ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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少しずつ、更新ペースを上げていこうと思っています。


SB1-2「結ンデ開イテ羅刹ト骸」

AP241:3/22 15:20

アークスシップ:ゲートエリア

 

「すいませんっ、通して下さい!」

数分前までカフェで休んでいたメディカルセンター職員、フィリアは、臨戦区域を駆け回っていた。

その理由は、、、センター職員用の端末に表示された、緊急ウインドウが示している。

「アメリアスさん、、、!」

それは、簡易的に表示された、アメリアスのバイタルデータ。

彼女が普段から着けている、チョーカーから送られて来たものだ。

「す、ステラさん!どいてくださいっ!」

「うわっ、、、!フィリアさん!?どうしたの!?」

非戦闘員らしからぬスピードで疾走するフィリアに、側にいたステラはぎょっとして跳びのく。

「アメリアスさんが大変なんです!」

「ね、姉ちゃんが!?」

慌ててついていくステラ。すぐに、メディカルセンターに到着する。

「とおっ!」

フィリアはメディカルセンターの受付に手をつき、ばっとカウンターを飛び越えた。

着地と同時にセンター内端末を立ち上げ、素早く操作する。

「前頭葉機能低下、、、頭頂葉、扁桃体活性化、、、これは、、、!」

「えちょ、どうなってるの!?」

不意に、混乱するステラの肩が、ととんと叩かれる。

後ろを見ると、手を伸ばしていたのはイオだった。

「イオさん、、、?」

「とりあえず落ち着け、、、尤も、落ち着いてもいられないけどな、、、」

見ればフィリアは、アメリアスのオペレーター、、、おそらくシエラだろう、、、と連絡を取っているようだ。

「はい、、、とにかく引き離して下さい、、、えっ!?」

いきなり驚いた声をあげ、視線をウインドウに向けている。

「はい、、、わかりました」

不安げな顔で、フィリアは通信を切った。

「フィリアさん、センパイは、、、」

「、、、変異遺伝子の作用による、暴走が確認されました。直後ダーカーの攻撃にあい、気絶したそうです。」

「そうか、、、よかった、と言っていいのかわからないけど、、、」

複雑な顔をするイオ。

「だから、姉ちゃんに何が起きたの!」

不安を抑えきれず、ステラはフィリアに詰め寄る。

「アメリアスさん、ステラさんには話してなかったんですね、、、わかりました」

フィリアは真剣な眼差しで、ステラに向き直った。

「アークスは、体内に蓄積されたダーカー因子の自浄作用を持っているのはご存知ですよね?」

頷くステラ。

「アメリアスさんは、その自浄作用が働かない状態が続くと、、、正確には、この自浄作用が、同時に症状を食い止めているんですが、、、強烈な戦闘衝動に襲われる身体なんです。」

「そんな、、、」

どうして、と言いかけ、ステラは気づいた。

訳を聞くまでもない。そんなこと、ステラには分かりきっていた。

否、、、ステラだからこそ、わかった。

「旧アークス研究部、、、『虚空機関(ヴォイド)』の行っていた、人体実験、、、」

「はい、、、『転生(ジェネレート)計画』による、デューマンへの強制変異が、原因です。」

 

