ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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私事ですが、マトイがイルメギドをくれました。
青い龍族の皆さんを蹂躙するのが楽しみです。


SB2-2.9「アウターサイエンス」

AP241:3/26 11:40

旧マザーシップ【xion】:中枢

 

「⋯⋯⋯ っ!」

世界が、色を失う。

ダークファルス・ルーサーの権能により、ここにいるアークス全員の時間が停止した。

私は体が停止し、脳だけが機能する「金縛り」に近い状態で踏みとどまったが、残りは思考すらも出来ていないだろう。

 

⋯ 大剣が舞う。

光輪が広がり、赤い矢が装填されて行く。

あと10秒もすれば⋯ さっきまでとは比較にならないレベルの矢の雨が、戦場を蹂躙する。

 

最早、考えてもいられない⋯ !

(させる⋯ かっての!!!)

声にならない叫び。

それと同時に、私の周りが青白く輝く。

「はああああああああああああっ!!!」

光が収束し、弾ける。

「⋯ っと!!」

私の体は、弾かれるように落下した。

 

「よっし!」

すべき事は一つ。

着地し、浮遊する大剣に狙いを定める。

「吹き⋯ 飛べえっ!!」

限界ギリギリまでブーストをかけ、剣の中央を蹴り抜く!

「⋯ うわっ!!」

ほぼ同時に、周囲のアークスが、時間停止から解放され⋯

 

「「うわあああああああっ!?」」

「「きゃあああああああっ!?」」

破壊されなかった3本の剣から、赤矢の雨が降り注いだ!!

「クソッ⋯ !」

私が破壊した場所以外、戦場のおよそ4分の3を襲った、絨毯爆撃。

私と、すぐ側にいたアークス以外は、軒並み戦闘不能に陥っている。

「動ける人は蘇生を! 法撃職、支援をお願いします!!」

叫んで、私も駆け出す。

 

⋯ 忘れていた。

相手は、ダーカーを統べる者の一人、ダークファルス・ルーサー。

その依代は、かつてアークスの全てを陥れ、支配した男。

 

「⋯ だとしても!!」

私は、守りたい。

大切なものを、

大切な場所を、

大切な、人を⋯ !!

 

「負けられ⋯ 無いんだッ!!!」

ジェットブーツが、私の周りのフォトンが、輝きを放つ。

「禁じ手⋯ 使わせてもらおうかな!!」

再接近した『敗者』へ向け、飛び出す。

その間にも、ブーツの輝きは強まっていく。

 

『アークス風情ガ!』

「当たるかっての!!」

無数の弾幕を凌ぎ、ブーツの高度限界を越えて、飛翔する。

「そこだあっ!!」

ジェットブーツが嫌な音を立てた気がするが、とりあえず気にしない!

飛び上がった位置、マント中央の(くちばし)に、ブーツを突き刺す!

「エレメンタル・オーバーロード!!」

一瞬の閃光ののち、ブーツのエネルギーが暴発した!

 

『未知ノ事象ダト!?』

嘴をへし折られ、沈み込む『敗者』。

「⋯ っと!!」

ブーツから弾き出され、身一つで着地する。

「ブーツ暴発って、無茶苦茶過ぎんだろ相棒!」

「突破口くらいにはなったでしょ! ほら、アフィンも働いた!!」

「わーったよ! こっちも負けてらんないからなぁ!!」

 

戦線復帰したアークスから、再びミラージュによる攻撃を開始する。

「ザンバ張るぞ!」

「了解、突撃する!」

テクターの張った風刃の中で、キャストのガンナーが踊る。

『見苦シイ!!』

起き上がった『敗者』の攻撃は、苛烈さを増していく。

それでも⋯ アークス(私たち)は止まらない!

 

「アフィン、上!」

「上!? ⋯ あーそういう事か!」

アフィンはちらっと上を見た後、『敗者』のマントについた装飾を撃ち抜く。

私も駆け出そうとして、

「あ、ブーツ装備してない!!」

「馬鹿! とっとと下がれ!!」

「仕方ないわね⋯ マントはこっちで片付けるわ!」

私が後方へ走る中、遠距離職の一斉砲火が放たれる。

他のバウンサーの突撃もあり、『敗者』のマントの、宝石状の装飾が破壊されていく。

 

「マント壊しました!」

「コア狙うか!?」

「いや、とりあえず時計だ!!」

ゼノさんが素早く指示を出す。

『さて、片付ケノ時間ダナ!!』

『ダークファルス・ルーサー、減速!』

減速した『敗者』の巨軀が、ゆっくりと上空を這いだす。

狙ってるのは⋯ 私!?

