食戟のトニオ・トラサルディー Sesame's Treet (ソーマXジョジョ)   作:ヨマザル

7 / 25
コントルノ (付け合せ)

「知らなかったぁ……日本でもトリュフが採れるなんて」

 涼子はタッパーいっぱいに詰められたトリュフを熱心に覗き込んだ。タッパーからはトリュフの妖艶な香りが漂ってくる。さすがは世界三大珍味と言われる超高級食材だ。

 

 午後いっぱいかけて集められたトリュフは、中くらいのタッパー1箱をいっぱいに埋めるほどになっていた。

 

「……日本……杜王町のトリュフは小さいものが多いのですが、でも香りはかなりいいです」

 トニオが言った。

「デモ、やっぱり貴重なものですから。注意して採取しまショウ。採りつくしては無くなってしまいます。生態系に悪影響を及ぼさない範囲で少しだけ採るのが、コツです」

 

「そうなんですか……」

 地面に這いつくばっていたタクミが、顔を上げた。その顔のあちこちに泥がこびりついている。その手にはまた一つトリュフが握られていた。

 

「おお、採れたかよォ」

 噴上が言った。這いつくばるタクミの上からその手元をのぞき込んでいる。

「がんばるじゃあねーか」

 

「ありがとうございますッ」

 

 タクミが礼を言うと、噴上は鼻をこすった。

「まぁ、イイってことよ……おれはただ、匂いを嗅いでいるだけだからなぁ」

 

《……匂いで地面の下のトリュフの匂いを嗅ぎ分けるなんて……このヒト、見かけよりもスゴイ人だったのね》

 涼子がタクミにささやく。

《ねぇ、葉山君にも同じことが出来るかしら》

 

《さあな……》

 タクミは首をすくめた。

 

 葉山と言うのはタクミ達の同級生の男だ。

 非常に鋭い嗅覚を持ち、その嗅覚を生かしてスパイスを巧みに使った料理を得意としており、『香りの貴公子』と言う異名を持っている。そして、タクミも参加した『秋の選抜』と言われる料理勝負の場で優勝した男であった。

 一年生の優秀な生徒だけが出場できるその『秋の選抜』には、タクミも、涼子も出場していた。だが涼子は予選をギリギリで突破できず、タクミは、本戦第一回戦(準々決勝)で敗退していた。

 

 だから葉山もまた、タクミが追いつき、勝たなければならないライバルなのだ。

(もちろん、一番に倒さなければならないのは『奴』だ……だが葉山アキラ……お前も俺が倒すッ!)

 

 妄想の中で盛り上がっているタクミの肩を、ポンとトニオがたたいた。

 タクミは我に返り、そそくさと採ったトリュフをタッパーの中に入れる。

 

 涼子が噴上に話しかけた。

「……それにしてもスゴイですね。地中にあるトリュフの匂いをかぎわけるなんて」

 

「おお…………実は若けぇ頃に、ちょっと『パープル・ハイウェイ(*1)』で『ハードラックと踊っちまって( ダンス)』よぉ (*2)……死にかけたことがあるんだよ……で、そのときから、何だか理由はわからねーがずいぶん鼻が良くなったんだよなぁ」

 噴上がふんぞり返り、鼻をこすった。

 

「ハードラック…………単車ですか?」

「おぉ! 嬢ちゃん、オメ―わかっているじゃあねーか……あんた、シャバ憎(*3)じゃあなかったんだな」

「噴上さんも単車乗りなんですねッ! やっぱり、あのファイヤーパターンの単車は……」

「おお、俺のだぜェ」

 

 何故か噴上と涼子は、意味不明の言葉を交えつつ、バイクの話で盛り上がり始めた。

 

 注

 ────────────

 *1: パープル・ハイウェイ → 夜明けの道路のこと。湘南の爆走族にだけ見えるという

 *2: ハードラックとダンス(踊る) → バイクの事故のこと。横浜のとある総長さまの近くで良く起こるらしい

 *3: シャバ憎 → 真面目な人のこと

 ────────────

 

 

「噴上サンも料理をされているのですか?」

 コホンと咳払いして、タクミがたずねる。

 

 涼子と噴上が話を止め、タクミの方をくるっと向いた。少し迷惑そうだ……

 

「……料理ィ?」

 噴上が肩をすくめた。

「そっちは、トニオさんの領域だぁ……俺はバイク屋だぜ……バイクショップ、スピード☆キングだぜ。単車が欲しくなったら声かけてくれよな。まけとくぜ」

 噴上は悦に入ってジャンパーの胸元を叩いた。ジャンパーの胸元には、H☆Sと大きく刺繍がしてある。

 

 スピード☆キングならS☆Kではないのか? 

