ゼロからのシンデレラ   作:powder snow

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第三十五話

「プロデューサー君。楓ちゃんね、急用が入って来られなくなっちゃったって」

 

 スマホの画面に目を落としていた早苗が、テーブルを挟んで対面に座っている綾霧に告げた。それを受けて彼が、空いたままになっている隣の席に視線を移す。本当なら、遅れて来た楓がそこに座るはずだったのだが、急用が入ったのならば仕方がない。ただ心の中でそう思っていても、表情には素直な気持ちが表れてしまう。

 

「……そうですか。でも急用ってなんだろう?」

「気になっちゃう? っていうか、やっぱり楓ちゃんがいないと寂しいんだ? プロデューサー君の顔にそう書いてあるわよ」

「そんなことは……」

 

 一度否定しかけた綾霧だが、意気消沈していたのは事実なので、改めて頷くことにした。

 

「いえ、ちょっと残念です。いつも飲む時は楓さんと一緒だったから、いないのってやっぱ寂しいですよ」

 

 そんな綾霧の答えを聞いて、早苗が隣にいる瑞樹と顔を見合わせながらクスっと笑った。 

 

 ――あたしに良い考えがあるの。

 そう早苗が提案してから数日、再び居酒屋に三名の人物が顔を揃えていた。といっても先ほどの言葉通りこの場に楓の姿はなく、綾霧と瑞樹、そして早苗という面子でテーブルを囲んでいるところだ。

 席順は女性陣が壁際に並んで座っていて、対面に綾霧が腰を落ち着ける格好になっている。テーブルの状況を見るに、飲み会が始まってからそれなりに時間が経っているようで、程よく料理全般に手が付けられていた。

 

「急用なら仕方ないからね。今日は三人で楽しみましょ! とりあえずあたしはビールのお代わりを貰おうかしら」

 

 メニューを手に取りながら、近くを通った店員さんに向かって早苗がひらひらと手を振った。飲み物だけじゃなく、追加でなにか注文するつもりなのだろう。瑞樹と一緒になって広げたメニューに視線を落としつつ、品物を指差している。

 そして無事注文が終わり、飲み会の再開となった。

 

「そういえばプロデューサー君。ちょっと小耳に挟んだんだけど」

「なんですか、川島さん」 

「あのね、うちで新しく大きなプロジェクトが始動するらしいって。詳細とか聞いてる?」

「ああ、それはシンデレラプロジェクトのことですね」

 

 楓が来たら頼むだろうと、気を回して注文していたたこわさびに箸を伸ばしながら、綾霧が答えた。

 

「シンデレラプロジェクト?」

「女の子の夢を叶えるというコンセプトの元に、幅広いジャンルで活躍できるアイドルを育てようという旨の企画ですよ。オーディションも二回行う予定になってますし、かなり力を入れるみたいです」

「へえ。そうなんだ。でもオーディションってことは、新人アイドルが対象なのね」

「ええ。ですから俺たちの部署に直接関わってくるなんてことは、当分ないかもしれません。でもアイドルの卵たちが相手ですから、困っていたら助けてあげてください」

「それはもちろんよ。ねえ早苗ちゃん」

「当然ねっ! 困っていたらぴしぴしと可愛がってあげるわ」

 

 早苗が軽く握った拳を揺らしながら、にこやかに片目を瞑ってみせる。まるで鞭を打つみたいなジェスチャーだったが、深く突っ込まないでおこうと綾霧は思った。

 

「……まあ、お手柔らかに。相手はかなり大所帯になる予定みたいですし、実際にプロジェクトが開始されればすれ違うことも多いでしょう」

「OKよ! 今からどんな子が集まるのか楽しみねっ!」

「基本的に十代の子が集まるはずなので、かなり賑やかな感じになるんじゃないですか?」

「え? そのプロジェクト年齢制限とか入ってるの!?」

 

 そこに突っ込むのかという箇所に早苗が反応する。瑞樹も心なしか気になっている様子で、話の展開を窺うスタイルだ。

 

