食戟のトニオ・トラサルディー Sesame's Treet (ソーマXジョジョ)   作:ヨマザル

14 / 25
グレート・ラフ・ダイヤモンド

「ううっ……てめぇらツラ覚えたからな、覚悟しとけよ」

 杜王連合の男が悔しそうに言った。だが顔を腫らし、だらしなく寝転がった姿勢で言うそのセリフは、まったく説得力が無い。

 

「ハイハイ、でも次はワタシ『手加減しない』かもよ」

 恭帆はリーダー格と思わしき男に顔を突きつけ、言った。

 杜王連合の男たちは顔面蒼白になり、あたふたと立ち上がり逃げだしていった。その逃げるさまは、まさに『安っぽい漫画にでてくる下っ端の悪党』そのものだ。

 

「さてとアナタ達は大丈夫? ちょっと怪我の具合を見せて」

 杜王連合の男が逃げ出したことを確認してから、恭帆はニーノの前にかがみこんだ。そして腫れ上がったニーノのまぶたにそっと手を添える。

「うん、これなら大丈夫そうね。酷い傷は無いわ」

 

 ニーノは目をつぶり……『はぁ』と大きなため息をついた。患部にふれた恭帆の手は、ひんやりと心地いい。ふわっと、柑橘系のいい香りがする。シャンプーの香りだろうか、かぐわしい。

「恭帆さん……そのぉ、あのォ……助けてくださって、ありがとうございました」

 

「あら助けただなんて、とんでもないわ。あなたこそ勇敢だったわよ♡」

 

「いや、でも俺は……くそっ。ああ……変な言葉を使っちまって、スミマセン」

 なんと答えていいかわからず、ニーノは頭をかいた。結局ニーノは、自分の力では杜王連合の男を1人も取り押さえられなかったのだ。情けないことだが、恭帆に助けてもらわなければコテンパンにのされてしまったはずだ。

 

(この人スゴイな。こんなに細い腕なのに、どうやって奴らを倒したんだ?)

 ニーノは畏怖と、少し狐につままれたような気持ちを両方感じながら、恭帆をじっと見つめた。恭帆はどこからどうみても普通のOLに見える。なのに、見るからに荒事慣れしているヤンキー達を簡単に取り押さえてしまったのだ。人間見た目ではわからないものだ。

「いえ、恭帆さんはすごかったです……尊敬しますッ!」

 

 当然、恭帆はニーノの視線に気がついていた。スタンドの存在を隠したい恭帆は、内心冷や汗をかく。

(うわっ、ギンギンにこっちを見ているわ……まぁ、そりゃそうよねぇ……)

 あの戦いの場で、恭帆は自分のスタンド:ペイズリーパークの動きに合わせて、それっぽく自分の体を動かしただけなのだ。一般人から怪しまれない為の工夫だった。だが、うまくやりきれたのだろうか。酷く不自然なことになっていなければ良いのだが。

 恭帆は少し考え、言葉を選び、ニーノに話しかけた。

「ぜんぜんすごくないわ。私は合気道をならっているのよ。えぇと、『気を会わせる』ってヤツ。それでアイツらを倒したってワケ。わかる?」

(別に嘘じゃあないわよ。スタンドだって精神の力だもの、きっと合気と同じ理屈よ)

「でもあなたは、特に武道を修めているわけでもないのに、奴らに立ち向かった。私よりも立派よ」

 

「いえ、俺なんて」

 

(まっじい。じっとこっち、見ているぅ)

 恭帆はやけっぱちな気分でニーノに笑いかけた。

「なぁーに見ているのよ。えっちネェ」

 

「なっ、からかうのは止めてくださいよ」

 

 フフフフ

 

 恭帆とニーノは互いの気持ちをゴマカすように、あいそ笑いをしていた。

 アリスはそんな二人を尻目に一人忙しく立ち働いていた。海に落ち冷え切った体を暖めるために、火起こしに取り組んでいたのだ。

 まずアリスは、近くの枯れ草をちぎって焚き付けをつくった。そこにライターで火を着けた。

 唇を尖らせ、ほんの少し火がついた焚き付けに、ふーふーと息をはきかける。炎を大きくして、その焚き付けを大急ぎで即製のカマドのなかに突っ込む。

「アチッ」

 その時、火の粉がアリスの細指にとんだ。慌てて振り払い、指を冷やすために耳たぶをつまむ。

 そしてアリスは、こんどは薪を投入した。焚き付けから薪に火を移すために、さらに強く息を吹き掛ける。

 その顔は真っ赤だ。

 汗が噴き出る。汗をぬぐおうとゴシゴシとこすった顔に、今度はススが、こびりつく。

 

「あっ、スミマセン」

 アリスが苦戦しているのに気がつき、あわててニーノが手伝おうとする。

 

