みなさん大変お待たせしました。
30話あげました。
最近コナンとかeveとかに興味を持ち始めて、でも早くこちらとあちらを何とかしないとと思い書いています。
それではどうぞ。
―翌日 帝国ホテル前―
「うぅ、緊張して来た」
「大丈夫でございますか、キラ様?」
「高野さんや中川さんはプライベートの方で慣れてるけど、初めて会う人はやっぱり緊張するよ」
翌日の夕方、帝国ホテルの前にてキラ達は待っていた。メンバーはキラを筆頭に、メイドの真那と護衛の雪泉、セシリアと雪蓮と鈴だ。冥琳は知り合いと共に紺碧会の研究所に向かったのだ。
「ど、どうしよう。私もなんか緊張してきた!」
「大丈夫ですわお二人共。少し厳しいですが、お優しい方ですわ」
「セシリアが言うんだったら大丈夫よ二人共。私自身の勘もそう言ってるわ」
「・・・二人が言うんだったら」
「ちょっと肩の荷が軽くなったわ」
人一倍相手の性格に敏感なセシリアと、勘が鋭くよく当たる雪蓮が大丈夫と言ったので、キラと鈴はホッと胸を撫で下ろす。
「・・・思ったんだけどさ、キラってセシリアや雪蓮先生以外でお穣様とかお坊ちゃまに会ったことあるの?」
「え?・・・う~ん紺碧会の人達や中川さん以外で言えば、中間棲姫さんとかかな?」
「前に香取さんが言ってた、深海棲艦って人?」
「うん」
「そういえば、あの方深海ではかなりの金持ちとおっしゃっておりましたわね」
「あとは・・・『ディアボロス』さんかな?」
「「「ディアボロス?」」」
初めて聞いた名前に、セシリアと鈴、そして雪泉は同時に首を傾げる。
「僕が11歳の時、ギリシャで出会った幻獣さんなんだ」
「幻獣ですの?そういえば、ディアボロスは悪魔の意味でしたわ・・・」
「幻獣のことは高野さんから聞いていましたが、まさかそのようなお方たちにもお会いになっていたのですね?」
「そもそも幻獣のことを知ったのもその時でしたからね」
「高野防衛大臣も大高総理も同席しておりました」
「なるほど」
「ちなみに見た目は鈴様と同じ位の背で、名前の通り悪魔の翼が生えております。幻獣ということもありかなりの年月を生きておいででした」
「他にもメイドに、『アモン』さんと『サタナキア』さんっていう悪魔もいるんだ。ディアボロスさんもメイドさん達も、お互い大切な存在で仲が良いんだよ」
「素晴しい主従関係ですね」
「アモンとサタナキア・・・どちらもグリモワールに出てくる悪魔ですわね?」
「よく知ってるわね?」
「暇な時には、色んな国の神話を調べていますの」
「っていうかあんたどんな交友関係持ってんのよ?普通は悪魔とか幻獣とかそんな架空の存在と出会えるわけないわよ?」
「因みに出会うどころか、攫われたメイド二人をディアと助けたりして3人から――」
「もう良いですわ・・・」
そこまで言ってなんとなく予想がついた3人。
「キラ・・・いつか絶対後から刺されるわよ?」
「うん・・・自覚はしてる。勿論死にたくないけど、地獄に堕ちる覚悟は出来てるよ」
(まあ皆そんなことをする気はゼロなんだけどね)
キラは覚悟は出来ていると言ったが、キラを愛する者達は皆キラを殺す気はさらさらないのだ。
「皆様、そろそろお時間でございます」
真那から時間だと言われ、セシリアが先導する形で全員ホテルの中に入る。
その姿を、一人の女性が眺めているとは知らずに・・・・・・。
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――帝国ホテル 孔雀の間――
『それでは、神崎重工設立150周年記念パーティーを始めたいと思います』
『乾杯!』
『乾杯!』
主催者である社長の挨拶が終わり、パーティーが始まった。周りにはあらゆる企業の代表が挨拶をしたり乾杯したりしている。そんな中、セシリア達に近づく者がいた。
「お久しぶりですわね、セシリアさん」