 ハタと首をかしげるタクミを見て、噴上はただニタニタ笑っている。

 

 涼子はテンションが上がってきたらしく、今度はアケミと話し始めていた。二人はすっかり盛り上がり、あっという間に仲良くなっていた。涼子はアケミから何やらワッペンを貰って上機嫌で懐にしまいこんでいる。

 

 タクミはそんな涼子の様子に、ある疑いを持った。

(……涼子さん、もしかして……自分が元ヤンなのか?)

 そういえば、時折妙に大人びているし、異様な迫力を感じることもある……いや、深く考えるのはやめよう。

 

「噴上サン……今日は、ありがとうございましタ」

 トニオが噴上に頭を下げた。

 

「なぁに……いいってことよォ……オレの方こそ、悪いなぁ……毎回タダメシを食わせてもらってよぉ」

「いえ、噴上さんがいなくては、このトリュフは採れませんからね。当然のお礼ですよ……今年は、これでシーズンオフにしますから、また来年も、よろしくお願いします」

「ハハハ……いつでも声をかけてくれよ」

 

 噴上がふんぞり返ってそう言った。そして、ちょっと眉をしかめた。空に顔を向け、クンクンと鼻をうごめかせる。

「……トニオさん、獣の匂いが近づいてくるぜ……コイツは………………」

 噴上の声が緊張し……そしてすぐに『ああ、《橋沢》の奴か』とつぶやいて脱力した。

 

「橋沢?」

 タクミと涼子は顔を見合わせた。

 それはもしかすると、おなじく杜王町にやってきていた吉野と丸井が派遣された先ではなかろうか。

 

「ああ、約束どおりイクローさんが来ているのですね」

 トニオはニコニコしている。

 

「おお……アンタこの後、橋沢の奴と会うのかよ……ま、俺からよろしく言っておいてくれよ。俺たちはもう帰らないとイケねーからよぉ」

 噴上はクーラーボックスを抱え上げると、アケミの手を引いて海岸線沿いを歩いて行った。

 

 二人が少し離れたところまで歩いた時、アケミがクルリと振り返った。

「トニオさん、ありがとうございましたッ! 涼子ちゃんもっ、またねぇ〰〰。()()入れなよぉッ」

 アケミは大きな声で叫び、頭を下げた。

 隣の噴上も大きく手を振り……二人は手をつないで仲良く帰って行った。

 

「さて……と」

 アケミに対して律儀に頭を下げていたトニオが、顔を上げた。再びその目が輝いている。

「では、もう一人の客人を迎える準備をしましょうか」

 

「えっ…………」

 

◆◆

 

 パチッ……

 薪が、はぜた。

 ガサガサと藪を掻き分ける音と、荒い息づかいが聞こえた。

 

「……来ましたね」

 焚き火に薪をくべていたトニオが、その手を止めた。

 

 その言葉どおり、藪が揺れ、三人の目の前に人影が飛び降りてきた。

 バカデカイ荷物を背負い、茶色の毛皮を羽織った男は、遅れてすまなかった……と爽やかな笑みを浮かべた。

 間違いない。その男は、タクミ達が杜王町に着いたその日、同級生の吉野と丸井を連れ去った人物であった。

 

「……やぁ君たち……また会ったね……元気そうで安心したよ」

 男はタクミと涼子を見つけて、にこやかに挨拶した。

 

「あっ……お久しぶりです……あの……吉野と丸井は……」

 恐る恐るたずねた涼子に、男はニコッと笑いかけた。

 

「ハハハ……吉野クンも、丸井クンも、元気だよ……すぐに連れてくる。だからちょっと、この荷物を見ていてくれるかな……」

 男はそう言うと、ドサリと荷物を落とした。そしてビックリするほどのジャンプをみせ、スルスルッと木に登ると、あっという間に藪のなかに消えていった。まるで、野生の猿のようだ。

 

「トニオさん、今のかたは……」

 あっけにとられたタクミと涼子が、トニオにたずねる。

 

「彼は『マタギ』です」

 トニオが言った。

 

「『マタギ』?」

 首をかしげたタクミに、涼子が説明した。

 

「『マタギ』って言うのはね……日本の昔からのやり方で猟をする人のことよ」

 

「へぇ……カッチャトーレ(猟師)か……」

 猟師さんのところで研修出来るなんて、吉野さんは大喜びだろうな……タクミは同級生が喜んでいる顔を思い浮かべた。

 吉野は狩猟によって獲られた野生の肉を使ったジビエ料理を得意としている料理人だ。本物の狩人の元で学べるなんて、彼女にとって願ったりかなったりの研修だろう。

 しかし…………丸井クンも同じ研修先だ。

 

 タクミは心配そうにうなった。知識はあるが人一倍体力がない丸井クンには、野外の狩りは地獄だろう…………

 無事でいてくれるといいが……

 

