戦車と麻雀のコンチェルト   作:エルクカディス

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以前の投稿から凡そ2か月……
大変お待たせしました。
あと遅くなり申し訳ありません。

取りあえず最新話が出来たので投稿します。
誤字脱字等あれば報告していただければ幸いです。

では、拙作ながらご笑納ください。


5話 ―清澄と大洗、それぞれの日常―

チュンチュンと朝の透明な空気に小鳥の鳴き声が響く。夏は過ぎたとはいえ残暑の熱気を叩きつけてくる太陽もこの早朝の涼しい空気の中では心地よく感じる。本日は土曜日で世間一般ではお休みであるが、ここ県立大洗女子学園にある戦車道用の戦車のガレージとして使われている大倉庫ではゾロゾロと生徒たちが集合してきていた。

 

「おはよーございます」

 

挨拶とともに栗色の髪をショートカットにした女生徒が倉庫に入ってくる。大洗戦車道チーム隊長の西住みほだ。周りにいた女生徒達が「おはようございます」とあいさつを返すなか、茶髪のミドルヘアと黒髪のロングの女生徒がみほに近づいてくる。

 

「みほさん、おはようございます」

 

「おはよー、みぽりん! ……ってどうしたの!? そのお(でこ)!!」

 

2人の名前は五十鈴華と武部沙織。みほの同級生で同じ戦車道の履修者である。華は大和撫子の見本のように優雅に、沙織は今時の女子高生らしい元気な挨拶をするが、沙織がみほの額を見てびっくりして声を上げる。

 

「あははは…… パン屋さんの前でいい匂いにウットリしていたらつい……」

 

「看板か何かにぶつかった…… と?」

 

「……はい」

 

戦車に乗っているときはキリッと凛々しく有能なみほであるが、それ以外では結構どんくさい少女である。成績は可もなく不可もなく平々凡々としているし、今朝みたいによそ見をしていて何かにぶつかることも頻繁にある。現に今のみほの額も赤くなっており、通学の途中で何かにぶつかったのが一目で分かる有様だ。

 

「もー! みぽりん、気を付けないとだめだよ!! 顔は女の命なんだから!!!」

 

沙織がみほに注意しつつテキパキと持っていたハンカチやら消毒薬やらで手際よく手当していく。その様子はまるでやんちゃな娘を心配する母親のようである。ここら辺がお母ん属性といわれる所以だったりする。

 

「西住殿! 武部殿! 五十鈴殿! おはようございます!!」

 

「お…………… は… よ…う…………」

 

元気よく挨拶する優花里に、もはや死体の方が生き生きしていると突っ込まれかねない様子の麻子。2人は今到着したようである。

繰り返すが今は土曜日の早朝、世間一般には休日の早朝である。では何故、大倉庫に生徒たちが集合しているかと言うと、戦車道の朝練の為だ。昨日、無事に2回戦も突破し次はいよいよ準決勝である。優勝候補のサンダース大付属を一回戦で破り、二回戦は危なげなく勝利。順調に勝っている現状がメンバーの士気を大いに高めているのだ。朝練などドンと来いの心意気である。ただ、順調に勝ち進んでいるが故の弊害も生じ始めていたりする。

 

「さて、皆そろったな! では本日の朝練を始める!」

 

メンバーの点呼を取っていた桃が朝練の開始を宣言する。そんな中、みほはきょろきょろと辺りを見渡して首を傾げる。

 

「西住殿、どうかしましたか?」

 

「あっ、うん…… 須賀君が来て無いなと思って……」

 

優花里が声を掛けて、みほがそれに答える。確かに見渡してみれば京太郎の姿が見えない。金髪のせいでちょっとチャラく見える外見の彼だが、その中身は物凄く真面目である。少なくとも無断でサボったりする性格はしていない。そんな京太郎が居ないのだ、気になるのは仕方がないと言える。が、みほはあることを忘れている。

 

「みぽりん、何言ってるの? 須賀君なら昨日清澄に帰ったじゃん」

 

