IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第057話:ドッキリと説教

 ~永遠 Side~

 

 写真撮影も終わり、皆が解散し、整備室にはワシとセシリア、簪に本音の4人が残ったんじゃ

 ワシ等だけになったから簪に今まで気になっていた事を聞く事にした

 

永遠

「…簪…聞きたい事があるんじゃが?」

 

「何?」

 

永遠

「…お主の姉の事なんじゃが…本当にお主が言うように優秀なんか?ワシにはただの阿呆にしか思えんのじゃが…」

 

「…へ?…どうしたの急に?」

 

永遠

「実の妹を無能呼ばわりして突き放しておきながら、その妹にストーカーなんぞしとるもんが優秀なのかと思ってな?」

 

「ス、ストーカー!?」

 

本音

「何の事~?」

 

永遠

「…こういう…事じゃ!!」

 

 ワシはそう言うと床に落ちていたスパナを天井に投げつけた

 

 ガンッ!

 

「キャッ!」

 

 すると天井から落ちて来たのは簪の姉、更識楯無じゃった…

 

「…何してるの…」

 

楯無

「あ、あのね!…えっと…」

 

永遠

「これが優秀な姉か?」

 

セシリア

「わたくしにはただの変態ストーカーにしか見えませんが?」

 

本音

「ただのおマヌケさんだね~♪」

 

楯無

「あ、あなた達…言いたい放題言って…私はただ簪ちゃんが…」

 

永遠

「簪が何じゃ?」

 

楯無

「え、えっと…」

 

永遠

「簪が心配じゃから見守っていたとか言うつもりか?…無能と言って切り捨てておいて…」

 

楯無

「ギクッ!」

 

永遠

「…なるほど…以前ワシとセシリアに向けられた視線が何か分かったわい。」

 

「え?」

 

永遠

「アレは嫉妬じゃ。」

 

楯無

「ギクギクッ!!」

 

「…嫉妬?」

 

永遠

「要するにじゃ!簪と仲良く食事をしておったワシ等に嫉妬しておったんじゃよ!この生徒会長は!それでワシとセシリアを睨んでたんじゃよ!」

 

楯無

「ギクギクギクッ!!!」

 

セシリア

「なるほど嫉妬ですか。言われてみるとその様な感じでしたわね。」

 

楯無

「あ、あああ…」//////

 

永遠

「で!お主は結局何がしたいんじゃ?やっとる事と言っとる事が矛盾しとるぞ!」

 

楯無

「そ、それは…」

 

 狼狽えまくっとるな…

 

永遠

「…簪…これがお主の姉の正体じゃよ。」

 

「………私…こんな人を目標にしてたの…自分が凄く情けなく感じるんだけど…」

 

楯無

「ま、待って簪ちゃん!そんな呆れた目で見るのだけはやめて!そんな目で見られたら私死んじゃう!」

 

永遠

「阿呆か!」

 

セシリア

「自業自得ですわ!」

 

本音

「後でお姉ちゃんに見せよう!」

 

楯無

「待って本音ちゃん!それもやめて!虚ちゃんに知られたら説教フルコースになるから!」

 

 本音が携帯で動画を撮影しようとしたら会長に止められてしまったが…

 

永遠

「それはいい事を聞いた…本音、姉を呼べ!」

 

楯無

「今の聞いてた!私やめてって言ったのよ!」

 

永遠

「やめて欲しかったら簪をストーキングしとった訳を言え。ダメ無生徒会長。」

 

楯無

「今、ダメ無って言った!ダメ無って言ったよね!私は楯無よ!」

 

永遠

「いいからとっとと言え!楯無ストー会長。」

 

楯無

「ストー会長って何よ!」

 

永遠

「ストーカーの生徒会長、略してストー会長じゃ。」

 

楯無

「略さないでよ!て言うかいい加減普通に呼んでよ!」

 

永遠

「呼んで欲しかったらはよ言え。それとも本音の姉を呼ぶか?今なら姉繋がりで織斑先生も追加で呼んでもいいんじゃぞ?」

 

楯無

「もっとやめてええええぇぇぇぇーーーーっ!!!」

 

永遠

「やめて欲しかったらさっさと訳を言え!」

 

楯無

「…はい…」

 