 同級生を案じた二人は、ブルルと体を震わせた。

 杜王町は東北にある。海沿いのこの辺りは、風が身を切るように寒い。

 二人が震えながら焚き火にあたっていると、再びガサガサと藪をかきわける音がした。そして、ばらりと綱が上から落ちてきた。

 誰かが、その綱をスルスルと滑り落ちてくる。

 

「ふう…………やっと出られたわ…………」

 現れたのは美しい大人の女性であった。育朗と同じような毛皮をまとい、背には猟銃を背負っている。

 

「スミレさん……」

 トニオは懐かしそうに言った。

 

「?! トニオさんッ、おひさしぶりっ!」

 スミレと呼ばれた女性は、パタパタとせわしなく手をふった。

「こんな山奥でトニオさんのお料理が食べられるなんて……今日はずっと楽しみにしていたのよッ」

 

「……あっ、あのぉ…………」

 涼子は、スミレと呼ばれた女性に恐々と話かける。

 

「なぁに?」

 

「……あの…………」

 涼子が同級生のことをたずねかけたとき、またしても藪がガサガサと揺れた。

 スミレよりも小柄な人影が、綱を滑り落ちてくる。

 

「☆@&#%%$!!!!」

 その人影は、着地と同時に声にならない声をあげ、四つん這いで地面を駆けた。

 走る先には涼子がいるッ! 

 

 人影は涼子の足元に置かれたクーラーボックスに飛び付き、中からトマトを掴むとかじりだす。

「ガウッ!」

 薪の明かりに照らされ、その人影の顔が良く見えた。

 

「ちょっ……ちょっと……悠姫?」

「もしかして、吉野さん……大丈夫?」

 涼子とタクミがおずおずと友の名を呼ぶ。

 

 その声に反応して、トマトをむさぼり喰っていたモノがガバッと顔をあげた。

 間違いなかった。獣の毛皮を身にまとい、顔中煤だらけではあったが、その特徴的なツインテール、クリクリと良く動く目……間違いなく同級生の吉野 悠姫であった。

「はっ、その声は…………涼子ッ」

 

「やっぱり、悠姫、悠姫なのね」

 

「うっ、うわぁ──ん‼」

 我に返った吉野が涼子にしがみついた。

「ああ…………涼子からシャンプーの香りがする…………いい香りだよ…………文明の香りだよ……」

 

「ちょ……悠姫、そこはダメッ……やめてぇ…………」

 まるで子犬のように、吉野が頭をグリグリと擦り付けてくる。その頭が、ちょうど涼子の『ゆたかな部分』にうずもれていく。

 

 なぜかタクミが顔を赤くしてうつむいていた。

 

「こら、落ち着きなさいよ」

 ポン と、スミレが吉野の肩を叩いた。

 

「はっ…………スミレさん…………すっ、スミマセンッ!」

 再びわれにかえった吉野が、シャンと背を伸ばした。

 

「まったく…………まぁ、久しぶりに友達にあって盛り上がるのはわかるけどさ。少しは落ち着きなさいよ」

 

「はっ、ハイッ」

 

「ほら、火にでもあたって、体を暖めてなさい」

 

「わっ、わかりました」

 ビュッと動いて、スミレの言いつけ通りに焚き火にあたる吉野。その顔は、泥だらけだ。

 

 そんな吉野がすっかり心配になり、涼子は大丈夫? と吉野にたずねた。

「ねぇ、どんな研修なの…………」

 

「えっ、ああ…………イクローさんとスミレさんの狩りについていかせてもらっているの」

 火にあたって人心地ついたのか、吉野は少し落ち着いてきたようであった。

 

「狩りって……アンタ、山のなかにずっといたの…………」

「べっ、別にずうっと山の中って訳じゃないよ。えーと、三日前には人里に行ったよ。温泉に入れてもらったのよ」

「あら、いいわね」

「そうなのよッ! 気持ちよかったわ──四日ぶりのお風呂だったから、なおさら沁みたわ」

 

「四日…………」

 友達になんてひどい扱いを……涼子は、スミレを睨み付けた。

 

 だがスミレはその視線をすっかり無視している。平気な顔でドガッと地面に腰を下ろし、銃の手入れを始めた。

 

 ドガァッ! 

