魔理沙「たまげたなぁ」
ファッ!?
ーーーーーーー
「ハア……ハア……ぐ!」
「諦めなさい『寒符』リンガリングコールド」
「っ!」
MURは咄嗟にレティのスペルカードを回避しようとするが、体温を徐々に失われていき、尚且つ傷ついた体では完全には回避出来なかった。
「く………!」
戦況は時間が経てば経つMURは不利になっていった。
(これは厄介だゾ、あの時の吸血鬼みたいにただ戦闘能力が高いだけならまだ何とかなったものの………)
(MURさん、今すぐ交代してください!)
(KMR、気持ちは嬉しいがこれは俺の戦いだ、投げ出す訳にはいかないゾ)
(そんな事言ってる場合じゃ……!)
(それに)
(……?)
(一人の武人として自分がどこまでやれるのか試したくなった)
(!!)
(KMR、お前の負けだ、大人しくMURを信じて待っててやれ)
(AKYSさん……)
「どうしたの?突然黙って………諦めてくれたの?」
「諦める?………冗談はよせ………お前を殴る方法を考えていただけだ」
(ッッッ!雰囲気が変わった!?)
MURは先ほどとは比べ物にならない程様子が変わっていた。
MURから放たれる殺気がレティの肌を掠める、少しでも隙を見せたら今にも殺られそうな程の殺気が、
「………大人しく諦めてくれれば傷つけずに済んだのだけどねっ!」
レティは弾幕をMURに飛ばし、MURは防御の姿勢をとる、が
「こっちよ!」
後ろに回ってきたレティがさらに弾幕を撃ってくる。
「ごめんなさいね、でも少し痛いだけだから」
「しまった………」
「すぐに気絶させてあげるから『白符』」
レティは静かにMURに手をかざし、
「アンデュレイションレイ」
その一撃を放った
ーーーーーーーー
「ふう……まさか人間があんなに強かったなんて………」
レティは白煙のする方へと歩きだす。
「………少しやりすぎたかしら?」
「そんな事ないゾ」
ドオンッ!
その瞬間、白煙の中心から衝撃波が発生し、白煙を晴らした。
「まだ立って………」
「隙だらけだ」
次の瞬間、MURはレティの後ろに回り込み、そのまま足を掛け、転倒させた。
「まずは一撃与えるゾ」
「しまっ…………」
ーーー迫真空手流奥義・葬打夜
無防備のレティの体にその一撃を当てた
「がッ………」
レティは咄嗟に着地し距離を取る、MURも追撃しようとするがレティの放つ弾幕によりそれは叶わなかった。
そして何よりもーーー
「ぐ……!」
MURの体の状態では弾幕を回避しつつ追撃する力が残っていなかった。
そう、MURは葬打夜の一撃に全てを賭けていたのだ。
その一撃の為に傷を負う事を承知で、レティを油断させる為にわざとレティのスペルカードをくらったのだ。
しかし、一撃でレティを倒す事が出来ず、さらにはその一撃に力を殆ど使用した為、MURに戦う力は殆ど残されてなかった。
「これ……は……しくじっ……た……ゾ」
「ぐ………かなりのダメージは受けたけど、あなたはどうやら力を出し切ってしまったようね」
(M、MURさん変わってくれよな~頼むよ~)
「いや…だ……ゾ」
(このままじゃ危険ですよ!無理はやめロッテ!)
(例え負けるとしても、自分の戦いを誰かに投げ出す気はない)
(………!MURさん……)
(それに戦いはまだ終わってない、勝機だってまだあるゾ)
(………MURさん)
(ん?)
(この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台来てるらしいっすよ、じゃけん夜行きましょうね~、佐藤の金で)
(ファッ!?)
(お前の身体なんだから当たり前だよなぁ?)