「……えっ?」

 

「昨日のアンツィオ戦が終わるとすぐに紫電改で長野に帰られましたよ」

 

「そうですね、元々須賀殿は平日()()大洗に来ると言う約束ですから」

 

「そっか……」

 

沙織、華、優花里の話を聞いて京太郎が昨日試合のあとすぐに長野に向かって飛び立ったことを思い出したみほ。納得したがどことなく胸の中がモヤモヤする。何となくコツンと足元にある小石を軽く蹴ってみたがモヤモヤは晴れない。

 

「ねえねえ、華にゆかりん。これってもしかして……」

 

「そうですね、もしかするかもしれませんね……」

 

「と言うかほぼ確定のような気がします……」

 

どことなく少し寂しそうなみほの姿を見て3人はヒソヒソと内緒話、もとい相談を始める。というかのっけから三人の意見は一致した。要はみほが京太郎に惚れているんじゃなかろうかと。みほ本人は気づいていないようだが彼女の様子とさっきの発言で丸分かりである。

 

「これは…… 面白くなりそうであります!」

 

「ふふふ、みぽりんにも春が来たんだね!」

 

「これは友人として応援しなければいけませんね!」

 

何やらみほを置き去りに盛り上がっていく三人。まぁ、優花里たちも年頃の女子高生であるからして友人の恋バナは大好物だ。こんな面白そうな話題が目の前に突如として転がり込んできたのだ。放って置くなど論外である。みほと京太郎を引っ掻き回して最終的にはカップルにする、そんな友人への応援と言う名の悪巧みを嬉しそうに練っていく沙織、優花里、華。その表情は物凄く楽しそうである。なお、麻子であるがこの間ずーっと立ちながら寝ていた。器用なものである。

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 ……………………

 …………

 

 

 

 

 

 

 

さてもう一方の当事者の京太郎はと言うと、大洗の朝練ほどではないが朝早くから清澄高校の麻雀部部室で仲間とともに練習に精を出していた。今現在卓についているのはまこ、咲、優希、京太郎のメンツである。

 

「リーチだじぇ!」

 

現在東三局、東場に強い優希がグイグイ攻める。現に東一局、東二局と上がって点数を伸ばしている。おまけに今の親は優希だ、ここで連荘してさらに点を稼ぐ気満々である。

 

「ふっふっふー! 京太郎! この優希ちゃんを止められるか!?」

 

無い胸を張って京太郎を挑発する優希、今までの京太郎だったらここでイラッとして自滅していったのであろうが…… 大洗に行ってから武者修行や練習を続け、今まで以上に熟してきたのだ。焦らずに最善手を考えていく。

 

「ぬかせ優希、今の俺は以前の俺とは一味違うぜ!」

 

そう言って自模ったあと七萬を河に捨てる京太郎。確かに優希のリーチには当たらない安全牌だ。そしてその牌こそ上がるための最善手であると根拠がない確信が京太郎にはあった。

 

「カン!」

 

そして、下家のまこが河に牌を捨て、京太郎の対面に座っている咲に自摸番が回った。牌をツモった瞬間、咲が槓を宣言し王牌を引く。

 

「もいっこ…… カン!」

 

そしてツモった牌を加槓し、再び手を王牌に伸ばす咲。周りで観戦していた久、和は咲の上がりを確信する。彼女が連続で槓した時の嶺上開花率はそれこそ異次元の数字、それに従えばこの流れは咲の勝利の方程式の形そのままで疑う余地は無かった。

 

「ロン! 槍槓のみで1000!」

 

「嘘!?」

 

「おおっ、やるのォ!」

 

しかし、その勝利の方程式が一瞬で崩れ去った。京太郎が咲の大明槓を槍槓したのだ。まさに伏兵、いや完全な奇襲攻撃だった。咲は自分の嶺上開花が破られたことに驚愕し、まこは僅か1000点とは言え咲を封じたその手に感嘆の声を漏らした。

 

「須賀君、成長しましたね」

 