 その時、再び藪が割れてイクローが飛び降りてきた。

「お待たせッ!」

 そう爽やかに言うと、イクローは肩にかけたホロボロの塊をそっと地面に横たえた。

 

「さつ……さ、さ、さ、さ、む……い…………ねねね……ね……熱を…………」

 その『ボロの塊』はガタガタと震えながら、言葉を発した。メガネだけが、キラリと光る。

 はたしてそのモノは、丸井善二であった。

 

 さすがに心配になる。涼子とタクミは、丸井のそばにしゃがみ込んだ。

「だ…………大丈夫?」

「まって、榊さん……弱りすぎている……しゃべらせない方が良いかもしれない。黙って火にあたらせよう」

 タクミは、ボロボロの丸井を火のそばまで引きずっていった。

 

 丸井が弱弱しく微笑む……

「…………あ………………ありがとう……でも………………僕は全然だ、い、じょ、うぶ……だよ」

 

「なに言ってるのよッ!」

「やっ、涼子…………私も丸井も、大丈夫なんだってェ…………へへへは…………」

「……吉野さん、声がうつろだよ…………」

 

「ハハハ……二人とも、スミレさんとイクローさんにずいぶんとしごかれているみたいですねェ」

 そんな四人の元へトニオが戻って来た。その手には『ドロドロのエスプレッソ』が二つ、握られていた。

「吉野サン、丸井クン、これをのみなさい」

 

◆◆

 

「ぶあわっっハッハッ」

「うけけけけけっ」

 トニオ特製のエスプレッソを飲んだ二人は、すっかり元気を取り戻し、ハイになっていた。

 

 そんな二人を見てニコニコしていたトニオが、立ち上がった。

「……では、始めますか」

 

「そうね」

 スミレは背負っていた背負子の包みを開けた。中からビニールに包まれた狩りの獲物を取り出していく。

「ほとんどは狩猟小屋の熟成室に置いてあるのだけど、少し獲物を持ってきたわよ」

 

 ビニールに入っていたのは…………

 ウサギ1羽

 ヤマバト2羽

 それから、シマリス3匹だ。

 

「ウサギとヤマバトは5日前に仕留めたのよ、私が血抜き、低温処理をして、内臓をとるところまではやったわ…………そのあと、数日間熟成ずみよ。シマリスは、ついさっき捕まえたモノなの…………まだなにもしていないわ」

 

 トニオはそれぞれの様子を確認し、ほう……と感嘆の声をあげた。

「……ベネッ、素晴らしい処置ですね…………完璧な状態です…………このシマリスも傷ひとつない状態でシメられているのですね…………」

 

「…………」

 可愛らしいシマリスやウサギが、目の前で冷たくなっている……涼子とタクミは、厳粛な顔つきになった。頭ではわかっている。肉を食べると言うことは、命をいただくと言うことなのだから。

 だが、改めて動かぬ動物を目の前にすると、その事実は重い。

 

「……処理のされていないシマリスから、さばいていきます…………4人のうちで獣をさばいた経験のあるものはいますか?」

 トニオがたずねた。

 

「ハイッ!」

 吉野が張り切って手を上げた。

 

「ベネッ。では解体はアナタに手伝ってもらいましょう…………他の三人は観察していなさい」

 

「ハイッ、わかりました」

 タクミ、涼子、そして丸井は、トニオと吉野の前に並んだ。

 

「まず血を抜いて……それからここを、切ります。そして、ここと、ここを…………」

 トニオは吉野と他の三人に説明しながら、丁寧にシマリスの処置をしていく。血抜きを行い、内臓を取りだし、皮を剥いでいく。

 その手つきは滑らかであり、一切の無駄がなかった。

 

「では吉野さん、次はアナタがヤりなさい」

 

「ハッ…………ハイッ!」

 吉野は残ったシマリスを掴んだ。

「こんなに小さな獣ちゃんをさばくのは、始めてだな…………」

 

「……繊細に、大胆にやってください」

 

「わ、わかりました」

 トニオの厳しい視線を感じながらシマリスの処置をしていく吉野は、緊張して少し動きが固くなっている。

 

「落ち着いて……丁寧に」

「ハイッ!」

「集中力を切らさないように、いただいた命を無駄にしないことだけを考えて」

「ハイっ!」

「そう、イイですよ……余計な力は包丁にかけない……だが、十分に大胆に、メリハリをつけて……」

 

 

◆◆

 

 30分後……

 クタクタになりながらも、吉野は何とかシマリスをさばききった。

 

 その出来映えを、トニオがさっとチェックする。

「…………悪くないですね…………その若さで、ジビエの経験を十分に持っているのですね」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

「でも、もう少し包丁の入れ方を工夫したほうがいいよ……見ていてください……こうやってやるといいです。肉の筋肉、腱のつきかた、見えない部分で肉が骨にどうつながっているのか、手で触れた感触と、刃を入れときの抵抗を、よく考えてくださイ」

 トニオはそう言うと包丁を持ち、刃を肉の中に差し入れ、滑らせていく。

「無理なく、刃を滑らせていく……肉の一片たりとも無駄にしないように……」

 

「ゴクリ」

 そのトニオの華麗な包丁さばきに、吉野達4人は疲れも忘れてすっかり魅了された。

「さすが……スゴイ……」

 

「こんなに簡単に出来るんだ……」

 いまや吉野は、すっかり尊敬の眼差しでトニオを見ている。

「スミレ姉さんも、イクローさんもものすごい猟師で、獲物の解体も凄かった……けど……トニオさんのさばきは、もっとすごいわ」

 