「明確にというわけじゃなくて……実は有望そうな子がいたらスカウトしても良いと言われてるんです。その時にできるだけ十代、更にできれば学生をとの要望が」

「なにそれ!? あたしたちじゃ絶対無理なコンセプトじゃないの!」

「いやいや、片桐さん、あなたもうアイドルでしょう!」

「そうなんだけどぉ、なんか腹立つじゃない? 二十歳を超えたらアイドルじゃないってのかって!」

「誰もそんなこと言ってないじゃないですか。それにうちには二十歳を超えたアイドル、結構いますし」

 

 綾霧の元にいる楓、瑞樹、早苗以外にも、プロダクション内に二十歳を超えたアイドルは、それなりの人数が確認されていた。ただ圧倒的に十代が多いのは否めない事実である。

 

「まあまあ早苗ちゃん。新規に立ち上げるプロジェクトなら、そういう部分は仕方ないんじゃない?」

「もう、瑞樹ちゃんは悔しくないの?」

「全然悔しくないわよ。だって負けるつもりなんてないし。っていうか私もまだ若いし?」

「そ、そうよねっ! 若干語尾を上げたのが気になるところだけど、あたしも負けないんだからっ!」

 

 ちなみに早苗と瑞樹は同い年である。

 

「あのですね、勝ちとか負けの問題じゃなくて、仲良くしてくださいねって言うお願――」 

「わかってる。わかってるわよプロデューサー君。要はシンデレラプロジェクトを敵認定しろってことよね」

「それ冗談で言ってますよね、片桐さんっ!?」

「もちろん冗談に決まってるじゃない。あははっ!」

 

 お酒が入っている分、彼女の陽気さに拍車がかかってしまっている。もし手の届く範囲に綾霧がいたなら、バンバンと背中を叩かれていたことだろう。

 

「……あー。この流れで言うのもなんですけど、十代のアイドルがうちの配属になることが正式に決定したんですよね」

 

 話をしていたら思いだしたという体で綾霧が発表する。 

 

「え? プロデューサー君の担当増えるの? 誰々? 十代なのよね? 文香ちゃんみたいな大学生かしら」

「輿水幸子ちゃんですよ。川島さんはおねシンを歌う時にユニット組みましたし、片桐さんもお仕事一緒になったことありましたよね?」

「ああっ! 面白い子よね幸子ちゃん。アイドルだから可愛いのは間違いないんだけど、なんていうのかしら。こう、芸人魂みたいなのを感じたわ」

「フフフ。それを本人に伝えたら、きっと“芸人じゃなくてアイドルですっ! まったく、こんなにカワイイボクがアイドル以外のなにに見えるって言うんですかっ”って言うと思うわよ」 

  

 瑞樹が胸元に手を添えながら、幸子の声真似をしてみせて場を沸かせる。

 こういう多芸な部分も決して幸子に負けてないと思う綾霧だが、周りから求められるのが大人でクールな川島瑞樹なのが少々勿体無いと感じるようになっていた。正式に幸子が配属になったら、二人で一緒に番組に出てもらうなど、方向性を合わせてプロデュースしてみるのもありかもしれない。

 そう思っていた。

 

「でも幸子ちゃんなら納得ね。今までもちょくちょくプロデューサー君が面倒みてたみたいだし。何気に誕生日が同じだから親近感もあるのよねー」

 

 瑞樹の言う通り、彼女と幸子の誕生日は同じ月日なのである。無論、生まれた年は違うのだが。

 

「けれど、これでまたプロデューサー君が忙しくなっちゃたりしないか、それが心配ね」

「そのあたりは多分今までとあまり変わらないかなって。鷺沢さんのプロデュースも一段落しましたし、同僚のみんなや千川さんもいますから」

 

