操縦士のグスルグと偵察兵の女性のNo.13のリエラそしてイムカが机を囲んでいた。

 

「それじゃあ行ってくるよ」

 

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい~。....死なないでくださいね。リュウ」

恋する物資調達係の声はリュウに届くことはなくまた二人は戦場に向かっていくのであった。彼女と二人が肩を並べて戦うのはまだ先の事である。


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