バカテスト風 テスト問題
歴史・外史
担当教師:冥琳
以下の英語を翻訳し、そのセリフを言った偉人の名前を書いてください。
『Letting everyone down would be my greatest unhappiness.』
セシリア・オルコットの答え
翻訳
『皆を悲しませることになれば 私の最大の悲しみとなる』
偉人
『マリー・アントワネット』
教師のコメント
正解だ。マリー・アントワネットはフランスでも有名な人物で、『パンが無ければケーキを食べればいい』という名言で有名だな。近い国の偉人だからか、よく知っていたな。
織斑一夏の答え
翻訳
『日本語でOK?』
教師のコメント
NOだ!
ラウラ・ボーデヴィッヒの答え
翻訳
『Es wird mein größtes Leid sein, wenn es alle traurig macht』
偉人
『Marie Antoinette』
教師のコメント
・・・日本語でとは言ってなかったからな。今回は正解にしよう。
キラ・ヤマトの答え
翻訳
『皆を悲しませることになれば私の最大の悲しみとなる。
でもそれは皆も同じであり、貴方が死んでしまえばそれは自分にとって最大の悲しみになってしまいます。貴方は平和の為に自分の死を受け入れられますが、自分はそんなことで生まれる平和なんて見たくありません』
偉人
『何かあると多くの人にキスをしたり、夜になると自分と一緒に寝ようとしたり、なんの抵抗もなく18禁売り場に入ったり、ロベリアさんに人質に取られてるのにすごく楽しそうにしたりと色々天然だけど誰よりも平和を愛しているマリー・アントワネットさん』
教師のコメント
長い!
言いたいことは解るが長い!というよりもほとんど自分の感想だろ!一応正解ではあるがあまりこういうことはやめろ!
まったく、本人に会ってるから尚たちが悪い!
第33話:生徒会長はどこか可笑しい(自分たちもそうだけど)
――数日前――
♪~
「ん?電話?」
ピッ!
「はいもしもし?」
『久しぶりね、ヤマト君?』
「その声・・・まさか『ラムちゃん』!?」
『あらダーリン久しぶりだっちゃ♪って何言わせるのよ?!』
「あっ、すみません『スコール』さん。それとお久しぶりです」
『えぇ』
「久しぶりですけど・・・どうして急に?それにどうして僕の番号を?」
『貴方神崎財閥のパーティーにいたでしょ?私もドイツの『プレイボーイ』な『元帥』さん経由で招待されたのよ』
「プレイボーイな元帥さん・・・それって声だけで強く感じるあの?」
『そっ。あの声だけでラスボス感満載で、『ドイツ軍の若き双璧』って言われてるプレイボーイな元帥さんよ。因みに番号の件はキングジョージV級の怖いお姉さんからよ』
「なるほど・・・(デュークさん・・・)」
『あの時は驚いたわ。雪蓮たちとメイドさんだけじゃなくて、まさかイギリスと中国の代表候補生、そして神崎すみれと護衛の忍者さんと一緒にいたんですもの』
「いろいろあって知り合ったんですよ。鈴は友達ですけど、セシリアと雪泉さんは・・・」///
『あら?それじゃあ私と『オータム』と『レイン』との『ひと時』は遊びだったのかしら?』
「そ、そんな訳ないじゃないですか!?あの時スコールさん達がいなかったら、本当にどうなってたか分からないし。それに・・・」
『それに?』
「・・・スコールさん達には、本当に感謝してます。あの時は本当に怖くて、壊れそうだったから・・・スコールさん達は『遊び』のつもりかもしれないけど、僕にとっては本当にうれしかったですから」
『・・・そう』
「そういえば、なにか用事があったんですか?」
『まあ用事と言えば用事かしらね?』
「?」
『貴方、レインがIS学園にいるのは知ってるかしら?』
「な、なんだってー!」
『・・・一人しかいないのにM〇Rのマネしても意味ないでしょ?というよりも知らなかったの?』
「知らなかったです」
『なら好都合ね?今レインは偽名を使って、IS学園にいるのよ。せっかくIS学園にいるんだから、今度会って欲しいのよ』