(ははは………これはラーメンの為にも負ける訳にはいかなくなったゾ)
「(ラーメン食いに)行きてえなあ」
「?いきなり何を………」
「レティ・ホワイトロック、俺はもうほとんど力が残ってないぞ」
「………自分から言っていいのかしら?」
「どうせバレてるし大丈夫ゾ」
「じゃあ………降参という事かしら?」
「違うゾ、さっきも言った通りもう殆ど力も残ってない、だから最後の一撃でお前を倒すゾ」
「………素直に食らうと思うのかしら?」
「別に避けても迎撃してくれても構わない、ただ言える事は一つだゾ」
MURはレティに指を指し睨みつける
「勝っても負けても次で最後だ」
そのままMURは構えた、レティはどんな攻撃がくるか警戒した…………が
「………?」
MURはただじっと待っているだけだった。
そう、無駄な体力を使わない為に相手から仕掛けて来るのを待っていた。
(なりほど………そういう事ね)
しかし、こんな単純な事がバレないはずもなかった。
「無駄な体力を使わない為にこちらから動くのを待っているのね、けど………」
レティも構え、両手に妖力を創りだした。
「一撃で気絶したらチャンスも何も無いのよ!」
レティは妖力をMURへとかざす。
「『冬符』ノーザンウイナー!」
両手に極限まで溜められ、球体のような形をした妖力の塊がMURへと襲いかかる。
それはレティがこれまでの戦いでは見せた事のないほどの力を誇っていた、人間のMURですら、どれほど強力なのか分かるほどの。
(さあ、どうくるのかしら?)
MURはその妖弾を真っ直ぐ視線に捉えると………
ドゴオオオッ!
そのまま直撃した
「な………何で避けないのよ!?」
レティからすれば本気で放ちはしたが別に殺す気で放った訳ではなかった、防御の構えをとれば大ダメージは受けるものの、死にはしない威力だった。
「……………馬鹿ね」
レティはそう呟くと、そのまま背を向け歩いていった。
「まだ終わってないゾ」
「!?」
その声の正体はMURだった。
「戦いの中で背を向けるのは自殺行為だ」
レティはすぐ離れようとするが、もう遅かった。
「いくゾ」
ーーー迫真空手流奥義・三炉世三炉世
相手の背中に回り込み、一撃目を背中に当て、二撃目は無防備となった相手を背負い投げで地面に叩きつけ、そして三撃目で横たわっている相手の腹へと与えた。
「ッッッッッッ!」
「無理に動こうとしない方がいいゾ」
悶え苦しむレティを見下ろしMURが近づく。
「とにかくこの勝負、ポッチャマの勝ちだゾ」
(あ、一人称がポッチャマになった)
(アホ面に戻りましたね)
(てか迫真空手流なのに背負い投げしていいんですかね?)
(これもう空手か分かんねえな)
ーーーーーーーー
「さて、俺が勝ったから異変を止めて貰うゾ」
「イタタタ………異変って何の事よ?」
「惚けても無駄だゾ、春が来ないのはお前のせいだって分かってるんだゾ」
「別にこの異変を起こしたのは私じゃないわよ?」
「でもさっき自分の事を黒幕って………」
「ああ、あれは寒気を強くしていたのが私だから、あながち間違いでも無いでしょ?」
「じゃあ俺が戦った意味は………」
「無いわね」
「嘘だよ………」
「ええと………取りあえずもう行ってもいいかしら?」
「もういいゾ………どうでもいいゾ………」
「そ、それじゃあ………色々頑張って………」
ーーーーーーーー
(それにしても1から探し直しですね)
「そうだよ………あ、そうだ、佐藤に身体返すゾ」
(あ、ありがとうございます………ん?)
「痛すぎィ!?それと体冷たすぎィ!?」
(さっきアホ面って言った仕返しゾ)
「聞こえてたのかよ………」
(おら、さっさと探しにいけ)
「A、AKYSさん、少し休ませて………」
(何言ってんだ、今の戦闘で時間食っちまったんだ、急ぐぞ)
「そんな………田所さん……変わって………」
(おう、やだよ)
「K、KMRさん!」
(………頑張って下さい)
「ああああああああもうやだあああああああ!!」
排便音ばかり聴いてると一周回って気持ちよくなってくる(重傷)