IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第052話:兎との一夜

 ~簪 Side~

 

 私は、いえ、私達は今ガチガチに緊張している!

 その理由は私達の目の前にISの生みの親・篠ノ之束博士がいるからだ

 何でそんな凄い人が永遠の家にいるの!!

 

「それにしても久しぶりだね~♪セーちゃんととーくんの試合は見せて貰ったよ♪束さんの予想以上に強くなってたね♪いい試合だったよ♪」

 

セシリア

「ありがとうございます♪束さんにそう言って頂けるなんて光栄ですわ♪」

 

 何でセシリアは普通に話せてるの?

 しかも、顔見知りみたいだし…

 

「(ちょ、ちょっとセシリア!アンタ篠ノ之博士と知り合いだったの!)」

 

セシリア

「ええ、わたくしが入学試験を受けに来た時にお会いしましたの。」

 

「(声が大きいわよ!)」

 

「ニャハハハッ♪そんなに緊張しなくていいよ♪そうだね…とーくんの料理が出来るまで自己紹介でもしようか?」

 

クロエ

「それがいいですね♪」

 

「じゃあまずは束さんからね♪君達も知ってると思うけどISの生みの親、篠ノ之束だよ♪ブイブイ~♪」

 

クロエ

「束様の助手を務めております、クロエ・クロニクルと言います。」

 

「クーちゃん、そこは束さんの娘って言って欲しいな~♪」

 

「む、娘!?結婚されてるんですか!?」

 

「違うよ。クーちゃんは養子なんだよ。後、とーくんの義理の妹でもあるんだよ。」

 

「そ、そうなんですか…」

 

「それで君たちは?」

 

「あ、はい!…えっと…誰から行く…」

 

「…なら私から。…初めまして、私は更識簪と言います。日本の代表候補生です。」

 

「君か~、一人でISを造ってるっていう子は?」

 

「は、はい!」

 

「とーくんから話は聞いているよ♪後で君の機体を見せて貰うよ。そこから束さんなりのヒントを君に教える。あくまで教えるのはヒントだけだから、それを元に君は機体を完成させられるように頑張るんだよ。」

 

「はい!!よろしくお願いします!!」

 

 …あの篠ノ之博士に私の機体を見て貰えるなんて!

 嬉しいけど緊張するなぁ…

 

「では次は私が、凰鈴音です。中国の代表候補生をしてます。後、一夏とは幼馴染です。」

 

「へ~♪いっくんに箒ちゃん以外の女の子の幼馴染がいるなんて知らなかったよ。…君もいっくんの事が好きなの?」

 

「は、はい…今は喧嘩中なんですけど…」///

 

「喧嘩中?…またいっくんが何かしたの?」

 

「…はい…実は………」

 

 鈴はさっきの事を簡単に説明すると博士は呆れた顔をしていた

 

「…いっくん…相変わらず鈍感だね~…」

 

「そうなんですよ!ホント腹立つ!」

 

「そういう事なら束さんも君を応援するよ♪この休みの間にとーくんにタップリ鍛えて貰うといいよ♪」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

本音

「最後は私だね♪初めまして~♪布仏本音です♪本音でものほほんでも好きに呼んで下さい♪かんちゃん…じゃなくて、簪ちゃんのメイドをやってま~す♪」

 

「アンタメイドだったの!?…とてもそうは見えないんだけど…」

 

「ホントだね~…」

 

「全然それっぽく見えないけど…本当なんです…」

 

本音

「皆酷いよ~!」

 

「アハハハッ♪君面白いね♪気に入ったよ♪」

 

本音

「何か納得いかないよ~!」

 

全員

「アハハハハ………ッ♪」

 

 それから私達は雑談をしながら時間を過ごした

 

永遠

「楽しそうじゃな?」

 

「あ!とーくん、待ってたよ~♪」

 

永遠

「スマンかったの、いつもの倍作らんといかんかったんでな。」

 

セシリア

「すみませんいきなり押しかけて…」

 

永遠

「連れて来たのはワシじゃ。お主らは気にせんでいい。」

 

「そ~そ~♪気にしなくていいよ♪さ、早く食べよ♪」

 

「はい♪」

 

永遠

「では、いただきます。」

 

全員

「いただきま~す♪」

 

 私達は永遠が用意してくれた夕飯を食べた

 食事をしながらもいろんな話をしながら楽しんでいた

 …こんなに楽しいご飯を食べたの何時以来だろ…

 まあ、そんな事はどうでもいっか!…これからもこんな食事がしたいな~…

 