和が素直に京太郎を褒めたたえる。それだけ鮮やかなアガリだった。一方で自分の必殺技を完封された咲は頬を膨らませてむーっとしていた。

 

「いや、東場の優希を止めるには俺じゃ力不足だし…… かと言って他のメンツが止めてくれるのを待つのも格好悪いし……」

 

「で、現実的な手段として咲のアガリを横から掻っ攫うのが一番と?」

 

「まぁ、そんなところです。染谷先輩の手は読めませんけど、咲の決め手は嶺上開花。大明槓を槍槓で待ち構えるだけならやり易いですし」

 

頭をポリポリと搔きながら「情けないですよね」と笑って言う京太郎。だが久はそうは思わなかった。確かに優希の連荘を止めるにはまだ京太郎は力不足だろう。その力不足を認めたうえで有効な手立てを考えていたのだ。今までの彼は、力不足を認識しているが故に我武者羅にアガろうとしてドツボに嵌まっていた。それからすると大きな進歩である。

 

「須賀君、謙遜することは無いわ。たった1000点とは言え周りの状況を利用して優希の流れを止めて咲から直撃をもぎ取った。今までの打ち筋から比べたら一皮も二皮も剥けているわ」

 

久にとって京太郎のこの成長は嬉しい誤算だった。調子に乗りやすい優希への釘になるし、槍槓という咲の弱点を再認識する切っ掛けにもなるのだから。そして何よりこの成功が京太郎の自信につながっていく。

 

「ムムム……! おい、犬! まだ対局は終わってないじぇ!! 最後は私の前に跪かせてやるじぇ!!」

 

「返り討ちにしてやるぜ、優希! 吠え面かくなよ!!」

 

傍から見ると暴言の応酬だが、京太郎と優希にとってこれは日常のやり取り。別に仲が悪いわけではない、と言うかこの2人は麻雀部の中でも特に気負いのないやり取りをする組み合わせである。

 

「あっ、そうだ! 11時頃にWeekly 麻雀 Todayの西田さんが取材に来るから、手の空いている面子で順番に取材を受けるわよ。それが終わったらお昼を食べて、ちょっと息抜きに買い物に行きましょう。その後roof-topでみっちり練習の続きよ!」

 

思い出したかのように久が今後の予定を告げて、それに5人は「おー!!」とノリ良く返事する。しかし取材が来るなんて大事なことはもっと事前に言えと言いたいが、たった6人の部活である。お互いの心意気が知れ過ぎていてこの程度は許容範囲だ。

 

「部長、お昼はどこで食べますか?」

 

「そうねぇ…… 『千曲』でお蕎麦なんてどう?」

 

「乗った! 俺、盛り蕎麦の『穂高盛り』!」

 

久がお昼は蕎麦屋にしようと提案すると間髪入れずに京太郎が乗る。大洗への出向のせいで信州人のソウルフード、蕎麦をここ最近口にしていない。食いつきも当然と言えよう。

 

「おいおい『穂高盛り』って900 gはあるぞ、ワシは「白馬盛り」じゃな」

 

「まこ、『白馬盛り』も700 gあるのよ……」

 

ついでに食い盛りの男子高校生らしく超大盛りを頼むと宣言する始末。まぁまこも京太郎に負けず劣らずの大盛りを頼むようだが、その細身の体のどこに栄養が行っているのか大いに謎である。

お昼の事で盛り上がりつつ、対局は南三局に進みさらに白熱していく。と、その時、ドアがコンコンとノックされた。和が対応するとWeekly 麻雀 Todayの記者である西田順子とカメラマンの山口大介が入ってきた。

 

「おはようございます。清澄高校麻雀部の皆さん、今日は取材を受けて頂いてありがとうございます」

 

「おはようございます、まず部活の様子を一枚良いですか?」

 

挨拶もそこそこに写真撮影の許可を窺う山口カメラマン、久が快く「どうぞ」と許可を出すと早速対局している京太郎たちの姿をパチリとネガに収めた。ちなみに使っているカメラは今時珍しいフィルムカメラ、彼のこだわりが窺える。

