東方高次元   作:セロリ

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10話 助けて諏訪子様!……

諏訪子同様強すぎだよあんた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、死んだように眠る耕也を見ながら思う。

 

こいつは一体どこから来たのだろうか? と。

 

私の攻撃を完全に防御するばかりか、物質の創造までやってのけてしまう。でも、それだけだ。

 

長年見てきて分かったのだが、こいつには戦闘などの素質が全く無いのだ。創造した物をただ振り回したりするだけ。だがこちらに来たての頃よりは多少はましになったが。

 

お前のいた世界はどんな所だったのだ? すべて分かっているかのような雰囲気。初めて私を前にしても全く恐れを抱かなかった大バカ者。

 

だが、親しみを持って接してくれる。家族のように接してくれる。今まで経験した事のない事ばかりだ。でも心地よい。この感情は嫌いではない。

 

そして耕也の頭をなでながらつぶやく。

 

「なあ、お前はどこから来たのだ? 迷い人よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けてみると、日は真上に差し掛かっていた。かなり寝てしまったようだ。

 

時計を見ると、およそ3日間眠っていたようだ。

 

特にすることもないのだが、今は戦争中であり、だらけている暇はない。

 

現在の情勢はどうなっているのかを聞かなければならないため、諏訪子を探す。

 

しばらく探していると、諏訪子は自分の寝室にいた。

 

「おお、耕也か。調子はどうだ?」

 

「まあまあだね。」

 

「それは良かった。」

 

と他愛もない会話をする。

 

そこで俺は彼女に情勢を聞いた。

 

「今の状況はどうなってる?」

 

「散発的な攻撃はあるが、耕也のおかげで何とか……。でも戦力差はかなりある。木端神程度ならどうとでもなるが、八坂神奈子あたりが出てくるとかなり面倒だ。」

 

やはりかなりヤバい状況だな。負けるのは分かっているんだが、被害は抑えたい。

 

「まあ、何とかなるよう俺も頑張ってみるさ。」

 

「ああ、助か……耕也、来たぞ。」

 

異常を察知した俺は黙って頷き、ミジャグジの報告した場所までジャンプする。

 

この大きな力は一体何なんだと思いながらも向かった先には……八坂神奈子がいた。

 

やばい、勝てる気しない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、と思った。この私が国境付近に姿を現わせば大正耕也は必ず来ると確信していた。

 

「やはり来たな大正耕也。すでに分かっていると思うが、私はこの国をもらう。そしてこの国に革命をもたらすのさ。」

 

対する耕也は

 

「この国に革命? 頭腐ってるんじゃないか? 革命が必要なのはお前たちの脳みそだよ。この戦闘狂共め。」

 

と挑発してくる。

 

「はっ、戦闘狂で構わんさ。それに、脳が腐っていると言う割にはお前たちの国は遅れているじゃないか。」

 

全く、面倒くさい奴だ。こちらはお前と早く戦いたいと言うのに。

 

しかし、なぜだろう? 露骨に戦いを避けている気がするのは。

 

しばらく私は思考を重ねてから結論を出す。ははあ、こいつ今満足に戦えない状態なんだな?

 

まあ、それはお前の落ち度だ。手加減なしでやらせてもらう。

 

「下らない言葉を並べるのはもうやめだ。いくぞ!」

 

そして私は数本の巨大な木の柱を大正耕也に撃ち放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やべえ、マジで勝てる気がせん。攻撃は絶対食らわないが、こちらの攻撃は貧弱すぎる。

 

昨今の戦いのせいで力がろくに戻っていない。せいぜい数メートル級の金属球を10個程度か……ムリだな。

 

負けはしないが勝てもしない。こりゃ諏訪子に早くバトンタッチさせて退避しようかな。

 

そんな事を考えながら、俺は巨大な木の柱をかわしていく。そして反撃に銅球を創造し神奈子に向かって発射する。

 

だが、神奈子は高速で飛来する球を軽々と避けていく。まあ、距離がかなりあいてるし仕方ないと言えば仕方ないが。

 

そして神奈子の攻撃をかわしている最中にふと気付く。

 

(あれ? 俺なんでかわしてるんだろう? かわす必要ないじゃないか。)

 

そう唐突に思い、迫りくる巨木に手をかざし、粉砕し弾き飛ばしていく。

 

撃ち終わった神奈子が、驚愕の表情で俺を見つめる。そしておもむろに口を開く。

 

「卑怯じゃないかお前! 正々堂々と戦え! この腰ぬけ!」

 

なんて無茶苦茶な事を言うんだ。これがなきゃ俺は即死だぞ? 凡人なめんな。

 

「戦いに卑怯も糞もあるかっつーの。いかに自分への被害をなくそうが自由だろうが。」

 

俺は自論を展開していく。しかしどうにも神奈子は納得しないようだ。

 

「ふん! この臆病者め。ならばこの拳で!」

 

そう言って神奈子は俺に高速で飛んでくる。というよりも視認できない。

 

風切り音と共に俺の左側頭部から金属板をハンマーで叩いたような激しい音がする。音がした方に目を向ければ今度は腹から、次は足、背、腕、首、胸。

 

まるで機関銃のように次々と俺の身体に拳が叩きこまれる。どれもこれもが一撃で人間を粉砕する威力を持っているのが分かる。

 

しかし、俺の身体は粉砕したりはしない。むしろ傷一つ付かない。

 

永遠に続くかと思われる程の打撃音が止んだ時、そこには拳から少量の血を流しながら浮かんでいる神奈子の姿があった。

 

「……これでも駄目か。お前は一体何者なんだ?」

 

「ただの凡人だよ。お前たち神と呼ばれるものには及ばない、ただの男だ。」

 

「嘘を吐け。お前のどこが凡人なんだ。私の攻撃を防ぐ凡人がどこにいる。」

 

そして、神奈子の言葉に返答しようとして、自分の身体の違和感に気づく。

 

何だろう? 妙に身体の力が抜ける。そして眠気も。でも気付かないふりをして

 

「だから本当に凡人なんだって……………い………」

 

と言葉を言いかけた瞬間に視界が暗転していく。おそらく力の使い過ぎだろう。そして俺は飛ぶことすらもできなくなり地面に向かって一直線に落下していく。

 

意識が完全に闇に溶け込む前に誰かに支えられた感じがした。

 

同時に「後は任せろ。」という声も聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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