 そう答えながらも、綾霧の視線は自ずと隣に向いてしまっていた。今は空席になっているそこは、本来なら楓が座っている場所だ。

 自分の仕事が評価されたり、頼りにされるのは凄く嬉しいし、誇らしいことだと思う。けれど担当アイドルが増えれば一人にかける密度はどうしても薄くなってしまうし、一緒に過ごす時間も減ってしまうだろう。

 

「なにか言いたげね、プロデューサー君」

 

 誰もいない空間を見つめる彼を見て、瑞樹が声をかけてきた。

 

「……いえ、楓さん、CM出演が決まったんですよね。商品のイメージにぴったりだからと先方からの強い希望で」

 

 駆けだしのプロデューサーと新人アイドルとして、スタートから一緒に歩いてきた仲である。いつかはトップアイドルに。それを夢見て頑張ってきた。

 相応の努力もしたし、運に恵まれた部分もあるだろう。その甲斐あってか、楓はシンデレラガールまであと一歩というところまで人気を博してきていた。だたその唯一の弊害というべきか、綾霧と楓、二人で過ごす時間だけが減ってしまっていた。

 スケジュールが合えば一緒にいるし、仕事上がりに飲みにいったりもする。オフに二人で出掛けることもないわけではない。

 だけど、それだけでは足りないのだ。

 

「大手のCMでメインを張りますから、これを足がかりに次のCMへ、なんて展開も十分あり得ます」

「それって凄いじゃないの!」

「実際、凄いですよ。CMに出ることで他のメディアへの露出も増えますし、今まで触れる機会のなかった人にも見て貰えますから、きっとまた人気が上がります」

 

 もっと彼女と一緒にいたいというのが彼の本音だ。過ごす時間も増やしたいし、その密度も濃くしたい。けれどそのためには今の関係のままでは駄目だ。

 もっと踏み込んで、距離を近づけて。特別な間柄にならなければ。

 

「テレビにも出て、ライブにも出て、CMでメインを張って。――本当に、楓さんは凄い人です。凄い……アイドルですよ」

「こーら。そんな遠い人になっちゃったみたいな言い方しないの。そんなの聞いたら、楓ちゃんが寂しがるわよ」

「川島……さん?」 

 

 瑞樹が対面から身を乗り出しきて、綾霧の額を伸ばした人差し指で軽くつついた。喋った言葉の内容だけじゃなく、声のトーンや仕草を見てそう判断したのだろう。

 綾霧はそんな瑞樹の行為に面を喰らったかのように、目を瞬かせていた。 

 

「楓ちゃんに悲しい顔させたいの?」

「そんなつもりはなくて、ただ――」

「ただとか言わないの。というか、私も楓ちゃんも、早苗ちゃんだってあなたがプロデュースしたんじゃない。もっと胸を張りなさい。自信を持ちなさい。私たちがこうやってアイドルやれてるのは、全部あなたのおかげなんだから」

「瑞樹ちゃんの言う通りね。楓ちゃんが凄いって思うんなら、それは同じくらいプロデューサー君も凄いってことなの。それがアイドルと担当プロデューサーってものでしょ?」

「……そうですね。すみません」

「そういう時は、ありがとうって言うものよ。さあさ飲んで、飲んでプロデューサー君……ってグラス空いてるじゃないのっ!」

 

 綾霧の前にあるグラスが空なのを見た早苗が、再び店員さんに向かって手を振りだした。そして新しく注文を通し、その品物が運ばれてきた段階で、ズバっと切り込んだ。

 

「でさ、もうぶっちゃけ聞いちゃうけど、プロデューサー君、楓ちゃんのこと、どう思ってるの?」

「え?」

「凄く気にかけてるってのは伝わってくるし、この間はプレゼントもあげたんでしょ? それなりに好きじゃなければそこまでしないわよね?」

「それは……」

 

 早苗に促されるまでもなく、綾霧は楓に好意を持っていたし、最近はその気持ちが大きくなりすぎて、どうすればいいのかと悩んでいたところだ。

 楓とデートをして家に戻った時なんか、何度ガッツポーズを決めたかわからない。

 

