ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中) 作:超天元突破メガネ
今回はちょっとグダグダかもです……
AD2028:4/10 16:43
地球:ラスベガス
ラスベガスが「黄金の都」と呼ばれる所以は、日没から後にある。
無数の街灯とネオンサインは、闇を斬り裂き、街を煌々と照らし上げるのだ。
そして、輝きが顔を出し始める夕暮れに。
人の消えた黄金の都は、砲火の吹き荒れる戦場と化していた。
「本部に近づけるな!出てきた先から殲滅しろ!」
「最低でも
アースガイドのエージェント達が、それぞれの手に具現した武器を握る。
それらが向けられる先にあるのは、新たなる幻創の徒。
チェーンソーを振り回し、爆弾を玩ぶ
サイドカーを乗り回す、首無しの
ラスベガスの幻創種が、次々と姿を現していた。
そして、アースガイド本部があるカジノのすぐ側。
「俺から離れるなよ、ヒツギ!」「うん!!」
本部直衛班の中で、幻創を駆る兄妹も、迫る敵と応戦する。
エンガの背でピエロ型を斬り伏せたヒツギの前で、エーテルが無数の
「っ……!」「どりゃあっ!!」
咄嗟にカタナコンバットを構えたヒツギの前に、暴風を纏ったアメリアスが着弾する。
「モーメントゲイルッ!!」
「よし!アメリアスは好きなだけ暴れてくれ!!」
「了解-!!」
バルチャーの群れを蹴散らし、アメリアスはすぐさま飛翔する。
(うわ、凄い———!)
空中から地上戦を見下ろし、思わず目を見開く。
銃、剣、弓、はたまた杖。
各々の意思が形を得て、幻創種を迎え撃っていた。
「うわあっ!!?」
「———危ないっ!」
拡張した視界に襲われるエージェントの姿を捉え、すかさずそこへ飛び込む。
「大丈夫ですか!?」「すいません、感謝します!!」
飛び掛かってきたピエロをテクニックで吹き飛ばし、再び飛翔。
それはあたかも、全てを飲み込む竜巻の様に。
たった一人の遊撃隊として、アメリアスは一帯を駆け巡る。
「おらあっ!…しっかし、規格外だなアイツは」
ピエロの乗った馬車型の幻創種を撃ち抜き、エンガは呟く。
アメリアスに与えられた全周視。それを最大限に発揮した、的確な支援と遊撃。
何より圧倒的な猛攻が、次々と幻創種を屠っていく。
エンガは確信した。
あの
「っ———!兄さん!!」
首無しライダーを切り払ったヒツギが、エンガの横で悲鳴を上げる。
レーダーマップに映る反応が、急激に増加したのだ。
「なんだこりゃ…!数もそうだが、なんでこんな広範囲に……!!」
「まずいぞヤサカ!こんな四方から攻め込まれたら……!!」
愕然とする本部直衛班の目の前にも、次々と新たな幻創種が具現する。
「クソっ!落ち着け!陣形だけは崩すな———」
エンガが叫んだ、その時。
「捉えた——!行け!!」
どこからか飛来した光の矢が、幻創種の群れの一体に突き刺さる。
するとそこから力場が生まれ、周りの幻創種を一か所に吸い寄せた。
「グラヴィティポイント!?いったいどこから……」
「いーーくーーぞーーー!!」
瞠目したヒツギの耳に、聞き覚えのある少女の声が飛び込む。
直後無数の光の刃が殺到し、幻創種の群れを纏めて駆逐した。
「大丈夫かヒツギ!」「すいません、遅くなりました!!」
唖然とするヒツギ達の前に、二人の少女が着地する。
「イオに……ステラ!?」
『お待たせしました、アースガイドの皆さん!!』
シエラの声と同時に、レーダーマップに友軍反応が現れる。
『アークス増援部隊、これよりアースガイドの援護に入ります!!』
それは、あの東京での戦いの再演のように。
「ステラ!?来てくれたの!?」
一周回って戻ってきたアメリアスが、ステラを見て金の瞳を見開く。
「いぐざくとりー!あと、こんなのも連れてきたよ!!」
ステラは笑顔で答え、右手で後ろを指す。
そこにはカタパルトのようなパネルが設置され、小さな乗り物が繋留されていた。
「これって…『ライドロイド』!!」
『はい!広大なラスベガスで、満を持して実戦投入です!!』