一度部屋に戻ったステラは、ふと思いつき、アメリアスのルームにアクセスした。

「姉ちゃん、こういう所で不用心なんだよな、、、」

イオから、「アメリアスは大抵部屋を開けている」という事を聞いていたステラは、そっと部屋に入る。

コールドスリープ前に一通り片付けられた部屋には、家具は一つもない。おそらく、一度も部屋には来ていないのだろう。

ステラは部屋にあったビジフォンを立ち上げると、アーカイブにアクセスする。

「あった、、、」

ステラの目当ては、「転生計画」の記録。

ステラは治療中、とある人物から、アメリアスが個人的に「転生計画」の記録を保存しているのを聞いていた。

整然と表示されるレポート様式の記録を、上から眺めていく。

「転生計画、、、虚空機関が目標としていた、『限界を超えた個体の制御』の一環として計画された、人体実験、、、」

デューマンは、キャストと並んで特異な外見をもった種族だが、あちらと違ってあくまで先天的、、、デューマンは、生まれつきデューマンである。

4つの種族の中でも、より攻撃性に突出した種族であるデューマンを、人工的に作り出す。

それが、「転生」の意味だった。

「被験体はヒューマン、ニューマンから2名ずつ、、、ヒューマンってのは、私と姉ちゃんの事か、、、」

小難しい理論をすっ飛ばし、結果の項を見る。

「幸いにも、被験体に死亡者は無し、、、しかし、ニューマンの被験体は共にフォトンの操作能力を失い、さらに身体の一部に障害が残る、、、ヒューマンの被験体は、デューマンへの強制変異には成功したものの、、、」

ステラはふーっと、ため息をついた。

「一方は意識を喪失、もう一方は現在後遺症は見当たらず、経過を観察中、、、か」

画面から目を離し、歯嚙みする。

意識を喪失した方というのは、、、無論、ステラの事だ。

「ちくしょお、、、こっちはどんだけ苦労したと、、、ん?」

よく見ると、結果考察には続きがある。

「なお、どの個体にも共通して、もとの種族の外見特徴と、デューマンの外見特徴が混同した状態となった、、、ふ〜ん、私だけじゃ無かったんだ」

確かにアメリアスは、ツノも小さいし、瞳の色が左右で共通だ。

自分に至っては、ツノも無いし、片方の瞳は青と金が混ざったような緑色。

ステラは納得した顔で、エーデルゼリンの袖を捲る。

、、、その肌は、濃淡のある2つの肌色で、斑を描いていた。

 

AP241:3/22 15:40

惑星ナベリウス上空

 

「はぁ、、、」

キャンプシップの窓に寄りかかり、私は一人、ため息をついていた。

すでにシップは高度を上げ、窓からはナベリウスが遠ざかっていく。

「不可抗力ですよ。元気出してください、、、」

シエラさんの声も、全く耳に入らない。

、、、自分のせいで、迷惑をかけてしまった。

それこそ原生種のように暴れまわったさっきの戦闘を思い出し、うなだれる。

あの時、、、私は完全に、自我を失っていた。

目に映るもの全てが敵に見え、それを全滅させる事しか考えられなかった。

ヒツギさんはうまく立ち回ってくれていた様だが、目に入れば襲いかかっていただろう。

「、、、全く」

ふと、首につけた小さなチョーカーに手を伸ばす。

少し動かすと、留め具が外れた。

「あの時、割り切ったつもりだったんだけどなあ、、、」

チョーカーで隠れていた所は、そこだけヒューマンに近い、色味のある肌になっていた。

それは、私が普通のデューマンでは無い証。

「、、、まだ私は、過去に捕まったまま、、、」

すっかり小さくなったナベリウスの、美しい緑を眺め、呟く。

「貴方が見たら、笑うでしょうね、、、」

自嘲して、言葉を続けようとした、その時、

「あ、あれ、、、!?」

突然、私の周囲に、フォトンに似た光が集まり始めた。

いや、、、この光には、覚えがある、、、!

「シップ内からの強制転送、、、!?シエラさん!これはどういう、、、!」

「わ、私にも分かりません!転送先座標、、、観測不能!?」

テレポーターに乗った時と同じ、青い光が、私を包み込む。

「転送、来ますっ!」

一瞬、視界が光で染まり、、、

「、、、わあっ!!」

、、、私は、狭い室内に着地した。

「、、、此処は、、、!?」

周囲には家具と本棚。見慣れないものばかりだ。

「、、、!」

正面には、見たことも無いエネミーが突っ立っている。

青い人型に見えるが、四肢は不気味に肥大し、ナイフのようなものを握っている。

「何よ、こいつら、、、!」

不意に背後から、私の気持ちを代弁するような声が聞こえてきた。

「え、、、!?」

私が振り向くと、、、赤毛の少女が、金髪の少年をかばって震えていた。

 




「結ンデ開イテ羅刹ト骸」
開いた先に、骸が待つ。

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