あの日、三人で水族館に遊びに行った日。
多分、俺たちは少しだけ分かり合えた気がした。
だが、その帰り道、全てが終わった。
俺の先を行く二人の前に、黒い門が開いた。
普通なら、そこには開かないはずの、イレギュラー門だった。
ジジ…バチッバチッ
突如として現れた一体の近界民。呆然とする、三人。いち早く、脳の処理が終わった俺は、叫ぶ。振り上げられた鎌が、振り下ろされた。
「由比ヶ浜ー!」
目の前で、上がる血しぶき、ドサッと力なく地面に倒れるた。
「……由比ヶ浜さん………比企谷くん」
後ろを振り返り、涙を流して、俺の名前を呼ぶ雪ノ下。その、雪ノ下に近くに由比ヶ浜の命を奪った鋭い鎌。雪ノ下の唇が微かに動く。
「雪ノ下!」
俺は、走る。ただ、走る。雪ノ下を助けるために。手を伸ばした。間に合え!間に合え!
だが、現実は非情で、俺に雪ノ下の命を救うような能力が覚醒するでもなく、伸ばした手は雪ノ下に届かない。
また、一つの血しぶきが上がる。俺は、その血を全身に浴びる。
温かい。雪ノ下の血だ。雪ノ下の上半身が空中を舞い、血を撒き散らす。それもまた、地面に落ちた。
俺は、手を伸ばしたままその場から動けなかった。雪ノ下を、由比ヶ浜を殺した死の鎌が俺にも振り上げられる。
俺も死ぬのか。何もできなかった。これからだったのに…
由比ヶ浜、雪ノ下、助けることができなくてすまん。小町、こんなお兄ちゃんを許してくれ。
「アステロイド」
目の前でいくつもの光が、近界民に当たりその装甲をボロボロにしていく。1つの光が口の中にある目に当たる。その壊れた目から、キラキラとした粒子が舞う。
すると、近界民は糸が切れたように、倒れる。
そして、それ以降近界民は動くことはなかった。
それと同時に、俺も意識を手放し、アスファルトの上で倒れてしまった。
俺は、夢を見た。
入部当初の雪ノ下とのやりとり。初めての依頼だった由比ヶ浜のクッキー作り。由比ヶ浜の誕生会。そして、文化祭の相模の依頼。さらに、修学旅行で奉仕部に入った亀裂。生徒会選挙で、崩壊しかけた奉仕部。そこからは、俺は欺瞞を受け入れ、奉仕部を壊れないように失わないようにしていた毎日。雪ノ下は、仮面を被った。由比ヶ浜には、無理をかけさせた。クリスマスイベントで、もしかしたら、今までの依頼でも何もできていなかった、俺は、雪ノ下と由比ヶ浜に力を求めた。そして、俺は奉仕部で「本物」が欲しいと言った。
本物なんて、手に入らないかもしれない。でも、この三人なら、何か掴めるような気がしていた。
「由比ヶ浜!雪ノ下!」
俺は、長い夢から覚め、二人の名前を叫ぶ。もしかしたら、あの出来事が夢だったのかもしれない。起きたそこは、見たこともない真っ白な部屋だった。その部屋で、俺は寝かされていた。
布団をめくる服には、真っ赤な血がべったり付いていた。即座にあれが、雪ノ下と由比ヶ浜夢でないことが分かる。
「なんでだよ。なんで、あいつらが死ななきゃならなかったんだ。なんで、俺なんかが生きてんだよ…」
あの時、何もできなかった。力があれば、力があれば助けられたかもしれないのに。
「起きたか」
ドアが開き、誰かが入ってきた。20代後半のスーツを着た青年だった。
「ここは、ボーダーだ。ちょっと話いいかな?」
その人は、近くにあったパイプ椅子を引き寄せて座る。気を遣っているのか、あの惨状の経緯は聞かず、体調がどうだとかそんな事を聞いてくた。
「……君がよかったらなんだが、ボーダーに入らないか?」
「なんで、ですか?」
「ボーダーは、人材不足なんだよ。だから、力が及ばず今回みたいなも起こる。俺は、あの子たちを助けられなかったのが悔しい。俺たちは、少しでも多くの仲間が欲しいんだ」
その人は、自分の手を握り力強くそう言った。
第一次近界民侵攻の恐怖がまだ抜けていない。そんな中、近界民と戦いたいなんて人は、まだ少なかった。防衛戦を強いられている中で、人数の少なさは致命的だった。
「…ボーダーに入れば、近界民を殺せますか?」
「え、あ、ああ、そうだ」
その人は、一瞬ビクッとして俺の質問に答えた。
「入ります」
「本当に…いいのかい?」
「はい」
「ボーダーへようこそ。これから、よろしく」
その人は、俺と無理矢理握手を交わすとその部屋から出て行った。そして俺は、一人となった。
人類が初めて近界民の脅威に晒された、第一次近界民侵攻から約八ヶ月。ボーダーが設立された今も、近界民による犠牲者はまだなくなってはいなかった。
こんにちは
ワールドトリガーと俺ガイルのクロスって多いですよね。まあ、それに感化されたといいますか、自分も書いてみようかな、なんて思ったわけですよ。
それで、面白かったですか?それとも面白くなかったですか?
よければ、感想に書いていってください。あとアドバイスとかもあったらよろしくお願いします。
一つ言っておくと、ワールドトリガーはジャンプでしか読んでなくて単行本は持っていません。一応、データランキングとか見たくて、オフィシャルデータブックを買っていたのでそれだけは持ってます。
設定だったり、喋り方だったりと色々とガバガバな気がしてます
読んでいただきありがとうございました。続きを書くかどうかまだわかりませんが、またよろしくお願いします。