~千冬 Side~
千冬
「………」
今、取調室には私と山田先生、オルコット、更識、布仏、凰、一夏の他にオルコット達に拘束された篠ノ之がいる
火ノ兄はまだ来てはいないが始めるか…
千冬
「火ノ兄はまだだが取り調べを始める!まず全員に確認するが、織斑と凰の試合中にアリーナのシールドを破壊し謎のISが乱入。避難勧告を出した直後、学園のシステムがハッキングを受けシステムダウンを起こし、客席の扉がロックされ生徒達が避難出来ないと言う状態になった。…これに間違いはないな?」
私が聞くと篠ノ之以外は頷いた
千冬
「では、生徒達の避難を行っていたオルコット、更識、布仏の報告を聞こう。」
セシリア
「はい。わたくし達は織斑先生の許可を貰い、永遠さんと一緒に開かなくなった扉を破壊する事で生徒の方達の避難経路を確保しておりました。」
簪
「その際、私達3人と永遠で左右に二手に分かれました。そうする事で時間を短縮して避難を早める為です。」
本音
「全部の扉を壊してひの、火ノ兄君と合流したのは放送室の真下辺りでした。」
セシリア
「以上がわたくし達の行った避難活動の内容です。」
千冬
「よろしい!次にアリーナの乱入者と戦闘を行っていた凰、報告を頼む。」
一夏
「え?俺は?」
鈴
「アンタがちゃんとした報告出来るの?」
一夏
「…出来ません…」
鈴
「なら黙ってなさい!…私は乱入者が現れた時、まず織斑先生に指示を仰ぎました。セシリア達が避難活動をしているという事で、一夏と共に時間を稼ぐ為に私達に注意を向けさせ、乱入者が観客席に攻撃を行わない様にしていました。なお一夏のISはエネルギー切れ寸前という事もあって攻撃はさせず、回避に専念させていました。以上です。」
千冬
「分かった…織斑、今の凰の報告に間違いはあるか?」
一夏
「ありません…」
千冬
「よろしい…最後に私からの報告だが…まあ分かっていると思うがあの乱入者は火ノ兄が手足を破壊して機能を停止させた。」
私の報告を聞いてオルコット達は安心していると…
コンコン…
千冬
「入れ!」
永遠
「失礼するぞい。」
遅れていた火ノ兄が入って来た
千冬
「火ノ兄、ご苦労だった。」
永遠
「気にせんでいい。それで、どの程度終わったんじゃ?」
千冬
「全員の報告が終わった所だ。後は軽く注意をして解散と行くところなんだが…お前達が報告にはあえて出さなかった奴の話を聞く所だ。」
私がそう言うと全員の視線が拘束されたそいつに向けられた
箒
「………」
千冬
「…篠ノ之…避難指示はお前も聞いていた筈だ…何故あんな事をした…」
箒
「………」
千冬
「お前には自殺願望でもあるのか?」
箒
「…いえ…」
千冬
「ならあの行動の理由は何だ?」
箒
「…わ、私はただ…一夏に喝を入れようと…しただけで…」
一夏
「え?」
千冬
「…喝を入れる…か…馬鹿かお前は!」
箒
「!?」
千冬
「それに何の意味がある?そんな事をして力が出るのは空想の世界だけだ!お前は現実と空想の区別もつかんのか!」
箒
「い、いえ…」
千冬
「あの時お前がした事がどれだけ多くの者達を危険に晒したと思ってるんだ!」
箒
「…え?」
千冬
「…分かってないのか!!なら聞かせてやる!まずは火ノ兄、避難活動をしていたお前が代表して言え!!」
永遠
「ん!…ワシ等は扉を破壊し終わると生徒達が無事に避難しとるかを遠目で確認しとってな、順調に進んどるようなんで安心したんじゃが…ワシ等のいた場所の真上から馬鹿デカい声が聞こえたんじゃよ。篠ノ之…お前じゃ!」
箒
「ぐっ!」
永遠
「ワシ等がおった場所は放送室の真下、つまり一番避難の済んどらん場所じゃ!そんな所であんな大声出しおって!乱入者に攻撃して下さいと言っとるようなもんじゃ!」
箒
「…ぐうぅっ!」
千冬
「次にオルコット!篠ノ之を拘束しに行った時の事を頼む!」
セシリア
