ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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そういえば、強化大和のお知らせがありましたね。
波動砲⋯ は、無いようでしたが。


phase:4 「savior of song:I」

AD2028:4/1 12:00

惑星地球上空:第1揚陸艇

 

甲板から格納庫へ転送されたアメリアスは、すぐに出撃ゲートへ駆け寄った。

「っつ⋯ ! 何よあれ⋯ !!」

近くのポールに掴まり、強風の吹き込むゲートの外へ顔を向ける。

 

大海原の中央。

大戦艦は、その航路を空へと変え、日本列島へ進んでいた。

『幻創戦艦大和の速度、急激に上昇! 残り30分で、日本本土に到達します!!』

ゲートが閉じていく中、シエラの声が響き渡る。

 

『認識偽装は試みますが、領域隔離は完全に不可能です! 都市部へ接近される前に、A.I.Sで追撃、撃破を!!』

無茶苦茶だ。素直な感想が、アメリアスの胸の内に湧いた。

 

告げられた作戦だけではない。

ここまで見せつけられてきた、幻創種の異常性。ずっと我慢していた感情が、ここへ来て容赦無く押し寄せた。

だが⋯ だからどうした。

 

アメリアスは「彼ら」に視界を移す。

A.I.Sへ駆け寄る11人。その誰1人として、表情に翳りなどない。

彼らは知っていた。

⋯ というよりは、思い知っていた。

 

⋯ 相手が無茶苦茶なら、それを超える無茶でねじ伏せる。

嘗て一人の少女は、そうやって宇宙を救ってみせた。

アークスの⋯ 人の可能性を、見せつけた。

 

だから、この程度で立ち止まってなどいられない。

その希望に、追いつくために。

その輝光を、追い越すために。

俺たちは、前に進むんだ⋯ と。

 

「ほら姉ちゃん、早く!!」

「おおっとごめん!!」

尤も。

当の本人は、それに全く気がついていないわけだが。

 

『全機の搭乗を確認! ミッション開始まで、5、4⋯ 』

コクピットに飛び込んだアメリアスは、ふと首のバンドに手を触れる。

『3、2、1⋯ 出撃、お願いします!!』

「⋯ 了解! 『守護輝士』、アメリアス! 行きます!!」

 

24機のA.I.Sが、次々と大空へ飛び出していく。

「目標へ接近します! ハイブースト⋯ 起動っ!!」

スラスターが蒼光を放ち、A.I.Sが急加速する。

 

空間戦闘用推進システム、ハイブースト。

2年前の「禍津(マガツ)」との戦いを参考に開発された、前方へのブーストシステム。

A.I.Sは空を翔け、大和へと猛追する。

 

『目標こちらを捕捉! 来ます!!』

そして大和は急回頭し、艦首をアークスへと向けた。

 

『さあ、平伏したまえ! 懺悔の時間だ!!』

「上等⋯ !! 亡霊は亡霊らしく、海の底へ還りなさい!!」

 

啖呵を切ったアメリアスの前で、大和の艦底が青く輝いた。

瞬時に形成されるのは、巨大なレーザーブレード。

凶悪な刃はゆっくりと回転し、周囲のA.I.Sへと迫っていく。

 

「危っ⋯ ! って、ステラ!!?」

「主砲止めてブラスターでブチ抜く!」

各機が散開する中、ステラはブーストを駆使して、単独で大和の直上へ躍り出る。

「こいつで⋯ !!」

射出される冷凍弾(フォトンブリザード)

すかさずフォトンブラスターを展開し、主砲を一網打尽に⋯⋯⋯ !

 

「⋯ っ!?」

ステラは目を疑った。

主砲へ真っ直ぐに飛んだフォトンブリザードは、障壁のようなものに阻まれ搔き消えた。

『大和甲板にバリア⋯ 隔離領域レベルの障壁を確認! ⋯ っステラさん!!』

 

直上のステラに向けられる、三連装主砲。

「不味っ⋯ !!」

「させるかっての!!」

蜂の巣にされるその瞬間、アメリアスのA.I.Sが突撃をかけ、ステラ機を掴んで退避する。

 

「馬鹿馬鹿馬鹿!! 単騎で突っ込むなっての!!」

「だ、だって砲塔先に狙った方が!!」

「喧嘩してる場合かお前ら!!」

ゼノの声に、2人は戦場に引き戻される。

他のA.I.Sは左右弦に分散し、レーザーを掻い潜りながら交戦を続けていた。

 

「左右に発生装置が付いてる! レーザーには気をつけてくれ、センパイ!」

「⋯ OK!!」

アメリアスはすぐにハイブーストをかけ、大和の艦底、海面スレスレまで滑り込む。

「いよ⋯ っと!!」

そのままオーバーブーストに移行し、左舷の発生装置前へ飛び出す。

 

「そうかその手が⋯ !」

「こういうのには、死角が付き物ってね!」

他A.I.Sが攻撃できるよう、アメリアスはグレネードを乱射しつつ後退。

射線を取りつつ、周囲が射撃に移行したのを見た途端突撃、フォトンセイバーを振り下ろす。

 

ステラは遠方から、姉の手並みに感嘆していた。

「姉ちゃん、A.I.Sは苦手って聞いてたけど⋯ 」

彼女を助けているのは、ひとえにこの状況だろう。

 

敵の一体一体は弱くとも、多数を相手取り、それぞれの行動を捌かなければならない乱戦に対し、相手が強大だろうと、単体であればできる事は限られる。

そしてアメリアスの「目」をもってすれば、大和の動きを見切ることなど容易い⋯ !