京太郎たちは対局が残っているので、西田記者の取材にまず対応したのは和と久だった。

 

「原村さん、無理言って取材を受けてもらってごめんなさいね」

 

「いえ、西村さんなら信用できますから」

 

実は部の方針として国麻の辞退を決めた後あらゆるマスコミの取材を受けないことにしていた。初出場で部員は最低限の弱小校の麻雀部がインターハイ優勝の栄光を掴んだのだ。当然取材の申し込みが殺到する。そんな注目を集めているチームが国麻を辞退、しかも理由がたった一人の初級者の特訓のため。下手に世間に情報が流れれば大騒ぎになること必至である。実際身内の話ではあるが、長野県麻雀連盟が清澄高校のメンバー全員の国麻辞退を告げられて大パニックに陥った。和をはじめとした女子メンバー5人全員が国麻の長野県代表選手の第一候補だったのだ。当然、翻意を促す打診が矢継ぎ早になされる。しかし、彼女たちの意志が固いと分かると大慌てで選出メンバーの再選定作業でてんてこ舞いである。

 

「長野県連は大パニックみたいよ? 貴女たち5人は選出メンバーの最上位、それがそろいもそろって辞退なんて前代未聞らしいから」

 

「連盟に迷惑をかけたことは承知しています。でも、私たちにとって国麻なんかよりも仲間の須賀君の方がずっと大切ですから」

 

「ほんと、ここの部は仲がいいわね。羨ましい位だわ」

 

ありとあらゆるマスコミの取材はシャットアウトしていたが、西田記者の取材は受けることにした。西田記者は和と個人的なつながりがあるし、他のメンバーも彼女の人となりを知っていて信用していたのが大きい。実際に、西田記者は色々配慮して取材をしていて、人柄も記者としての腕もそこらの部数の事しかない三流記者とは比べ物にならないくらい優秀なのだ。

 

「まぁ、どっかの三流誌が下種な記事書いたとしても私が叩き潰してみせるから安心して」

 

「頼りにしてます」

 

和の言葉にドンと張った自分の胸を拳で叩くゼスチャーをする西田記者。このあたりの記者倫理と頼もしさが清澄のメンツが信頼する最大の要因だったりする。

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 ……………………

 …………

 

 

 

 

 

 

「うえっぷ……」

 

「く、食い過ぎたけぇ……」

 

「きょ、京ちゃん、染谷先輩…… 大丈夫?」

 

「咲、放っておきなさい。自業自得なんだから」

 

お腹を押さえて苦しがる京太郎にまこ、それを見て心配する咲と呆れてものも言えないといった表情の久。いま彼女たちはお昼御飯を蕎麦処『千曲』ですませて、近場のショッピングモールへ移動している最中である。で、なぜ京太郎とまこが苦しがっているかと言うと……

 

「須賀君、染谷先輩。お二人の食欲が凄いのは知っていますが、アレは無謀ですよ」

 

「いくら大食いキャンペーンやってるからって『富嶽盛り』にチャレンジはアホの所業だじぇ」

 

そう、蕎麦処『千曲』で大食いキャンペーンと言う名のイベントがあったのだ。イベント期間の間だけ提供される限定メニュー、盛り蕎麦『富嶽盛り』。麺の重量およそ1.7 kgの頭のねじが3~4本飛んでいるんじゃないかと言わんばかりの超弩級メニューである。で、京太郎とまこの大食いコンビは調子に乗って『富嶽盛り』を注文、(まこと)におバカの極みである。

 

「そ、そうは言うけどな……」

 

「そうじゃ! あんな「食えるものなら食ってみるがいい!!」ってメニューに書くなんてわしらに対する挑戦状じゃけ!!」

 

「そんな下らない挑発に乗ってんじゃないわよ!!」

 

「ひょあぁあ! 久! 止めぃ! 出ちゃう! マーライオンになっちゃう!!」

 

