ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

61 / 71
久々の戦闘シーンでちょっと感覚を忘れていました。
今回はちょっとグダグダかもです……


SB4-6「残響」

AD2028:4/10 16:43

地球:ラスベガス

 

ラスベガスが「黄金の都」と呼ばれる所以は、日没から後にある。

無数の街灯とネオンサインは、闇を斬り裂き、街を煌々と照らし上げるのだ。

 

そして、輝きが顔を出し始める夕暮れに。

人の消えた黄金の都は、砲火の吹き荒れる戦場と化していた。

「本部に近づけるな!出てきた先から殲滅しろ!」

「最低でも二人一組(ツーマンセル)を維持!包囲されないように気を付けて!!」

アースガイドのエージェント達が、それぞれの手に具現した武器を握る。

 

それらが向けられる先にあるのは、新たなる幻創の徒。

チェーンソーを振り回し、爆弾を玩ぶ道化師(ピエロ)

サイドカーを乗り回す、首無しの暴走族(デュラハン)

ラスベガスの幻創種が、次々と姿を現していた。

 

そして、アースガイド本部があるカジノのすぐ側。

「俺から離れるなよ、ヒツギ!」「うん!!」

本部直衛班の中で、幻創を駆る兄妹も、迫る敵と応戦する。

エンガの背でピエロ型を斬り伏せたヒツギの前で、エーテルが無数のハゲタカ(バルチャー)を形どった。

 

「っ……!」「どりゃあっ!!」

咄嗟にカタナコンバットを構えたヒツギの前に、暴風を纏ったアメリアスが着弾する。

「モーメントゲイルッ!!」

「よし!アメリアスは好きなだけ暴れてくれ!!」

「了解-!!」

バルチャーの群れを蹴散らし、アメリアスはすぐさま飛翔する。

 

(うわ、凄い———!)

空中から地上戦を見下ろし、思わず目を見開く。

銃、剣、弓、はたまた杖。

各々の意思が形を得て、幻創種を迎え撃っていた。

 

「うわあっ!!?」

「———危ないっ!」

拡張した視界に襲われるエージェントの姿を捉え、すかさずそこへ飛び込む。

「大丈夫ですか!?」「すいません、感謝します!!」

飛び掛かってきたピエロをテクニックで吹き飛ばし、再び飛翔。

それはあたかも、全てを飲み込む竜巻の様に。

たった一人の遊撃隊として、アメリアスは一帯を駆け巡る。

 

「おらあっ!…しっかし、規格外だなアイツは」

ピエロの乗った馬車型の幻創種を撃ち抜き、エンガは呟く。

アメリアスに与えられた全周視。それを最大限に発揮した、的確な支援と遊撃。

何より圧倒的な猛攻が、次々と幻創種を屠っていく。

 

エンガは確信した。

あの守護輝士(ガーディアン)は、やはり一流の戦士だと。

「っ———!兄さん!!」

首無しライダーを切り払ったヒツギが、エンガの横で悲鳴を上げる。

レーダーマップに映る反応が、急激に増加したのだ。

 

「なんだこりゃ…!数もそうだが、なんでこんな広範囲に……!!」

「まずいぞヤサカ!こんな四方から攻め込まれたら……!!」

愕然とする本部直衛班の目の前にも、次々と新たな幻創種が具現する。

「クソっ!落ち着け!陣形だけは崩すな———」

エンガが叫んだ、その時。

 

「捉えた——!行け!!」

どこからか飛来した光の矢が、幻創種の群れの一体に突き刺さる。

するとそこから力場が生まれ、周りの幻創種を一か所に吸い寄せた。

「グラヴィティポイント!?いったいどこから……」

「いーーくーーぞーーー!!」

瞠目したヒツギの耳に、聞き覚えのある少女の声が飛び込む。

 

直後無数の光の刃が殺到し、幻創種の群れを纏めて駆逐した。

「大丈夫かヒツギ!」「すいません、遅くなりました!!」

唖然とするヒツギ達の前に、二人の少女が着地する。

「イオに……ステラ!?」

『お待たせしました、アースガイドの皆さん!!』 

 

