ダンジョンで双璧が暴れるのはまちがっているだろうか   作:よづき

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No.6

 

しばらくするとノエルも様子を見に来た。

 

「べートとはどうなった?」

「…ベートとはなにも…」

「嘘つけ」

「いや…べートと、1日ダンジョンに行くことに…」

 

「デートか?」

 

俺がにやけて冷やかすとすかさずノエルに叩かれた。

でも誰だって驚くだろ。いきなりそんな急展開。

 

「ロキの命令だから。ベルは?」

 

あきらかに照れ隠しだがノエルもまだ動揺しているのだろう、流されてやる。

 

「あそこだ。防具もなしに6層まで降りてくから焦ったぞ。相当ボロボロだしヘスティアがなんて言うかだな」

「そんなこと言って…。危なくなったら助けるし、ヘスティア様にもフォローするくせに」

 

「……まあな」

 

それにもちろん、ベルが稽古をつけて欲しいと言ってくればつけたいと思っている。だがベルはLv.6の俺らに気後れしているのか、冒険の話を聞きたい以外でワガママを言ったことがない。ダンジョンにも、可愛い弟子と一緒に潜って色々教えたいのに、ベルは遠慮ばかりだ。

 

「ヘスティア様並にベルのこと気にしてるくせに」

 

過保護なヘスティアに呆れていた俺に、いつだかノエルが放った言葉である。なんでもバレているんだよな。俺が腑に落ちないと拗ねている横で、ノエルはベルに向け小さく回復用の歌を歌った。

 

 

 

 

 

結局、ベルがホームに戻ったのは朝の5時になった。

ボロボロで俺に抱きかかえられているベルに対して、ヘスティアは心配したり慌てたり怒ったりと、大変忙しそうだった。

 

「大丈夫だって。俺らもちゃんと、見張ってたし」

 

そういうと渋々ヘスティアは矛をおさめて、ベルにシャワーを勧めた。

 

「アルトさん、ありがとうございます!」

「おう」

 

助けられた、とほおを緩めるベルの頭をくしゃりとなでる。

 

「じゃあ、俺らは寝るかな」

 

普段からベッドはヘスティアに、ソファーにはベルを寝かせて俺らは適当に雑魚寝をしているし、今回は先に寝させてもらうことにした。

ダンジョンで寝るよりはずっとましなので問題ない。今日はベルとヘスティアは一緒に寝るそうなので、ソファーに無理やりノエルをおしこんだ。

 

 

 

 

「おはよう」

 

起きたらノエルのドアップだった。いつの間にか俺がソファーで寝ている。ノエル相手だと俺は本当に無力だな。入替えられたことに気づかないほど深く眠ったつもりもなかったんだが。

 

「…どうした?」

「べートと出かける、その、どうしたら」

「俺よりノエルの方が仲いいだろ、昔はずっと一緒にいたんだし。むしろ俺、いい印象持たれてなかったし」

 

孤高の代名詞のようなベートと、常にオラリオのソロ最前線にいたノエルが仲が良かったのは有名な話であった。ベートが【ロキ・ファミリア】に改宗する前からの話である。3年前のあの日までは。

 

「そう、なんだけど…べートは私のこと許してないし気まずい。出かけることになったのも、周りがはやし立てただけだし向こうも酔っていたし…」

 

しおらしいノエルは久々で、可愛いと不覚にも思いつつ、決して仲がいいとはいえない俺に相談されても困るものもある。あの男と俺の相性は、それはもう類を見ないほど最悪なのだ。

 

「ベルも見つかって同じファミリアに入れたし、抜けた理由は言えなくてもお前の好きにしていいと思うよ俺は」

「…うん、ありがとう」

 

ありきたりな言葉でも前向きになってくれたらしい。よかった。

 


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