「ここだけの話にして内緒にしとくから。ほーら、言っちゃいなさいよ」

「……」

「それとも実はそんなに好きじゃなかったりして? 仕事上の付き合いだから仕方なくとか?」

「そんなわけないでしょっ――――あ……」

 

 早苗の質問に光の速さで即答してしまってから、綾霧はしまったという表情を浮かべた。相手の煽りに乗って思わず熱くなってしまったのだ。

 これではもう答えを言ったも同然である。

 

「ふふ。意地悪な言い方しちゃってごめんねぇ。でもそういう反応を返すってことは、やっぱり好きなんじゃないの?」

「…………ええ、そうですよ」

 

 ぽつりと洩らした彼の言葉を、確かに耳で拾った。 

 

「楓さんのこと……す、好きで……」

「声が小さいわね」

「好きですよ! 楓さんのことが、大好きですっっ!」

 

 綾霧はそう宣言してしまってから、やばいくらいの速度で身体が火照っていくのを感じていた。

 遂に口にしてしまったという思いもあるし、知られて恥ずかしいという感覚もある。その他にも色々な感情がない混ぜになっていて、なにかしていないと落ち着かないような状態に陥ってしまった。

 もしこの場に楓がいたら、いたたまれなくなって逃げ出していただろう。

 

「男らしい啖呵ね! あたしの勘も捨てたものじゃないわ」 

 

 対する早苗はと言えば、やたらニコニコとしていて誇らしげである。

 

「でもそうやって素直に言ってくれるなら、あたしとしてもアドバイスがしやすいし、力になってあげられるかもしれないわ」

「……アドバイス?」

「恋のキューピットってところかしら」 

「言ってる意味はよくわかりませんけど、相談に乗ってくれるってことですか?」

「そうよ。ねえ瑞樹ちゃん?」 

 

 心が痛くなるくらい誰かを好きになった経験がなかった彼としては、ここからどうしたら先に進めるのかわからずに、半ば途方に暮れていたところだ。楓にプレゼント一つあげるのにも、随分と悩んだし、苦労した。だから相談相手ができるというなら、是非なって欲しいところではある。

  

「そうね。プロデューサー君が楓ちゃんを好きだっていうなら、身近にいる私たちに協力できることはあると思うのよ。そういう意味でも相談相手としてうってつけだと思うわ」

「でもねぇ、本当にプロデューサー君が楓ちゃんのことを好きなのか、いまいち確証が得られないのも事実なの」

「……確証、ですか?」

「中途半端な状態で協力しても、楓ちゃんの迷惑になるかもしれないじゃない? だから証が欲しいのよ」

「……証」

「そう、証。でも気持ちをかたちにしろってのは無理じゃない? だから試しに愛を叫んでみてくれないかしら」

「…………………は?」

 

 相当に呆けた表情を晒していたように綾霧は思う。それくらい妙な方向へ話が進んでいると感じていた。

 

「ほら、飲んでるとよく大学生とかがはしゃいでる光景見るでしょ? あんな感じで好きだーって叫んでくれればいいのよ。中途半端な気持ちじゃ絶対にできないからね、そういうこと」

「……」

「ワンフレーズだけだし、ここなら迷惑になるってこともないわよね。そういうのは嫌?」

「嫌とかじゃないですけど……」

 

 早苗が求めていることは理解できる。要は大声で楓への愛を叫べということなのだろう。それくらいの気概がないと協力はできないと。

 

「…………」

 

 綾霧はテーブルに視線を落として、どうするべきかを考え始めた。思わず吐露してしまった動揺もあるので、すぐに明瞭な答えが出る状態ではないのだが、少し間が欲しかったのだ。

 彼は先ほど運ばれてきてからまだ手をつけていなかったグラスに手を伸ばすと、それを持ち上げたまま席から立ち上がる。

 

「い、いいですよ。やってやろうじゃないですか。その代わり、聞き終えたらちゃんと協力してくださいね」

 

