ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中) 作:超天元突破メガネ
ばたばたと忙しくしてるうちに一か月たってました。申し訳ありません。
この辺から本格的に原作介入が始まります。
ぼちぼち頑張りますので、気が向いたらまた見てってください。
SB5-1「最後のリボルバー」
A.P241:4/13 10:00
アークスシップ:艦橋
ラスベガスでの戦闘から、一夜が明け。
「……っあーーーーもう!あの人は何をしてるんですか!!」
朝方の艦橋に、シエラの声がこだました。
『……シエラさん、気持ちはわかるが』
シエラの目の前に展開されたウィンドウの向こうで、困り顔を浮かべるエンガ。
あの後緊急出撃したステラ達の手で、アルとアメリアスは一度シップに回収され、メディカルチェックに回された。
エンガはアースガイドへの報告の為ラスベガスに残り、今こうしてシエラと通信している。
の、だが。
「す、すいません。ただアメリアスさんの行動が、あまりにも予想外だったもので」
メディカルチェックを終えて早々、アメリアスが出払ってしまったのだ。
一先ず、管理官権限で出撃状況を確認する。
凍土に取り残されたアークスの回収任務に、サポートパートナーと同行しているようだ。
(現状については文書で伝えてあるから、大丈夫だと思うけど……)
念のためメディカルセンターのバイタルチェッカー(アメリアスがつけているチョーカーからデータが送られている)にアクセスしてから、シエラはエンガの方に向き直った。
「ヒツギさんの座標は、随時捜索しています……先日の戦闘以降、兆候は見られませんが」
報告を聞いたエンガの顔が、少し曇る。
『……わざわざありがとな、シエラさん』
「いえ…的確なサポートが出来なかった、私達にも責任はあります」
言って、シエラは俯いた。
突然の情報遮断……ベトールのときに続き、二度も後れを取ってしまった。シエラにしてみれば、負い目以外の何物でもない。
『貴女の責任じゃない。全部あのバカ妹が突っ走ったのが悪いんだ。あいつ、アルにまで手間かけさせやがって……そうだ、アルもそこにいるよな?』
シエラの後ろから、「あっ……」と声が漏れる。
背後に隠れていたアルは、おずおずとウインドウに顔を出した。
「……ごめんなさい。僕の代わりに、お姉ちゃんが」
『馬鹿、お前が謝る必要なんて微塵もねぇよ。むしろお前のおかげでヒツギの命が助かったんだ、礼を言っても足りないくらいさ』
「あ……そうだ、そのことなんですけれど」
シエラははっと思い出し、2人の会話に割って入った。
「確かにあの時一度、ヒツギさんのバイタルは完全に停止しました。アル君の蘇生でデッドラインからは回復しましたが……こちらで捕捉できたのは、そこまでです」
『やっぱりオフィエル……「水の使徒」の具現武装か。オークゥも通信を隔離したなんて口走ってやがったからな……』
得体のしれない具現武装に、見失ったヒツギとの繋がり。
行動を起こすには、とにかく情報が不足している。
シエラがため息を吐いた、その時だった。
『シエラ!聞こえるか!!』
別の通信が繋がり、青年の大声が響き渡った。
「うわっ……!えっと、ヒューイさん?そんなに大声でなくても聞こえますよ」
通信先を確認し、シエラは苦笑して返答する。
相手は「六芒の六」こと、戦闘部指令ヒューイ。いつもうるさいことで有名な「
いつもの調子だと思っていたシエラは、しかし次には驚愕することになった。
『緊急事態だ!共同任務にあたっていたアメリアスが、スノウバンサーにやられた!』
「はいいっ!!?」
ヒューイが伝えた内容は、紛れもない緊急事態だった。
A.P241:4/13 09:00
惑星ナベリウス:凍土
「リオ君、そっちに一体!!」
「———っ!!」
小さな体を脇に滑り込ませ、振り下ろされたグウォンダの小剣を躱す。
「このっ……!」
「ラ・グランツ!!」
反撃に転じようとしたところで、リオの頭を掠め、グウォンダを光の槍が貫いた。
「っわ……」
思わず伏せた頭を上げる。
グウォンダを射抜いた彼女の主は、既に黙々と歩きだしている。
「大丈夫かい、リオ君」
立ち上がったリオに、上から青年の声が降ってきた。
「ピエトロさん……うん、大丈夫……」
ぱたぱたと、アメリアスの下へ駆け寄る。
「………」
特に反応を返すことなく、歩き続けるアメリアス。
何時もなら眼下のリオヘッドに何か言ってくるところだが、一瞥もくれずにただ雪原に足跡を増やしている。
時折、先ほどのようにエネミーが現れても、
「邪魔ッ!」
すかさず魔装脚の刃で叩き割り、何事もなかったかのように指定の座標へ向かう。その繰り返し。
それはどう考えても、アメリアスというアークスに似つかわしくない様子だった。
「……っと。マイフレンド、この辺りで第二パーティと合流だよ」
「……ああ、そうでしたっけ」
ピエトロに声を掛けられ、アメリアスの足が止まる。
リオも足を止め、端末を確認した、その時。
「はーっはっはー!待たせたな、第一班!!」
青年の大声に間髪入れず、リオの背後の雪壁が爆発した。
「うわああああああああああっ!!!!?」
「おや、驚かせてしまったみたいだな!すまんすまん!!」