「いいのよ、これも修行なんだからッ」

 アリスは火の前に割り込んでこようとするニーノを、鼻息荒く押し返した。そして大きく息を吸い込んだ。同時に煙を吸い込んでしまい、強く咳き込む。

「これは自分のためにやっていることなの。今の私には必要なことなの」

 

 薙切アリス、彼女は『分子ガストロミー(美食学)』を修める天才であった。

 分子ガストロミーとは、20年ほど前にヨーロッパで提唱された料理に対する新たなアプローチだ。それは料理の素材と過程を分子レベルの反応に分解し、作り上げた新たな味を、『分子料理』として再構築するための技法である。

 彼女はまだ高校一年生の年齢で、すでに『分子料理』の第一人者と呼ばれるほどの料理人なのだ。

 

 だが遠月学園は甘くない。そんな天才さえも霞むほどの驚異的な料理の腕前の持ち主が、何人もいるのだ。

 彼女もまた、先月行われた秋の選抜料理大会では、タクミと同じく本選一回戦で敗北を喫していたのであった。このたき火は、リベンジを期して彼女が取り組んでいることの一つなのだ。

 

 アリスは真剣な手つきで、薪をもう一本、炎にくべた。

 火にくべられた薪は熱せられ、水分と共に白い煙状の木化ガスを放出する。そのガスが、囲の熱によって着火し、炎を出して燃えていく。

 めらめらと燃え上がる炎が肌を焼く。

 炎から、自然の、野性的なパワーが発せられている。

 

 それが自分を次のステージに到達させると、アリスは信じていた。

 

 アリスが得意とする分子料理を成り立たせる為には、複雑で扱いが難しい最先端の科学調理器具を使いこなす必要がある。その一方で、どうしても道具だのみになってしまう面がある。そのため気づかぬうちに、分子料理を極めるにつれ、徐々に料理人としての引き出しが狭くなっていた。

 それが、彼女が秋の選抜料理大会で負けた原因の一つだ。

 ならば、自分にも眠っているハズの『野生』を引き出すための努力をすること。

 それが、自分を高めるためにアリスが出した結論であった。

 

 10分後:

 奮闘の甲斐あって、火はさほど時間もたたずに燃え上がった。

「さて、と」

 再びアリスは動き出す。

 あらかじめアリスは、焚き火の下に平らな石を敷いていた。薪をどかして、その石を露出させる。

 そして海水でよく洗った小石を平らな石の上におき、焼石をつくる。

 焼石は海辺で拾った大きな貝殻ですくいあげる。

 恭帆が持っていた水筒の中に手早く放り込む。

 水筒の中に入っているのは水と、それから良い香りのする松葉。

 松葉は海岸線に生えていた松の木から、拝借したものだ。

 

 熱した小石がジュワッという音をたて、水筒の中を揺らす。

 しばらくしてから、アリスはきれいに洗ったハンカチを使って水筒の水を漉し、用意していた小さなカップの中に開けた。

 

 アリスはそれを一口すすり味を見る。そして、にっこりして二人に手渡した。

「松葉のお茶よ。召し上がれ」

 

 恭帆とニーノは熱々の松葉茶を恐る恐る受け取った。その薄い茶色の液体は、あまりおいしそうではない。だが一口すすってみると、二人ともパッと顔をほころばせた。

 

「あら、結構さっぱりして美味しいじゃない」

「あっ、暖まるなぁ」

 

 カップを掴み、幸せそうな表情を浮かべるニーノと恭帆。アリスはそんな二人を見て満足げにうなずいた。

「フフフ、よかったわ」

 

「あなた、よくこんなこと知っていたわねぇ」

 

「あ、有難うございます。恭帆おねぇさま……」

 アリスは少し顔を赤くした。だが、すぐに胸に手をあて、自慢げに言った。

「フッフッフッ、これぐらい出来て当然です。これでも料理人のタマゴなのですカラ!」

 

「あら、若いのに、すごいわねェ」

 

「…………」

 

 恭帆は感心して見せた。

 だがニーノの表情は、その言葉を聞いてますます固くなった。

 

◆◆

 

「ハッハッハッ、こうやって地元を歩いていると、楽しいですねぇ。昔を思い出します」

 未起隆は満足そうだ。

 彼は再びサングラスをかけ、赤毛の前髪を垂らしたスタイルに戻っていた。変装とは言えあまりに目立つので、かえって正体がばれてしまいそうだ。

 

 その横をタクミとルチアが、少し不満げに歩いている。

 三人は突然やって来ることになった『堂島銀』を出迎えるために、杜王駅に向かっているところだった。

 

 最近改築された杜王駅の様子は、ルチアが知っている。

 そしてもちろんタクミは『堂島銀』の顔を知っている。

 