 それからストー会長から簪に言った事の理由を聞きだした

 何でも簪とこのストー会長の家は日本政府直属の対暗部組織と呼ばれる裏の家業を生業としとる家らしい

 そしてこの会長はその家の17代目の当主らしく、【楯無】と言う名前は代々当主が名乗る名前との事じゃった

 つまり本名は別にあるという事か…まあ今は別にいいか…

 そして、当主となる時、妹の簪を裏の世界には関わらせないと決めたらしく…その為、簪に『無能でいろ』と言ったらしい

 今までの話を聞いてワシには一つの結論が出た…それは…

 

永遠

「…要するにお主が重度のシスコンだと言う事がようく分かった。更シスコン生徒会長。」

 

楯無

「更シスコンって何よ!私は真面目な話をしたのよ!いい加減普通に名前を呼んでよ!!」

 

永遠

「更シスコンダメ無ストー会長。」

 

楯無

「全部繋げて呼ぶなあああぁぁぁーーーっ!」

 

 ~永遠 Side out~

 

 

 

 ~楯無 Side~

 

 私の事を未だにちゃんと呼ぼうとしない彼にムキになっていると、今まで黙って話を聞いていた簪ちゃんが…

 

「………何で…」

 

楯無

「…簪ちゃん?」

 

「…何でそんな事勝手に決めるの?何で私の未来を勝手に決めるの?」

 

楯無

「ま、待って簪ちゃん!違うのよ…」

 

「何が違うの!じゃあ私に家の事に関わらせないようにしたのは何でよ!」

 

楯無

「それは!………簪ちゃんには闇の世界で生きて欲しくなかった…光の世界を生きて欲しかったのよ…」

 

「…それが…それが勝手だって言ってるのよ!私が何時そんな事を頼んだの!私の未来は私が決めるものなのに何でお姉ちゃんが決めるの!何の資格があってそんな事するの!!」

 

楯無

「…か、簪ちゃん…私はただ…簪ちゃんの事を思って…」

 

「何が私の事を思ってよ!それならそうとハッキリ言ってくれればいいじゃない!あんな言い方して、私を縛り付けて、私を自分の手元に置いておきたいだけじゃない!私はお姉ちゃんの玩具じゃない!人形じゃない!!一人の人間よ!!!」

 

楯無

「!?」

 

「そんなに自由に生きて欲しいなら…私は家を出る!お姉ちゃんとも家族の縁を切る!!」

 

楯無

「え?」

 

 今…何て言ったの?…縁を切る?…簪ちゃんが妹じゃなくなる?………ただの他人になる?

 

楯無

「…い、いやあああぁぁぁーーーっ!!!やめて!それだけはやめて!!!」

 

「…今更何言ってるの!自由に生きろと言ったのは貴方でしょ!だから望み通り、貴方と縁を切って一人で生きていくって言ってるのよ!」

 

楯無

「あ…ああ…で、でも…一人だなんて…」

 

「…確かにいきなり一人で暮らすのは無理なのは分かってる!」

 

楯無

「な、ならやめよ!縁を切るなんてやめよ!」

 

「…永遠…独り立ち出来るまで永遠の家においてくれない?」

 

楯無

「え!?」

 

永遠

「ん?…ワシの家?」

 

 やめて!答えないで!頷かないで!

 

永遠

「…ん~~~?…まあ元は一人暮らしじゃし…構わんぞ。部屋も余っとるし。」

 

楯無

「ーーーーっ!」

 

 私はその瞬間、声にならない叫びをあげた

 

「ありがとう…じゃあこれからお世話になるね。」

 

永遠

「構わんが何時頃からじゃ?」」

 

「この後、絶縁状書いて家に送るから2、3日してからかな?」

 

 ぜ、絶縁状…絶縁………縁を…絶つ…

 

楯無

「…あ…ああ…あああぁぁぁーーーっ!!!」

 

 そんな!やだやだやだ!いやだ!!!

 

楯無

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!」

 

「………」

 

楯無

「私が悪かったから!私が間違ってたから!お願いだからやめてよおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

「………プッ♪」

 

楯無

「…え?」

 

永遠&セシリア&本音

「………フフッ♪」

 

楯無

「…何?」

 

永遠&セシリア&簪&本音

「アハハハハハハハハハハッ♪」

 

楯無

「…え?…な、何?」

 

永遠

「見事に引っかかったのぉ♪」

 

楯無

「…引っかかった…?」

 

本音

「ドッキリ大成功~~~♪」

 

楯無

「ド、ドッキリイイイイィィィィーーーーッ!!!」

 

永遠

「そうじゃ。お主が覗いとるのは気付いとったからな。ドッキリ仕掛けてからかってやろうと思ったんじゃよ。」

 