まこの余りにもアホな言葉に、久は額に青筋を浮かべつつハイムリック法のような姿勢でまこの体をホールド。そして、クンクンっとお臍の上あたりを締め付けて刺激し始めた。必死に何かを堪えながら、久の拘束から抜け出そうともがくまこ。1.7 kgもの蕎麦を平らげた直後で鳩尾の周辺を締められるとどうなるかは火を見るより明らか、いくらサッパリした性格のまこでも天下の往来かつ京太郎(おもいびと)の前で粗相(デビルリバース)は嫌なようだ。

 

「マーライオンは綺麗な水を出してるから綺麗なワケでして、蕎麦を吐き出すマーライオンはチョット……」

 

「汚い花火だじぇ」

 

「わ、ワリャぁ等! そんなのんきなこと言っちょらんと助け…… にょわあぁぁあ! 出る! 出ちゃう!」

 

そんな上級生のアホなじゃれ合いを見て乾いた笑みを浮かべる京太郎。普段の対局しているときの凛々しさは一体どこへ行ったのやら。そして囃し立てる咲たち1年トリオ。京太郎は呆れつつも心の中でホッとする感覚を感じる。やはり大洗は京太郎からしてみればあくまで他校だ、心のどこかで無意識に身構え緊張していたのだろう。

 

「おーい、日が暮れますよ。早く行きましょう」

 

京太郎が声を掛けてやっと解放されたまこ、ちょこっと涙目になっててドキッとしたのは内緒だ。

さて、ショッピングモールに向かう京太郎達だが、何を目的にしているのかと言うと……

 

「ねえねえ、京ちゃん! これなんてどうかな?」

 

「おっ、良いんじゃねえか? 似合ってるぜ、咲」

 

黄緑色の清楚なワンピースの水着を着た咲が、試着室から出てきて京太郎の前でくるっと一回りしてみせる。残暑も厳しい9月の中旬、ちょうど水着のバーゲンセールがあって皆で水着を買いに来たのだ。まだまだ海水浴やプールで遊べるほど気温が高いので近いうちに行こうという話まで持ち上がっている。

 

「おい、京太郎! 咲ちゃんばっかり見てないでこっちも見るじぇ!」

 

「そうよ、須賀君! こっちも見なさい!」

 

背後から掛かる声に後ろを振り向く京太郎。そこにいたのは腰にパレオを巻くタイプのビキニを着た久と、こっちもビキニを着た優希だった。女子高生としては平均的な体格の久、そこまで色香漂うと言うほどではないが健康的な肢体のお陰で結構魅力的だ。一方の優希であるが、こっちはちっこい体にほぼ平原ともいえる胸、そのおかげでトップスがただのズポーツブラに見えてしまう。そっと心の中で合掌した京太郎、「大丈夫だ優希、まだ…… まだ成長期は終わってないぞ……」そっと呟いた京太郎の言葉が当たっていることを祈りたい。まぁ、似合ってないわけではないむしろ不思議と彼女の雰囲気に合っている。取りあえず2人の姿を一言褒める京太郎。

 

「……………………」

 

「で、須賀君これはどうですか?」

 

次に京太郎に試着した水着を見せに来たのは和だった。で、彼女の水着姿を見た京太郎は一瞬その思考をフリーズさせる。

 

「和…… さすがにそれは無いと思うぞ……」

 

「やっぱりダメですか」

 

「いや、当たり前だろ? スクール水着なんて……」

 

そう、和が試着していたのは所謂スクール水着。しかもちょっとサイズの小さいものを着ているらしくどこがとは言わないが零れ落ちそうなほど窮屈であった。

ちなみに和曰く、

 

「胸のサイズに合わせたらほとんどの水着がブカブカになってしまうんです。体に合わせたら合わせたで胸がキツク…… このせいで選択肢が相当制限されるんで困るんですよ……」

 

