ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中) 作:超天元突破メガネ
というわけでこうなった。
AP241:3/26 8:00
アークスシップ:アメリアスのマイルーム
「ん、んんぅ⋯ 」
アラームの音で目を覚ますと、私はベッドの上で座っていた。
「あ⋯ 寝落ちしちゃったか⋯ 」
昨夜、滑り込みでレポートを送信した後、そのまま眠ってしまったようだ。
「すぴぃ⋯ 」
私の横では、リオがぐーすか眠っている。
とりあえず着替えようと立ち上がった所で、通信が入った。
「朝から誰⋯ ?」
若干訝しみつつ、通信に出る。
「はい、アメリアス⋯ 」
「あ、アリス!? 久しぶりー!! 私の声、覚えてるー!?」
聞こえてきたのは、明るい少女の声。
「⋯ どちら様でしたっけ?」
「うわヒドッ!? この声を忘れちゃったのー!? ⋯ しくしく」
全く変わらないテンションの声が、わざとらしく鼻をすする。
「⋯ 冗談だよ。何年寝てたとしても、その声だけは忘れない」
アークスでただ1人、私を愛称で呼ぶ人間がいる。
「⋯ 久しぶり、クーナ」
AP241:3/26 8:30
アークスシップ:フランカ'sカフェ
話の流れで朝食を奢ってもらえることになり、私はカフェへやってきた。
「あ、いたいた⋯ あれ? 何その服!」
「オフの⋯ っていうか、今は仕事着なのかな」
服装はラフな私服だが、クーナは変わらず明るい褐色の髪をツインテールにして、相変わらずの笑顔で答える。
「ここ座って。あ、何頼む? 私はスープでいいかな⋯ 」
「うーん⋯ 肉野菜炒めかな」
「え⋯ 朝から食べるね⋯ 」
料理を頼んでから、互いに近況を報告する。
彼女はアークス内で人気のアイドルで、2年経っても、その人気は全く変わっていないそうだ。
「しかも新体制で、情報部配属になってさ〜 しかも次席! 」
「あ、それ聞いた⋯ ! カスラさんの下とか、大変じゃない?」
「そうそう、あいつ相変わらずの陰険メガネでさ〜 !!」
曰く、次席というのも「事務処理と承認処理くらいしかない、退屈な仕事」だそうで、
「
「で、調子はどう? そっちも結構忙しそうだけど」
「逆逆、今までが暇すぎたの⋯ 何もない時は」
「あっはは⋯ なんだかんだ、3年前は息つく暇もなかったもんね〜」
2人で、騒がしかった1年を思い出す。
「マトイが見つかって、『
「ハドレッドの事もあったし⋯
「アリスとマトイだけで戦ったんだもんね⋯ それから、ハルコタンが見つかって⋯ 」
「マガツに『
「⋯ そして、マトイ救出作戦。あれ、今でも伝説なんだよ?」
「⋯ あの時は、ただ必死だったな⋯ 」
今から、ちょうど2年ほど前。
ダーカー因子の過剰蓄積と、ダークファルス『双子』の企みにより、マトイは危うく「深遠なる闇」になりかけた⋯ というか、一度なった。
完全な顕現の前に、マトイを殺さなければいけないという状況だったにもかかわらず⋯ 私はアークスの全戦力を投入させ、在ろう事かマトイを助け出してしまったのだ。
「だってあれはほら、『あの人』の力もあった訳だし? 我ながら、どうしてあんな無茶が出来たんだって、今でも不思議なくらい」
「⋯ そうだアリス、ずっと聞きたかったんだけどさ⋯ 」
不意にクーナが、そんなことを言ってきた。
「⋯ そこまでアリスを動かすのは、何?」
「私を動かすもの⋯ ?」
「そう。絶望的な状況でも、限りなく不可能に近い事でも、貴女は前に進んで⋯ いつの間にか、私達もそれに続いてる。だからさ⋯ 起点である貴女を動かす、何かがあるわけでしょ?」
「そっか⋯ 考えた事もなかったよ⋯ 」
天井を見上げ、ぼんやりと考える。
「
「好きだから⋯ どういうこと?」
「ここは、私にとって大切な居場所だから。守りたいんだよ⋯ それが出来るうちは」
ここには、大切なものがたくさんある。
大切な場所がある。
そして⋯ 大切な人がいる。
「私、いつ駄目になるかわかんないから」
「アリス⋯ 」
実の所⋯ 「
私は一応の成功体だから、そこまで心配する必要はないのだが⋯ それでも、何が起きるか分からない。
「⋯ まったく、あのルーサーが、なんでこんなずさんな実験に踏み切ったんだか⋯ 」
「ああ、それなんだけどさ」
クーナはそういうと、小さなウインドウを開いた。
「旧アークス研究部⋯ 『
クーナが見せた一覧には、3つほどのフォルダが映っている。
「おお⋯ 期待しちゃっていいのかな?」
「情報部、舐めないでね。ヨハネスさんも頑張ってるみたいだし」
「ふふっ⋯ あとでちょっと応援しとこっかな」
私は言いながら、立ち上がる。
「そろそろ行かなきゃ。ご飯、ありがとね」
「いつの間に完食している⋯ だと⋯ !?」
話を聞きながらさりげなく食べていた料理の皿は、綺麗に空になっている。
「ん、任務?」
「ちょっと頼まれごとがあってねー」
クーナを残し、ゲートエリアへのテレポーターへ向かう。
「そっか、頑張れー!」
「そっちこそー!」
互いに手を振って、私はカフェを去った。
AP241:3/26 9:30
アークスシップ:ゲートエリア
「うぃーあーしゃうてぃそねばーあーろーんきーみーのーいのりはー♪」
微妙に間違った歌詞で上機嫌に口ずさみながら、アメリアスはゲートエリアにやってきた。
「さーてと、準備準備⋯ 」
倉庫端末を立ち上げ、アイテムを整理していると、メールが来た。
『from:イオ
subject:ごめん遅れた! すぐ行く!!』
「私も今来たとこなんだけど⋯ まいっか」
準備を終え、カウンター前で後輩を待つ。
今日はとあるアークスからの
「おーいセンパーイ!」
「あ、イオ! おはよー!」
ちょうどよく、バレットボウを担いだイオが到着した。
「ごめんセンパイ、遅くなった⋯ 」
「いやいや、私もさっきまで朝ごはん食べてたから、大丈夫」
アメリアスは答えて、不意に髪を触る。
「そういえば、寝癖とかついてないよね!?」
「朝直せよ⋯ ちなみにまったくついてないぞ」
イオが指摘した、その時。
『全アークスに緊急連絡!! アークス船団に、侵食された旧マザーシップ【xion】の反応が接近中!!』
アラートと共に、ゲートエリアの照明が暗くなった。
「シオンってことは⋯ ダークファルス『
イオはゲートエリアのディスプレイに映し出された、赤く染まったマザーシップを見る。
「センパイ⋯ !」
「わかってる⋯!」
アメリアスも、ディスプレイを睨みつけていた。
「上等よ⋯ かかって来なさい、ルーサー!」
⋯ 戦いが、始まる。
「えれくとりっく・えんじぇう」
おっと、ここに天使がいたではないか。