ライドロイド。
広域調査を効率よく行うため、AISの技術を転用して開発した、高速飛行特化モジュールである。
「直衛はおれとステラが就く、センパイはエネミーの集中地帯に突っ込んでくれ!」
「ありがと、じゃあそっちは任せるね!!」
戦線に加わるステラ達と交錯し、アメリアスはライドロイドに飛び乗る。
「ちゃんと動いてよ…うわあっ!!」
アメリアスを乗せたライドロイドは急上昇し、ビルの間を駆け抜けて飛び去っていく。
「……大丈夫なのかあれ」
「まあ飛ぶだけですし…私たちはこちらの防衛に集中しましょう!」
ヒツギとステラが斬り込みをかけ、エンガとイオが援護射撃に入る。
ラスベガスの日は、とうに落ちていた。
AD2028:4/10 17:30
地球:ラスベガス
「いよい、っしょお!」
ライドロイドを強引に乗り捨て、私はカジノから北のビル街へ飛び降りた。
アースガイドの人たちはこちらまで来ていないが、増援のアークスが交戦を開始している。
「アメリアスさん!」「タキさん!援軍ありがとうございます!!」
ニューマンの青年は「なんの!」と言って、眼前のピエロを殴り倒す。
「この辺が一番敵が多いみたいですね……」
「何か起点みたいなのがあるんすかね。とにかく殲滅するっす!!」
ブーツを再装備した私の前に、円盤のようなエネミーが現れる。
「な、何!?」
円盤の周囲には不気味な小人のような影が現れ、こちらへと光線銃を向ける。
「っ!!」
いつものイル・ザンを浴びせ、怯んだところにグランヴェイヴを叩きこむ。
「よっと…なんか、変なのがたくさん出てくるなここ」
墜落する円盤に合わせて着地し、私はふうっと溜息を吐いた。
とはいえ、東京に出現した幻創種と弱点は同じ。
数で攻めてくるのであれば、まとめて薙ぎ払えばいいだけだ。
「ちゃんと受けてくださいよ!シフタストライク!」
「ありがとうございます!一気に行きますよ!」
疲れてきたのでデュアルブレードに持ち替え、フォトンブレードを展開する。
「ディスパースシュライク!……相変わらず有能すぎるでしょコレ」
円盤を纏めて串刺しにし、反転。背後の首無しライダーにフォトンブレードを叩きこむ。
フォトンブレード・フィーバー。一時的だがデュアルブレードのリミッターを外し、展開できるブレードの数を倍増させる。
そしてフォトンブレードには、フォトンの回収機能もある。つまりどういうことか。
「これが強いんだよね……行けえっ!」
無限ループって、怖くないですか?
ディスパースシュライクとフォトンブレードの乱打で、周りの幻創種はあっという間に一掃された。
更に着地した私の背後で、法撃爆発が吹き荒れる。
「こっちも片付いたっす!」
「早いですね…!流石です!」
タキさんと合流し、レーダーの反応を見る。
アークスの加勢から数十分で、広域に広がった幻創種は粗方片付いていた。
「だいぶ減りましたね……うわっ!」
「おっと、すまん!!」
気を抜いた私の目の前を、ライドロイドに乗ったアークスが掠めていく。
「……まあこれなら、早く終わりますよね」
「なかなかどうして、便利な乗り物っすよね、あれ」
私のつぶやきに、タキさんが頷きを返す。
そのまま一息つきかけたところで、レーダーに大型の反応が現れた。
「大…いや中型種…ここ!?」
『アメリアスさん、タキさん!大きいのが来ますよ!!』
身構えた私たちの前に、巨大なエーテルの光球が顕れる。
光が形どるのは、長い車体に幾つかの乗用車を格納した大型車両。
「トレーラー……なんでトレーラー!?」
「わかんないっすけど…こいつが親玉みたいっすね!」
タキさんの支援テクニックを受け、私はトレーラーに突進する。
それに応じたトレーラーは、キャリアーから自動車をミサイルのように飛ばしてきた。
「うわあっ!そ、そういうことしてくる!?」
慌てて側面に移動し、フロントに突進蹴りをかける。
するとクラクションで攻撃してきたり、タックルしてきたり…やっぱり、動きが現実離れすぎる!
