ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中) 作:超天元突破メガネ
波動砲⋯ は、無いようでしたが。
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惑星地球上空:第1揚陸艇
甲板から格納庫へ転送されたアメリアスは、すぐに出撃ゲートへ駆け寄った。
「っつ⋯ ! 何よあれ⋯ !!」
近くのポールに掴まり、強風の吹き込むゲートの外へ顔を向ける。
大海原の中央。
大戦艦は、その航路を空へと変え、日本列島へ進んでいた。
『幻創戦艦大和の速度、急激に上昇! 残り30分で、日本本土に到達します!!』
ゲートが閉じていく中、シエラの声が響き渡る。
『認識偽装は試みますが、領域隔離は完全に不可能です! 都市部へ接近される前に、A.I.Sで追撃、撃破を!!』
無茶苦茶だ。素直な感想が、アメリアスの胸の内に湧いた。
告げられた作戦だけではない。
ここまで見せつけられてきた、幻創種の異常性。ずっと我慢していた感情が、ここへ来て容赦無く押し寄せた。
だが⋯ だからどうした。
アメリアスは「彼ら」に視界を移す。
A.I.Sへ駆け寄る11人。その誰1人として、表情に翳りなどない。
彼らは知っていた。
⋯ というよりは、思い知っていた。
⋯ 相手が無茶苦茶なら、それを超える無茶でねじ伏せる。
嘗て一人の少女は、そうやって宇宙を救ってみせた。
アークスの⋯ 人の可能性を、見せつけた。
だから、この程度で立ち止まってなどいられない。
その希望に、追いつくために。
その輝光を、追い越すために。
俺たちは、前に進むんだ⋯ と。
「ほら姉ちゃん、早く!!」
「おおっとごめん!!」
尤も。
当の本人は、それに全く気がついていないわけだが。
『全機の搭乗を確認! ミッション開始まで、5、4⋯ 』
コクピットに飛び込んだアメリアスは、ふと首のバンドに手を触れる。
『3、2、1⋯ 出撃、お願いします!!』
「⋯ 了解! 『守護輝士』、アメリアス! 行きます!!」
24機のA.I.Sが、次々と大空へ飛び出していく。
「目標へ接近します! ハイブースト⋯ 起動っ!!」
スラスターが蒼光を放ち、A.I.Sが急加速する。
空間戦闘用推進システム、ハイブースト。
2年前の「
A.I.Sは空を翔け、大和へと猛追する。
『目標こちらを捕捉! 来ます!!』
そして大和は急回頭し、艦首をアークスへと向けた。
『さあ、平伏したまえ! 懺悔の時間だ!!』
「上等⋯ !! 亡霊は亡霊らしく、海の底へ還りなさい!!」
啖呵を切ったアメリアスの前で、大和の艦底が青く輝いた。
瞬時に形成されるのは、巨大なレーザーブレード。
凶悪な刃はゆっくりと回転し、周囲のA.I.Sへと迫っていく。
「危っ⋯ ! って、ステラ!!?」
「主砲止めてブラスターでブチ抜く!」
各機が散開する中、ステラはブーストを駆使して、単独で大和の直上へ躍り出る。
「こいつで⋯ !!」
射出される
すかさずフォトンブラスターを展開し、主砲を一網打尽に⋯⋯⋯ !
「⋯ っ!?」
ステラは目を疑った。
主砲へ真っ直ぐに飛んだフォトンブリザードは、障壁のようなものに阻まれ搔き消えた。
『大和甲板にバリア⋯ 隔離領域レベルの障壁を確認! ⋯ っステラさん!!』
直上のステラに向けられる、三連装主砲。
「不味っ⋯ !!」
「させるかっての!!」
蜂の巣にされるその瞬間、アメリアスのA.I.Sが突撃をかけ、ステラ機を掴んで退避する。
「馬鹿馬鹿馬鹿!! 単騎で突っ込むなっての!!」
「だ、だって砲塔先に狙った方が!!」
「喧嘩してる場合かお前ら!!」
ゼノの声に、2人は戦場に引き戻される。
他のA.I.Sは左右弦に分散し、レーザーを掻い潜りながら交戦を続けていた。
「左右に発生装置が付いてる! レーザーには気をつけてくれ、センパイ!」
「⋯ OK!!」
アメリアスはすぐにハイブーストをかけ、大和の艦底、海面スレスレまで滑り込む。
「いよ⋯ っと!!」
そのままオーバーブーストに移行し、左舷の発生装置前へ飛び出す。
「そうかその手が⋯ !」
「こういうのには、死角が付き物ってね!」
他A.I.Sが攻撃できるよう、アメリアスはグレネードを乱射しつつ後退。
射線を取りつつ、周囲が射撃に移行したのを見た途端突撃、フォトンセイバーを振り下ろす。
ステラは遠方から、姉の手並みに感嘆していた。
「姉ちゃん、A.I.Sは苦手って聞いてたけど⋯ 」
彼女を助けているのは、ひとえにこの状況だろう。
敵の一体一体は弱くとも、多数を相手取り、それぞれの行動を捌かなければならない乱戦に対し、相手が強大だろうと、単体であればできる事は限られる。
そしてアメリアスの「目」をもってすれば、大和の動きを見切ることなど容易い⋯ !