「僕は別に良いですけど、どうして?」
『あの子もまた会いたいって言ってたわ。できる限りで良いから、あの子にも会ってみなさい』
「はい・・・その偽名は?」
『『ダリル・ケイシー』よ。『リーガン』大統領の計らいで、アメリカの代表候補生として送られてたのよ』
「リーガンさんの?それいつからですか?」
『2年前からよ』
「なんのためにですか?」
『勿論潜入調査よ』
「・・・何処に対しての?」
『貴方を『化け物』だの『この世に存在してはいけない屑』だのほざいてる、無能で下衆な連中達に対してよ』
「・・・ていうことは、IS学園にいつか仕掛けるんですか?」
『えぇ』
「そうですか・・・・・・」
『・・・ごめんなさいね。貴方も平和に暮らしたいんでしょうけど、『こちら側』に生きる人間として、ISを扱うということがどれほど危険なのか、学園にいる子達には判らせないといけないのよ』
「でも・・・」
『・・・まあ、私達がする前にあのバカ達がやらかしたらしいけどね』
「っ・・・!?」
『レインから聞いたわ。IS学園に巨大な化け物が現れて、大勢の生徒を食い殺したって』
「・・・はあ・・・っはあ・・・っはあ・・・」
『(余程精神に来るものがあったのね・・・)・・・それもあって私達はしばらく動くつもりはないわ。本当なら学園祭に動くつもりだったのだけど、それも中止になったしね』
「そ・・・そうなんですか?」
『とはいえ、私とオータムは来るつもりだからその時はよろしくね』
「は、はい」
『とありあえず用事は、調査しているレインに会ってほしいってことだけだから、そろそろ切るわね?』
「はい・・・・・あの」
『何かしら?』
「その・・・ありがとうございます。電話して来てくれて・・・」
『・・・私が勝手にしただけよ?』
「それでも、知ってる人から電話が来るのは、うれしいですから」
『・・・そう』
「それじゃあ・・・また」
『えぇ、またね』
ピッ
「キラさん、誰かと電話していたのですか?」
「セシリア?うん、知り合いからだよ。親戚がIS学園にいるから会って欲しいって言ってた」
「その知り合いとは?」
「ダリル・ケイシーさんだって」
「・・・キラさんって、本当に何者なのですか?」
「ただの人間だよ?」
「・・・そうですわね」
「ふぅ・・・・・・・・・『遊び』・・・ね?」
『それでも、生きていて欲しいんです!スコールさんのこと、知ってしまったから!!』
「遊びなもんですか・・・私も・・・レインも・・・オータムも・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
IS学園1-1組
「なんか久しぶりな感じだね?」
「そうですわね。なんと言いますか、数十日のハズですのに何故か数年経っている感じが致しますわ」
「右に同じでございます」
誰よりも早く、教室にやってきたキラ達。昨日の夕方あたりにIS学園に戻り、通りかかった人と挨拶した後千冬達にGWでなにがあったか話した。その際束が研究所で働いていることを聞いて、千冬はあり得ないというような顔になっていたのは記憶に新しい。
「それもそうですが、本当にキラさんのお知り合いはすごい方が多かったですわ」
「そのほとんどが女性というのも、いささか異常性があるのですが?」
「そう?男の知り合いもいるんだけど・・・」
「そちらの方が少ないですわ・・・」
何度も言われているが、いつか後ろから刺されるんじゃないかと彼女たちは心配している。聞いてる限りではそんなことをする人はいないし、キラ自身自覚しているので大丈夫だとは思うが・・・。
そこでキラはふと、セシリアに顔を向けながらあることを考えた。
「・・・・・・そういえば、セシリアに聞きたいことがあるんだけど」
「なんですの?」
「イギリスの代表候補生ってさ、セシリア以外には誰がいるの?」
「私以外ですの?」
「・・・確かに気になりは致しますね?」
キラが考えていたことをセシリアに話すと、雪泉もまた同意しだしてセシリアに顔を向ける。
