新しい世界で俺は忍者になる! 作:ルーニー
とりあえず俺、忍者になります
転生した。突然こんなことを言われたら混乱するだろうけど、俺も混乱した結果こう考えるしかないと結論付けた。
なんでこんなことを考えてるのかと言われたら、まぁ状況把握のためとしか言えない。だって、友達と帰ってる最中に暴走車に轢かれて死んだと思ったら赤ん坊になっていたのだ。意味がわからん過ぎて状況把握したくなるだろう。
だが、まぁ状況把握しようとしても何が起きたのかがわからない今、問題文すらない問題を答えろと言われているようなもんだから何を考えても分かるわけがない。とりあえずここは思考放棄することにする。
しかしそれはそれとして、ベビーベッドの上や母親に抱かれている時に見える範囲から察するに、ここは現代日本のようだ。ビルとか結構建ってるし、変な機械類もなく、看板も日本語だからそれは間違いない。
だが、俺の中にはある違和感があった。文字通りに俺の中に、だ。とは言っても母親や父親が騒いでいないのを見るに何かしらの異常があるわけではなさそうだし、特に生きるのに苦労するほどのものではない。だが、確実に俺の中にしっかりとそれはあるのだ。
はてさて。この体の中を何かが回っている違和感は何なんだろうか。前世の時には感じなかったこの感覚。蠢いている、というより血液が身体中を流れるかのように自然に、しかし確実にあるとわかるこれは何なんだろうか。
まさか我が身に存在する特別な力が宿っているんだろうか。そんなバカなことを考えながら試しに意識的にそれを動かそうとしてみると、なんとわずかではあるが外に放出、というか流れ出ていくような感覚があるじゃかいか。
そこから色々試してみた結果、どうやら手や足からならば結構出しやすいようだ。それで俺はピンッと来た。これチャクラだ。NARUTOで出てきたチャクラだこれ。
NARUTOでのチャクラはわりと好き勝手なことが出来た超万能不思議エネルギーだ。目に特別なものがあったり死者を蘇らせたり死神を呼んだりできる超トンでもパゥワーだ。
やっべぇよやべぇよ。俺もついに忍者の仲間入りだぁと忍術が使えることに興奮したのだが、ふと周りが木の葉の里や砂隠れの里といったような場所ではなく、完全に現代日本の一家庭に俺は生まれていたことに気が付いたのだ。しかも誰も忍術や忍者を使っているような気配は全くないのだ。
はてさて。ならば何故俺は現代日本でチャクラを持っているんだろうか。テレビとか聞いたところ忍者はフィクションの存在、または実際はそこまでのことをしなかったというようなものしかない。それじゃ俺のこれは何なんだろうか。
うんうんと考えて考え続けた結果、どうせなにもわからないしあるものはあるんだから先祖返り的なやーつだろうと勝手に思うことにした。
さて。さてさてさて。しかしチャクラだ。チャクラである。忍術を使うのに必要なチャクラが俺のなかにあるのだ。必要ないとかそんなの関係なしに忍術を使えるようになるしかあるまい。何故かって?男のロマンだからだよ。わかるだろ。
とはいっても、まだ歩くことすらままならない赤ん坊だ。印を結ぶどころか体術すら修行することもできない弱々しい赤ん坊だ。印を結ばず、体をそこまで酷使することのない修行って、何かあっただろうか。
うーん。動かないという点では一番最初に仙術チャクラが思い浮かぶんだが、さすがに蛙石になる可能性がある以上チャクラを使い慣れていない今それをするのはひっじょうに怖い。
かといって他に修行と言えば自分ルールでの厳しい修行ぐらいしか思い付かないし、壁登りや水面歩行は立つことすら出来ていないから出来ない。はてさてどうするか……。
あ、チャクラで葉っぱ切ることはできるじゃん。あれやろ。