ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中) 作:超天元突破メガネ
アメリアスにキレ芸をしてほしかった(ユニーク5並感)
AD2028:4/7 19:37
地球:東京
「ベトール・ゼラズニィ…!!」
「…だが、それだけでは足りない!俺が君たちに、君たちのようなアクターに期待しているのは、それだけじゃない」
漸く現れた演者たちに、ベトールは告げる。
彼女たちに求めるのはただ一つ。
本当の恐怖に、絶望に染まりかけたナマの
そのために、ベトール・ゼラズニィは力を振るう。
「…COME ON!!」
鳴らされるクラッパーボード。
同時に、二者の間に爆発が巻き起こる。
「このっ………!?」
爆風に顔を庇ったヒツギは、直後現れたものを見て瞠目する。
砂埃の奥、ベトールに付き従うように現れたのは、2体のブラウンベアだった。
「これって……っ!!」
再びの爆風。さらに数体のラットファムトが、アメリアスの前に具現する。
「爆発から、幻創種を…!!」
「どうして…!?あんたの具現武装は、爆弾なんじゃ!!」
「ノーノーノーノーノーォウ!!大きな間違いだぜガールズ!!」
驚愕する2人に、ベトールは揚々と告げた。
「俺の能力は
SFX。
映像作品において古くから試みられていた「ありえない光景」の追求。
今こそ動画を撮影後に処理するCG技術が発達しているが、かつては火薬や電飾といった撮影中の特殊効果がそれを担っていた。
「……また、古風な能力じゃない」
「ハ、言うと思ったぜ……確かにこいつは、ロートルと馬鹿にされ続けた技術だ…だが!!」
閃光、旋風。様々な演出に合わせ、次々と幻創種が具現していく。
「俺の力で、俺のこの手で!今の世に復活した、最高最大のフィルムテクニックだ!!!」
高らかに両腕を掲げるベトール。
それと同時に、3人のいる交差点以外の電灯が消える。
闇の中に、演者たちが光を受ける。
「フィルムをよりエキサイティングに!クレイジーに!センセーショナルに仕上げるのが俺の役目!エーテルとは願いをカタチにするもの……これが俺の、エーテルの使い方さ!!!」
「ふざけんじゃないわよ!!そんなことのためにいろいろなものを巻き込んで……!あんた、何様のつもりよ!!!」
ヒツギは、吼えた。
この男だけは許せない。純粋な怒りが、少女の中で渦巻く。
「八坂火継、ユーもマザー・クラスタに入る時に言われたはずだ。俺たちは選ばれた、力を持つ存在なんだと!」
そして、男は嗤った。
「その力を以て、己の望みを果たす!己の欲望を満たす!『
自らの力の意味を、与えられたものの意味を理解できない、愚かな少女を笑った。
――しかし、男は気づいていなかった。
「話はそこまで?」
金色の双眸が、ずっとこちらを見つめていたことに。
「アークス…ユーのカオはいまいちだな。強がりはカッコ悪いz…」
「――いい加減にしろ、ド三流!」
ベトールの声を遮り、アメリアスは言い放った。
「なんだと……!!」
「下らない御託をべらべらと…貴方は手段と目的をはき違えて、過去の栄光にすがっているだけだ!!」
稲妻のような眼を向けたまま、白刃のガンスラッシュを突きつける。
「アメリアス…!」
「貴方のふざけた欲望と……ヒツギの願いを一緒にするな!!!」
「黙れェ!!俺の希望を理解できない雌豚共がぁ!!!」
激昂したベトールが、クラッパーボードを打ち鳴らす。
その音に呼応して、ゾンビ型やT-REXが嘶く。
「いいだろう、ラストシーンだ…!!恐怖に溺れて惨めに死ねェ!!」
「いい加減にしろ、クソ監督!!」
ヒツギは飛び出し、「天羽々斬」を振り上げる。
「この力は、自分のためだけに使うものじゃない!この剣は…大切なものを守るためのものだ!!」
ヒツギが叫んだ、その時。
「よく言った!八坂ヒツギ!!」
街灯の消えた闇の中から、透き通るような声がこだました。
「え?」「は?」
二人の声が重なる。
次の瞬間―――両側にいたT-REXが、十文字に斬り裂かれた。
「「「なっ……!!?」」」
その場にいた全員が、目を見開く。
街の光が戻り、飛び込んできた影を照らし出す。
「決まったぁ!どうだ姉ちゃん!!」
現れたのは、スターフリサをかざした守護輝士の妹と、
「突入成功…シエラ、作戦をフェイズ2に!」
消え行くT-REXの上で通信を送る、守護輝士の従者だった。
「ステラに、リオ……!?」