「それでしたら、『サラ・ウェルキン』さんがおられますわ」
「サラ・ウェルキンさん?どんな人なの?」
「私の一つ年上の方でして、2年におられる先輩ですわ。何かと心配してくださる方でして、キラさんと決闘する時にも『自分の立場を考えなさい』と注意してくれましたわ」
「いい先輩だね?」
「えぇ・・・ただ、サラさんは専用機を持っておられない方ですので、その時の私はつい『専用機のない方が言っても、説得力等ありませんわ!』と言ってしまいましたわ」
「あぁ・・・」
「それに後から聞いた話ですと、あの決闘の後私が第二世代機に負けたということで、そのことに関しての責任が先輩であるサラさんに請け負ってしまったらしく・・・」
「それっきり話してないと?」
「・・・・・・はい」
だんだんと声が小さくなっていき、最終的には縮こまってしまったセシリア。
「これはもう、セシリアが悪いね」
「そうですね・・・」
「うぅ・・・」
更にキラと雪泉からも言われ、とうとうセシリアのライフは0になった。しかしこのまま放置するのもかわいそうだし、なによりお互いそのままなのも嫌なのでフォローにはいる。
「・・・とりあえずそのままって言うのもあれだから、謝りにいけば?僕たちも一緒にいるから」
「よろしいので?」
「私もかまいません」
「・・・ありがとうございます」
正直セシリアも謝りたかったのだが、どう謝ればわからなかったので二人が来てくれるのは本当にありがたかった。
そんなことをしていると、
ガラガラ
教室の扉が開き、廊下から袖の丈が長い制服を着た少女が入ってきた。
「あ~、ヤマピー、セッシー、ユーミンおはよう~」
「のほほんさんおはよう」
「おはようございますわ」
「おはようございます」
「GWはどうだった~?」
「うん、充実してたよ」
「それはもう」
「充実しておりました」
キラは楽しそうに、セシリアと雪泉は明後日の方向に顔を向けながら充実したと答える。
「そういえば、僕たちがいない間なにかあった?」
「いろいろあったよ~。生徒は減るし~、おりむ~がしょげるし~、新しい先生と転校生が来るらしいし~」
「新しい先生と転校生?」
「うん~、しかも転校生は二人だって~」
「なるほど、それで先生の方は?」
「なんでも~保険の先生が入れ替わりで来るんだって~?しかも看護婦さんも一緒に~」
「へぇーそうなんだ」
「ですがどうして看護婦まで?」
「また怪我人がいっぱいでるかもしれないからって、お姉ちゃんたちが言ってた~」
「お姉ちゃん?」
「私とお姉ちゃん、生徒会に入ってるんだよ~」
と本音は手をぶらぶらと上下に振りながら楽しそうに喋る。
「あぁ、だから『強そうな雰囲気』が出てたんだ」
「え?」
キラから漏れた言葉に、セシリアは目を丸くしてしまった。
強そうな雰囲気?彼女から?
「私も思っておりました。布仏さん、不思議な雰囲気をだしておりますが、佇まいはどこか強者らしきものを感じられます」
「私には、そのような感じがいたしませんが?」
「セシリア、武術とか暗殺術とか使ってる人はね?自分の強さとか雰囲気とか殺気とかを、他人に気づかれないように隠すことができるんだよ?」
「逆に、その人の強さや殺気等を読み取ることもできます」
「な・・・なるほど」
強い知り合いが多いキラと、忍者として鍛えられた雪泉、説得力は充分でセシリアも納得した。
「えへへ~褒めてくれてありがとう~♪」
「のほほんさんって、どこかの家の出なの?」
「私とお姉ちゃんの家はね~?今の生徒会長の家に仕えるところなんだよ~」
「今の生徒会長・・・?」
「それは『更識家』の『楯無様』のことでしょうか?」
「ユーミン正解~」
「知ってるの?」
「えぇ。更識家は裏工作を実行しようとする暗部を滅する、対暗部用暗部の一族でございます。そして楯無という名前は、更識家の当主に襲名される名前でございます」
「ある種のコードネームということですの?」
「そうだよ~。ユーミンは物知りだね~?」