楯無

「…何でそんな事…」

 

永遠

「お主に反省させる為じゃ!」

 

楯無

「反省…」

 

永遠

「先に言っておくが簪が言っていたことは縁を切ると言う所までは全て簪の本心じゃ!」

 

楯無

「!?」

 

永遠

「簪も言うとったじゃろ。簪は人間じゃ!お主の人形では無い!いつかはお主や家から離れなければならんのじゃ!」

 

楯無

「あ!?」

 

永遠

「じゃが!お主は遠回しに簪に自由に生きろと言っておいてその言葉で、簪の心を縛り、自由を奪い、手元に置こうとしおった!結局お主は簪の事なんぞ考えておらん!自分の事しか考えておらんのじゃ!!」

 

楯無

「そ、そんな事…」

 

永遠

「なら何故『自由に生きろ』と言わんかった!遠回しに言うより簡単じゃろ!」

 

楯無

「それは…」

 

永遠

「ああ言えば簪がお主に対抗心を燃やして傍にいると思ったんじゃろ!例えお主にそのつもりが無くとも無意識の内にそう思った筈じゃ!でなければあんな言い方普通はせんわい!!」

 

楯無

「あ…ああ…」

 

永遠

「どうなんじゃ!答えんかい!!」

 

楯無

「………その…通り…です…」

 

 …何も言い返せない…彼に言われて改めて気づかされた…私は…

 

永遠

「…何故ワシ等がドッキリを仕掛けたと思う?」

 

楯無

「…理由があるの?」

 

永遠

「簪がいなくなると思った時どう思った?」

 

楯無

「…凄く嫌だった…家族がいなくなると思うと凄く寂しかった…」

 

永遠

「それは簪が抱えておった思いと似た物じゃ!」

 

楯無

「え?」

 

永遠

「お主も知っとるとは思うが、簪は幼い頃から常に家の連中から姉のお主と比較されて生きて来た。」

 

楯無

「え!?」

 

永遠

「んっ?………気づいとらんかったのか!?…いいか!簪は常にお主と比較され続けて家に居場所が無かったんじゃぞ!!ワシは別にそいつらの事をどうこう言うつもりは無い!そいつらが勝手にやった事じゃからな!!じゃがな!!そいつらのせいで常に陰口を言われ辛い思いをしとったんじゃぞ!!!」

 

楯無

「そ、そんな!?」

 

 家の者達が簪ちゃんにそんな事を…

 

永遠

「更識楯無!!何故お前が知らんのじゃ!!お前は簪の姉じゃろ!!何故気付かんかった!!簪の一番近くにいたのはお前じゃろうが!!何故お前が簪の居場所になってやらんかった!!!たった一人の妹を守ろうとせんかった!!!」

 

楯無

「ぁ…ぁぁ…」

 

永遠

「簪はずっと溜め込んでおったぞ!ワシとセシリアに会うまで弱音すら言う事が出来ずに耐えてたんじゃぞ!簪をストーキングしておきながら肝心な所を何一つ見取らんかったんか!簪が泣いた事さえ知らんかったのか!!」

 

楯無

「な、泣いた!?」

 

永遠

「そうじゃ!今まで我慢しとったもんを全部吐き出す為に泣いたんじゃ!!本来ならワシ等では無くお前がすべきことじゃぞ!!」

 

楯無

「ううっ…」

 

永遠

「お前は自分にとって都合の良い所だけ見て、それ以外は何一つ見ようとせんのか!お前にとって簪はその程度の存在なのか!!それでよく汚れ仕事は自分がやるなどと言えたな!!今まで放ったらかしにしておいて当主になった途端に姉気取りか!!ふざけるな!!お前に簪の姉を名乗る資格なんぞ無い!!!」

 

楯無

「………」

 

 ………言い返せない…何一つ…言い返す事が…出来ない…

 

「…永遠…もういいよ…」

 

永遠

「簪…」

 

「…ありがとう…永遠…私の為に怒ってくれて…でも…ココからは私がやらないといけない事だよ…だから…」

 

永遠

「…分かった…セシリア、本音…」

 

セシリア

「はい。」

 

本音

「…うん…」

 

 …火ノ兄君はオルコットちゃんと本音ちゃんを連れて整備室を出て行ってしまった

 残ったのは私と簪ちゃんの二人だけになった…

 

 ~楯無 Side out~

 

 




 次回『第058話:姉妹喧嘩の行く末』


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