東方高次元   作:セロリ

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ここら辺から描写と文章量が増えている……はずです。


51話 スキマは不気味だ……

紫と幽々子は扇子がとても良く似合う……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耕也、起きなさい。ほらぁ、もうお昼よ?」

 

そう言いながら私は泥のように眠っている耕也を揺り起こす。

 

泥のように眠っているという事については、仕方が無いとは思っている。昨夜彼に酒と称して強力な媚薬を大量に飲ませ、あれだけ散々搾り取ったのだ。無理もない。

 

やはり行為自体が彼に強烈な疲労を及ぼしたようで、いくら揺すっても起きる気配は無い。

 

そして、私は彼を起しているうちに気になってきた、あの行為によってお互いから大量に出た汁から発せられる匂いを何とかしなければならないと思い、換気扇を回しに行く。

 

私は耕也の寝室から廊下へと裸のまま出て、歩きつつ昨夜の反省をする。

 

「自分で言うのもなんだけど、耕也にはちょっときつい事をさせてしまったわね。妖怪の体力について来られるわけが無いのだし」

 

だが、私に後悔の念は無かった。念願の彼をモノにできたのだから。

 

紫も藍もおそらく耕也との肉体関係を持とうとするだろう。本当は、本当は嫌だが、おそらく持つことになるだろう。あれほどの好意を持たれているのだから。

 

それに耕也はとんでもないほどのお人好し、というか情に流されやすい。だから持つはずだ。

 

この国では妻がおり、そして他が妾。ならば私が妻であり、他が妾になるのだ。それしか選択肢は無いし、それしか耕也に選ばせるつもりはない。

 

私はそんな事を考えながら換気扇のスイッチを押していき、この独特な匂いを排出していく。

 

そして風呂場へすぐさま行き、付着物を流していく。

 

シャワーから放水される温水が、程良く冷えた身体を温めていくのを実感し、思わずため息が出る。

 

そして私は心の中にあるモノを声として吐き出す。

 

「まったく、耕也は…………どうしてもっと積極的に来ないのかしら? 私の事を気にしているというのならば、気にする必要はないというのに」

 

そんな事を言いながらも一つ思う。今度はもう少し優しく抱いてやろう。と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、もうあれから三日か。何と言うか、……かなり複雑な心境だなこりゃ。…………それにしても一番は私よ……か」

 

いくら媚薬を飲まされたといえど、いくら無理矢理に抱かれたと言っても女性と肌を重ねたという事実には変わりは無い。

 

あの圧倒的な快楽に俺は一瞬たりとも抗えずに、完全に溺れていった。彼女の膣に何度も子種を注ぎつつ。

 

そんな事を一々気にしていたら生きていけないと言う人もいるかもしれないが、俺にとってはかなりの心境の変化だ。

 

おまけに今日は紫と藍が迎えに来て、幽々子のいる冥界まで連れていってくれるというのに。会わせる顔を作れない。本来ならばもっと晴れ晴れとした気持ちで行くつもりだったのだが。

 

寒さも相まって俺の思考はさらに複雑化していく。唐突の経験だったからなあ。こういうのを……何と言うんだっけ?

 

考えつつ俺は目の前に鎮座しているハロゲンヒーターのスイッチを入れ、赤橙色の光が自分の身体を包み込む心地よさに目を細めながら、やがて一つの答えを弾き出す。

 

ああ、これって逆レイプじゃん……。

 

だからどうしたというのだろうか? 抵抗したとはいえ、その抵抗の度合いは小さかった。つまりは俺も少なからず幽香に対して好意という感情を持っていたのだろう。

 

俺はこの考えが浮かんだ瞬間に、妙な居心地の良さが心の中に生まれ、なんだか恥ずかしくもなり、ゴロゴロと畳の上で転げ回っていく。

 

「耕也。貴方何しているの…?」

 

と、俺が頭を抱えながら転げまわっていると、男の心をくすぐる様な美声が後ろから掛かってくる。

 