 と、リスをさばき終えたトニオが、唐突に全然違う事を口にした。

「『世界一のお肉屋さん』が、トスカーナにいることは知っていますカ?」

 

「知ってますッ! パンツァーノにいるダリオ・チェッキーニ(*1)さんですね……」

 地元のタクミが返答する前に、丸井が勢い込んで答えた。

 丸井は体力こそ全くないが、『食の物知りハカセ』。一年生にして、美食に関する文献を研究する遠月学園の宮里ゼミのエースをはる男なのだ。

 その食に対する知識の量は、生半可な料理研究家の知識を、軽く凌駕するほどだ。

 

「そうデス。アナタよく知っていますね」

 トニオは見直したようにいった。

 

「まぁ、彼は有名ですからね…………」

 丸井がメガネを押し上げながら、謙遜する。だがそのメガネのガラス面には擦り傷が入り、つるの部分がぐにゃぐにゃになっている。それが、彼のこれまでの苦労を忍ばせて、どこか物悲しい……

 

「実はワタシ、彼の弟子だったことがあるんですよ」

 トニオが意外なことを言った。

「日本で言う小学生の頃にね……事情があって家出して、彼のところに転がり込んだのデス」

 

「お知り合いだったのですか?」

「違いますよ。でも彼は、家出少年だったこのワタシを黙って受け入れてくれましてね……少々、実家と問題を起こして家出した私を、彼は快く受け入れてくれました。そして2年ぐらい、パンツァーノの学校に通わせてくれながら、肉屋の仕事をさせてくれたのですヨ」

 

 だからお肉のことはよく知っているのです……

 そう言うと、トニオはホッとため息をついた。

 

 リスから搾り取った血は、周りを汚さないようパッドに溜められていた。その血を見てトニオは残念そうに首を振った。

「本来、血を無駄にしてはダメです……新鮮な血は滋養に富み、味わい深い最高の食材なのですカラ」

 

「血ィ? ……」

 

 少し引いている涼子に向かって、丸井が説明した。

「血の料理は、ヨーロッパじゃポピュラーな食材だよ……イタリアなら、サングイナッチョッて言う豚の血を使った料理が、同じ名前で二種類もあるほどだよ」

 

「そうです。よく知っていますね…………」

「いえ、たまたまこの間呼んだ古典料理の文献に書いてあったんです」

 

 丸井の答えにトニオの目が光り、意外なことを口にした。

「……ほう……では、『吸血鬼』のことが書かれた文献を読んだことはありますか? 映画や物語に出てくるドラキュラなどとは違う、本物の吸血鬼のことヲ?」

 

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……

 

「吸血鬼…………ドラゴ・ツェペシュのお話ですか?」

 丸井が、オズオズと答えた。

 

「いえ、ワタシがお話したいのは『本物の吸血鬼』のお話です…………『吸血鬼』は実在するのですよ……夜の一族によって創られ、闇に生き、血をすする…………」

 

「まっ、まさかぁ~~ッ」

 

「いますよ……『吸血鬼』は……しかも、吸血鬼に血を吸われた人間は『屍生人(ゾンビ)』になるんです……」

 

「うそ……ですよね」

 

「いえいえ、本当のことです。怪物は、世界中にいるのですよ……ここの地名『屍人崎』も、ひょっとすると昔、この地が『屍生人(ゾンビ)』に襲われたからつけられた名前かもしれませんよ……」

 

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ……

 

 トニオは腕組みをして、4人を見下ろした。その眼には、またしても強烈な凄みが込められている…………

「『吸血鬼』は、人間と比べて圧倒的な力を持っています……その力の根源が、『血』なのですよ」

 

「ゴクリ……」

 いつしか四人は、トニオの言葉の説得力に気圧され、押し黙ってしまった。

 トニオの横でたき火をしているスミレとイクローまでも、なぜかうつむき、まったく口を利かないのが、奇妙だった。

 

 そんな四人を見て、トニオがクスリと笑った。

「おっと、話題がそれてしまったね……言いたかったのは、『血』はとても滋養豊かで、スバラシイ食材であるってことデス。覚えておいてくださいね」

 

 とはいえ、リスの血は少なすぎますね……野生の動物の血ですし、残念ですが海に捨てましょう……

 トニオはそういうと、片目をつぶってリスの血を海水で洗い流した。

 

「さて……ここからは、皆さんに引き継ぎましょう」

 またしても、トニオがキラリと目を光らせた。

「ワタシは皆さんにアドバイスと……ちょっとしたコントルノ(付け合わせの野菜)を作りますから」

 

 その言葉によって、まるで呪縛が解けたかのようにタクミ達四人が、動き出した。

「はっ……ハイッ!」

 