『堂島銀』は、遠月グループの一つ『遠月リゾート』の経営陣の一人であり、メインシェフでもある大物なのだ。タクミだけではない。遠月学園の生徒ならば全員堂島のことは知っている。だが涼子は朝から億奏のところへ修行に出かけていたし、昨晩担ぎ込まれた丸井と吉野はまだ目を覚まさない。結局、トニオ以外に自由に動け、堂島を見分けることができるのはタクミしかいなかった と言う訳だ。

 

 では、元々ルチアとタクミの二人で行けば良かったのだが、そこにヒマをもて余した未起隆が割り込んできた そのために3人で行くことになったのだ。

 

 未起隆はキョロキョロと首をせわしなく動かし、アチコチを見ながら進んでいる。首を動かす様子は、まるでハトの様だ。

「懐かしいですね。デビュー以来ここにはなかなか帰ってこられませんでしたからね。ここを歩くのは十年ぶりぐらいでしょうか」

 変わっているようで、変わりませんねェ。

 未起隆は嘆息した。

 

「でもこんな町、どこにでもある。退屈な普通の町じゃあないですか」

 ルチアはぼそっと言った。つい数時間前まで原因不明の『激しい腹痛』でトイレにこもっていたルチアの頬は、少しこけている。

 

「『杜王町』が、普通……ですか」

 

 未起隆の答えにルチアは表情を硬くした。

「ええ、それに退屈よ。この町には刺激が足りないし、このままでは私たちは成長できないって、感じています。だから私は……私とニーノは早くこの街を出なきゃいけないんですッ!」

 それなのに……ルチアは、じとっと未起隆をめねつけた。昨晩の『連れて行ってほしい』と言うニーノの願いを断ったことを、根に持っているのだ。

 

 オヤオヤ……

 未起隆は首をすくめ、苦笑した。そしてタクミに話しかける。

「タクミ君。キミはどう思いますか。杜王町は退屈な町ですか」

 

 タクミは首を大きくふり、熱心に答えた。

「退屈……とんでもない話です。この町は水も空気もきれいで、美味しいです。そんな空気と水のお陰か、新鮮な食材に恵まれています。料理人にとって素晴らしい環境だと考えます。トニオさんのような素晴らしいシェフがこの町にいる理由が良く理解できますよ」

 

 ルチアが鼻を鳴らした。

「でも、お父さんはそんなに有名な料理人じゃぁないわよ。日本で料理人をやるならヤッパリ東京に出ないと」

 

「そうかな? 有名人になることを目指して料理の道に入る人はいないよ。僕らはテレビタレントではないのだから」

 

「でもさぁ、良くテレビに出ているような超有名シェフがいるじゃない。その人たちはヤッパリスゴいんでしょ……父さんより」

 

「どうだろう。テレビに出ていても、出ていなくても、マエストロ・トニオと同格のシェフは日本には数人しかいないと思うよ」

 タクミは腕を組んだ。

 

「そう……まぁそれは、そうかもしれないけれど」

 ルチアは唇をかみしめた。

 

「……そんなに焦る必要は、無いと思いますけれどね」

 未起隆が言った。

 

「……お説教?」

 

「いえ、すべては君が決めることですよ。私は、私の考え方を言っただけです。でもね月並みなことを言ってスミマセンが、アナタ達はまだ自分の『武器』を磨いていく時期だと思いますけどね」

 

 未起隆の言葉に、ルチアはプイっと横を向き黙りこんだ。

 代わってタクミが口を開く。

「僕も未起隆さんと同じ意見だな。焦ってここを出ていくより、もっとここで学べることはあると思うけどなぁ」

 

「でもタクミ……さんは元々フィレンツェの人で、日本へは留学に来ていて、二週間だけここにいるヒトでしょ。未起隆さんはもうスーパースターで、どこにでも行きたいところにいけるじゃないデスか。失礼だけどアナタ達に、ずっとここに縛り付けられている私たちとのことは、わからないと思うわ」

 

 

(自分の武器……か)

 携帯をぎゅっと握りしめながら、タクミは1人ごちた。イタリア料理人としての自分の『武器』はなんだろう? 