「お、おおっと!?」

 

俺はその声の主をすぐさま特定し、居住まいを正し、姿を確認する。

 

やはりその姿は俺の特定と合致しており、今日迎えに来る予定の紫達がいた。

 

「こ、こんにちは紫さん藍さん」

 

「こんにちわ」

 

「ああ、こんにちわ」

 

お互いに挨拶をしたのだが、どうやら俺の行動を一部始終を見ていたようで、ジト目で俺の事を見てくる。紫は圧倒的な美貌を持つため、そのジト目ですら彼女の美点であるような気がしてしまい、少しの間身体全体を注視してしまう。

 

やはり改めて思うのが、プロポーションの凄まじさ。さすがに隣に居る藍には僅かに負けるがいかにも弾力がありそうなハリのある大きな胸。腰はくびれ……何考えているんだ俺は。

 

そしてそこまで考えた時点で紫から文句が出てくる。

 

「な、何見てるのよ…」

 

そう言って顔を赤らめつつ自分の胸の部分に両手を持ってきてかき抱くようにする。その腕の圧力を受けた胸が、自身の体積の保有場所を失い、横からはみ出ようとする。

 

俺はその様を全て見てしまったために、心拍数が跳ね上がり、いささか緊張と似た心境になる。

 

紫も自分のしている行動に気付き、自分の胸の部分に視線を落とす。どうやらそれが先ほどよりも卑猥な状況になっている事に気づいたらしく、きゃあっとかわいらしい悲鳴を上げながらあわてて藍の後ろに隠れる。

 

そして俺もその悲鳴を聞くと同時に目線を下に向け、何とか見ないようにする。ただ、俺の脳にはその映像がはっきりと焼き付いてしまっていたが。

 

藍はその模様を苦笑しながら見ており、紫さまも耕也も初々しいですね。と言いながら紫が隠れやすいように尻尾の位置を調整していく。

 

紫は、藍の陰からそっと真っ赤になった顔を出し、恥ずかしそうに一言つぶやく。

 

「耕也のス、スケベ……」

 

俺は素直にその場で頭を下げ、謝罪する。

 

「ごめんなさい、つい見とれてしまいました」

 

俺だって男なのだ。幽香の時は……かなりびっくりしたが。

 

そして言い訳のような俺の謝罪に紫は赤くなりながらも扇子を口に当ててつつ口を開く。

 

「ま、まぁいいですわ。……本題に入りましょう。今日は私の友人の幽々子に会う約束。それに違いは無いわね?」

 

「そりゃあもちろん、俺も楽しみにしていたのだし間違えるわけが無い」

 

「宜しい。では一つだけ注意する事があるわ。よく聞いて頂戴」

 

何やら紫が神妙な面持ちで話し始めるので、こちらも真剣な表情で聞く。おそらく注意点としては、幽々子の持つ能力が俺に向けられる可能性があるから、注意をしろとかそこらへんなのではないだろうか?

 

そして紫の注意点は俺の予想と大体の同じものであった。

 

「耕也の持つ力で幽々子の攻撃に常に注意して頂戴。多分、いや絶対に幽々子は貴方に対して死へ誘う能力を使うわ」

 

「わかった、十分に注意しよう。……でも、なんで能力使ってくるんだ? 俺は別に敵対したりはしないのに」

 

そういうと、紫は少々言いづらそうに少し顔を下に傾けて扇子で隠しながら喋り始める。

 

「それは、多分あなたの人格の問題だったり……ええっと……ゴニョゴニョ」

 

最後の方は聞き取れなかったが俺の人格が問題らしい。はて、……なんだっけ?