全員

「ごちそうさまでした♪」

 

永遠

「さて、ワシは洗いもんをしとるから皆は風呂に入ってきんさい。束さん、クロエ、案内を頼んでもいいかの?」

 

「いいよ~♪皆、着替えを持ってついてきて♪」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「は、はい。」

 

 私達は着替えを持って博士に着いて行ったんだけど…

 

「あ、あの…篠ノ之博士…なんで森の中を歩いてるんですか?」

 

 そう、今私達は永遠の家を出て森の中を歩いている

 

「すぐに分かるよ♪…あ、ついたよ!」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「え?」

 

 森を抜けると私達が見た物は…

 

「…これ…温泉!!」

 

クロエ

「そうです。この温泉は美肌効果もあるんですよ。」

 

セシリア

「本当ですか!!」

 

本音

「早速入ろ~♪」

 

「その前に一つ注意事項があるから聞いて。」

 

「は、はい!」

 

「この温泉には島の動物達も入りに来るから間違えて攻撃しないようにね!」

 

「動物ですか?どんなのがいるんですか?」

 

クロエ

「狸や狐、熊に狼です。」

 

 へ?…熊…狼…

 

「くくく熊ーーーっ!!」

 

セシリア

「狼ですか!?」

 

「大丈夫だよ♪この島の動物達はみんな仲がよくて、大人しいんだよ。特にこの温泉では借りてきた猫みたいに大人しいんだよ♪」

 

クロエ

「事実、私達はこの島で1年以上暮らしてますが熊や狼に襲われた事は1度もありません。束様に至っては熊と一緒に酒盛りまでしてます。」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「ええええぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

「あの子と飲むお酒は美味しいんだよね~♪」

 

クロエ

「そういう訳ですから安心して入ってください。」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「は、はい…」

 

 少し怖かったけど私達は温泉に入ったんだ…

 確かにすごく気持ちいいんだけど…

 

「………」

 

本音

「気持ちい~ね~♪…かんちゃんどったの?」

 

「…別に…」

 

 ううっ…篠ノ之博士…大きすぎる…本音が大きいのは知ってたけど…セシリアも負けてない…

 

「………」

 

 …鈴は自分のと比べて落ち込んでる…

 

クロエ

「…鈴様…」

 

「…クロエ…」

 

鈴&クロエ

「………」

 

 ガシッ!

 

 二人は何も言わずただ頷くとガシリと手を組んだ…なんとなく分かる気がする…

 

セシリア

「何をしてるんでしょう?」

 

束&本音

「さぁ~?」

 

 この3人には分からない悩みでしょうね…

 

「………鈴、クロエさん…」

 

「…アンタはある方よ!」

 

クロエ

「…そうです!」

 

「ううっ…私はどっちにも入れないの…」

 

 ~簪 Side out~

 

 

 

 ~セシリア Side~

 

セシリア

「いいお湯でしたわね~♪」

 

本音

「そ~だね~♪」

 

「フフン♪この島自慢の温泉だからね!」

 

簪&鈴&クロエ

「………」

 

セシリア

「どうしましたの?」

 

「何でも無いよ…気持ちよかったね…」

 

「そうね…」

 

クロエ

「はい…」

 

 …何故あんなに落ち込んでるんでしょうか?

 わたくし達はそんな会話をしながら永遠さんの自宅に戻りました

 

全員

「ただいま~♪」

 

 あら?…返事がありませんわね?

 

セシリア

「…永遠さん?」

 

「とーくん、今は畑に行ってるみたいだね。」

 

「畑ですか?」

 

セシリア

「そう言えば鈴さんは、永遠さんがISで登下校をしている理由を知りませんでしたね。」

 

「うん…何でそんな事してるのアイツ?」

 

「私も詳しくは知らないけど…」

 

セシリア

「それはですね………」

 

 わたくしは鈴さんと簪さんに永遠さんの事情を説明しました…

 

セシリア

「………という訳なんです。」

 

「そっか…アイツ…一人で生きて来たんだ…」

 

「…だから毎日こんな風に移動してるんだ。」

 

「…そういう事だよ。…アレが使えればとーくんの移動時間も一気に短縮出来るんだけど、今は束さんが借りてるからね。」

 

本音

「アレって何ですか~?」

 

セシリア

「…もしかして【ラインバレル】の事ですか?」

 

簪&本音&鈴

「【ラインバレル】?」

 

「セシリア…何なのそれ?」

 