「いえ、訳ありで少し調べさせて貰いました」
と表面上はのほほんとしているが内心は少し警戒している本音に、警戒されていることを知った上で雪泉は本音の問いにはぐらかす形で答えた。
「そんな人がIS学園の生徒会長なんだ」
「しかもね?お穣様は『学園最強』って言われる程の強さを持ってるんだ~」
「それはとても凄いですわね(とはいえ、キラさんのお知り合いの方が恐ろしいのですが・・・)」
「一体どんな人なんだろうね?」
「会ってみたい~?」
「それはまぁ、会ってみたいかな?」
「あら?それじゃあ会わせてあげるわ♪」
「「「え?」」」
突然廊下の方から聞いたことのない女性の声が聞こえ、キラは声がした方向に顔を向ける。そこにいたのは、水色の髪をして赤い瞳をしたどこか大人びた少女が、扇子で口を隠しながら立っていた。
(あら?この方・・・)
(キラさんのアルバムで見た方と同じですわ)
(・・・星さん・・・じゃないか)
彼女を見た三人は、先日アルバムの中に居た似たような髪と瞳の女性を連装したが、あの人とは違うと瞬時に理解できた。
「初めましてね、キラ・ヤマト君?」
「あっ、どうも」
「それと、セシリア・オルコットちゃんに、雪泉さんだったかしら?」
「「初めまして」」
「貴方が更識楯無さんですか?」
「えぇそうよ♬」
楯無は扇子を広げて楽しそうに挨拶をする。扇子には『参上!』と書いてある。
「どうして此処に?」
「折角だから、二人目の男性IS操縦者君の顔を見たいと思ってたの♬」
「一夏じゃないんですか?」
「確かに彼も気になるけど、今はあなたの方が面白そうなのよ♬」
そう言って扇子をまた広げると、今度は『興味深々』と書いていた。
「・・・楯無さんは、僕のことを何処まで知ってますか?」
キラからそんな質問をしていると、先ほどとは打って変わって真剣な表情になった。
「・・・無能な連中は『この世に存在してはいけない化け物』、大高様からは『平和を大切にする優しい少年』って聞かされたわ」
「・・・そうですか」
「・・・ねえヤマト君、貴方自身は自分の生まれの事は?」
「自覚してます。もちろん、それによる罪も理解しているつもりです・・・」
「そう・・・強いのね、ヤマト君って」
「・・・強くなんてありませんよ」
楯無がキラを強いと称すが、彼自身は自分はそんなことはないと称する。
「・・・『この宇宙に、命より重い物は存在しない』」
「「?」」
「僕の数少ない友達が、よく言ってた言葉です」
「その言葉・・・もしやウィナーさんのですか?」
目の前の少年が発した言葉は、自分も何度か聞いたことがあった。それは、キラと同じ位優しい少年がよく言ってた言葉である。セシリアが尋ねれば、彼は首を縦に振る。
「うん・・・色々なことがあって、自殺しようとした時にもよくその言葉を思い出して、思いとどまったんだ」
「じ、自殺?」
「・・・ヤマピー、それ本当?」
「えぇ、本当よ」
キラの口から自殺という単語が出てきたことにさすがの楯無と本音も少し驚き、本音がキラにそれは本当かと質問する。するとその返答は、廊下の方から帰ってきた。
「雪蓮先生?」
全員がまたもや廊下の方に顔を向けると、今度は雪蓮が廊下からやってきた。なぜ教師である彼女がこんなに早く教室に来たのかは不明だが。
「こうやって会うのは初めてかしらね楯無?」
「そうですね、雪蓮先生・・・いえ、『孫策』先生」
楯無が彼女のもう一つの名前を言った瞬間、彼女の表情がガラリと変わり空気が重くなった。
「・・・その名前を知ってるってことは、高野達から聞いたのかしら?」
「はい。とは言っても、貴方のもう一つの名前だけですけど」
少し警戒している雪蓮に楯無は冷や汗をかきながらそう返答する。警戒している雪蓮から発せられる威圧には流石の彼女もたじろいでしまう。
「そう・・・あっ、因みにキラを殺そうなんてことは考えない方がいいわよ?そんなことをすれば私達含めた『この子を愛してる者達』が、貴方と『貴方の大切な者』と無能な連中を髪の毛一本も残さずこの世から消し去るから」