咲や優希が聞いたら激怒しそうな内容である。久やまこですら微妙な顔をするだろう。取りあえず、京太郎は和に他の水着を選ばせ事なきを得る。選んだのは可愛らしい感じのピンクのビキニとパレオであった。

和の次はまこだったのだが、彼女が試着せずに持ってきた水着を見て盛大に噴き出すことになる。

 

「京太郎~、これなんてどうじゃろう?」

 

「ブフッッ!?!?」

 

まこの持ってきた水着、体の隠すべき場所を覆う布の面積は最小限、その布をつなぐ部分は布と言うのも烏滸がましいくらいの細さ…… むしろ紐と言った方が正しいだろう。そう、所謂スリングショットと言うやつである。普段の彼女からは考えられないチョイスだ。

 

「ん~、どうしたんじゃ? 京太郎」

 

「…………………」

 

ニヤニヤと声を掛けてくるまこの表情を見て自分をからかう心算で持ってきたことを悟った京太郎。眉間にしわを寄せて揉み解しつつ、ため息と一緒にまこに声を掛ける。

 

「染谷先輩…… その水着本気で着てみます? ほとんど裸じゃないっすか。下手すると龍門淵の国広さん以上の痴女に見られますよ?」

 

「ハハハ…… 冗談じゃけぇ、本命はこっちじゃ」

 

そう言って京太郎に見せるのは比較的清楚な印象のあるワンピース、ただし背中側のカットは結構大胆なデザインである。笑顔でその水着を掲げるまこだが、龍門淵の一と比較されたせいなのか少々表情が引きつっている。

 

「じゃあ一寸試着してくるけぇ」

 

「はいはい、待ってますよ」

 

「まぁ、京太郎だけならこのスリングショット姿見せても良いんじゃが……」

 

試着室に入る間際にまこがボソッと呟く。幸い京太郎に聞こえることは無かった。

取りあえず5人ともそれぞれ納得のいく水着を買えて(京太郎に選んでもらったという事実の影響が大きいが)ホクホク顔でご機嫌の様子。一方の京太郎が少々お疲れ気味だったのでコーヒーでも飲んでから『roof-top』に向かおうということになった。

ショッピングモールにあるコーヒーチェーン『Star Bugs Coffee』に向かって歩を進める清澄高校麻雀部の面々。が、途中で地元長野の物産展をやっているのを見つけて誰ともなしに:入ってみようという事になった。ちなみにどうでもいいことであるが『Star Bugs Coffee』のエンブレムは☆の中にGの愛称が有名な昆虫のシルエットが描かれたものだ。

 

「へー…… ずっと信州に住んでるけど、こんな特産品があったなんて知らなかったなぁ」

 

「私は中学に入ってからこっちに来たのでもっと分かりませんよ」

 

そこそこに大きな物産展だったので品揃えも豊富、中には生粋の信州人の咲達が知らない産物もあって地元の奥深さを再認識していた。

 

「ねえねえ、和、こんなものがあったんだけど!」

 

「なんですか部長…… ヒィ! な、何ですかそれぇ!?」

 

「ククク、やっぱり和には刺激が強かったけぇ」

 

何やらウキウキとした声を和に掛ける久、その声に答えつつ和が振り向くが久が持っていたモノを見て小さい悲鳴を上げた。それを見ていたまこも可笑しいといった風に笑っている。

 

「何って、信州名物イナゴの佃煮よ。和食べたことないの?」

 

「のどちゃん、信州に住んでるなら一回は食べた方がいいじぇ」

 

「美味しいよね、他にもハチの子とかサナギとか」

 

「熱々のご飯に結構合うからのォ」

 

咲達の会話を信じられないと言った表情で聞く和。ハチの子は知っている、サナギは聞いたことが無いが話の流れから同じく昆虫(ゲテモノ)の類ではなかろうかと予想を巡らせる和。東京で生を受け、小学生の頃は奈良で過ごした和にとってこんな未知の食品は御免だ、と言うかイナゴの佃煮の瓶を片手にご飯のお供を語るのは華の女子高生がする会話なのだろうかと疑っている。