 

 わからなかった。

 

 再びルチアが口を開いた。

「ねぇタクミ、アンタは何で料理人なんてやっているの」

 

「なんでって? 料理が好きだからさ。父がイタリアの料理人で、物心ついてからは双子の弟と一緒にずっと父さんの手伝いをしていたから……でもあるかな」

 

「ふうん。アンタも兄弟がいるのね。双子の」

 

 タクミは黙ってうなずいた。イサミ……

 イサミはしっかりものの弟だ。これまで生活面ではずっと頼りっぱなしだった。

 だがいままでは、それでも自分が本当に大事にしていること……料理だけは逆に弟に頼られていると思っていた。

 でも、このスタジェールの日々で気づかされていた。本当は料理でさえ弟に頼りきりだったことを。

 情けない……

 

 そんなタクミの気持ちを知ってか知らずか、ルチアはずっと話し続けている。

「……それにアンタの父さんはイタリアンの料理人なんだ。なんだか私たちと似ているわね」

 

「いや、それはどうだろう。僕はイタリアで育ったしね」

 タクミは首をひねった。

 

 その返事に、なぜかルチアはむっとしたようだった。

「いうわね……でもいいわ。だいたい『料理人』なんて、くだらないんだから」

 

「それは聞き捨てならないな」

 

「だってさ、アンタがいろんなものを犠牲にして、どんなに一生懸命料理したってさぁ、そんなこと、たいていの人はわかってくれないのよ」

 

「キミは、ボクや涼子、それにマエストロ・トニオが、『人に称賛される』ことを目標に仕事をしていると思っているのか」

 

「そうは思ってないわよ。でも、頑張っても、世の中から認められないんじゃあ報われないじゃない」

 

 未起隆が首を振った。

「『報われたかどうか』は、自分でどう感じるか……ですよ。人に決めてもらう事じゃあないです。私は、やっぱり貴方たちは自分が本当は『何が好きなのか』をもっと考えてから、進路を決めた方がいいと思いますがねェ」

 

「……」

 今度こそルチアは黙り込んだ。

 その後、それぞれ物思いにふけったまま、一行は歩き続けた。杜王町の閑静な住宅地を抜け、緑深い公園の脇を通りすぎる。あの角を曲がれば、杜王駅が見えてくるはずだ。

 

 と、その時だ。

 駅の方向から、なにやら騒々しい叫び声が聞こえた。

 それと同時に、誰かが『火が付いたように』泣き叫ぶ声も……

 タクミ、ルチア、そして未起隆は顔を見合わせた。そして一斉に、駅に向かって走り始めた。

 

◆◆

 

 15分前

 杜王駅に一人の男が降り立っていた。

 まるでジョースター家の男のように屈強な体格のその男は、ゆっくりと改札を出た。そして駅前の広場に立ちどまった。袖をまくり上げ、腕時計で現在の時刻をチェックし、ホッとため息をついた。

 この男こそ、遠月リゾートの総料理責任者兼取締会執行役員、堂島銀であった。

 

「ふむ。少し早かったか。まだ迎えは来ていないようだな……ではここで待つか」

 そう独り言をいうと、堂島は駅の壁に寄りかかり、腕組みをして目を閉じた。

 

 本人は全く意識していないが、そんなポーズをとっていると、全くもって『カタギ』の人間に見えない。

 当然カタギの通行人は彼を避ける。いつの間にか堂島の周りに、全く人が寄り付かない空間が出来ていた。

 

 と、堂島の足元にコロコロと赤いボールが転がってきた。

 そのボールを追って、小さな女の子が駆け寄ってくる。

 

「むっ……」

 堂島はそのボールを拾い上げた。片ひざをつき、ちかづいてきた少女にボールを手渡す。

「ほら、気を付けるのだぞ」

 そう言って少女に笑いかける。

 

 だが……

 

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ……

 

「うっ……うわぁぁ──ン!!」

 その堂島の笑みを見た少女が、火がついたかのように泣き出したッ! 

 

「なっ、落ち着け……君、落ち着くんだッ」

 焦った堂島が、大きな声で話しかける。

 

 だがそれが、さらに少女の恐怖心を増大させるッ

 堂島が話しかければ話しかけるほど、少女はますます大きな声で泣きさけぶ。

 

 騒ぎを聞き付けた杜王町の住人が、ザワザワと集まり始めた。

 

(これは、もしやヤバイ状況なのか)

 堂島はうろたえ、緊張する。悲しいかなその顔は、さらにいかつく、恐ろしく見える。

 

「ナッチャン!!」

 大声を上げながら母親が駆け寄るッ。堂島から少し離れたところで立ち止まり、大声で訴える。

「お願いです! その子を放してッ」

 

「いや、ご婦人……落ち着いて」

 堂島のフォローは、母親の耳に入っていないようだ。

 

「お願いしますッ! たった一人の娘なんですッ!」

 

「いや、ご婦人……私の話を」

 

「おっ、おねがいよぉぉ」

 

(なっ、なぜこうなるのだ)

 マズイ

 崩れ落ちる母を見て、さすがの堂島も焦る。だが悲しいかな、焦った顔はさらに迫力をまし、それとは気づかぬままに周囲の人間をさらに威圧する。

 

(くっ、ここは逃げるか……)

 と、逃げ道を探す堂島の前に、一人の男が立ちふさがった。

 小柄なチンピラ風の男だ。

 