「はい。…わたくし達3人は篠ノ之さんを拘束しに放送室に向かいました。ですが放送室への通路と室内には気を失った数人の生徒が倒れていました。あの状況から考えて篠ノ之さんが放送室に向かうのを止めようとして気絶させられたと思われます。」
千冬
「…どうなんだ篠ノ之?」
箒
「ち、違います!私はそんな事…」
千冬
「していないか…言っておくがその気絶した生徒達から事情を聞けば誰にやられたかすぐに分かる事だぞ。」
箒
「!?」
千冬
「最後に凰!」
鈴
「分かりました!さっきも言ったように私と一夏は避難が終わるまでの時間を稼ぐ為、乱入者の眼を私達に向けさせていました。ですが、箒が放送室で叫んだせいで放送室に向けて攻撃される事になり、私達の苦労が水の泡にされました!」
箒
「なっ!」
千冬
「これで分かったか!お前一人の勝手な行動のせいで多くの生徒達が危険に晒されたんだ!」
箒
「………」
一夏
「ま、待ってくれよ!確かに攻撃はされたけど火ノ兄が防いでくれたお陰でケガ人も出なかったんだから…」
永遠
「馬鹿か貴様は!!」
一夏
「!?」
永遠
「貴様が言うとるんは結果論にすぎん!あの時は偶然ワシがおって、奴の砲撃にワシがギリギリ間に合って防げただけじゃ!そもそもこの馬鹿女があんな事せんかったら攻撃自体されんかったわ!それは奴を引き付けておった貴様が良く分かっとるじゃろうが!!」
一夏
「うっ…」
永遠
「織斑!ワシも貴様も一人の被害者も出さん様にする為に動いておったんじゃぞ!それをコイツは邪魔した上に自分勝手な事をして他の生徒達を危険に晒したんじゃ!セシリアが言うておった気絶させられた生徒達がそうじゃ!!」
一夏
「………」
永遠
「いいか!今回ケガ人が出んかったのは本当に運がよかっただけじゃ!!今回無事だからと言って次も上手くいくとは限らんのじゃぞ!!それとも何か!!貴様は自分がおれば誰もケガ人を出さんのか!!その根拠は一体何処にある!!あるなら教えんか!!」
一夏
「そ、そんな物…ある訳…」
永遠
「じゃったら黙っとれ!!そもそもコイツを庇う必要がどこにある!!コイツは処罰されても褒められる事は何一つしとらんのじゃぞ!!」
箒
「…き、貴様!?」
一夏
「オイ!それは言い過ぎだぞ!箒は俺を応援する為に…」
永遠
「時と場所を考えろと言うとるんじゃ!あの時コイツがすべき事は他の生徒達と一緒に避難する事じゃ!応援する事では無いわ!!」
一夏
「そ、それは…」
バンッ!!
千冬
「全員落ち着け!!」
全員
「………」
私が机を殴って怒鳴ると部屋の中が静かになった
千冬
「…織斑…お前が篠ノ之を庇うのは勝手だ。だがなコイツのした事は決して許される事では無い。既に篠ノ之を処罰する事は学園の方で決定している。」
箒
「うっ…」
千冬
「今から篠ノ之の処罰の内容を言う所だが…その前にお前に一つ確認したい事がある。」
箒
「え?」
千冬
「…お前…試合前何処にいた?」
箒
「!?」
千冬
「織斑のピットにいたな?誰が許可したんだ?」
一夏
「え?ちふ「織斑先生だ!」…織斑先生から許可は貰ってるって言ってたけど…」
箒
「い、一夏!?」
千冬
「私はそんな許可を出していない!」
一夏
「え!それじゃあ…」
千冬
「お前また勝手に入って来たな…前回の事で懲りてないのか?それとも忘れていたのか?」
箒
「………」
コイツの事だから恐らく後者、忘れていたんだろうな…
千冬
「お前にはそれも加えた処分を下す!懲罰房に謹慎1週間、その後自室謹慎1週間、その間に反省文250枚の提出だ!前回と同じ様に軽くするつもりは無い!」
箒
「………はい…」
千冬
「さて、お前達はもういいぞ、対抗戦は中止になったから今日はもう帰って休め。篠ノ之、お前は今から私が懲罰房に連れて行く!」
箒
「…はい…」
一夏
「…箒…」
鈴
「一夏。」
一夏
「何だ?」
鈴
「話があるから少し付き合って。」
一夏
「え?…ああ、分かった…」
永遠&セシリア&簪&本音&千冬
「………」
…一夏とケリを付けるみたいだな…
~千冬 Side out~
次回『第062話:鈴の決意』