「『すみれ』さん。お久しぶりですわ」
すみれと呼ばれた人物はセシリアと挨拶をすると、後にいる雪蓮達の顔を見る。
「こちらの方が、セシリアさんの言っていた方々ですの?」
「そうですわ。皆様、こちら今回のパーティーに招待させて下さった・・・」
「『神崎すみれ』ですわ、以後お見知りおきを」
「はじめまして、私は雪蓮よ。IS学園で教師をやってるわ」
「凰鈴音です!中国代表候補生です!」
「雪泉です。キラさんを護衛する為にIS学園に転入いたしました」
「よろしくお願いしますわ」
セシリア以外の面々は、自己紹介をしたあと握手をする。見た目はセシリアの様なお穣様のハズなのに、どこか大人の様な雰囲気を漂わせる彼女に、鈴と雪泉は少し疑問符を浮かべた。自己紹介をした後すみれは誰かを探すように辺りを見回した。
「ところで、セシリアさんが言っていたキラ・ヤマトさんは?」
「あら?先ほどまでおりましたのに?」
「一体どちらに?」
先ほどまで一緒に居たはずのキラは、突然消えてしまった。真那もいないのでキラと一緒にいるのだろうと一先ず安心はするが、なにかあったのだろうかと鈴と雪泉も辺りを探す。
「あ~大丈夫よ。二人ならあそこだと思うし」
「え?雪蓮さんわかるんですか?」
「付き合い長いから♪」
と言いながら雪蓮はキラがいるであろう場所に向けて足を動かす。そんな彼女にすみれ達も付いて行く。周りにいる有名な企業の偉い人達を避けながら歩いていくと、着いたのはデザートバイキングのコーナーだった。ここまで来ると、彼の好きなものを知ってる者達は『あぁ・・・』と察した。そしてデザートバイキングのコーナーを少し探せば、すぐに見つかった。
「もっきゅもっきゅ・・・・・・」
「キラ様、クリームがホッペに付いてますよ?」
「ありがとう真那さん♪」
可愛らしい顔で幸せそうに食べる少年が。
「・・・あれがキラ・ヤマトさんですの?」
「えぇそうよ」
「・・・そのお隣にいらっしゃるのは?」
「月詠真那さんですわ」
「真那さんって・・・あの『月光閃舞』の?」
「今はあの方のメイドになられています」
「そうですの」
想像していたのとは違ったのか、すみれは目の前で今も尚幸せそうに食べているキラを見て、少しあきれ果てていた。
「キラァ?」
「ふぅぇ?ふぇへんはん(雪蓮さん)?」
「キラ様、ちゃんと飲み込んでからおしゃべり下さいまし」
「ふぁい」
ごっくん
「皆どうしたの?」
「貴方を探してたのよ」
「そうなんですか、すみません勝手に居なくなって」
キラが口の中にあった物を一気に飲み込み、雪蓮達に向かって謝罪する。するとすみれがキラと真那の前に立ち、彼らに自己紹介をする。
「はじめまして。貴方方がキラ・ヤマトさんと月詠真那さんですわね?」
「はい」
「左様で」
「私は神崎すみれと申しますわ。あなた方のことは、セシリアさんから聞いておりましたの。会えて光栄ですわ」
「ど、どうも」///
会えて光栄だと言われたのが嬉しかったのか、キラは恥ずかしがりながらも彼女と握手をする。そんなキラが可笑しかったのか目の前にいるすみれと、隣にいる真那も、すみれの後にいる雪蓮達も笑ってしまう。
「(ちょっとシャイなのですね?)セシリアさんから聞きましたが、ヤマトさんはIS学園におられるらしいですわね?」
「キラで良いですよ。まあ色々事故みたいな感じで入学しちゃいました」
「・・・そんな軽いノリで大丈夫なんですの?」
「正直言って凄い辛いです」
『でしょうね!?』
すみれの問いにキラは即答するが、すみれ以外からツッコミが放たれた。それはそうだ。外にいようが中にいようが、キラは女性権利団体から狙われているのだから。
「・・・本当に大丈夫ですの?」
「辛いのは確かですけど、雪蓮さんやセシリア達がいるから、今もなんとか過ごせますよ」
「キラって色々できる癖に変なところで鈍いのよ。おかげで誘拐されるは刺されるは撃たれるはで大変よ」
