ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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お待たせしました。

今回は後でちょっと書き足すかもです。



SB5-3「ゴーストルール」

AP241:4/15 19:00

アークスシップ:ゲートエリア

 

「………」

ゲートエリアは、その名の通りスペースゲートのある区域。

「…………」

出撃、あるいは帰還するアークスの流れは、一日中止まることはない。

 

しかし、その行きかう人の中で。

リオはぽつんと、端のモニターの側に佇んでいた。

「定期通信、終了……」

義体に専用端末を格納し、はぁ、とため息を吐く。

 

アメリアスに出撃停止措置が取られて、丸2日。

別にサポートパートナーにもその措置が適用されるわけではないが、マスターからの指示がなければ出撃できないのも変わらない。

そしてそんな出撃指示が出るはずもなく、リオはずっと退屈な時間を過ごしていた。

 

「おや、リオ君じゃないか」

そんなリオに声を掛けたのは、任務を終えたばかりらしいピエトロだった。

今日連れているペットは、丸くて茶色いからだが特徴のマロン種。確か名前は「ヘンゼル」といっただろうか。

「ピエトロさん……任務?」

「ついさっき終わったところさ。そういえば、しばらく君の姿を見ていないような……?」

 

こちらの姿を見て、何か察したらしい。

出撃できずにいることを伝えると、ピエトロはそういうことか、と相槌をうった。

「でもなんでゲートエリアに?マイフレンドの側に居なくていいのかい?」

ピエトロの指摘に、リオはしゅんと肩を落とす。

リオだって、そうするつもりだった。しかし。

 

「………ルームから」

「ルームから?」

「………しめだされた」

リオは悔しそうに、そう答えた。

パートナーコンソール……マイルームに設置できるサポートパートナー用端末には、席を外させる機能もある。

滅多に使わない機能だが、リオはそれで、部屋に戻ることすらできない状況だった。

 

「ステラも、シエラも……」

「ん?」

「みんな、今出来ることを頑張ってる………でも、ボクは……」

うつむくリオ。

結局、自分はマスターの指示なしでは何もできない。

今までほとんど考えていなかった事実が、今は悔しくて仕方なかった。

 

と。

「うっ、ううっ………!」

「?」

不意に聞こえた呻くような声に、リオは顔を上げた。

 

彼女の頭上で、何故かピエトロは泣いていた。

「あれ………?」

「その主を思う心……!まるで僕の愛する子たちのようだ!なんていい子なんだ、君はあいたっ!?」

むせび泣くピエトロを、突然のヘンゼルによるツッコミが襲う。

 

「こらヘンゼル!マロン種の癖にやんちゃだな君は!」

それを気にする様子もなく、ペットと戯れるピエトロ。

「あの、ピエトロさん……」

「……おっと、すまないねリオ君。けど気にすることはないよ」

ピエトロはしゃがみ込んで、リオの小さな頭に手を乗せる。

 

「サポートパートナーだろうと、何だろうと。君は君の戦いをすればいいのさ」

「ボクの戦い……」

そうさと言って、ピエトロは立ち上がる。

「これは僕の予想に過ぎないが……君はあの守護輝士(ガーディアン)のサポートパートナーだ。きっとどこかで、君の運命を変えるような戦いをしなければいけなくなる」

 

そう。

この宇宙と、1人の少女を救うために命を懸けた、アメリアスという少女のように。

「だからその時に、全てを賭ける。その時が、君が本当に戦わなきゃいけない時だ」

今は任せておけばいいんだよと、ピエトロは笑った。

 

リオはその顔を見て、呆れたように瞑目する。

「……やっぱり変な人」

「なっ………」

「ふだんはあんなに自由なのに……こんな時だけ、かっこよくて」

「は、はぁ……」

 

当惑するピエトロの前で、リオは踵を返した。

「……ありがと。ボク、もうちょっと待ってみるよ」

そう言い残して、小さな少女はてくてくと歩いていく。

残されたピエトロは、ふと背後のヘンゼルに語り掛けた

 

「……リオ君も変わってると思うけどなぁ。サポートパートナーが、あんなことを悩むなんて」

だからこそ自分は、愛する子の次に、彼女のことを気にかけてしまうのだろう。

———人に近い心を持っている、彼女のことを。

言葉では茶化しながらも、ピエトロはそう思った。

 

 

AP241:4/15 19:00

アークスシップ:アメリアスのマイルーム

 

……静かに、星が流れていく。

「……」

私はベッドに座って、窓に映る星空を眺めていた。

尤も、本当に星空が見えている訳じゃない。シップから観測しているこちらの宇宙を、ルームに投影してもらっているだけだ。

 