「・・・肝に銘じておきます」
更に増大した威圧と一つ一つに込められた言葉に、楯無はそう言う事しかできなかった。かつて小覇王と呼ばれていただけはあり、彼女の言葉もその威圧も本物であることが解る。
「・・・まあもし貴方の妹が人質に取られて、仕方なくって言うなら助けてやっても良いけどね」
「「!?」」
「妹?」
「更識さんには、妹さんがおられるのですか?」
「・・・えぇ、『更識簪』ちゃん。私の大切な妹よ」
「私の幼馴染でもあるんだよ~」
「なるほど」
楯無と本音の説明にキラ達も納得した。
「・・・話を戻しましょうか。キラが自殺しようとしたことは本当よ」
「ど、どうしてですの?」
「・・・ヘブンズウイルス」
「「!?」」
「それだけで、なんとなく察しはつくでしょ?」
雪蓮から発せられた単語に、セシリアと雪泉は一瞬で理解した。
「ヘブンズウイルス・・・大高様から聞いてはいましたけど、本当にヤマト君に?」
「本当ですわ。私も雪泉さんも現に見ましたから」
「そう・・・って、え?それじゃあ・・・」
「はい。キラさんに抱かれましたわ」
「私も」
「・・・ヤマピー」
「聞かないでくれ・・・。自分自身理解してるつもりだから」///
セシリア達の反応を見て本音はキラに言おうとしたが、キラは顔を赤くしながら顔を逸らす。
「あのぉヤマト君?さすがに此処は学園だから、あまり不純異性交遊はちょっと・・・」
「・・・はい」
「それに、オルコットちゃんはイギリス代表候補生だから、そういうことをやりすぎると・・・」
「それも理解してるつもりなんですけど・・・」
「無理なのよ。あのウイルス発作が起きると、〇ックスかレイ〇しない限り収まることはないのよ」
「それは知っていますが、一応薬はあるんじゃないんですか?それに我慢すれば良いのでは?」
「あるけどそれはあくまで少しだけ抑える程度、完璧には無理よ」
「それじゃ~やっぱり我慢ですか~?」
「それもダメなのよ」
「なぜですか!?」
本音が我慢すれば良いのではと雪蓮に問うが、彼女はそれも無理と即答する。それには少し楯無もイラついてしまったらしく、思わず叫んでしまった。そんな楯無に雪蓮はこう答えた。
「あのウイルス、長時間我慢してると吐血と激しい激痛が襲うのよ」
『えっ!?』
雪蓮から放たれた回答は、楯無と本音だけでなくセシリアと雪泉も驚いた。
「それはもう酷かったわ。ベッドや周りが血で濡れてたし、本人は胸を押さえながら苦しんでたし」
「そんなこと、一言も聞いておりませんわ!?」
「まあ近くにいたから大丈夫だと思ってたし、いつかは言おうとしてたけどね」
「・・・」
「私達だってああなるとは思いもしなかったわ。冥琳なんて珍しく慌ててたし」
「そうなのですか?」
「そんで病院に行ったら入院になってね?主治医である江美子もすごく驚いてたわ」
その時のことをかみしめるように雪蓮は当時のことを語る。
「それから数日たって、なんとか発作は薬で抑えたんだけど・・・」
「またこんなことが起きるのが嫌になって、自殺しようとしたんだ」
今まで黙っていたキラが、雪蓮の話を続けるように自らが起こしたことを話す。
「・・・・・・なんとなく想像ができますわ」
「キラさんの性格上、大切な人を犯したくはないですし、かと言って我慢をすれば激痛が襲ってくる・・・」
「・・・まさに地獄ね」
「ヤマピーかわいそう」
キラと雪蓮の話を聞いて察したセシリアと雪泉と、想像しただけでも痛々しく感じてしまう楯無と本音。
「それで、僕が自殺しようとしたとき、カトル君達よりも先に入ってきた江美子先生が止めたんだ」
「聞いた話によると、その二日前当たりに発作起こして彼女を襲っちゃったらしくてね・・・」
「・・・それなのに、ヤマピーを止めたんだね?」
少し真面目に話す本音の問いにキラは静かに頷く。
「まあ本人も優しいからね(もっと言えばキラのあれに興奮したみたいだけど)」
雪蓮は半分真面目に、半分本音を隠しながら「呼んだ~?」呼んでない!