「よろしい……では、涼子さんと丸井クンはヤマバトをお願いします」

 

「わかりました」

「……がんばります」

 

「……吉野さんはウサギを……できますね」

 

「……やってみます」

 吉野は緊張して答えた。ウサギは香りが強く、ジビエの食材としてはとても難しいモノなのだ。料理人の世界でも、それなりにジビエの経験が無ければ、手を出してはいけない素材とされているほどだ。

 

「では僕は……」

 タクミはため息を着いた。

 

「そうです。シマリスをお願いしますね」

 トニオはとても楽しそうに、そう言った。

 

◆◆

 

「……ローストするのであれば、朴葉をとってきたよ……これに包んで、たき火の下にうずめればいい」

 イクローがリュックから朴葉の入ったビニール袋を取り出し、4人に渡した。

「それに、少しだけど僕らが持ってきていた食材も使ってよ」

 そういって、リュックの底から袋詰めにした野菜を取り出す。

「人参、タマネギ、大根、白菜、それから山で採った秋セリ……鍋の具材を少し持って来たんだ……状態は完璧じゃあないだろうけど……」

 

「イクローさん。ありがとうございます」

 トニオが礼を言う。

「……ところで皆さん、その大きさのジビエをローストにするのであれば、ちゃんとお腹に詰め物をすることっ! ……どうしてだかわかりますか?」

 

「ジビエは香りが強いから、その匂い消しのためですか?」

 

 涼子の答えに、トニオが首を振る。

「間違ってはいませんが、それでは50点です……」

 

 タクミと吉野は首をかしげた。なぜ詰め物をするのか、そんなこと考えたこともなかった。

 

 丸井が、手を上げた。

「……火をゆっくり入れるためです」

 

 トニオが大きくうなずく。

「正解ッ! お腹が空っぽだと、表面とお腹の両方から熱が入り、肉が早く焼けてしまいます。そうすると、肉の中の脂肪が、十分に溶けません……じっくり火を入れ、脂肪を熱で溶かしてあげることで、ジビエの味わいが完成するのですッ」

 

 そうだったのか……タクミ、吉野、涼子の三人は、ちょっと見直したように丸井を見つめた。丸井のキズだらけのレンズが、キラリと光る。

 

(丸井善二……中々ヤルッ)

 丸井善二……侮れない才能の持ち主が、ここにもいたのか……タクミは、緊張した。丸井が垣間見せた実力、知識が、驚異的に思えていた。

 そして、いくらハイキングの場とはいえ、4人が別々に調理をするのだ。そうであれば、これはレクリエーションと言うより、むしろ料理勝負の場だ。

 

 だが、タクミは知らない。三人の見えないところで、丸井のヒザがすでに少し笑い始めているのを。トニオのエスプレッソを飲んで、ムリヤリ引き出した体力が、早くもつきかけているのだ……

 

「さぁ、始めてくだサイッ」

 トニオがパンと手を叩いた。

 

 まるで鞭が入ったように、四人が動き出す。

 

「おいしいの、頼むよォッ」

 岩に腰かけたスミレが、4人に声援を送った。その手には日本酒の入ったコップがあった。クイッとコップの中身を開け、もう一度つぎたす。

「ちょっと飲みながら、料理が出来るのを待つなんて……ここ、温かいし、景色もいいし、サイコ―ッ」

 そう言いながら、スミレはイクローの肩に頭を持たれかける。

 

 すっかり悦に入って飲み続けようとしていたスミレのコップを、涼子がつかんだ。

「済みませんッ! 一杯だけ、料理に使わせてくださいッ」

 そういうと、スミレの手からコップ一杯の酒を取り出した。そしてヤマドリのお腹に日本酒を注ぎこんでいくッ

 そしてタコ糸と千枚通しをつかって、ヤマドリのお腹を縫っていくッ! 

 

 ……

 丸井は猟の為に持ち込んでいた人参と大根を、拍子木切りしている。すでにヤマドリの肉は白菜と共に朴葉の中に包まれ、たき火の下にうずめられている。

 

 ……

 吉野は肉の薫りをかぎながら、ウサギにまぶすハーブの量を、調整している。どうやら王道のローストを作るようだ。

 

 ……

 だがタクミは…………手を動かさず、目をつぶっていた。

(クソッ……リスか……)

 タクミの地元、フィレンツェはイタリア:トスカーナ料理の本場である。元々農家のシンプルな料理がベースとなっており、イノシシ、シカ、ウサギのローストなど、トスカーナ料理の基本なのだ。実はジビエ……は、タクミにとっての故郷の味なのだ。

 だが、リスは経験が無い。北米では昔から食べられていたのは知っているのだが……

 

(どうする? ラグーにすれば、オイシソウだけど……そんな時間は無いし)