アメリアスはレーダーに目をやる。表示はジャミングされたまま。
「馬鹿な…!なぜ俺達の座標を!!」
ステラは不敵に笑って、交差点を横切りだす。
「レーダーをジャミングして、援軍を封じる…悪い発想じゃありませんでしたけど」
ステラは反対側で立ち止まると、リオの頭をとんとんと撫でた。
「ボクとマスターの通信を、逆探知した……!」
「レーダーが使えないように『見せかける』ことはできても、視界どころか意識にもないところは誤魔化せなかったみたいですね、監督さん!!」
ステラはリオを連れ、アメリアスの元へ駆け寄る。
「もう、何やってるのさ姉ちゃん。こんなやつ早くぶっ飛ばしちゃえばいいのに」
「わけのわからない登場した上に、なかなか無茶言ってくれるなこの愚妹は…!」
アメリアスは思わずため息を漏らして、軽く辺りを視る。
こちらを取り囲む幻創種。この交差点の外にだって、まだ相当な数がたむろしているのだ。
「そうだアークス!二人増えたところで何ができる…!」
「はぁ……わかってないなぁ」
ステラは姉の真似のようにため息をついて、二者の間に立つ。
そして両腕を広げ、高らかに叫んだ。
「今宵語るは夜霧の幻、嵐雲を衝く悪魔の猟団!!」
街のあちこちから、銃声と砲声が轟く。
「街を覆うは百鬼夜行、闇を翔けるはワイルドハント!!」
通信端末が鳴り、アメリアスははっとしてオペレーターに繋げる。
『アメリアスさん、ヒツギさん!ご無事ですか!?』
「シエラ…!!いったい何なのこれ!!」
『それはですね…もう一回レーダーを見てください!』
シエラの指示通り、三度レーダーを立ち上げる。
いつの間にか解析は復帰し、表示された情報には、
「これって…!」
アークスでも幻創種でもない、大量の具現武装反応があった。
『[アースガイド]よりアークスへ!シブヤ区一帯の制圧完了!!』
『了解、ご協力感謝します!引き続きフェイズ3の遂行を!!』
第三勢力の反応が動くたびに、次々と、幻創種の反応が減少していく。
「『アースガイド』…!!?」
『はい!地球に存在した、マザー・クラスタへの対抗組織です!!』
問い詰めるアメリアスに。歓喜の声で答えるシエラ。
するとアメリアスの端末に、
『守護輝士…アメリアス、って言ったか。今日までの対応、感謝する』
「……っその声…!?」
驚愕する。
端末から聞こえてきた青年の声に、アメリアスは聞き覚えがあった。
『バカな妹が迷惑をかけた。ちょっとばかり、埋め合わせをさせてくれ』
通信が終わる。
それとほぼ同時に、アメリアスたちの後方にいた幻創種が軒並み吹き飛ぶ。
「そして、幻創の猟団を率いるは………!!」
驚いて振り向くアメリアスとヒツギをよそに、ステラは踊るように後方を示す。
「霊界より至りし、嵐の王に他ならない!!」
そこに、立っていたのは。
「よ。元気そうだな、バカ妹」
「兄、さん……!!!」
ツインマシンガンを携えた、赤髪の青年だった。
「ヒツギのお兄さん……!?あのとき爆死したはずじゃ…!」
「あんな見え見えの罠引っかかるか。ちょっとしたトリックだよ」
エンガはアメリアスに笑いかけ、ベトールに銃口を向ける。
「HOLY SHIIIIIIIIIIIIIIIIIT!!!俺の舞台が、俺の作り上げたステージが……!!」
ベトールが吼える。
その怒りの律動に応じるかのように、残った幻創種が輝きを増す。
「ここで纏めて…消してやる!それでエンディングだ!!」
「オイオイ、今日びそんな脚本で許されるかよ…いいや、こんな三文芝居にはお似合いかもな!」
エンガは愉悦たっぷりに笑って、アメリアスたちを見た。
「というわけで…長かった撮影も大詰めらしい。あと少し、力を貸してくれるか?」
「…愚問ですよ、エンガさん。こんなくだらない妄執、見てられません」
風が流れる。
アメリアスを先頭に、星の護り手たちが得物を構える。
「お前はどうする、ヒツギ?ちょっと休んでるか?」
「ばっ…馬鹿言わないで!戦うわよ、あたしも!」
ヒツギも「天羽々斬」を携え、そこに並ぶ。
「……何度でも言うわ。この剣はあたしの願いそのもの…守るためにあたしに応じてくれた、希望!」
雄叫びを上げ、幻創種が襲い掛かる。
「この願いで、あたしは!勝つ!!」
振り下ろされた願いの刃は、襲い来る敵を斬り裂いた。
「Call of Justice」
さあ、武器を翳せ。
研ぎ澄ました瞳の奥。守り抜く、鋼の意思を宿した。