「兄さん、小さな子を泣かすなんてよお…………オメーにゃ人の心はネェのかい?」

 チンピラは芝居がかった仕草で堂島を非難した。

 

「お母さん……もうしんぱいねぇっスよ。このアッシ、小林玉美が来たからにゃあ、無事娘さんを取り返して見せまさぁ」

 そう言ってスタンド使い:小林玉美は、うろたえる堂島の胸にスタンドの『錠前』を取り付けた。

 

 小林玉美のスタンド:『ザ・ロック』 それは罪悪感に応じた重さの『錠前』を相手の胸にとりつかせる。

 取りついた『錠前』が、相手が感じている『罪悪感』を心理的・物理的な『重さ』として実感させる能力だ。

 

『ザ・ロック』は、堂島の心に重い鍵前をかける……

 

「ムッ」

 堂島は不意に心臓に違和感を感じ、胸を押さえた。急激に襲ってくる重苦しい感覚。やがてそれは震えが来るほどの不安感と、自己嫌悪の感情に変わっていく……

 もちろん、スタンド使いではない堂島には、自分の胸に取り付けられたスタンドの『錠前』は見えない。しかし見えなくとも、スタンドの効果は降りかかってくる。

 ついに耐えきれなくなり、堂島は膝をつき、しゃがみこんだ。

 

(よしッ! アッシの勝ちッス。これで、あのお母さんから『あんなコト』『こんなコト』いっぱいオレーをしてもらいヤスぜ!)

 玉美は舌なめずりした。邪な期待に胸をときめかせながら、声高に堂島を責め始める。

「こ、このヒトデナシ野郎ッ! こんなかわいい女の子とお袋さんを泣かすなんてよお…………罪悪感って奴がわかねぇのかぁ? こらッ」

 

「……」

 

「おぉぉ? 黙ってんなよ、こ……ら…………」

 

 カシャリ

 

 玉美は急に口ごもった。その膝が震えだす。

 無理もない。

 堂島銀に取り付かせた『錠前』が、不意に消滅したのだ。

 

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……

 

 はっと気が付くと、堂島がムクリと、顔を上げていた。

(ばっ、バカなッ! 例え相手がスタンド使いだろうが、一般人だろうが、アッシの錠前を自力ではずすなんて、デキッコねぇ──!)

 動揺のあまり、玉美の顔から、滝のように汗が吹き出してきた。

(ま、まっさかよお~~コイツ、スタンド使いか?)

 その大量の汗が、まるで涙のように玉美の目に溜まる。

 

(う、嘘だろ)

 

 玉美は恐る恐る堂島の様子を見た。

 意外なことに堂島は笑っていた。優しく笑いながら、鞄に入れていた『焼菓子』をとりだして、子供と母親に振る舞っていた。

 あんなに怯えていた母娘が、今は『幸せの絶頂』と言わんばかりの勢いで、美味しそうに菓子を食べている。

 その幸せそうな様子を見て、堂島の『罪悪感』が霧散したのだ。

 

「ば、ばかなぁ……」

 

 たじろぐ玉美をぐっとニラミつけ、堂島はゆっくりと立ち上がった。のっそりと玉美に近づいていく。

 

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ……

 

「あっ、うぅ」

(チッキショウッ。負けるかぁ、た、玉美の玉は肝っ玉の玉ッスよぉ)

 

 玉美は必死に目を見開き、堂島を(上目遣いで)にらみつけた。

 どうやったらこの局面を打破できるか。玉美の頭は高速で回転を始めた。

 

 まずなんとしてでも、再び堂島に『罪悪感』を感じさせなければならぬ。

 そのために;

 例えば、堂島に威圧させられたふりをして二、三歩よろめき……歩道に出てしまう。それをうっかりスピードを出し損ねていた後続車が見つけられず、交通事故を起こす……と言うのは、どうだろうか……

 東方仗助の能力、クレイジー・ダイヤモンドでもない限り、交通事故の傷を治すことはできない。玉美が重傷を負えば、いくらなんでも罪悪感を感じるだろう。それはわかっていた。

 だがそんな無茶をして、『自分が死』んでしまったら、それこそ元も子もないのだ。

 

 玉美が悩んでいる間に、堂島は玉美の目の前にまで迫っていた。

 

(しっ、しまった。うぉぉっ)

 

 堂島は玉美の前に仁王立ちし……『焼菓子』を玉美の目の前に押し付けた。

「ふむ。誤解させて、すまなかったな。詫びにこれでも食べてもらえないか?」

 

「は、はいっ。いただきますぅ」

 玉美は震える手で、差し出された焼菓子、アップルシュトレーデルを口にした。そしてあまりの美味さに文字通り『昇天』した。

 

 タクミ達が息せき切って杜王駅についた頃には、小林玉美はすっかり堂島銀の舎弟と化していた。

 