シエラの声と同時に、レーダーマップに友軍反応が現れる。

『アークス増援部隊、これよりアースガイドの援護に入ります!!』

それは、あの東京での戦いの再演のように。

星の護り手(アークス)は、新たな惑星のために舞い降りた。

 

「ステラ!?来てくれたの!?」

一周回って戻ってきたアメリアスが、ステラを見て金の瞳を見開く。

「いぐざくとりー!あと、こんなのも連れてきたよ!!」

ステラは笑顔で答え、右手で後ろを指す。

そこにはカタパルトのようなパネルが設置され、小さな乗り物が繋留されていた。

 

「これって…『ライドロイド』!!」

『はい!広大なラスベガスで、満を持して実戦投入です!!』

ライドロイド。

広域調査を効率よく行うため、AISの技術を転用して開発した、高速飛行特化モジュールである。

 

「直衛はおれとステラが就く、センパイはエネミーの集中地帯に突っ込んでくれ!」

「ありがと、じゃあそっちは任せるね!!」

戦線に加わるステラ達と交錯し、アメリアスはライドロイドに飛び乗る。

「ちゃんと動いてよ…うわあっ!!」

アメリアスを乗せたライドロイドは急上昇し、ビルの間を駆け抜けて飛び去っていく。

 

「……大丈夫なのかあれ」

「まあ飛ぶだけですし…私たちはこちらの防衛に集中しましょう!」

ヒツギとステラが斬り込みをかけ、エンガとイオが援護射撃に入る。

ラスベガスの日は、とうに落ちていた。

 

 

AD2028:4/10 17:30

地球:ラスベガス

 

「いよい、っしょお!」

ライドロイドを強引に乗り捨て、私はカジノから北のビル街へ飛び降りた。

アースガイドの人たちはこちらまで来ていないが、増援のアークスが交戦を開始している。

「アメリアスさん!」「タキさん!援軍ありがとうございます!!」

ニューマンの青年は「なんの!」と言って、眼前のピエロを殴り倒す。

 

「この辺が一番敵が多いみたいですね……」

「何か起点みたいなのがあるんすかね。とにかく殲滅するっす!!」

ブーツを再装備した私の前に、円盤のようなエネミーが現れる。

「な、何!?」

円盤の周囲には不気味な小人のような影が現れ、こちらへと光線銃を向ける。

 

「っ!!」

いつものイル・ザンを浴びせ、怯んだところにグランヴェイヴを叩きこむ。

「よっと…なんか、変なのがたくさん出てくるなここ」

墜落する円盤に合わせて着地し、私はふうっと溜息を吐いた。

 

とはいえ、東京に出現した幻創種と弱点は同じ。

数で攻めてくるのであれば、まとめて薙ぎ払えばいいだけだ。

「ちゃんと受けてくださいよ!シフタストライク!」

「ありがとうございます!一気に行きますよ!」

疲れてきたのでデュアルブレードに持ち替え、フォトンブレードを展開する。

 

「ディスパースシュライク!……相変わらず有能すぎるでしょコレ」

円盤を纏めて串刺しにし、反転。背後の首無しライダーにフォトンブレードを叩きこむ。

フォトンブレード・フィーバー。一時的だがデュアルブレードのリミッターを外し、展開できるブレードの数を倍増させる。

そしてフォトンブレードには、フォトンの回収機能もある。つまりどういうことか。

 

「これが強いんだよね……行けえっ!」

無限ループって、怖くないですか?

ディスパースシュライクとフォトンブレードの乱打で、周りの幻創種はあっという間に一掃された。

 

更に着地した私の背後で、法撃爆発が吹き荒れる。

「こっちも片付いたっす!」

「早いですね…!流石です!」

タキさんと合流し、レーダーの反応を見る。

アークスの加勢から数十分で、広域に広がった幻創種は粗方片付いていた。

 

「だいぶ減りましたね……うわっ!」

「おっと、すまん!!」

気を抜いた私の目の前を、ライドロイドに乗ったアークスが掠めていく。

「……まあこれなら、早く終わりますよね」

「なかなかどうして、便利な乗り物っすよね、あれ」

 

私のつぶやきに、タキさんが頷きを返す。

そのまま一息つきかけたところで、レーダーに大型の反応が現れた。

「大…いや中型種…ここ!?」

『アメリアスさん、タキさん!大きいのが来ますよ!!』

身構えた私たちの前に、巨大なエーテルの光球が顕れる。

 