 ラグーとは、刻んだ肉と香味野菜をいためて作ったシチューだ。それがアメリカに伝わり、ミート・ソースとしてアレンジされ、日本にも伝わってきている。

 

「……どうしました?」

 

 トニオの質問に、タクミは笑顔で答えた。

「いえ……無駄にできないので、頭の中で料理を組み立てているところです」

 

 強がりだ。

 

 だがその強がりの言葉が、脳裏にとある料理勝負の場面を浮かび上がらせた。『頭の中で料理を組み立てる』……それは、美作昴との食戟の場で、あの男も発した言葉だったか。

 一年生どうしで開かれる料理コンクール、秋の選抜。その場で、弟のイサミを侮辱されたタクミは、同じ一年生の美作昴との食戟にのぞみ……負けた。

 悔しいことに、タクミが負けたその美作昴に対して『あの男』は真っ向から勝負をして……勝った。

 

 それは屈辱の記憶だ。だがどんなに屈辱を感じていようとも、『料理人』なら立ち上がって、また皿と客に向き合わなければならない。

 皿に、客に……そして食材に真っ向から向き合うのだ……

 タクミは何を作るべきか、その答えが浮かび上がってくるのを感じた。

 

 ◆◆

 

 一時間半後:

 

「デキマシタッ!」

 四人が、待っていたイクロー、スミレ、そしてトニオに宣言した。

 野外料理だ飾り付けるべき皿は無い。4人は、鍋やフライパンを、直接三人の前に並べる。

 

「あっらぁ……オイシソウじゃあない♡」

 少し頬を赤くしたスミレが、嬉しそうに言った。その背後には、1升の酒瓶が、転がっている。いったいどれほど飲んだのだろう……

 

「ああ、楽しみだよ」

 イクローも顔をほころばせた。

「みんな、良くやってくれたね」

 

「どれ、食べましょうか……皆で食べ比べをしましょう」

 トニオが満足そうに言った。

「4人とも、中々の出来栄えですね……」

 

「ありがとうございますッ!」

 四人が、自分たちの料理を一つ一つ紹介していく。

 

 ……

 まず始めに料理を出したのは、丸井だ。

「では僕の皿をご賞味ください……ヤマドリのシャルトルーズです」

 丸井が出したフライパンの上には、円いパンケーキのような形をした品があった。

 拍子木切りした人参と大根で丸く囲まれた中に、ヤマドリの内臓、皮、もも肉などがみじん切りにされて詰められている。

 

 スミレが、首をかしげる。

「し……シャルトルーズ?」

 

「……野菜、肉などを型に入れてドーム型に作ったフランスの古典料理です……丸井クン、よくこんな料理を知っていましたね」

 トニオが、褒めた。

「良く手間もかけられているし、スバラシイ前菜ですね」

 

「ホント……ものすごく美味しいな……」

 その皿を食べたタクミも、思わず息をのむほどの出来栄えであった。

 

 

 ……

 次は、タクミだ。

「スピエディーニです……」

 タクミが出したのは、シンプルな串焼きだ。

「日本の焼き鳥のように、炭火を使って串焼きにする料理がイタリアにあります。それがこの、スピエディーニです」

 タクミは半身に切ったリスの串焼きを、一本ずつ配った。

 

「へぇ……」

 恐る恐る口にした涼子の顔が、パッと明るくなった。

「これ、美味しいわぁッ!」

 

 スミレが一かじりし、ピューッと口笛を吹いた。

「あら、これはイケルわね……このほろ苦い甘さも、いいじゃない」

 

 タクミが説明する。

「……チョコレートです…………ハイキングに行くと聞いて、ポケットにいれておいたビターチョコレートを少し塗って、炭火でジックリ焼き上げています」

 

 へえ……

 と、スミレが感心したように、言った。

「工夫しているじゃない…………リスって、こんな味わいだったのね…………美味しいわ」

 

 

 ……

 プリモピアットは、榊 涼子だ。

「ヤマドリのズッパ(スープ)……ズッパ・ジャポネーゼです……」

 涼子は、ヒタヒタに煮たヤマドリのお腹のタコ糸を解いて見せた。すると、そのお腹からジュワーッとスープがあふれだした。

 ズッパと共に、ヤマドリを切り分けてサーブする。

 

「ほほぅ……」

 アルミカップに入れられた温かいズッパを食べ、みんながホウッと顔をほころばせる。

 

「いいね……このスープは、すっきりとしていながら、良いだしが取れているような気がするよ」

 イクローが褒めた。

 

「まさに、イナセな日本のお味ねッ! お腹にセリが入っているから、とってもスッキリしているのね」

 吉野がはしゃぐ。

 

「ありがとうございますッ! これは、日本酒と海水、それからヤマドリの骨髄を使ったスープです」

 

「イイですね……」

 トニオも、ニコリとうなずく。

「ヤマドリの骨も、内臓も、一羽すべて使い切っているところが、ジビエらしくて特にいいですね」

 