◆◆

 

「堂島おじさま、遅かったですわ」

 海岸に顔を出した堂島、タクミ、ルチアを見て、アリスはプウッとふくれて見せた。

「ここは寒かったから、すっかり凍えてしまいましたわッ」

 

「ハハハッ。それは悪かったな。だが元気そうで何よりだ」

 堂島が帽子を脱ぎながら、ウワッハッハと楽しそうに笑う。

「アリス、遠いところまでご足労だったな。感謝する」

 

「いえ……私にも考えがあるから。あら、アルディーニ君。アナタまでワザワザ迎えに来てくれて、ありがとうね」

 

「イヤ、いい気分転換になったよ」

 タクミは肩をすくめた。口では気にしていないふりをしつつ、本音では気もそぞろであった。今晩提供しなければならないドルチェのことで、頭の中がいっぱいなのだ。早く帰って、準備を進めたくて仕方がない。

 

「スタジェールは順調に進んでいるの?」

「ああ、頑張っているよ。君の方はどうだった?」

「ええ、とっても勉強になったわ。私は昨日まで、豪華寝台列車の調理場で調理していたのよ。それがねぇ……」

「へぇ、ソイツはスゴイな」

「ちょっと、うらやましいかも」

「OK! ちょっと聞いてよ」

 

 アリスは胸を張り、意気揚々と自分のスタジェールでの出来事について、語り始めた。

 その様子を少し離れたところで見ていた恭帆は、満足げに立ち上がった。

「さて……と、お友達も来たところだし、私はそろそろ帰りますか」

 

「ムッ……君、礼を言っていなかったな」

 堂島が慌てて恭帆に近寄ってきた。帽子を脱ぎ頭を下げる。

「ウチの生徒が大変お世話になったと聞きました。感謝します」

 

「あら、そんな……私はただ、二人に付き合ってここに座っていただけですから」

 ネッ

 恭帆は、黙っていなさい……とアリスとニーノに一瞬鋭い視線を投げた。その後で、堂島に向かって、ペコリと頭を下げ返す。

「もう、私がここにいる必要は無いと思います。ですので、ここでオイトマします。後はよろしくお願いしますね、堂島さん」

 

「ウム」

 堂島はうなずいた。小林玉美を呼びつけ、恭帆を安全なところまで送っていくように命令する。

 

 ニーノが恭帆に話しかけた。

「あの、本当にありがとうございましたッ! トラサルディに来てくれたら、無料でごちそうしますッ」

 

「あら、いいの? そんなこと勝手に決めて」

 

「モチロンですッ! 恭帆さんなら、いつでも大歓迎ですよッ。おっ、おれ……恭帆さんとお知り合いに慣れてよかったッス」

 ニーノの頬は、赤く上気している。そしてポケットから小さな紙切れを取り出し、自分の電話番号を書き込んだ。それを恭帆に差し出す。

「あっ、あの……これ、ウチの連絡先ッス。れ、連絡してくれれば、とびっきりのごちそうを準備しておきますよッ」

 

 あらあら……すっかり舞い上がっている双子の弟の様子を見て、ルチアはクスッと笑った。

 

 恭帆はちょっと困った顔をして、一旦連絡先を受け取った。だが……

「じゃあ、今度『二人』でお店に来るから、その時はごちそうしてね」

 と言って、そっとその紙を突き返す。

 

「ハイ……」

 うなだれるニーノ。

 

 恭帆はニーノの肩をポンポンとなだめるように叩く。そして大きく伸びをし、立ち上がった。

「じゃあ皆さん、また会えるといいわね♡」

 恭帆は一行に手を振り、さっそうと去っていった。

 慌てた玉美が、小走りでその後を追いかける。

 

 立ち去るとき、恭帆は一行の方を一度も振り向かなかった。

 

 皆、ガックリと頭を垂れるニーノには、気が付かないふりをしていた。

 ただルチアだが、優しくニーノの肩を抱きしめていた。

 

 しばらく沈黙が流れた。

 コホン……

 咳払いをして、タクミが口を開いた。

「……ところでアリスさんは、どうして杜王町に?」

 

「……私が呼んだのだ」

 タクミの疑問に堂島が答えた。

「トニオが計画を実現させるためには、もう一人、料理人が必要だったからな」

 

「計画? もう一人……どういう意味ですカ?」

 

 堂島は頭を振った。

「聞いていないのか? なら話せん。トニオが話していないのなら、それをオレの口から説明すべきではないだろう」

 

「そうですか……」

 タクミは素直にうなずいた。そして、全く違う別のことに気が付く。

「ところでアリスさん。頬に煤がついているよ」

 

