ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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ご無沙汰してます。
すいません、本気でスランプ気味になってました。



SB5-2「かなしみのなみにおぼれる」

AP241;4/13 13:00

アークスシップ:メディカルセンター

 

「……しぬかとおもいました」

様子を見に来たヒューイの前で、しおれた声でアメリアスは呟いた。

スノウバンサーに負わされた傷は思いの外深く、すぐには治りそうにない状態だった。マギアセイヴァーの肩口からは、滅多に使われない保護シートが覗いている。

更にはフィリアに二日連続でこっぴどく叱られる憂き目にあい、守護輝士(ガーディアン)の少女はすっかりしょげかえっていた。

 

「すいませんでした、ヒューイさん……」

「なに、無事なら問題ない。しかし……さっきはどうしたんだ?」

首を振ったヒューイは、アメリアスに問いかける。

 

ヒューイが気にしていたのは、任務中の彼女の行動だった。

何度か共闘しているから知っている。彼女は確かに単騎突撃に走る傾向はあるが、それでも仲間を無視して突っ込むようなことはしない。

 

「た、単純な話ですよ…一番動けて殴れるのが私だったってだけで」

「ふむ…確かにそれもそうだがなぁ」

じぃっと、アメリアスの顔を覗き込む。

「な、なんですか……っ」

不躾な視線に声を上げたアメリアスは、すぐに肩を押さえてうずくまった。

 

「おわわ、ほ、本当に大丈夫なのか?」

「ち、ちょっと痛んだだけですから……」

たじろぐヒューイを宥めていると、不意にさっと視界に影が入った。

「アメリアスさん」

「フィ、フィリアさん……」

 

つい数分前に大目玉を喰らったので、意識しないまま背筋が伸びる。

フィリアはアメリアスを見下ろしたまま、

「すいません、さっき言い忘れてたのですが……怪我の程度から見て、2日間は出撃停止と判断しました。総務部には伝えてありますので……」

淡々と、そう伝えた。

「……!?ちょ、ちょっと待ってください!!」

肩口の痛みも忘れ、アメリアスは立ち上がった。

 

「ヒツギが…地球の事案における要保護対象が攫われたんですよ!?そんな悠長なこと言ってる場合じゃ」

「待て、アメリアス」

言い返したアメリアスの肩を、ヒューイが抑える。

「まだ彼女の行方すら掴めていないんだ、今は自分のことを考えたほうがいい」

「っ……」

正論だ。ヒツギが見つからない限り、手が打てるわけではない。

 

アメリアスは力なく、ベンチに座り込む。

「とにかく、今は安静にしててください。いいですね?」

「………はい」

完全に戦意を失った少女を、ヒューイはただ見つめるしかなかった。

 

AP241;4/13 14:00

アークスシップ:ゲートエリア

 

「二日間の出撃停止措置、だって」

メディカルセンターから出てきたステラは、待っていたアルにそう伝えた。

「?」「ああ、出撃停止ってのは……」

姉の状態を説明すると、アルの顔が曇る。

 

「アリスお姉ちゃん、大丈夫なの……?」

「……まあちゃんと治療もしてもらったし、すぐに復帰できると思う」

ステラはそれよりも、と続けて、

「問題はヒツギさんの行方だよ。助けに行こうにも、目途もないんじゃ……」

端末を覗き込み、ため息をついた。

 

これに関しては、自分たちに出来ることがない。シエラの解析を待つだけだ。

「お姉ちゃん……」

「つらいよね……何もしてあげられなくて、ごめん」

小さな背中を無力感が苛む。

悲しげな少年の顔を見るたびに、その思いは強まるばかりだった。

 

(……っけど、そんなことばっかも言ってらんない!)

自らを奮い立たせんと、ぱしぱしっと頬を叩く。

ずっとへこんでるワケにもいかない。自分だって、アークスだ。

「アル君!」

「え、う、うん……?」

 

アルの肩に手を乗せ、ずいっと顔を寄せる。

「約束する。ヒツギさんは絶対に助ける!姉ちゃんが駄目でも、私が!」

じっとアルの瞳を見つめ、ステラは宣言した。

 

「………」

ぽかんと口を開くアル。

その薄いリアクションに、ステラの白い肌がぽふんと赤くなった。

(……な、何言ってんだ私………!?)