———スノウバンサーのあんちくしょうに襲われて、丸2日。

とりあえず怪我は動ける程度まで回復したものの、シエラからの連絡もなければ出撃停止措置も解けない。まだ、ヒツギは見つかっていないのだろう。

「………はぁ」

いつもなら状況を聞きに艦橋に押しかけたりするのだが、今はそんな気も起きない。

……一度止まった足は、そう簡単には動いてくれない。

 

「……アメリアス?」

だから、インターホンから聞こえた声も。

「……ああ、マトイ?ちょっと待ってね」

特に、驚いたという感情は浮かばなかった。

 

ロックを外し、ドアの前に立つ。

ドアが開き、見知った紅い瞳と目が合った。

「もう、ちょっとはリアクションしてくれたっていいのに」

「とは言われても……私にしてみれば、せいぜい2週間会えなかった程度だし」

「あ、そっか……」

 

とぼけたような返答に、思わず苦笑が漏れる。

彼女は……マトイは、やっぱり不思議な存在だ。

こうして話すだけで、自然と心が安らぐような気がする。

 

中に案内すると、マトイはさっそく、地球で起きていることについて訊き始めた。

「シエラから色々説明はしてもらったんだけど、なんだか難しくって」

「それでいいのか守護輝士(ガーディアン)2号……」

そんなことだろうとは思っていたが。やっぱり、この辺も相変わらずだ。

私は調査端末やデータベースの記録も見せながら、この一か月のことをざっと話した。

 

ヒツギさんとの出会い。

東京での戦い。

太平洋での、幻創戦艦との決戦。

そして。ラスベガスでの戦いと、その結末。

 

一通り話し終えると、マトイは小さくため息を吐いて、

「そっか……やっぱり、ヒツギちゃんじゃ届かなかったんだ」

ぽつりと、そうこぼした。

「え、や、やっぱりって……!?」

「あのね、あなたがラスベガスに行く直前に、わたし、ヒツギちゃんと話したの」

 

初耳だった。

艦橋を飛び出した後、ヒツギはマトイに会っていたのだそうだ。

そして彼女は……マトイにある問いを投げかけた。

マトイが、「戦う理由」を。

「それで、マトイはなんて答えたの?」

「うーん……あなたが『やりたいこと』を考えてみて、って」

 

自分の持つ力で、「成すべきこと」ではなく「成したいこと」。

「義務」ではなく「権利」で考えろ。それが、マトイの答えだった。

「……マトイらしい答えだね」

「そ、そうかな?ほとんど、前にあなたに言われたことの受け売りなんだけど……」

ちょっぴり、顔を赤らめるマトイ。

 

前に……とは、まだ彼女が「マトイ」ではなく「クラリスクレイス」だった時のことだ。

クーちゃんが「先代」と呼んでいるのは、彼女のこと。マトイはもともとシオンに作りだされた、対ダーカー用の殲滅兵器(リーサルウェポン)だった。

その時のマトイと私が接触するまでの経緯は、まあなんやかんや色々あったのだけれど……今のマトイの価値観にあの時の私が一枚噛んでるのは、間違いないのかもしれない。

 

「こうして考えると……ヒツギって、マトイに似てたのかな」

何気なく、私が呟いた———その時だった。

「———ううん、違うよ」

「え………?」

その声と共に、マトイの手が、私の腕をつかんだ。

 

「ま、マトイ?」

困惑して、マトイの方を見る。

「ヒツギちゃんと同じなのは……あなたなんだよ、アメリアス」

どこか悲しげな声で、マトイは言った。

 

……その時私は、マトイの言葉の意味に気づいていた。

「わ、私とヒツギが同じって……どゆこと?」

でも、敢えて私はそう答えた。

なんでマトイが「それ」に気づいてしまったのか、知りたかったんだ。

 

「この間、アル君に聞いた。メディカルセンターで、あなたが気づかないまま残した言葉を」

マトイはそう答えて、瞑目する。

「『私のせいだ。私が止めなきゃいけなかった』」

「マトイ……」

碧い目を見開く。

ああ、覚えている。思い出したとも。

 

「……『これじゃあ、私が居る意味がない』」

「それは………」

それは、私が抱いていた鎖だ。

私自身を縛り付け……私をここに縛り付けるための。

 

ふと、動けない私の首元に、手が伸びた。

マトイは白い手で、私のチョーカーを外した。

「………これ、なんでしょう?」

……色味の違う、首筋の肌が露になった。

 

そして、マトイは。

私がずっと隠し続けてきた、本当の解を告げた。

「『転生(ジェネレート)計画』。『創られた存在』だってことが、あなたを苦しめていたんだ」

 




「ゴーストルール」
どうだっていい言を 嘘って吐いて戻れない
時効なんてやってこない 奪ったように奪われて

—————
ピエトロさんがだんだん別キャラになっていく……

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