 

大胆な性格だったというのは分かっているのだが…何か忘れているような……。

 

「ええっと、俺ってそんなに人格が悪いから殺意を持たれやすい? いや、自分で言うのも変だけど、なんだか俺って極上の食料に見えるらしいんだよね。妖怪視点だとさ。」

 

そう言うと紫は、あわてて扇子を左右にブンブン振りつつ弁解し始める。

 

「ちっちがうわよ! むしろ良い方だわ! 良い方なんだけど……ねえ、藍?」

 

いきなり振られた藍は少し咳き込んだ後、紫に言い返す。

 

「ええ、私ですか!? そ、そりゃあ良い人ですが……………私も食べてしまいたいと思いますが…………………物理的ではなく」

 

後半の方がよく聞こえなかったので話が全く理解できない。

 

おまけになんだか無限ループに入りそうなので俺が話すことによって差し止めを行う。

 

「いや、悪い奴だと思われてはいないって事は分かったから安心したよ。」

 

そう言うと、二人とも安心したようにため息を吐きながら姿勢を落ち着かせる。

 

「分かってくださったのなら何よりですわ」

 

そう言うと、自分の身体の内に溜まった熱を放出させるかのようにパタパタと扇子を煽ぎつつ次の話をし始める。

 

「では、そろそろ時間も押している事ですし、参りましょうか。耕也?」

 

「ああ、はい。……何か菓子折りとか持っていく必要はありますか? 手ぶらというのもなんですし」

 

「気持ちだけで十分だと思うわよ? まあ、持って行きたいのならば別に止めはしないけれども」

 

そう言われると持って行った方がいい気がしてきた。菓子折を持って行った方が印象も良くなるだろうし、襲われにくくなると思うからな。

 

まさか、俺が妖怪に美味そうに思われるからって、幽々子が俺を殺したくなるなんてことは無いだろうな?

 

そんな嫌な考えがふと頭の中を一瞬だけよぎる。

 

俺はそんな薄ら寒い事態を想像して少々身体をブルリと震わせてしまう。大丈夫、俺には無敵の防御機構があるのだから。そんなに心配する必要もないはず。

 

でもなぜだろうか? 効かないと分かっているのにこんなにも嫌な感じがするのは。

 

なんだろう? 俺が忘れている事に何か重要な事でもあるのだろうか? いや、でも忘れてしまうという事はそれだけ懸念すべき事項の優先順位が低いという事。

 

って事はそこまで心配する必要はないという事なのだろうか? どちらにせよ何かしらの嫌な感じがする。これだけは確かだ。

 

すでに能力は発動しているからもう問題は無いだろう。

 

領域の事を回避案として持ってきて自己解決させた俺は、紫に菓子折を持って行くことを伝える。

 

「紫さん、やっぱり持って行くことにしますよ。手ぶらはやはり嫌ですしね」

 

そう言うと、紫は俺の気持ちをくんでくれたのか、頷きながら微笑む。

 

「わかったわ。ならそうして頂戴。あの子も喜ぶわ」

 

俺はその言葉にうなずくと、すぐさま作業に取り掛かる。

 

平安時代の菓子折の渡し方なんて全く機会が無かったから分からないが、ここは俺の知っている限りで何とかしよう。

 

とはいってもどら焼き関係の入った紙製の箱を風呂敷で包むだけなんですけどね~。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、準備も万端だし、行きますか? それと、待たせてすみません」

 

俺が準備を終えるのを待ってくれた二人が頷く。そのついでに俺は幽々子の所までどうやって行くのかを念のために聞いてみる。

 

実際の所、予想はつくのだが、スキマでは行きたくない。やはりあの代物は好きになれない。正直に言うと気持ち悪い。

 

だが、俺の願望には沿ってもらえず、紫はさも当然のようにスキマを使うのだという。

 

「当然スキマを使うに決まっているじゃない。チンタラ飛んでいたら何時まで経っても冥界につかないわよ?」

 

「ですよね~」

 

仕方が無い、ここはちょっとの間我慢しよう。

 

「じゃあ、お願いします」

 

「わかったわ」

 

そう言うと紫は扇子を縦に一閃し、スキマを作りだす。そのまま紫はスキマの中へと身を滑らすように入っていく。

 

