IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第082話:タッグトーナメント開催

 

 

 

 ~永遠 Side~

 

 トーナメントの始まる数日前、ワシと本音は織斑先生に呼び出された

 

永遠

「織斑先生…ワシ等に何か用かの?」

 

千冬

「実は今度のトーナメントでお前達二人にハンデをつける事が決定したんだ。」

 

本音

「ハンデですか~?」

 

千冬

「うむ。まず布仏は【ワイバーン・ガイア】の使用が禁止された。性能差もそうだがあのデカさだからな…」

 

本音

「あらら~…」

 

 まあ、確かにあれはデカいからな…踏み潰すだけで試合が終わるからのぉ…

 

千冬

「次に火ノ兄だが…お前の機体は正体がバレてないから使える。ただし、あの3機のどれを使ってもいいんだが、単一仕様の使用は禁止された。それと【ラインバレル】は特殊能力も使うなとの事だ。」

 

永遠

「それは構わんが…【ラインバレル】に関しては【転送】はともかく【再生能力】の方は自動で機能するから止められんぞ?」

 

千冬

「何!…そうだったのか………仕方ない。火ノ兄、悪いんだが…」

 

永遠

「【ラインバレル】は使わんよ。」

 

千冬

「スマンな…お前の【ラインバレル】は実戦ならともかく試合では反則と言われてもおかしく無い厄介な能力だからな。」

 

永遠

「別に反則しとる訳では無いんじゃが…」

 

千冬

「物の例えだ!本気にするな!…それからお前達が対戦する場合は制限無しでいいぞ。」

 

本音

「は~い♪」

 

 本音と戦う時だけか…

 

千冬

「後、賞品の方はどうなっている?」

 

永遠

「それなんじゃが…初めから賞品を造っておくのと…優勝者に合わせた【剣刃(つるぎ)】を造るのと…どちらがいいかのぉ?」

 

千冬

「む!…それは悩むな…」

 

永遠

「先に造っておく場合は幾つか候補を挙げとるんじゃが…」

 

本音

「どんな物なの~?」

 

永遠

「これじゃ。【大旋斧ゲイル・アックス】【星銃フォーマルハウト】【星王剣アルフェッカ】【天聖弓セイクリッド・ボウ】…この4つの内の2つにしようと思うとる。」

 

 ワシはそう言いながら端末を取り出すと本音と織斑先生に4つの【剣刃(つるぎ)】のデータを見せた

 

千冬

「…オイ!この【アルフェッカ 】と言う【剣刃(つるぎ)】以外は形状が刀剣じゃないぞ!?」

 

本音

「ホントですね~?斧に弓、銃の形をしてる~?」

 

永遠

「これでも【剣刃(つるぎ)】何じゃよ。…まあ【剣刃(つるぎ)】の大半は刀剣類なんじゃが…他にも槍や杖、それ以外も少しあるんじゃよ。」

 

千冬

「他の種類の武器もあるのか!?」

 

永遠

「うむ。どうせなら、近接と射撃の二つがいいかと思ったんじゃが…」

 

千冬

「それはありがたいな…となると………よしっ!近接武器は【アルフェッカ 】…射撃武器は…【フォーマルハウト】にしよう。」

 

本音

「何でですか~?」

 

千冬

「弓や斧よりココは基本装備でもある剣と銃がいいだろう。」

 

永遠

「分かった…が、先に造る方でいいんか?」

 

千冬

「ああ、構わん。お前も相手の注文を一々聞くのは面倒だろ?」

 

永遠

「…まあ確かに…」

 

千冬

「では頼むぞ。…それから布仏、賞品の内容は誰にも言うなよ!」

 

本音

「は~い♪」

 

 【星銃フォーマルハウト】と【星王剣アルフェッカ】に決まったか…帰ったら早速造るかの…

 

 ~永遠 Side out~

 

 

 

 ~シャルル Side~

 

一夏

「………嘘だろ…」

 

シャルル

「…そんな~~~…」

 

 僕達は今日から始まる学年別トーナメントの対戦表を見た瞬間そう溢していた

 何故ならその対戦相手というのが…

 

『1回戦 第1試合 織斑一夏&シャルル・デュノアVS火ノ兄永遠&ラウラ・ボーデヴィッヒ』

 