 

「斜線開ける!イツキ君!!」

「了解っ!!!」

イツキのA.I.Sが、フォトンセイバーを構え突進する。

クリーンヒットしたフォトンラッシュは、大和左舷の発生装置を破壊した。

 

「いよっし!」

「包囲は崩さないで! 動かさない事が最優先!!」

「アメリアス!」

叫んだアメリアスへ、右舷のタキが通信を入れる。

「ブラスター撃ち込むっす! 正面を押さえて⋯ 」

ブラスターを展開し、大和の右舷へと向けるタキ。

 

左舷の破壊時間、そして右舷の攻撃頻度を考えれば、後はフォトンブラスター一撃で破壊できる。

「動くなよ⋯っ!!」

タキは小さく呟いて、砲口を発生装置へ向けた。

 

 

「⋯ 素晴らしい。よもや此処までやってくれるとは」

空を往く鋼鉄の災禍に、称賛の声をかける。

彼の描いた幻創は、あれだけの数の騎兵を相手して尚、その圧倒的な力を示し続けている。

 

「確かにいい抵抗だが⋯ バックヤードを過信するのは、愚策にも程があるよ、アークス?」

トラ・トラ・トラ(我、奇襲ニ成功セリ)』。有名な暗号を思い出し、ほくそ笑む。

彼らは知らない。すでに、最後の一手も指されているという事を。

「さあ、これで⋯ 終わりだ」

自らの軍勢の勝利を、確たるものとする為に。

この瞬間、悪魔の一手が放たれた。

 

 

「動くなよ⋯ っ!!」

砲口に閃光が走る。

幻創を打ち砕く、必殺の光条は。

 

A.I.Sの光と共に、掻き消えた。

「⋯ !!?」

驚愕したタキは、すぐにA.I.Sの異常に気づく。

動かない。ロックですら無く、完全にシステムがシャットダウンされている!

 

「おいタキっ! どうした!!」

「え、A.I.Sが停止しました! フォトンによる装甲強化も行えません!!」

直接通信を開いたクラリスクレイスへ叫ぶ。

「第二班は軒並み止められてる! ⋯ まさかハッキング!!?」

「ンなことあるか! 直ぐに脱出しろ! このままじゃ死ぬぞ!!」

 

緊急脱出装置を立ち上げると、揚陸艇へのコネクトが始まる。

「でも、どうして⋯ !?」

呟いたタキの体は、直後揚陸艇へ飛ばされる。

 

光を失ったA.I.Sと、それを守るA.I.S、それを狙う大和の砲門。

戦場は、混沌に支配されつつあった。

 

A.P241:4/1 12:10

アークスシップ:艦橋

 

「だ、第二班のA.I.Sが停止!!?」

艦橋のシエラは、コンソールを埋めつくすエラーに驚愕した。

あり得ない。ネットワークに不備は無く、オラクルのネットワークをハッキングするなど、其れこそシャオと同等の処理能力が無ければ不可能だ。

 

瞬時にA.I.Sのネットワークを浚ったシエラは、目を見開いた。

「瞬間的なハッキングプログラム⋯ 発信元は⋯ え、A.I.S!!?」

シエラは動揺を飲み込み、コンソールの操作に移る。

「と、兎に角アークスのサルベージを⋯ ! でも、A.I.S自体との接続を切られたら⋯ !!」

 

クラウド式のネットワークを無力化されている以上、A.I.Sへの干渉自体不可能。

復旧を始めようとしたシエラは、ウインドウの表示を見つけ、表情を変えた。

「⋯ 第一班の皆さん! 冷静に聞いてください!! 第二班のA.I.Sに⋯ 」

言いかけたシエラの声を遮ったのは、ウインドウの一つに表示されたビーコンだった。

 

太平洋のレーダーマップに映る、A.I.Sを示すアイコン。

その一つが、凄まじい勢いで動き出す。

「アメリアスさん⋯ っ!」

シエラは唇を噛み締め、敢然とコンソールに向き直った。

 

「行動可能機、動けないA.I.Sを援護し包囲の維持を! 第二班のアークスは、強制脱出を試みて⋯ 」

半数のA.I.S反応が消滅した、レーダーマップの、その中で。

アメリアスの物を示すアイコンが、13個目のアイコンへ突撃していた。

 

AD2028:4/1 12:13

地球:日本近海

 

「アメリアスさん!?」

「アメリアス!?」

「姉ちゃん!!?」

それは、混乱の中の一瞬だった。

 

アメリアスの駆るA.I.Sが、突如大和から離れ出したのだ。

「逃すか⋯ !!」

停止したA.I.Sの間を抜け、大和と反対側へ疾走する。

 

まだ確証はない。が、全てが繋がった。

朝から続いた悪寒、先日感じた違和感。

それと結びついたのは⋯ 幻創種特有の、不快感。

 

そして今、

その繋がりを裏付けるものは、彼女の目の前にあった。

「はああああああああっ!!!」

戦場から逃げるように背を向けた、一機のA.I.S。

動かないはずのそれに、アメリアスは全力で体当たりをかました。

 

「ぐああああっ!!!」

吹き飛ぶA.I.Sから聞こえる、青年の声。

その声に、アメリアスは確信した。

「やっぱり⋯ !!」

 

地球からの、オラクルへの干渉。

それを可能にしていた、マザー・クラスタ。

そして、この災禍を引き起こした張本人。

 

「亜贄⋯ 萩斗ォォォッ!!!」

蒼光が迸る。

2つのフォトンセイバーが、蒼穹の中でぶつかり合った。

 




社長はphase1でこう言いましたよね。
「私達の戦争」と。

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