セシリア

「永遠さんの3体目のISですわ。」

 

「3体目!?まだ持ってたの!」

 

セシリア

「はい。永遠さんは全部で3機のISを所持しています。その最後の1機を束さんに貸しているんです。」

 

「貸すって…何でそんな事を…」

 

「…悪いけどそれは君達には言えないんだよ。とーくんの許可が必要だからね。」

 

「そうですか…」

 

「…セシリアは知ってるの?」

 

セシリア

「はい、他には織斑先生と山田先生も知っていますわ。」

 

「あの人達も知ってるんだ…」

 

セシリア

「束さん【ラインバレル】を見せて貰ってもよろしいですか?」

 

簪&本音&鈴

「え!?」

 

「いいよ♪君達も見る?」

 

簪&本音&鈴

「はい!」

 

 わたくし達は束さんに奥の部屋に案内されました…そこにあったのは…

 

「これが【ラインバレル】だよ!」

 

セシリア

「…これが…」

 

「【ラインバレル】…」

 

本音

「…白い鬼さんだ~…」

 

 そう、白い鬼の様なISでした…

 

「…【ラインバレル】…カッコイイーーーッ!!」

 

「また始まった…簪!」

 

「…ゴメン…」

 

「どったの?」

 

「簪はロボットやヒーロー物が趣味らしいんです。」

 

「…//////」

 

「そう言う事か~、まあ、とーくんの機体は見た目が完全にロボットだからね~♪」

 

永遠

「お主らこんな所で何しとる?」

 

セシリア

「永遠さん!」

 

「おかえり~♪畑の方は終わったの?」

 

永遠

「うむ、一通りな。」

 

セシリア

「あ!永遠さん、その【ラインバレル】を勝手に………」

 

永遠

「見た事なら気にせんでいいぞ。そうじゃ束さん、明日から鈴を鍛えるんじゃが【ラインバレル】を使ってもいいかの?」

 

「え!?」

 

「それはいい考えだね♪他の2機と違って【ラインバレル】の戦闘データはまだ無いからね。むしろ束さんにとってもありがたいよ♪」

 

「…明日…これと戦うの?…ってISで訓練するの!?生身でやると思ってたんだけど!」

 

永遠

「ISの試合なんじゃからISでやった方がいいじゃろ。」

 

「確かにそうだけど…でも、何の許可も無しにこんな所で展開なんかしたら…」

 

「それなら大丈夫だよ♪この島の周囲は束さんの特製シールドが張ってあるからね。その中ならどれだけ暴れても外にはバレないんだよ。」

 

「そ、そうなんですか…」

 

永遠

「という訳じゃ。遠慮なくかかって来るといい。」

 

「もし壊れても束さんが直してあげるから大丈夫だよ。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「君の機体も明日見せて貰うけどいいかな?」

 

「はい!!」

 

永遠

「なら、明日に備えて今日はもう休むかの。」

 

セシリア

「そうですわね♪」

 

永遠

「………あ!?」

 

「…どうしたの?」

 

永遠

「…布団が足りん…」

 

「別にいいわよ。アンタの家に押し掛けたんだからその位。」

 

本音

「そ~だよ~♪」

 

永遠

「そういう訳にいくか!女子を床で寝かせられるか!」

 

セシリア

「と、永遠さん…」///

 

簪&本音

「………」///

 

 やっぱり永遠さんは優しいですわね…

 

永遠

「どうするかの…クロエ、予備はあるか?」

 

クロエ

「ハイ、あるにはあるんですが…二つしかありません。」

 

永遠

「…二つか…ワシの使っとるのも合わせて三つ…スマンがセシリア達は布団三つ繋げてそこで寝て貰ってもいいかの?」

 

「でもそれじゃ永遠の布団が!」

 

永遠

「ワシは座布団と褞袍で十分じゃ!」

 

セシリア

「ですが!」

 

「皆…折角の好意なんだから受け取るといいよ。とーくんがこう言ったら何を言っても聞かないしね。」

 

永遠

「そういう事じゃよ。ならスマンがクロエ、予備の布団を客間に運んどいてくれんか?ワシも部屋にあるのを持ってくるからの。」

 

クロエ

「分かりました。」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「………」

 

「ほら、君たちも明日から大変なんだからしっかり休むんだよ。」

 

セシリア&簪&本音&鈴

「…はい…」

 

 …この後、わたくし達は客間に案内されそこで一夜を明かしました

 

 ~セシリア Side out~

 

 




 次回『第053話:簪の勉強・鈴の訓練』


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