 あの火ノ兄君とボーデヴィッヒさんの二人だからだ…

 確か、火ノ兄君はペアを組まずに当日の抽選任せにするって言ってたけど…

 まさかこの二人の組み合わせになるなんて…

 

シャルル

「…一夏…どうしよ~…」

 

一夏

「よりにもよって火ノ兄とラウラが相手かよ………やる前から詰んでないか?」

 

シャルル

「言わないでよ………でも…あの二人って連携とか出来るのかな?」

 

一夏

「…あの二人じゃ絶対無理だろ?特にラウラは…アイツは生身の火ノ兄にボコボコにされてるんだぜ?そんな奴と連携なんて出来る訳無いだろ?」

 

シャルル

「だよね。…でも、そこをつく事が出来れば…」

 

一夏

「ああ、ラウラは倒せるかもしれない!…けど火ノ兄は…」

 

 そう、ボーデヴィッヒさんに対してはこの間、火ノ兄君と戦った時に色々分かった事があるから対処出来る…

 ハッキリ言って彼女は二人がかりで挑めば倒せるんだ

 けど、火ノ兄君の場合は…

 

シャルル

「彼がどの機体を使うかも問題だよね…」

 

一夏

「…そうだな…」

 

 とは言っても…【戦国龍】【ドットブラスライザー】そして【ラインバレル】…どれが相手でも勝てる気がしない

 以前、オルコットさんとの試合映像を見たけど、よく彼女は【ドットブラスライザー】を相手にあそこまで戦えたと思った…

 今まで火ノ兄君が戦った映像は全部見たけど彼が単一仕様まで使って本気で戦ったのは、後にも先にもオルコットさんとの試合だけだ…

 勝てないまでも僕達に火ノ兄君を本気を出させる事なんて出来るのかな…

 

 ~シャルル Side out~

 

 

 

 ~ラウラ Side~

 

 まさかこのような組み合わせになるとは…

 だが、これはいい…手間が省けた…

 

ラウラ

「織斑一夏…奴を始末するいい機会だ………だが!!」

 

 よりにもよって私と組む相手が奴になるとは…

 

ラウラ

「…火ノ兄…永遠!!」

 

 私はあの日の事を思い出した…

 私は教官の目を覚まさせようと奴に戦いを挑んだ

 だが、あの男は私を相手にISを使わず生身で相手をしてきた

 そんな奴は、すぐにケリが着くと思っていたのに…

 結果は私の負け…奴に掠り傷一つつける事が出来なかった…

 報復しようにも奴との実力差を見せつけられた今となっては…

 

ラウラ

「いや!そんな事関係ない!どんな手を使ってでも奴を倒す!!」

 

 まずは織斑一夏だ!!

 奴を始末し教官の汚点を消す!!

 次に火ノ兄だ!!

 私自身の汚点を消し去ってやる!!

 

 ~ラウラ Side out~

 

 

 

 ~一夏 Side~

 

一夏

「…はぁ…負けるの確定の試合か~…」

 

シャルル

「一夏…初めから諦めたらダメだよ!さっき説明されたでしょ。火ノ兄君と布仏さんはハンデが与えられるって。」

 

 そう、さっき全員にトーナメントのルールと一緒に千冬姉から説明されたんだよな…

 その内容が火ノ兄とのほほんさんはハンデを付けられた事だった

 

一夏

「…ああ…のほほんさんは【ワイバーン・ガイア】が使えないんだよな…しかも理由がデカ過ぎるからだもんな…」

 

シャルル

「うん!それに火ノ兄君は単一仕様と【ラインバレル】が使えない様になってるんだよ!【ラインバレル】が相手にならないだけでもありがたい事だよ!」

 

一夏

「そうだな…」

 

シャルル

「一夏…ほらやる気出して!このトーナメントは学園の生徒以外の人も見に来てるんだよ!その人達の前で恥をかきたいの?」

 

一夏

「え!?そうなのか…でもどんな人が来てるんだ?」

 

シャルル

「知らないの?各国の企業や偉い人とかが来るんだよ。自分たちの国の生徒の成長を確認したり、3年の人達を見極めてスカウトしたりするんだ。」

 

一夏

「そんな人たちが来るのか!!…でも1年の俺達には余り関係無いんじゃ…」

 

シャルル

「一夏!君は世界で二人しかいない男性操縦者だよ!例え1年でも注目されてるんだよ!!」

 