色白なデューマンならではの見事な発色で、気恥ずかしさに俯くステラ。

 

その、矢先だった。

「あれ?ステラちゃん?」

自分を呼ぶ声に、ステラは振り向き。

そこに立っていた白髪のアークスを見て、こちらもぽかんと口を開けた。

「ま……ママママママトイさん!?いつの間に復帰なさってたんですか!?」

「う、うんついこの間……あ、アル君もこんにちはー」

 

視線を合わせたマトイに、アルは「こんにちはー!」と元気よく挨拶を返す。

「あれ、ステラもこのひとのこと知ってるの?」

「当たり前でしょ……!『守護輝士(ガーディアン)』の一人、創世器を携える、アークスの最終兵器(リーサルウェポン)!」

「ちょ、その紹介の仕方はちょっと……!」

 

もう、とため息をついたマトイは、メディカルセンターに目を向ける。

「もしかして、アメリアスのお見舞い?」

「はい……あの、姉の措置は」

「聞いてるよ。しばらく出れないって」

悔しそうに、マトイは答えた。

 

「わたしも予定を前倒しにして、地球事案のチームに加わることになったから。向こうの任務で一緒になることも多くなると思う」

「そうなんですか……!マトイさんが同行してくださるなら安心です!」

ぱぁっと目を輝かせるステラ。

「……でも、また好きに動けなくなる。守護輝士(ガーディアン)なのに」

「あー……」

憮然と付け足したマトイに、苦笑いを浮かべた時だった。

 

「あ、すいませんエンガさんから通信が……」

少し離れたベンチに座り、応答するステラ。

「エンガ……って、ヒツギのお兄さんだよね?今いないの?」

「えっと、あの……なんだかいそがしいみたい」

アルがたどたどしく答えている間に、ステラは通信を終えたらしく戻ってきた。

 

「すいません、ちょっとすぐに艦橋に行かなきゃなんですけど……」

言って、ステラはアルを見る。

「……あ、あの。アル君を部屋まで送っていただけないでしょうか」

「えっと、そんなに畏まらなくても……わかった。じゃあ一緒に行こうか、アル君」

お願いしますと言い残して、ステラはカタパルトに突っ走っていく。

 

残されたマトイは、ステラがテレポーターに消えるのを見送ると、

「……よし。アル君、ちょっといいかな」

さっと、アルの前にしゃがみ込んだ。

「?」

「さっきさ、何かステラちゃんに言おうとして言えてなかったでしょ?」

首をかしげるアルに、マトイは問いかける。

 

実はマトイが2人に気づいたのは、声を掛ける直前ではない。

最初は普通に通り過ぎようとしていたのだが、アルの態度に違和感を感じて、声を掛けた。

「ステラちゃんに、何て伝えようとしてたの?あ、言えないようなことだったら無理に……」

「……あの、アリスお姉ちゃんのことで」

ビンゴ。マトイの予想通りだった。

 

「ぼく、きのう一日中メディカルセンターにいたの。アリスお姉ちゃんといっしょに」

「そっか、2人ともメディカルチェック受けてたんだね。それで?」

頷いたマトイに、アルは少し逡巡した後に続ける。

「えっと、その……そのときに、アリスお姉ちゃんがなんか……」

「………!」

 

アルが伝えたアメリアスの「言葉」に、マトイは目を見開いた。

「……ありがとう、アル君」

そっと、アルの頭に手を乗せる。

「教えてもらってよかった。彼女のことは、わたしに任せて」

「う……うん」

 

きらりとこちらを見つめた瞳に、アルはおずおずと頷く。

「っとと、それじゃあ部屋に戻ろっか。どこか寄ってく?」

「ううん。一人でいるときはあんまり遠くにいかないでって言われたから」

アルはすくっと立ち上がって、ぱたぱたとテレポーターに走っていく。

 

マトイはそれを追って歩き出しながら、通信端末を耳に近づけた。

「もしもし……クーナさん?」

『はい、どうしたのマトイ……アリスのこと?』

通信に出た相手は、情報部次席、クーナ。

 

「そのことなんだけど……」

歩きながら一言二言話し、すぐに通話を終える。

その内容に頭がいっぱいで、アルのことは忘れてしまっていた。

「よし……あ、アル君!待って~~!」

いつの間にかテレポーターに入ろうとしていたアルの方へ、マトイは大慌てで走り出した。

 

 




「かなしみのなみにおぼれる」

不器用な自分を愛するのは 止めにすると決めたんだ

僕は 

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復帰早々申し訳ありませんが、定期テストが近いので次の更新は2週間後になります。

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