そしてスキマの中をゆっくりと歩いていく。そして歩いていく最中で立ち止り、俺の方を振り向く。

 

「ほぅら、早くなさいな。初めは潜り辛いかもしれないけれども、一度潜ってしまえば楽なものよ?」

 

その通りだ、確かにその通り。しかし実物を潜るとなるとまた話は別。先ほどは我慢しようなどと考えていたが、いざ目の前にしてみるとどうしても進む気持ちが萎えてしまう。

 

空間が切り裂かれてその両端にリボンが付いている。ここまでは良い。だが、その後がいただけない。なんせ中には赤い空間に大小の目がギョロギョロと蠢いており、あちらこちらから牛車の欠片やら鍬や斧の柄が飛び出ている。

 

この時代だから標識などが無いだけだろうが、とにかく気持ち悪い。

 

俺が一歩を踏み出せずにいると、後ろから藍が近づいてきて耳元で囁く。

 

「耕也…、私が後押しをしてあげよう。何、心配するな。初めては誰しも緊張するものだ。何事もな。」

 

甘い吐息と共に吐き出された言葉。それを聞いた俺は足を踏み出そうとする。だが、まだ藍が俺に話しかけてくる。

 

「耕也、一人で行くな。私が後押しをしてやると言っただろう?」

 

そう言って俺に後ろから抱きつき、一気にスキマの中へと俺を押し込む。

 

だが、そうは問屋が卸さなかった。

 

「きゃあッ!?」

 

「えぇっ!? あぶないっ!」

 

何とスキマの中に居た紫がいきなりこちらまで跳ね飛ばされてきたのだ。

 

慌てて俺は、藍に抱きつかれたまま飛んでくる紫を正面から抱きしめ、怪我が無いように衝撃を相殺していく。

 

しかし、完全には相殺しきれず、俺と藍諸共、紫は一緒に倒れてしまう。

 

そして紫を吐き出すなや否や、目の前にあったスキマは瞬間移動したかのようにシュッと消えてしまう。一体何が起きたんだ?

 

俺の疑問と同じ考えを紫が持ったらしく、口に出して起こった事象に対して文句を言う。

 

「い、一体何が起こったっていうのよ……」

 

ただし、俺に覆いかぶさった状態で。ちょっと勘弁していただきたい。

 

紫のプロポーションは幽香、藍と同じく非常に豊満で妖艶。遠目で見ているだけでもヤバいというのに今は密着である。

 

その毀れんばかりの大きな胸が、俺の胸板に圧力を掛けつつ自身の体積を横にずらしている。要するにとんでもなくエロいのだ。

 

俺も男であるからしてそう言うのにはもちろん反応してしまう。だから何と言うか、もうとんでもない。決してこれは慣れるものではない。

 

おまけに媚薬のような体臭も相まってヤバい。非常にヤバい。しかも紫はまだ状況を把握しきっていないから気付いていないという何とも困った状況なのだ。

 

だからこそ俺はこの状況に浸りたいという願望を理性で抑えつけながら紫に言う。

 

「あの、紫さん……、胸が当たってます。」

 

ダイレクトに言ったためか、紫はその言葉に過敏に反応し、ようやく自分の状況を理解する。そして俺を見下ろしながら顔を再び真っ赤にして、ぎこちない動作で俺から離れていく。

 

「ご、……ごご、ごめんな…さいね?」

 

「え~と、俺もごめんなさい」

 

と、一応謝っておく。そして段々とではあるが、先ほど起こった事象の答えが分かってきた。

 

あの時、俺がスキマに入りこもうとしたときに、紫が飛んできてスキマが消えた。

 

…………ああ、俺が領域発動してたからか。

 

俺の領域がぶつかって、スキマが消えそうになる。そしたら紫の保護を目的にスキマが外へと放りだす。

 

こんな感じだろうか? おそらく合っているとは思う。

 

そして俺の領域の発動に気付いたのか、藍が口を開く。

 

「耕也。もしかして領域を発動させているのか?」

 