 もう毒を喰らわば皿までと、綾霧がすうっと大きく息を吸い込んだ。

 そして――

 

『――――俺は高垣楓が大好きだああああああああっっっ!!!』

 

 綾霧の魂の叫び声があたりに響き渡る。その行為を受けて、一瞬だけあたりがざわついたが、その後なにも続かないのを見て、それぞれの宴会へと戻っていく。

 

「どう……ですか。これで文句ありませんよね?」 

 

 肩で息をするほど疲れていたが、案外と気分は悪くない。誰かを好きだと口にするのは、本来心地良いものなのだ。

 ただこれができた背景には、この場が居酒屋で多少騒いでも迷惑にならないという理由と、酔った勢いもあったのだろう。けれど一番の理由は、楓を好きだという気持ちを疑われたままでは終われないという強い思いがあったためだ。

 どうせ喧騒に掻き消されてしまう叫びである。覚えているのは目の前にいる早苗と瑞樹だけだ。

 綾霧は手にしていたグラスの中身を一気に煽って心のざわめきを落ち着かせてから、改めて席に着いた。

 しかし――

 

「……って、さっきからなにをしてるんですか、片桐さん?」

 

 綾霧が不審に思ったのは、早苗がこちらを揶揄するでもなく、ただ両手を合わせながら片目を瞑って、舌をペロっと突き出している仕草にに対してだ。

 いわゆるてへぺろのポーズ。可愛いがそれをされる理由が思いつかない。

 

「えと……」

「本当、煽るようなこと言っちゃってごめんね、プロデューサー君」 

「俺は別に気にして……」 

「あのね――う・し・ろっ」

「……後ろ?」

 

 早苗が自身の背後をやたらと指差すので、綾霧は怪訝に思いながらも振り返ってみる。

 

「…………え?」

 

 その光景を見た時、彼は本当に心臓が止まるかと思うほどの衝撃を受けた。酔いなど一瞬で吹っ飛んでしまったし、身体は氷のように固まってしまっている。

 それも当たり前だ。

 だって、この場にいるはずのない人間が、そこに立っていたのだから。

 

「か、かか……」

 

 やっとの思いで絞りだした声は、自分でも驚くほど震えていた。 

 

「楓さん……?」

「はい、楓です」

「じゃなくて、いつからそこに……?」

「えっと、わりの最初のほうから?」

「……さ、最初って……?」

「皆さんが居酒屋に入ってからすぐに私も入ったんです。ですから、最初から……」

「は……はは……」

 

 もはや渇いた笑いしか喉から出てこない。だって当初から彼女がこの場にいたというのなら、全部聞かれてしまったということになってしまう。

 実は楓は三人がいる席の近くに陣取っていて、頃合をみてここまで歩いてきたのだ。ちょうど綾霧たちからは死角になる場所だったため今まで気付けなかったのだ。

 要は始めから彼女に筒抜けだったということ。

 

「……」

「……」

 

 まるで始めてのお見合いのように、相手を見つめたまま無言を通す綾霧と楓。お互いまずどう声をかけるべきなのか、悩んでいるのだろう。

 そんな二人を尻目に、早苗がすっくと席を立った。 

 

「それじゃあ、後は若い二人に任せてあたしたちは退散するとしましょうか。行きましょう、瑞樹ちゃん」

「ちょっと、私だってまだ若いんだから。その物言いには苦言を――」

「もう。そこに食い下がってどうするのよ。方便よ、方便。文句は後で幾らでも聞いたげるから。――あ、お勘定は払っておくからね」

 

 立ち尽くす二人にそう告げてから、早苗が伝票を手に取った。そしてまだなにか言いたげな瑞樹を引っ張るようにして、出口へと向かって行く。

 

「あの、私たちも出ましょうか、プロデューサー」

「…………はい」

 

 そして、二人に少し遅れるようにして綾霧と楓も並んで店を出た。

 

 

    


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