「うわぁあぁあぁ!! こっち来るなこっち来るなぁ!!」

 

急いで駆け出すものの⋯ ブーツが無いせいで、ギリギリ間に合わない!!

『壊レタ玩具に用ハ無い!!」

構えられた剣が、真っ直ぐに落下する!

「だぁーーーもうっ!!ディストラクトウイング!!」

とっさにデュアルブレードを装備し、フォトンアーツで飛び出す。

本来突き刺しと同時に衝撃波が出るが、マントに宝石が無い今、確か弱体化しているはず⋯ !

 

「おーい、マント一個割れてないぞ!!」

ゼノさんの、声が聞こえた。

「え? きゃあああああっ!!」

直後背後から衝撃波を喰らい、私は大きく吹き飛ばされた。

「相棒ぉぉぉ!!?」

「⋯ 痛っ!」

上空で一瞬気を失ったらしく、気づけば地面に落ちている。

 

「いったた⋯ 」

起き上がりながら、回復薬を引っ張り出す。

「うおおおおおおおおおおっ!!!」

一息ついていた私のすぐ横を、オーザさんが駆け抜け、

「ライドスラッシャァァァ!!!」

ソードに飛び乗り、『敗者』へと突っ込んだ!!

 

「貴方パルチザン使いだった筈では!?」

「ハンターならば、一度は使いたいフォトンアーツだろう!!」

パルチザンに持ち替えたオーザさんを、赤いフォトンが包み込む。

「⋯ 行って!」

「応! スライドシェイカー!!」

マールーさんの支援を受け、オーザさんが槍を振り回す。

『余り煩わせルナ、面倒だ!!』

 

声と共に、周囲が再び赤く染まる。

『加速、来ます!』

「⋯ タイミングが悪かったよ、『敗者』ッ!」

装備し直したシュヴァイアティーガー(予備のブーツ)が、風を纏う。

「圧縮式起動! 吹き飛べ、イル・ザン!!」

『敗者』の腹へと飛ぶ、暴風の号砲。

『解は無駄二収束しているぞ!』

「無駄よ!!」

暴風は『敗者』の剣をすり抜け、腹に突き刺さる!

『し⋯ 式ニゴミが!?』

 

開いた時計へ、近接職が殺到する!

「アフィン! ウィーク⋯ 」

駆け出しながら、とっさにアフィンの方へ振り向く。

「⋯ きゅう」

なんとアフィンは、床に倒れていた。

 

「ちょっ⋯ !」

おそらくさっきの突きを喰らったのだろうが⋯ 止まっている場合ではない。

「だーーーーーもうっ!!!」

フタの開いた時計へ、がむしゃらにブーツを振り回す。

ウィークバレット無しでもダメージは通るが、ここで壊し切れるかは危うい⋯ !

「これでも⋯ !!」

私がヴィントジーカーの動作に入った、その時、

 

「喰らっとけ!!」

その声とともに、『敗者』の腹に、赤いマーキングが貼られた。

「えっ⋯ !?」

そのまま、ヴィントジーカーが突き刺さり、時計のフタが吹き飛ぶ。

「よっしゃあ! 加速リセット!!」

 

背後でガッツポーズしているのは⋯ ライフルを担いだゼノさんだった。

「⋯ そういえば、ゼノさんって⋯ !!」

「ガンスラッシュばっか振り回してるわけじゃないぜ!! 」

とか言いつつも、直ぐにナナキに持ち変えるゼノさん。

「弱点は見えた、終わらせるぞ!!」

「⋯ はい!」

 

⋯ ともかく、確かに形勢は逆転した。

後は、一気呵成に攻めるのみ!!

『今コソ、全知を掴ム時!!』

「なっ⋯ !?」

再び、『敗者』が後方へ退避していく。

「不味い、もう一発来るぞ!!」

「だけどあんなのどうすれば⋯ !」

 

混乱に陥る中、私は『敗者』のいた場所で、静かに立ち尽くす。

(あの光⋯ あれなら!!)