「斜線開ける!イツキ君!!」
「了解っ!!!」
イツキのA.I.Sが、フォトンセイバーを構え突進する。
クリーンヒットしたフォトンラッシュは、大和左舷の発生装置を破壊した。
「いよっし!」
「包囲は崩さないで! 動かさない事が最優先!!」
「アメリアス!」
叫んだアメリアスへ、右舷のタキが通信を入れる。
「ブラスター撃ち込むっす! 正面を押さえて⋯ 」
ブラスターを展開し、大和の右舷へと向けるタキ。
左舷の破壊時間、そして右舷の攻撃頻度を考えれば、後はフォトンブラスター一撃で破壊できる。
「動くなよ⋯っ!!」
タキは小さく呟いて、砲口を発生装置へ向けた。
「⋯ 素晴らしい。よもや此処までやってくれるとは」
空を往く鋼鉄の災禍に、称賛の声をかける。
彼の描いた幻創は、あれだけの数の騎兵を相手して尚、その圧倒的な力を示し続けている。
「確かにいい抵抗だが⋯ バックヤードを過信するのは、愚策にも程があるよ、アークス?」
『
彼らは知らない。すでに、最後の一手も指されているという事を。
「さあ、これで⋯ 終わりだ」
自らの軍勢の勝利を、確たるものとする為に。
この瞬間、悪魔の一手が放たれた。
「動くなよ⋯ っ!!」
砲口に閃光が走る。
幻創を打ち砕く、必殺の光条は。
A.I.Sの光と共に、掻き消えた。
「⋯ !!?」
驚愕したタキは、すぐにA.I.Sの異常に気づく。
動かない。ロックですら無く、完全にシステムがシャットダウンされている!
「おいタキっ! どうした!!」
「え、A.I.Sが停止しました! フォトンによる装甲強化も行えません!!」
直接通信を開いたクラリスクレイスへ叫ぶ。
「第二班は軒並み止められてる! ⋯ まさかハッキング!!?」
「ンなことあるか! 直ぐに脱出しろ! このままじゃ死ぬぞ!!」
緊急脱出装置を立ち上げると、揚陸艇へのコネクトが始まる。
「でも、どうして⋯ !?」
呟いたタキの体は、直後揚陸艇へ飛ばされる。
光を失ったA.I.Sと、それを守るA.I.S、それを狙う大和の砲門。
戦場は、混沌に支配されつつあった。
A.P241:4/1 12:10
アークスシップ:艦橋
「だ、第二班のA.I.Sが停止!!?」
艦橋のシエラは、コンソールを埋めつくすエラーに驚愕した。
あり得ない。ネットワークに不備は無く、オラクルのネットワークをハッキングするなど、其れこそシャオと同等の処理能力が無ければ不可能だ。
瞬時にA.I.Sのネットワークを浚ったシエラは、目を見開いた。
「瞬間的なハッキングプログラム⋯ 発信元は⋯ え、A.I.S!!?」
シエラは動揺を飲み込み、コンソールの操作に移る。
「と、兎に角アークスのサルベージを⋯ ! でも、A.I.S自体との接続を切られたら⋯ !!」
クラウド式のネットワークを無力化されている以上、A.I.Sへの干渉自体不可能。
復旧を始めようとしたシエラは、ウインドウの表示を見つけ、表情を変えた。
「⋯ 第一班の皆さん! 冷静に聞いてください!! 第二班のA.I.Sに⋯ 」
言いかけたシエラの声を遮ったのは、ウインドウの一つに表示されたビーコンだった。
太平洋のレーダーマップに映る、A.I.Sを示すアイコン。
その一つが、凄まじい勢いで動き出す。
「アメリアスさん⋯ っ!」
シエラは唇を噛み締め、敢然とコンソールに向き直った。
「行動可能機、動けないA.I.Sを援護し包囲の維持を! 第二班のアークスは、強制脱出を試みて⋯ 」
半数のA.I.S反応が消滅した、レーダーマップの、その中で。
アメリアスの物を示すアイコンが、13個目のアイコンへ突撃していた。
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地球:日本近海
「アメリアスさん!?」
「アメリアス!?」
「姉ちゃん!!?」
それは、混乱の中の一瞬だった。
アメリアスの駆るA.I.Sが、突如大和から離れ出したのだ。
「逃すか⋯ !!」
停止したA.I.Sの間を抜け、大和と反対側へ疾走する。
まだ確証はない。が、全てが繋がった。
朝から続いた悪寒、先日感じた違和感。
それと結びついたのは⋯ 幻創種特有の、不快感。
そして今、
その繋がりを裏付けるものは、彼女の目の前にあった。
「はああああああああっ!!!」
戦場から逃げるように背を向けた、一機のA.I.S。
動かないはずのそれに、アメリアスは全力で体当たりをかました。
「ぐああああっ!!!」
吹き飛ぶA.I.Sから聞こえる、青年の声。
その声に、アメリアスは確信した。
「やっぱり⋯ !!」
地球からの、オラクルへの干渉。
それを可能にしていた、マザー・クラスタ。
そして、この災禍を引き起こした張本人。
「亜贄⋯ 萩斗ォォォッ!!!」
蒼光が迸る。
2つのフォトンセイバーが、蒼穹の中でぶつかり合った。
社長はphase1でこう言いましたよね。
「私達の戦争」と。