 

「じゃあこれ買いましょう! 今日のおかずの一品はコレね!!」

 

「賛成!」

 

そう言ってレジにイナゴの瓶を持っていく久。「あれ、これもしかして私もイナゴを食べる流れじゃ……」と場の空気を読んだ和は顔を真っ青にしてカタカタと涙目で震え出す。

そんな清澄姦し娘たちのやり取りをにこやかに見ていた京太郎。そんな彼の視界にフッと一つの缶詰が映る。その缶詰を手に取ってしばし見つめた後、京太郎の顔にニヤリとあくどい笑みが浮かんだ。

 

 

 

 

 

 …………………………………

 ……………………

 …………

 

 

 

 

 

 

ところ変わって大洗学園艦にある女子学園寮のある一室、ここに5人の女子高生たちが揃って晩御飯を食べている。早い話がご飯会と言うやつである、メンバーは西住みほ、武部沙織、五十鈴華、冷泉麻子、秋山優花里…… 要はあんこうチームの面々だ。

 

「ごちそうさま、沙織さんのご飯はやっぱりおいしいね!」

 

「ふふん! そりゃそうよ! 男を落とすためにはまず胃袋から!! 練習は欠かさないんだから!!」

 

「……で、その腕前を披露する男は居るのか? 沙織」

 

「…………居ない」

 

今日の夕飯を用意したのは沙織…… と言うかこのメンツが揃ってご飯会をするときは決まって沙織が作る流れが出来上がっている。何故かと言うと、まず華であるが園芸ハサミ以外の刃物を持った経験がほぼ皆無かつ料理の経験がゼロ、確実に戦力外である。みほは自炊しているので出来ることは出来るのだが、長時間コンビニの商品を眺める趣味が災いして惣菜をコンビニで買う悪癖が付いてしまい凝ったおかずのレシピが壊滅状態。こやつも敢え無く戦力外宣告を受けている。優花里は料理が出来る、しかも本人の小器用な性格ゆえ応用も利くので大いに戦力になりそうな人材である。が、如何せんベクトルがサバイバル方向に極振りされている。キャンプでなら大活躍であるが、ご飯会でのオシャレな料理は期待できそうにないのでこの娘も戦力外。麻子? 彼女の性格を考えると期待するだけ無駄と言うものだ。

以上の理由でご飯会の調理担当はいつも沙織である。みほが美味しかったと褒めると胸を張る彼女、鼻高々に料理上手になった理由まで零してしまい、麻子に突っ込まれて凹んでしまう。

 

「まぁまぁ、女子高ですから殿方と接点が無いので仕方ないですよ」

 

「そうですね…… 私たちの周りにある男っ気と言えば、父親ぐらいしかないですね。あと、最近では須賀殿ぐらいですか……」

 

現状、彼女らの周りには釣り合う年齢の男子が殆どいない。戦車道を履修している彼女たちは短期と言え戦車道の助っ人として京太郎が参加しているのでまだ恵まれている方だ。実際に京太郎が戦車道に参加していると聞いて戦車道を履修すればよかったと悔しがっている大洗生が何人も居るくらいだ。

 

「須賀君と言えば…… みぽりん、どうなのよ? 進展あった?」

 

「ふぇっ?」

 

「あっ、それは私も気になります。西住殿と須賀殿、お似合いだと思います」

 

「ふぇぇぇぇぇええ!?」

 

京太郎が話題に上ったとたんに自分に飛び火してきたことにビックリするみほ。しかし恋愛に奥手…… というか経験値がほぼゼロな彼女である。左舷公園での一件以来、京太郎を見ると胸が少しドキドキするとは感じていたがその感覚が恋であると全く自覚していなかった。

 

「私もそう思います。少なくとも須賀君はお優しいですし、真面目な殿方ですから」

 

「確かに…… お婆が倒れたときに飛行機で送ってくれるくらいには優しいな」

 