『我が名ハルーサー⋯ 』

「総員!! 私と同時に回避っ!!!」

「「えっ!!!?」」

『全知そのものだ!!』

飛来する大剣。そして、

「今ッ!!!」

大剣が光った瞬間、私は地面を蹴った。

 

「⋯⋯⋯ !!」

思わず瞑った目を開く。

彩度の消えた世界に、私は立っていた。

「どう、なってるの⋯ !?」

隣には、普段見せないような驚いた顔をしたマールーさんが立っている。

「あの剣を破壊します! 急いでっ!!」

私は叫んで、近くに浮遊する大剣向け飛び出した。

「⋯ わかった!!」

大剣を蹴り砕く私の背で、マールーさんは光弾を連射する。

 

⋯ 否、 マールーさんだけじゃない。

他にも数人のアークスが、時間停止を免れ、大剣を攻撃している。

法撃職が多いのは、ジェットブーツの回避システムが「ミラージュエスケープ」だからだろう。

 

剣から発生していた赤い光⋯ おそらくあれが、この時間停止の正体。

あれが着弾する瞬間に回避したことで、時間停止を免れたのだ。

「ラストっ!!」

エリア北端に残った大剣へ、疾走する。

大剣の背面には、すでに矢が装填されている⋯ !

「どおおおりゃあああああああっ!!!」

私のブーツが突き刺さるのと、同時、

「「おおっと!!」」

時間停止が終わり、止まっていたアークスが動き出した。

 

「お、おいアメリアス!? どうなったんだ!?」

ゼノさんが、慌てて私に駆け寄って来る。

「すいません、ステップ回避の皆さんはタイミングが合わなかったみたいで⋯ 」

「いや、だからどういう⋯ っ!?」

問いかけるゼノさんの足元に、飛来した短剣が突き刺さった。

 

「⋯ 喋ってる場合でも無いか」

「⋯ とりあえず、終わらせましょう!!」

急場は凌いだ。

後は今度こそ、こいつを倒すのみ!!

「行きます!!」

ジェットブーツの輝きと共に、露わになった腹部コアへ躍り出る!!

 

「こういうのはどうだ! はああああっ!!」

オーザさんがコアへ向け、槍を突き刺す。

するとその位置に、赤いマーキングが現れる。

「ヴォルグラプターだッ!!」

その位置へ向け、オーザさんの槍が振るわれる!

「フィニッシュ!!」

槍を引き抜くと同時に、マーキング弾が炸裂した。

 

「⋯ 今よ!!」

不意に、後ろからまばゆい光が射した。

『敗者』が怯んだ隙をつき、全法撃職がテクニックをチャージしている!

「「発射(ファイア)!!」」

風の一斉砲火が、『敗者』にぶち当たる!!

 

『ダークファルス・ルーサー残存体力、後僅か!!』

『底ハ⋯ 知れている!!』

その声と共に、『敗者』が沈み、首から上を出す状態になった。

「潜行!?」

『僕ノ思うがままに、解ヲ求めん!!』

伸ばされた右腕から、黒球が打ち出される。

 

「足掻きやがる⋯ !」

「大丈夫⋯ 終わらせる!!」

後退した『敗者』へと、突撃する!

「こいつで最後だ! アメリアスを援護しろ!!」

ゼノさんの声と共に、無数の銃撃、法撃が飛ぶ!

 

『全知は僕ダ!! 僕の導キダシタ解に、間違イハ無い!!!』

最後の抵抗といわんばかりに、叩きつけられる左腕。

そこから、衝撃波が四方八方に飛ぶ!

「甘いんだよ、『敗者』ッ!!」

ジェットブーツが光り、私の体は舞い上がる!

「これで⋯ 終わりだあああああっ!!」

狙うは腹⋯ 否、首元のコア!

「ヴィント⋯ ジーカー!!!!」

 

突き刺さる、ジェットブーツの切っ先。

その一撃で、『敗者』の巨軀が、ズブズブと沈み込んでいく。

『馬鹿な⋯ 何処ニ、何処に間違イガ有った⋯ !』

「⋯ 教えてあげるよ、偽りの覇者」

私は振り向き、歩き出す。

 

「シオンの最後の希望⋯ 私たちを敵に回したのが、あんたの最大の、誤算だった」

呟いた私の後ろで、『敗者』は爆散した。

 




「アウターサイエンス」
その権能は、科学の外。

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