 

 ……

 そしてセコンド・ピアット。

 吉野が出したのは、直球勝負のウサギのローストであった。

 フライパンを二つ使い、一つのフライパンはひっくり返して蓋代わりにしている。

 上側のフライパンの上に置いた燠火を、慎重に落とした後で、蓋をあける。

 すると、蓋を開けた瞬間に、芳醇な野生のジビエと、セージの香りが立ち上った。

 

「……うまいッ!」

 丸井がウサギ肉をほおばる。

 

「……ウン、これはいいッ! あんた、やっぱりやるじゃないッ……」

 スミレは、なぜか丸井の背中を手荒く、バシッと叩いた。

 不意を突かれた丸井が、だらしなくむせこむ。

 

「……これは、王道ですね」

 トニオが重々しくいった。

「本当に良いお肉は、余計な味付けはせずにシンプルに調理して、その味わいを浮き上がらせた方がいい…………正解です」

 

 

 ……

 そう言って、トニオは自分の作った皿を差し出す。

「…………皆さん、野外の料理しづらい環境の中で、良い仕事デした……感心しました。では、ワタシからは、コントルノ(付け合わせ)を、一品出しましょう……これを食べたあとで、また皆さんの皿に口をつけてみてくださイ」

 トニオが差し出した皿には、三山のサラダが盛り付けてあった。

「三種の穀物のサラダです。米、大麦、それに蕎麦の実を使っています」

 

「お米のサラダ?」

 スミレがきょとんとした顔で聞いた。

「なにそれ」

 

「お米のサラダ(インサラータ ディ リーゾ)は、イタリアでは夏によく食べるサラダです」

 タクミが説明した。

「固くゆでたお米と野菜を合えて、柑橘系の酸味とオリーブオイル、岩塩等で味付けしたものです…………美味しいですよ」

 

「…………お米のサラダがぁ? イタリア人には合うかもしれないけれどさ……日本人むけなの? それ」

 スミレは不信感もあらわに、サラダを突っつく。

 

「……トニオさんの料理が、美味しくなかったことなどないじゃあないか……食べてみようよ」

 そう言って、イクローがサラダを口にする。その口がきゅっとしぼみ、目がみひらかれる。

「ウワッ、これは酸味が強いね……でも口の中がさっぱりする……オイシイな」

 

「フワァ──」

 同じくサラダを口にした吉野が、うっとりと目をつぶった。

 大麦の甘味、蕎麦の香り、そしてお米の香味がキュウリやハマダイコン、ハマボウフウ等のシャキシャキした味、岩塩や胡椒の刺激、それらをつなぐ柑橘系の酸味が絡み合い、舌から鼻へと香りが抜けていく。

 

「そのサラダを食べた後で、もう一度ジビエの肉をかじってみてください」

 

「……ハイっ……」

 トニオの勧めに従って、吉野は自分のウサギ肉をかじる。

 すると……

 

 バフッ

 

 その一口によって、吉野の舌は暴力的なまでに野性味あふれる味に直面した。あまりにも濃厚な『味の爆弾』が口の中でさく裂する。口内を暴れまわる野性味タップリのジビエの快感に、足腰が立たなくなる……

「はうっ♡……」

 吉野は腰砕けになり、地面に手を突いた。

 

「うア……あ……」

 刺激が強すぎたのか、丸井は夢遊病者のようにただ立ち尽くしている。

 

「ハハハ……美味しいでしょう」

 トニオは笑い、吉野と丸井に向かって、タオルを投げた。

「これで拭うといいですよ……」

 

「? 何のことです」

 怪訝な顔をした丸井と吉野の額から、不意に玉のような汗が染み出てきた。

 汗は瞬く間に顔中を、首を、手を、背中を、足を……おおい、やがて文字通り滝のように汗が噴き出てきたッ! 

 

「なっ……」

 服までびしょびしょになった二人が、しゃがみこむ。

 

「ちょっ……大丈夫?」

 駆け寄った涼子は、だがあまり心配していなかった。これは、トニオの料理を食べた客にたまにおこる、例の『不思議な事象』に違いなかったのだ。

 

 涼子の予想通り、いつの間にか丸井と吉野からは、滝のように出ていた汗がすっかり消えていた。

 きょとんとした顔をしながら、トニオから借りたタオルを使い、体をぬぐいだす。さっぱりとした表情だ。

 

「……なんだか、体が軽いわ」

 吉野が、ほとんど叫ぶように言った。

 

「ああ、体の芯にたまっていた疲れが、なんだかどこかに溶けてしまったみたいだッ!」

 丸井もテンション高く叫んだ。




(*1)
ダリオ・チェッキーニ氏は実在の人物です。
なお、ダリオ・ブランドー氏とは何の関係もありません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。