光が形どるのは、長い車体に幾つかの乗用車を格納した大型車両。

「トレーラー……なんでトレーラー!?」

「わかんないっすけど…こいつが親玉みたいっすね!」

タキさんの支援テクニックを受け、私はトレーラーに突進する。

 

それに応じたトレーラーは、キャリアーから自動車をミサイルのように飛ばしてきた。

「うわあっ!そ、そういうことしてくる!?」

慌てて側面に移動し、フロントに突進蹴りをかける。

するとクラクションで攻撃してきたり、タックルしてきたり…やっぱり、動きが現実離れすぎる!

 

「真正面からは厳しいっすね……」

「何か弱点を…車……車なら……!」

何となく思いつく…けど、これでは近寄ることすら難しい。

「っ……!」

私が後退し、トレーラーを睨んだ、その時。

 

「イル・ザン!!」

「……エンドアトラクト」

頭上を掠める、風弾と光弾。

援護射撃はは車輪を撃ち抜き、トレーラーはもんどりうつように横転した。

 

守護輝士(ガーディアン)、生きてるかーー!」

「当たり前……」

聞こえてきた声に、驚いて背後を見る。

タキさんのパーティ、だろうか。3人のアークスが、援護に駆け付けたのだ。

 

「クリスとディオは動きを見て後方支援、ジョシュアさんはアメリアスさんと一緒に接近戦を!」

「頼むぜ守護輝士(ガーディアン)!」「はい!突貫します!!」

キャストのペアがライフルを手に散開し、私はヒューマンの先輩と共に、横転したトレーラーへ斬り込みをかける。

 

「今なら!」

正面に現れたマーカーへ突撃し、ジェットブーツの出力を上げる。

「ヴィントジーカー!」

「では俺も…!ノヴァストライク!」

痛撃を打ち込んだところで、足元にロックオンマーカーが現れる。

 

「射線開けてくださいーー!!」「サテライトカノン……発射!」

レンジャーのとっておき、必殺の砲撃が突き刺さる。

トレーラーは先頭車両をひしゃげさせ、そのまま掻き消えた。

 

「よっしゃあ!」

「撃破完了っす!」

私とジョシュアさんの側に、後方支援していたタキさん達が駆け寄る。

「ふぅ……すいません、協力感謝します」

「なんの。普段通りの仕事をしたまでだ」

 

しゃべっていると、全員の端末に通信が入る。

『通達します!ラスベガスに出現した幻創種、全滅を確認!』

終わった。

それを伝えたシエラの通信に、どっと安堵がこみ上げる。

 

「終わった、みたいっすね」

「すぐに帰還準備も整うと思います。私は、もうしばらくこちらにいることになりますが…」

「そうっすね。室長に『元気そうだった』って伝えておくっす」

私は苦笑して、お願いします、と答えた。

 

『——もしもし、アメリアス!?』

「おおっとヒツギ!?そっちは大丈夫!?」

忘れかけていた。あっちはステラとイオが行ってたはずだけど……

『優秀なアークスの皆さんのおかげで。アースガイドの人たち、戦いながらずっと驚いてたわ』

嬉しそうに言うヒツギの横から、エンガさんの声が割って入る。

『いやはや、本当に助かった。こっちも作戦終了の通達が来たから、またカジノの近くまで戻って来てくれ』

 

了解、と返し、通信を終える。

「じゃあ、自分たちはこれで」

「はい。お疲れさまでした」

帰還ポイントへ戻るタキさんたちと別れ、本部の方へ戻る。

 

「—————?」

と、

何か視線のようなものを感じ、私は思わず立ち止まった。

「何……?」

全方位に視界を飛ばすも、気を抜いて反応が遅れてしまった。周りに誰かいる様子はない。

 

「………まあ、いっか」

私は一応周りを警戒しながら、再び歩き出した。

 




「残響」
嗚呼 今 繰り返す名を
赤い華も踊る 夜に哮る その残響を
さあ 今 語られる名を
泡沫の命と今名付けようか

―――――
ちょっとのんびりしすぎたので駆け足モード。
ライドロイド出したのもそういうことです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。