「そんでみんなでキラを説得したのよ。そしたらキラ『僕の所為で、沢山の人が傷ついてそれで迷惑かけて・・・僕は・・・僕は・・・もう嫌だよ・・・』て泣き出したのよ」
「そこまで追い詰められてたのね?」
「・・・はい」
キラも当時のことを思い出し、悲しい表情になる。
「そんな時だったかしら?カトルが言ったのよ。『この宇宙で命より重いものなんて存在しない。だからその命を簡単に奪ってはダメなんだ。例えそれが、自分の命であろうと』って」
「・・・あの方でしたら、言いそうですわね」
「それでカトル君に続くように、レンさんと貴音さんも『辛いことがあるならば、自分たちも力になる』って、江美子先生も『患者が苦しんでいるならば、それを助けるのが医者よ』って言ってくれたんだ」
「それ以来キラは、自殺するまでに追い詰められた時には、カトルの言葉を思い出してなんとか思い踏みとどまって、ちょくちょく私達を頼ってるのよ」
「はい、だから・・・僕は強くなんてありません。皆がいたから、此処まで生きることが出来たんです」
「まっ、最近またなんか一人で背負ってるらしいけどね?」
「うっ・・・」
雪蓮に図星を突かれて、何も言うことができないキラ。
「ふーん・・・ヤマト君って、思ってた以上に面白い子ね?」
「え?」
「気に入ったわ。お姉さんにできることがあれば、なんでも言ってちょうだい♪」
と楯無は扇子を広げながらなんでも言ってほしいと告げた。ちなみに扇子には『歓迎』の文字が。そんな問いにキラはこう答えた。
「じゃあワ〇ルドスピードシリーズのDVDを・・・」
「なんでもってそういう意味じゃないからね!?」
「というよりも、キラさんってあのような映画も見るのですか?」
「とてもそのような感じではないのですが?」
「だよね~?」
「僕だって男だからね。ああいうのに憧れたりするんだよ?」
(私から見ればあなたも充分ワイルドだけどね?)
いきなりシリアスだった空気を壊すキラに、女性陣はあきれてしまった。
「・・・あっ。そろそろ皆が来る頃だし、私もそろそろ行くわね?」
「はい・・・あっそうだ、一つ聞いて良いですか?」
「何かしら?」
「実は少し前に知人から、ダリル・ケイシーに会ってくれって言われたんですけど」
「彼女に?」
「はい」
キラが知人からダリルに会って欲しいということを楯無に伝えると、彼女はキラのことを少し警戒し始める。ダリルのことは彼女も何度か会ってるし、彼女が『亡国企業』の人間という疑いもある。もしかしたらキラも、亡国企業の人間かもしれないと思ったのだ。そんなことを考えていると、雪蓮が彼女に近づき耳元で言い放つ。
「・・・あの組織とキラは関係ないわよ?」
「っ!?」
まるで心でも読んだかのように、雪蓮は楯無にキラは亡国とは関係ないと言い放った。
「ただ、無能どもと彼女たちの戦いに巻き込まれただけ。そこで知り合っただけなの」
「ならなおさら怪しいですよ!」
「じゃあ貴方も一緒に行きなさいな。本人たちも言うわよ?」
「・・・本当ですか?」
「えぇ」
「あの・・・?」
「えっ!え、えぇ。彼女に会いたいっていうのは解ったわ。それで?」
「ダリルさんがどこのクラスにいるのかわからないので、教えてくれませんか?」
「ああそういうことね?良いわよ。なんなら私が案内しようかしら?」
「いいんですか?」
「えぇ・・・おっと、それじゃあ私はこれでね?」
「あるがとナス!」
教室から出る楯無にキラは少し早口でお礼を述べる。それを聞いた楯無は「またね♪」と言って去っていった。
「ヤマピーってホモ?」
「え?」///
「違うますわ・・・」
「そ、そうですか・・・」
「キラさんは雑食系らしいですわ」
「「えっ!?」」///
それから数分後、一組に生徒が集まってきたのだった。
次回こそ二人の転校生が来るかな?