悪気のかけらもない謝罪と共に現れたのは、格闘戦用の戦闘服を纏った大柄な青年。
彼こそが六芒均衡の「六」、現戦闘部指令ヒューイである。
「何やってるんですか指令!リオさん吹っ飛ぶところでしたよ!?」
後ろからひょこりと、ステラ、もう一人のパーティメンバーらしい少女も顔を出す。
「流石指令!いつでも全力ですね!」
「あんたは一体のサポパの命運よりそっちなのかストっち!」
少女にツッコミを入れ、ステラは姉の方を見た。
「あ、姉ちゃん。そっち大丈夫だった?」
「うん、別に」
行きましょうとそっけなく返し、アメリアスはまた歩き出す。
「………どうしたんだ、今日に限って」
(……今日に限って、というか)
(ああいう人に塩対応は、マスターの常套手段……)
きょとんとするヒューイの横で、囁きあうリオとステラ。
「まあいいか!急ぐぞ、助けを求めるアークスがいるんだからな!」
少し怪訝な表情を浮かべたヒューイだったが、すぐに気を取り直して歩き出した。
数分後。クレバス地帯の奥で、無事通信途絶していたアークスが発見された。
「ふははは!俺達が来たからもう安心だぞ!!」
「座標送信完了。すぐにキャンプシップが来るって」
救援要請を終え、リオはヒューイの方を向いた。
「……相変わらず、気持ち悪いくらい元気」
「愚問だなリオ!……逆に俺が元気なかったら、それこそ気持ち悪いだろう?」
ご尤も、と苦笑を返す。
その後少し、リオはヒューイの世間話に付き合わされた。
本格的に地球での調査が始まり、六芒均衡といったエースが地球へ向かうことも増えた。
それでも彼は基本的に、オラクル側での任務に就いているという。
「若干、こちら側の対応が手薄になってしまっているからな。『深遠なる闇』の再封印は成功したとはいえ、ダーカーへの対処という問題は消えたわけじゃない」
適材適所というやつだと、ヒューイは笑う。
「オレ達がこちら、君たちがあちら。必要に応じて互いに協力するんだ。仲間とはそういうものだろう?」
リオはこくっと頷いて、視線を上げる。
「………」
彼女の主はどこかぼうっとした様子で、青空を見上げている。
「……で、そっちはどうなんだ?地球側の来訪者という人は元気なのか?」
え、とリオは声を上げた。
どうやら彼は本当に、地球側での事情を知らないらしい。
「………その」
しぶしぶ、先日の一件を話す。
「……そうか」
ヒツギが攫われたという事実に対する、ヒューイの返事はそれだけだった。
「そうか、って………それだけ……?」
「……そちらの事情を知らない俺に、何ができるという訳でもない。だからな」
ヒューイの手が、リオの頭に伸びる。
ぽんっと、小さな頭に手が置かれる。
「君たちに任す!君達なら、どうとでもなるだろうしな!」
そうだろアメリアスと、ヒューイは顔を上げ———
———そのまま、目を見開いた。
「アメリアスっ!!!」
雪を蹴り潰し、飛び出す。
何事かと振り向いたアメリアスは、直後迫るものに目を剥いた。
「な————っ!!」
身を捻り、肉薄した爪を回避する。
現れたのは、白い毛に覆われた狼型の原生種。
「スノウバンシー!?よりにもよってこのタイミングで!」
タクトを構えたピエトロに、アメリアスの声が突き刺さった。
「ストップ!ピエトロさん達は周囲警戒を、つがいが近くにいる可能性があります!!」
スノウバンシーは、ほとんど一体で狩りをするということはない。
つがいの種……「スノウバンサー」が、必ず近くにいる。
「だが君一人で……!!」
ピエトロの声を無視し、アメリアスはスノウバンシーへと突進した。
『———!!』
風を裂く爪を飛び越え、背中をジェットブーツで抉り抜く。
スノウバンシーは苦しげに呻くも、直ぐにアメリアスを振り払う。
「っ!」
落下したアメリアスに飛び掛からんとした、その刹那。
「目覚めろ、ワルフラーン!!」
そのどてっ腹に、燃える拳が突き刺さった。
「ヒューイさん……!」
「相変わらず危なっかしいな君は……っと!」
すかさず真正面、鼻面に正拳。
「止まったぞ!」「わかってます!!」
もんどりうったスノウバンシーに向かって、アメリアスが飛翔する。
「でやああああっ!!」
叩き込まれた渾身の一撃に、スノウバンシーは雪原に倒れた。
「………ふぅ、一丁上がりです」
「何が一丁上がりだ。パンサー種に真正面から突っ込むなんて」
息を吐いたアメリアスに、ヒューイが珍しく叱責を飛ばす。
「……この中で一番機動性があるのはブーツマンの私です。救護対象がいる以上時間もかけられませんし」
「む……それは、そうだが……」
言い淀んだヒューイは、どこか心配そうにアメリアスを見つめ、
「それでも無茶は………っ!」
瞬間、ヒューイとアメリアスの時間が止まった。
上空から飛び降りたスノウバンサーが、アメリアスの右手に着地し。
すぐに気づくはずの巨躯への、アメリアスの反応はわずかに遅れた。
「「—————!!」」
アメリアスの瞳が驚愕に染まる。
ヒューイが身を挺して割り込む間もなく、スノウバンサーの爪は少女に迫り。
「ま……マスターっ!!」
刹那、鮮血が雪原を紅く染めた。
「最後のリボルバー」
お願い 悪いのは全て私なんだから
そんな優しい顔をしないで
—————
スノウ夫妻大っ嫌いです。