一夏

「そ、そうか!?…て事は火ノ兄もか…」

 

シャルル

「…そうだけど…彼の場合は注目する以前に驚くだろうね…」

 

一夏

「何でだ?」

 

シャルル

「彼については何の情報も無いからだよ。僕はここに来るまで二人目がいる事なんて知らなかったんだ。ボーデヴィッヒさんも初日に火ノ兄君を見て驚いてたしね。多分、この学園の外には火ノ兄君の情報が流れてないんじゃないかな?」

 

一夏

「そう言えば中国から来た鈴も火ノ兄の事を知らなかった…」

 

 それに弾と蘭もだ…

 二人目の事を知らなかった…

 

シャルル

「僕も最初は彼の情報が一つも無いのはおかしいと思ったんだけど、多分篠ノ之博士が情報操作をしてたんじゃないかな?」

 

一夏

「束さんが!?」

 

 確かに束さんならそのくらい簡単に出来る筈だ…

 束さんは火ノ兄の家で暮らしてたんだからそのくらいやってもおかしくない…

 

シャルル

「だから僕達の試合は特に注目されてると思うよ。男性操縦者二人に代表候補生二人。しかも全員専用機持ちだからね。」

 

一夏

「なるほど…でも専用機って事なら火ノ兄の機体が一番目立つよな…」

 

シャルル

「そうだね。全身装甲の機体なんてどこの国も使って無いだろうからね。しかも彼の機体は凄く目立つ姿だからね。」

 

一夏

「ああ、【戦国龍】は目立つよな~…でも、そうか…そんなに偉い人達が見てるのか…なら無様な姿だけはしない様にしないとな!」

 

シャルル

「その意気だよ一夏!!」

 

一夏

「せめてラウラだけでも倒して派手に散ってやるぜ!!」

 

シャルル

「派手にって…負けるの決まってるんだね…」

 

一夏

「オウ!!」

 

 単一仕様が使えない事なんてアイツにはハンデにもならないだろうからな…

 でもアイツ…【戦国龍】と【ドットブラスライザー】…どっちを使うんだろ?

 【戦国龍】は嫌だな~…軽くトラウマが…

 

 ~一夏 Side out~

 

 

 

 ~永遠 Side~

 

 さて、いよいよ試合じゃな…

 ワシは今チビッ子とカタパルトの前におる

 

永遠

「お!織斑とデュノアが出て来たの。では、ワシ等も行くかの?」

 

ラウラ

「………」

 

 返事ぐらいしてくれてもいいと思うのじゃが…まあいいか…

 チビッ子も出た事じゃしワシも行くか

 今回は…【戦国龍】で行くかの

 

永遠

「出陣するぞ…【戦国龍】!!」

 

 ワシは【戦国龍】を展開するとカタパルトからアリーナに出た

 そのまま、チビッ子の隣に降りると対戦相手の織斑はワシを見てこの世の終わりみたいな顔をしておった

 

一夏

「…よりにもよって【戦国龍】が相手かよ…」

 

 どういう意味じゃい!

 …脅しがてら一吠えしてやるか!

 

<オオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーンッ!!!!!>

 

一夏&シャルル&ラウラ

「!?」

 

 ザワザワ…ザワザワ…

 

 ん?何かいつもより周りが騒がしい気が…

 【戦国龍】の事は学園の連中は全員知っとるはずじゃが………

 あ!そう言えば国の企業や偉いもんが来とるんじゃったか…そ奴等か…まあいいわい

 

永遠

「さてチビッ子?どう戦うんじゃ?」

 

ラウラ

「黙れ!私は私の好きな様にやる!!」

 

永遠

「さよか。ならワシも勝手にやるかの。」

 

 まずはこの二人がどう動くかじゃよな…

 

アナウンス

『それではこれより、1回戦 第1試合 織斑一夏&シャルル・デュノアVS火ノ兄永遠&ラウラ・ボーデヴィッヒの試合を始めます。』

 

ラウラ

「1戦目で当たるとは待つ手間が省けた…」

 

一夏

「そうかよ…」

 

アナウンス

『試合開始!』

 

一夏&ラウラ

「いくぞ!!!」

 

 ワシはどう動くかの…

 

 ~永遠 Side out~

 

 





 次回『第083話:三つ巴のタッグバトル【戦国龍VS黒い雨VS白式&疾風の再誕改弐】』


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