「あらっ?」

 アリスはパタパタと体をはたいた。

「なんてこと。私としたことが失敗ねッ……実は私、薪に火をつけるのにすっかり苦戦しちゃったのよ」

 

「薪に火をつけた? では君がここでたき火をしたの?」

 

「まぁ、その言い方、失礼ねぇ」

 アリスはプウッと膨れ、ここしばらくアウトドアクッキングを勉強中なのよ。と胸を張った。

 

「そう……君がね」

 

「意外でしょ。でも私ももっと成長したくて……イエ、変わらなきゃイケないって思っているからね」

 アリスは、なりふりかまっていられないわ……とボソッと付け加え悔しそうな顔をした。

 

 タクミもその気持ちは、良くわかった。

 

 今アリスの脳裏に浮かんでいる光景は、おそらくタクミがずっと思い返しているのと、同じ光景。あの『秋の選抜』一回戦で負けた時のことだろう。それまで自分の腕前に自信を持っていた二人には、その敗北は屈辱であった。

 ただタクミと違うのは、アリスは『ヤツと直接戦って負けた』と言うことだ。

 一方のタクミは、ヤツと闘う事さえできなかったのだ……

 

 今アリスは、なりふり構わずに自分を成長させようと、努力している。

 しかしタクミは自分を変える踏ん切りがつかず、立ち止まっている。

 

 どう考えても彼女の方が正しい。

 タクミはうつむいた。そしてポケットに手を突っ込み、中の携帯をつっついた。

 

◆◆

 

 その夜:

 トラサルディーの厨房には、多くのゲストがいた。

 その場にいたのは、ようやく回復した吉野と丸井、それに到着したばかりの堂島とアリス、億奏のところから帰ってきた涼子の5人だ。5人は壁際に立って、厨房の真ん中に立つ二人……トニオとタクミの動きを、じっと眺めていた。

 

 トニオは腕を組み、タクミを真正面から睨みつけている。

「タクミ……良い準備は出来ましたカ?」

 

「イエスッ、マエストロッ!」

 

「では始めますッ」

 そういうと、トニオは動き出した。

 トマトを斬り、野菜の皮をむき、魚介類の下ごしらえを進めていく。

 それは無駄のない、まさに『天使が舞う』ような動きだ。

 

 その丁寧で手間のかかる仕事ぶりをみて、遠月学園の生徒たちは、ゴクリ……と生唾を飲み込む。

 

「みな、トニオの動きから目を放すんじゃないぞ」

 堂島が生徒たちに言った。

「見ることも勉強だ」

 

 そんなセリフに意味がないくらい、皆、トニオの動きに引き込まれていた。いやしくも料理人の端くれであれば当然のことだ。

 しかし吉野だけは、トニオの動きに魅了される一方、タクミの様子にも気が付いていた。

「ねぇ涼子。タクミッちはだいじょうぶかな。あの様子で」

「そんなこと、わからないわよ」

 吉野がヒソヒソ声で涼子に尋ねた。涼子も少し心配げだ。

 二人が心配するのも、無理なかった。

 

 華麗に動くトニオの横にいながら、タクミはまだ料理を始めてすらいなかったのだ。

 タクミは代わりに、携帯電話を手にしていた。調理を進めるでもなく、手早く電話番号を打ち込むと、電話先にいる誰かに心に語りかけ始める。

 話は長引き、盛り上がり始めたようだ。不謹慎なことに、最終TESTの場だというのに時折タクミの顔には笑みさえ浮かんでいる。

 

 だが同じく不思議なことに、そんなタクミの様子を見てもトニオは怒る様子が無かった。むしろトニオも、堂島も、その様子を見て満足げにほほえんでいる……

 

 やがて、

『……あぁ、わかった。教えてくれてありがとう。“助かったよ”イサミ』

 そう言うと、タクミはスマホから手を放した。そして大きく深呼吸して、今度こそものすごい勢いで調理に取りかかった。

 

◆◆

 

 同時刻:

 ダークスーツを着た男が、タクシーに乗っていた。その男はさわやかな雰囲気を持ち、しかし隠しきれない『凄み』をその全身から立ち上らせてもいた。

 やがて男はタクシーを降り、郊外の瀟洒なレストラン・トラサルディーの前に立った。ときおり金色の前髪に指を突っ込み、クルクル回す。その様子は何とも言えずセクシーであった。

 

 そうして男がしばらく突っ立っていると、いつの間に現れたのか、もう一人、別の男が物陰から姿を見せた。ニット帽をかぶった野性的な雰囲気の男だ。『ニット帽の男』は『金髪の男』に近づき、そっと話しかけた。

「すでにこの周囲はチェックしておいた……罠の類はねェみたいだぜ、ジョルノ」

 

「ありがとう、ミスタ」

 でも念のため……

 ジョルノは懐から、小包のようなものを大事そうに取り出した。周囲を覆う布をそっとはがす。すると、その中から古びた鏃が姿を見せた。

 