「真正面からは厳しいっすね……」
「何か弱点を…車……車なら……!」
何となく思いつく…けど、これでは近寄ることすら難しい。
「っ……!」
私が後退し、トレーラーを睨んだ、その時。
「イル・ザン!!」
「……エンドアトラクト」
頭上を掠める、風弾と光弾。
援護射撃はは車輪を撃ち抜き、トレーラーはもんどりうつように横転した。
「
「当たり前……」
聞こえてきた声に、驚いて背後を見る。
タキさんのパーティ、だろうか。3人のアークスが、援護に駆け付けたのだ。
「クリスとディオは動きを見て後方支援、ジョシュアさんはアメリアスさんと一緒に接近戦を!」
「頼むぜ
キャストのペアがライフルを手に散開し、私はヒューマンの先輩と共に、横転したトレーラーへ斬り込みをかける。
「今なら!」
正面に現れたマーカーへ突撃し、ジェットブーツの出力を上げる。
「ヴィントジーカー!」
「では俺も…!ノヴァストライク!」
痛撃を打ち込んだところで、足元にロックオンマーカーが現れる。
「射線開けてくださいーー!!」「サテライトカノン……発射!」
レンジャーのとっておき、必殺の砲撃が突き刺さる。
トレーラーは先頭車両をひしゃげさせ、そのまま掻き消えた。
「よっしゃあ!」
「撃破完了っす!」
私とジョシュアさんの側に、後方支援していたタキさん達が駆け寄る。
「ふぅ……すいません、協力感謝します」
「なんの。普段通りの仕事をしたまでだ」
しゃべっていると、全員の端末に通信が入る。
『通達します!ラスベガスに出現した幻創種、全滅を確認!』
終わった。
それを伝えたシエラの通信に、どっと安堵がこみ上げる。
「終わった、みたいっすね」
「すぐに帰還準備も整うと思います。私は、もうしばらくこちらにいることになりますが…」
「そうっすね。室長に『元気そうだった』って伝えておくっす」
私は苦笑して、お願いします、と答えた。
『——もしもし、アメリアス!?』
「おおっとヒツギ!?そっちは大丈夫!?」
忘れかけていた。あっちはステラとイオが行ってたはずだけど……
『優秀なアークスの皆さんのおかげで。アースガイドの人たち、戦いながらずっと驚いてたわ』
嬉しそうに言うヒツギの横から、エンガさんの声が割って入る。
『いやはや、本当に助かった。こっちも作戦終了の通達が来たから、またカジノの近くまで戻って来てくれ』
了解、と返し、通信を終える。
「じゃあ、自分たちはこれで」
「はい。お疲れさまでした」
帰還ポイントへ戻るタキさんたちと別れ、本部の方へ戻る。
「—————?」
と、
何か視線のようなものを感じ、私は思わず立ち止まった。
「何……?」
全方位に視界を飛ばすも、気を抜いて反応が遅れてしまった。周りに誰かいる様子はない。
「………まあ、いっか」
私は一応周りを警戒しながら、再び歩き出した。
「残響」
嗚呼 今 繰り返す名を
赤い華も踊る 夜に哮る その残響を
さあ 今 語られる名を
泡沫の命と今名付けようか
―――――
ちょっとのんびりしすぎたので駆け足モード。
ライドロイド出したのもそういうことです。