「キラさんって私が思っている以上に危険にさらされておられるのですね?」
「えぇ、一夏様は千冬様と束様という後ろ盾がおりますが、キラ様の場合は裏はともかく表にはないも同然でございます」
「そのために私と真那さんが近くにおりますし、織斑先生も守ってくれています」
「私も政府の人間だから何とか抑えているんだけど、それでもキラを殺そうとする奴がいるのよね(まあでかい組織はお母様が壊滅させたけど・・・)」
「・・・・・・」
自分が思っている以上に目の前の少年は、よほど過酷な場所で戦っていた。おそらくそれは『自分が見てきた世界』とはまた違うであろう。すみれはそう思いながらもある提案をキラに言う。
「・・・それでしたらキラさん。神崎重工のテストパイロットになってみませんか?」
『え?!』
その提案には、周りに居た者達にも聞こえていたのか全員がありえないと言うような表情だった。
「えっと・・・どういうことですか?」
「言った通りですわ。丁度神崎重工もIS業界に進出しようと思っていたところですわ。そこに男性IS操縦者ともなれば、それなりに評判は高まりますわ。大高さん達とも親交はありますし、貴方にとっても悪い話ではないと思いますの」
「でも紺碧会の研究所でテストパイロットみたいなことしてるし、神崎さん達が狙われる可能性が・・・」
「そちらについても、私が報告しておきますわ。それにもう『昔』から狙われているので、そういうことには慣れておられますし、対応もしておりますわ」
「・・・・・・でも」
彼女の提案にはキラも飲みたいところ。しかしそれで彼女達に迷惑がかかったらどうしようかと迷う。そんなキラに雪蓮が口を開いた。
「良いじゃないキラ。すみれの提案に乗りなさい」
「雪蓮さん?」
「IS改造するにしても、色々限度があるでしょ?神崎重工なら大抵の物は揃うじゃない♪」
「・・・・・・」
「それに、此処なら団体やIS委員会の奴等のことも調べられるし、貴方の得意なプログラミングも役に立つじゃない。私からも紺碧会の面々(束含めて)には伝えておくから」
「それが良いですわキラさん。手数は多いに越したことはありません」
「私も賛成です。私のISのことなら心配しなくても大丈夫です」
「有名どころからスカウトされるなんて、そうそうあることじゃないんだから良いじゃない。受けなさいよキラ」
雪蓮に続く様に、セシリア達も同意する。キラのことを知っている以上、彼女達も後ろ盾は多い方が良いと思ったのだ。
「・・・確かにそうですね」
「決まりましたね?」
「僕なんかで良ければ、お願いします神崎さん」
「すみれで構いませんわ」
といってキラとすみれはお互いに握手をする。
「ところで、先ほど雪蓮さんがおっしゃっておりましたが、貴方はプログラミングができますの?」
「はい。一応自分のISも、自作のOSで動かしてますので」
「私のティアーズも、キラさんのOSのおかげでさらに速く飛べるようになったのですわ」
「なるほど・・・人材としても間違ってはおりませんわね」
「まあOS関連なら絶対にキラに敵う者はいないわ」
っと雪蓮はすみれに胸を張ってキラの太鼓判を押す。それに関しては後にいたセシリア達も同意するほどであり、キラ自身そう言ってくれることに喜んだ。
「あっそうだ!」
「どうしましたの?」
「神崎重工に入るなら、一つだけお願いがあります!」
「な、なんでしょうか?」
かなり真剣な表情でキラはすみれにお願いがあると言った。急なことにすみれは少々戸惑ったが、すぐに真剣な表情になり願いはなんなのかを尋ねる。
果たしてキラがお願いすることとは?
「神崎重工製鉄道模型の値段を割引してください!!」
『だあ!?』
キラのお願いを聞いた周りの者達は、皆ど派手にすっころんでしまったのだった。
「やっぱり、あの子此処に来てたのね?」
次回は神崎重工に雪蓮と訪問します。