ピンポイントで言われてしまったために、俺は素直に言う。

 

「はい、すみません。発動してました! そして、今切りました!」

 

やっちまった感MAXなんだが。

 

藍は、何とも扱いにくい力だなと言いながら苦笑する。

 

そして落ち着きを取り戻したのか、紫が咳払いをしながら話しかけてくる。

 

「ゴホンッ、……そろそろいいかしら?」

 

「はい、すみません」

 

何だか今日は謝ってばかりだ。

 

俺は再び紫が作ったスキマに足を運んで身を投じようとする。

 

しかし次の瞬間、後ろから紫と藍の声が近づき、そして無理矢理押し出された。

 

「やはりこうした方が貴方も気持ちが楽でしょう?」

 

「仕方がないなぁ耕也も」

 

二人の気遣いに俺はうれしくなってしまい、思わず顔をほころばせてしまう。

 

「ありがとう。二人とも」

 

そして二人に礼を言いながらスキマの中で首だけを後ろに向ける。

 

だが、二人はなぜか俺の服の匂いを嗅いでいた。…………なんで?

 

俺は反応に困り、二人に恐る恐る話しかける。

 

「二人とも、……何しているんだい?」

 

そうすると、慌てて顔を離し、表情を取り繕いながら俺に言い訳をし始める。

 

「いえいえ、特に何も………………………………へえ、シたのね」

 

「いや、何も…………………………………………ほう、手を出したな」

 

後半の方は良く聞こえなかったが、特に何もないらしい…………よく分からん。洗剤変えた訳でもないのに…。

 

俺はこれ以上気にしていても仕方が無いと思って、スキマの向こうにある開かれた出口へと向かっていく。

 

スキマからわずかに除く景色は、大きな日本家屋のような物が見えるだけである。

 

俺は全体の景色を見たくなったために少々足早に歩き、スキマから身を出し、石でできた足場へと降り立つ。

 

数秒してから続いて紫と藍が俺の両隣に降り立ち身だしなみを整える。

 

「ここに西行寺さんがいるんだよな藍?」

 

「そうだ。紫さまのご友人がね」

 

紫は付いてきなさいとばかりに微笑みながら前へと歩いていく。

 

俺と藍も、いそいそと付いていく。だが、目的の場所とは違った方向から声がかかってくる。

 

「あら、紫。どうしたの突然。何か急な用事でもあったのかしら?」

 

といった、かなり素っ頓狂な声が背中から掛かってくる。

 

俺達三人は驚いて足を止め、後ろを振り返る。そこに居るのはもちろん幽々子。

 

ああ、やっぱり全部うまくはいかないんだなと思いながら、手に持っている風呂敷の処遇について考えてしまっていた。

 

そしてこの女性もまたプロポーションが紫、藍、幽香と比べてもそん色が無いほど、いや、非常識なほど良くあらせられる。

 

本当に眼のやり場に困る……。勘弁してくれ。

 

そんな事を思っていると、幽々子の方から近づいてきて俺に話しかける。

 

「はじめまして、私は西行寺幽々子。紫の言っていた男の人ね? ええっと、名前は確か……そうそう、大正耕也さんね? よろしく」

 

姿に似合ったおっとりとした声で自己紹介を始める。

 

俺もその場で自己紹介をする。

 

「こちらこそはじめまして。大正耕也と申します。どうぞよろしくお願いいたします。あ、お口に合えば宜しいのですが」

 

そう言いながら俺は風呂敷を外してどら焼きの詰め合わせを渡す。

 

幽々子は、酷く驚いたようで眼を見開き口に手を当てる。

 

「あらあら、これは……ご丁寧に。……何と言うか、不思議な挨拶ね」

 

そう言いながらも、箱の中身が菓子だと分かると顔を綻ばせながら嬉々として受け取る。

 

そして幽々子は俺の方に顔を近づけ、耳元で囁く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方はなんだか、結構変わっているのね。…………色々な意味で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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