皆様お待たせしました。
今回は短めです。
面接とかあって時間が有りませんでした。
すみません。
それでは、本編はじまります!!
IS学園医務個室
「大丈夫ですかキラさん?」
「うん・・・少し痛みが引いてきた」
あれから数時間、キラは医務室で治療した後個室で安静することになった。
セシリアは制服を破かれただけなので、身体的には大丈夫なのだが、それでもキラと一緒に居たいので先生に折りたたみベッドを持ってきてもらったのだ。
「キラ様のお体に入った銃弾は、全て取り除きました。後は回復するだけです」
「そっか・・・」
そこまで言ってキラは、言葉が出なかった。
「・・・キラさん」
「・・・ごめんねセシリア」
『!?』
「君まで巻き込んじゃって・・・本当n」
「それ以上は言わないで下さいまし!」
本当にごめんとキラ言おうとして、セシリアがそれを制した。
「どうしてキラさんが謝るのですか!? 貴方は悪いことなんてしておりませんのに・・・」
「でも・・・団体は僕を狙っていたのに、セシリアは巻き込まれて・・・」
「あんなの誰も予想できませんわ!!」
キラとセシリアのやり取りをみて、雪泉はキラに疑問を浮かべた。
「・・・キラさん、どうして貴方はそこまで自分を責めるのですか?」
「そうですわ!」
二人の問いに、キラは顔を俯かせた。
「・・・昔、僕はある少女を傷つけてしまったんだ」
「ある少女?」
セシリアの問いに、キラは静かに頷いた。
そこで真那はその少女が誰なのか、すぐにわかった。
【BGM:静寂はヘッドフォンの中】
「その子は、僕の初恋の子だったんだ」
「は・・・初恋の!?」///
「うん・・・」
セシリアは顔を赤くしたが、キラはあの時を思い出していた。
「・・・その子は、途中でお父さんが亡くなって、僕が会いに行くと、僕を罵倒したんだ。どうして助けてくれなかったのって」
「「!?」」
「僕は泣いたよ。あんなことをいわれたのははじめてだったから」
キラの言葉に二人は信じられないと思った。
何故キラが罵倒されなくてはいけないのか、わけが解らなかったのだ。
「・・・当時僕は、色々あって彼女のお父さんの近くにいたんだ。でも、テロに巻き込まれて、僕の目の前で殺されたんだ・・・」
間違ってはいない。あの時確かに目の前で彼女の父親は殺されたのだから。
「それからしばらく経って、彼女が僕に謝って・・・それからは別人みたいに僕に接して来たんだ。それで・・・また目の前で、今度はなんの罪もない親子が・・・」
「そんな・・・」
「どうして・・・ですか?」
「彼等にとって、民間人でも関係ないんだ」
そうだ、彼等にとって、民間人であろうと容赦しないのだ。
「守れなくって、悲しんでた時に、彼女が優しくしてくれたんだ。それからも彼女は僕に接してくれた。・・・・・・でも、段々と解ってきたんだ。僕は利用されていることに・・・」
「キラさん・・・」
「それでも、今の僕には彼女しかいなかったから・・・。でも・・・」
キラはあの時のことを思い出した。
『冗談じゃないわ!止めてよねそんなの!なんで私が!あんたなんかに同情されなきゃなんないのよ!』
『辛いのはあんたの方でしょ!?可哀相なのはあんたのほうでしょ!?』
『可哀相な・・・独りぼっちのキラ・・・戦って辛くて・・・守れなくて辛くて・・・すぐ泣いて・・・だから・・・だから! うぅ・・・なのに!なのになんで私が!あんたに同情されなきゃなんないのよ!うっうっうぅぅ・・・』
「僕は傷つけてしまったんだ・・・」
すると、次第にキラの瞳から大粒の涙が流れ始めた。
「謝りたかった・・・守りたかった・・・・・・でも、彼女は僕の目の前で・・・殺されたんだ・・・」
「「なっ!?」」
キラの言葉に二人はさらに驚愕した。
「何時もそうだ!! 助けられたのに・・・守れたはずなのに、何時も目の前で殺されたんだ!! あの親子も!! トールも!! ウズミ様も!! フレイも!!」
「キラ様・・・」
「どうして!! 力があったのに・・・目の前にいたのに・・・どうしてこうなっちゃうんだ!? どうして僕は守れないんだ!? どうして・・・どうして!!」
ガバ!
「・・・え?」
キラが自暴自虐し始めると、突如セシリアが抱きしめた。
「もう・・・もういいですわ!!」
「セシ・・・リア?」
「申し訳ありませんキラさん!! 貴方に、辛いことを思い出させてしまいまして、本当に申し訳ございません!!」
「キラさん、申し訳ございません。私も貴方にお辛いことを思い出させてしまって・・・」
「雪泉さん・・・」
セシリアと雪泉はキラに謝罪した。
その瞳にはどちらも涙が流れていた。
真那は前にも聞いていたが、やはり悲しい表情をしていた。
「キラさん、泣いて構いません。此処には私達しかおりませんわ」
「そうです。貴方は貴方の正義のために戦った。それだけで私はキラさん、貴方が優しくお強い方だと解りました」
「大丈夫でございますキラ様。貴方が泣くのを拒もうとするお方がいるのなら、私がお守りいたします。ですから・・・」
『今は、沢山泣いて下さい(まし)』
「ぁ・・・ぁああ・・・うわあああああああああああーーーーーーーーーー!!」
キラは泣き叫んだ。
もう会うことのできない彼女を思い、そして目の前に居る二人の少女と一人女性に感謝しながら。
(キラさん。そこまでそのお方のことを・・・)
利用されても尚、彼女を守ろうとした。
普通ならばやろうと思えないことを、彼はやろうとしたのだ。
(あなたは、どこまでも優しいのですね・・・。それをふざけた外道が、貴方を痛めつけていたのですね)
善忍である彼女は、外道という悪が許せなかった。
だからこそ善忍として修行をし、悪を倒す善忍になったのだ。
(・・・決めました)
そう思うと雪泉は、ある決断をするのだった。
(おじいさま。私はこの方をお守りします。この方が幸せになるまで、ずっと・・・ずっと・・・)
「すぅ・・・すぅ・・・」
しばらく泣いた後、キラは疲れて眠ってしまった。
いろんなことに疲れてしまったのだろう。
「ところで、雪泉さんと真那さんはお知り合いなのですか?」
「朝方、真那さんと出会いました」
「貴方がキラ様と同じ計画でお生まれした、あの黒影さまの御子孫とお聞きした時は驚きました」
「私も、貴方があの有名な『紅の月』とは思いませんでした」
どちらもこの世界の裏では有名人。そんな二人はお互いに、一人の少年を守るためにいるのに驚いた。
「・・・キラさん、寝顔が可愛らしいですわね・・・」
「ええ・・・先ほどまで、狙われていた方とは思えないほどに・・・」
こんな優しい少年が一体何をしたのか、本当にわからない。
彼は本当に何もしていないのに、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのか。
「・・・キラさんが自分に負い目を感じていたのは、自分に関わると皆死んでしまうと思ったから、なんですね・・・」
「自分のことよりも、他人を心配するとは・・・」
「キラ様・・・」
初めて会ってから解ったこと。
それは、キラ誰よりも優しい人間だと言うこと。
困っている人をみたら誰であろうと助ける。
織斑一夏が良い例だ。
「・・・本当に、放っておけない御方ですわね」
「「ええ」」
この日の夜、一人の少年の周りには、二人の少女と一人の従者が守るように眠っていた。
少年がそれを知ったのは、次の日の朝であった。
次回から第2章に入ります。