ダンジョンで双璧が暴れるのはまちがっているだろうか   作:よづき

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No.13

「ヘスティア様の居場所を探って」

 

ヘスティアがガネーシャ主催のパーティに出かけてから2日、音沙汰がなく帰ってこないことにノエルとベルは不安を覚えていた。同じファミリアとは言えど、ステイタスを教えている訳では無いのでベルにはこの発言がどういうことかは分かっていない。

アルトの能力でベルとノエルのステイタスは全て筒抜けではいる。

 

 

「索敵はオプションみたいなものであって、得意ではないんだけどなあ」

 

そもそもアルトの勘はノエルの勘とは別にほぼ100%当たるものなので大体分かっているのだが、仕方がないと探ってみる。

目を瞑り集中することにより、全知はその能力をフルで使用できるのだが実際問題使いにくいスキルでもある。ノエルも同様に、無意識下で微補正がかかるくらいの使用はLvの恩恵もあり負担も少ないが、フルで使うと反動が大きいのだ。主に疲労が。オマケにダンジョンでは使えない。

 

一度ノエルとの『とある事件』で呪詛をかけられたことがあるが、解呪されるまでの間は視力の大幅の低下に加え人並みの力も出なかった。

恐らく神の恩恵とLvで誤魔化しているが、恩恵のない状態でフルに使用すればあっという間に体を蝕まれるのだろう。

リバウンドで一週間神の恩恵を失ったノエルのほうはもっとすごかった。全知より全能のほうが使い勝手がいいだけにアルトよりよほど施行している。そのため五感がほぼ使えず衰弱し、恩恵が戻るまでの一週間、生きていられるのかもわからない状態だった。

 

アルトとノエルのそれぞれの能力はLv2の時に授かったものなので、呪詛をかけられるまで気が付かなかったのだ。

それを誰よりも理解している彼は、全知ではなく未来予知で先を知り今を知る方法をとった。

 

「わかった、よく分からんがヘファイストスの所にいる。しかも土下座中だ」

「…土下座?」

「ああ」

 

詳しく教えろと言わんばかりのノエルの視線をベルに誘導する。それだけで相方はベルに言えないことだと分かってくれるだろう。これはアルトからベルに伝えるべきではない。そう彼は判断したのだ。

 

「まあ、ヘスティアとヘファイストスは仲のいいことで有名だしヘスティアは大丈夫だ」

 

 ベルはその言葉に安心したようで、ダンジョンに向かう準備を始めた。そんなベルを見つめながら己の能力について、アルトはレベルを上げたことで反動が少なくなってることを感じていた。レベルが1つ違うだけでこうも違う。分かっていたことだが改めて実感させられる。

 

 そして、そのレベル差を易々と飛び越えてしまう真っ白の少年を見つめる。アルトはちょっとした先読みと神の如きスキルによってオラリオの中でも既にトップクラスの戦闘力を誇っているが、成長速度は至って普通。

ヘルメス・ファミリアに所属していた頃、そのファミリアの特殊さ故にレベルを偽っていたが、11年かけてLv3の初期ステイタスからLv5のステイタスの頭打ちまで伸ばしあの事件を経てLv6へ至った。英雄の資格を持たないはずのベルは「約束の時代」を担う英雄に憧憬を抱いた。本物の英雄にはなれない。

それは彼と同じはずだったのに。

 




基本アルトさんはノエルさんにコンプレックスを抱いていますが、ノエルさんもアルトさんに対し強烈なコンプレックスを抱いています。

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