 ピュッっと、ミスタが口笛を吹いた。

「へぇ、コイツを使うのかよ……ずいぶん気を使うじゃねェか」

「ここは『彼』の町だからね。用心しすぎるに越したことは無いですよ……ポルナレフさんにも『彼』ことを警告されたじゃぁないですか。『彼』はいくら警戒しても警戒しすぎることは無い、超強力なスタンド使いだと」

 そう言うとジョルノは鏃を掴んだ。

 そしてゆっくり、自分のスタンド:ゴールド・エクスペリエンス(GE)を出現させた。その姿は黄金色に輝いている、まるで天使のようなスタンドだ。

 ゴールド・エクスペリエンスはジョルノの背後に立ち、後ろから肩に手を回した。その手をジョルノがそっとつかむ。

 

 そして、鏃を振り上げた。

 

 ドォスゥゥゥ───ッ

 

 振り上げた鏃を、ゴールド・エクスペリエンスの腕に突き刺すッ! 

 鏃はまるで生き物のように動き、ゴールド・エクスペリエンスに食い込んで行く……

 

 ズグゥゥゥ──ン

 ドキュン、ズビュゥゥゥゥゥぅ

 

「グォォォオオッ」

 ジョルノが苦悶の声を上げた。

 ジョルノが苦しむのと歩調を合わせるかのように、ゴールド・エクスペリエンスも苦しみ始める。その黄金の肌に、ひびが入り始めた……

 そしてついに、ひびはスタンドの全身に走った。ヒビはどんどん細かくなり、多くなり、やがて……

 

 バラ バラ バラ

 

 ゴールド・エクスペリエンスは砕けた。

 そしてその下から、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)が、姿を現した。

 レクイエム(鎮魂歌)、それは『矢』の力によって導かれる、スタンドを越えた概念である。

「ふぅ……いつも発動の瞬間は、キツイですね」

 自らのレクイエム(鎮魂歌)をまじまじと見ながら、ジョルノはため息をついた。

「では行きましょうか。ミスタ、信頼していますよ、よろしく護衛をお願いしますね」

 

「あぁ、任せておけよ……だがお前がそんなもん出している間は、護衛なんて必要ねェかもしれないがよ。とにかく全力を尽くすぜ」

 

「ミスタが背後を固めてくれるから、僕は安心して交渉に臨むことが出来るんです。感謝していますよ」

 ジョルノは、涼しげに言った。

 

 ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)

 それは、スタンドを越えた概念

 その能力とは、『その前に立ち、攻撃してくる相手の動作や意志をすべて「ゼロ」に戻す』こと。

 

 それは

 まさに無敵の存在であった。

 ジョルノは一たびこの力を発言させた後では、どんな相手にも遅れをとることがなかった。

 

 だが……

 

 ジョルノ達がトラサルディーの入口に向かって、一歩前に踏み出した時だ。

 

 不意にその『無敵の存在』が苦しみ始めた。

 GERは額を抑え、膝をついく。

 額を抑えていた手は、次第に顔を下り、喉元へと動いて行く……

 やがてGERの喉が盛り上がり破れた。傷口から、『鏃』が、飛び出した! 

 

『鏃』はGERの目の前で宙に浮いている。

 

 そして、『鏃』を失ったGERの肌は、ふやけ、震え始めた。

 GERはあっと言う間に元のスタンド:ゴールド・エクスペリエンスの姿に戻っていく。

 

「なっ……どういうことだよ」

 ミスタは懐から拳銃を取り出した。あることに気が付き、はっと息をのむ。

 

 宙を浮いていた鏃が、不意に森の奥に向かって動き出したのだ。

 

「なっ、なんだって」

「おっ、オイ待てよ」

 鏃は慌てたジョルノが伸ばした手をすり抜け、ミスタが撃った空気銃の球をはじき、飛んでいく。

 鏃は森の入口まで飛んでゆき、

 不意に止まった。

 

 いつの間にか新たに現れた大柄な男が、鏃を捕まえたのだ。

 正確には、男の隣に立っている中世のレスラーにも似た超強力なスタンドが鏃をつまんでいた。

 

 スタンドに鏃を持たせたまま、男は懐から櫛を取り出した。慎重に、自慢の立派なリーゼントの形を整えはじめる。

「知っているぜェ、コイツの矢の『真の能力』って奴をよぉ……だから、ちょっとばかし勝手だったがよォ~~俺が持っていた別の破片をつかって、お前の鏃を『治させて』もらったぜ……悪く思うなヨ」

 その男、東方仗助はニヤッと笑いかけた。

「お前がジョルノ・ジョバァ―ナだな……ようこそ杜王町へ。歓迎するぜ」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。