華と麻子も話に喰い付いてくる。彼女たちもお年頃の乙女という事だろう。ちょっと性格が捻くれ気味の麻子の言葉に沙織が「もう駄目だよ、そこは素直に優しいって言わないと!」と窘めている様子はまさにお母んといった様子だ。で、肝心のみほの反応はと言うと。

 

「わ、私が須賀君と!? あ、あわわわああわ!!」

 

顔を真っ赤にしてあわわと取り乱し中である。

 

「……みぽりん、その様子見る限り自覚してなかったの?」

 

「……端から見てると思いを寄せておられるのは丸分かりなのですが……」

 

取りあえずみほが落ち着くまで間を空けた4人、落ち着いたみほだが顔は茹蛸のように真っ赤に染まっている。

 

「わ、私が…… す、須賀君を、す、好き……?」

 

「みぽりん、本当に自覚なかったみたいね……」

 

「わ、私! 本当に須賀君が好きなのかな!?」

 

「いや、それは西住さんの心の問題だろ?」

 

「と言いますか…… 最近の須賀殿に対する西住殿の様子を見ていると…… 好きじゃないというのは非常に無理があると思いますが?」

 

「ふぇ?」

 

「そりゃ、みぽりん…… あれだけ戦車道の練習中に須賀君の方をちらちら見てたり……」

 

「今日みたいに須賀君がいらっしゃらないときに溜息をつかれている様子を見てしまうと」

 

「まぁ、一目瞭然だな」

 

「はぅっ!」

 

自分すら自覚していない恋心を友人4人に指摘されるみほ。これがトドメとなり机に突っ伏してしまう。初心な彼女にとっては刺激が強すぎるのか耳まで真っ赤である。

 

「とりあえずみぽりん、須賀君と何があったの!?」

 

「そうですよ! 須賀殿を意識する切掛けとなった何らかのイベントがあったはずです!!」

 

年頃の乙女にとって恋バナは甘いものに匹敵する大好物だ、そんなものを無自覚に沙織たち4人の前へぶら下げていたみほは不用心すぎる。どうぞ弄ってくださいと言わんばかりの行為だ。現に普段は飄々としている麻子までカッツリ喰い付いてきている。

 

「あうあうあうあうあうあう……」

 

「はいはい、みぽりん。キリキリ吐きなさい!」

 

「ハリーハリーハリー」

 

4人の押しに押し切られ、ついに先日の左舷公園での出来事をゲロッたみほ。京太郎がらみの出来事で思いつくのはそれしか無かったからなのだが、沙織たちが求めていたものとドンピシャなのが幸運なのか不運なのか……

洗いざらい吐かせた後の沙織たちはさらに盛り上がっていく。

 

「絶対この出来事が切掛けですね」

 

「と言うか私たちが合流する前にそんなことがあったんだ…… 確かにこれは惚れるわ」

 

「くっ! 不詳、秋山優花里一生の不覚! そんな見ごたえのあるシーンに居合わせなかったとは!」

 

「同意だな」

 

こうなったら生贄の子羊と化したみほに選択肢があろうはずもない。沙織たちの欲望の赴くまま、恋バナの肴にされてしまう未来しかない。

 

「しかし…… 急がないとチョット不味いかもしれませんねぇ」

 

「ゆかりん、どういうこと?」

 

「いえ、須賀殿は戦車道の助っ人としての短期国内留学生です。当然、戦車道全国大会が終われば元の学校に戻るんですよ」

 

「そう言われてみればそうですね…… でも連絡先を聞いておけば遠距離恋愛が出来るのでは?」

 

「それが…… 障害が多そうなんですよ。これを見てください」

 

そう言って優花里が背嚢から取り出したのは先月号の『Weekly 麻雀Today』だ。ちょうど、麻雀インターハイの特集をやっている号で清澄高校のこともそこそこ詳しく書かれている。

 

「麻雀女子団体全国優勝、清澄高校麻雀部…… 部員数6名…… 麻雀の団体戦って確か5人で1チームよね。ってことは、男子は須賀君独りってこと!?」

 

「それに優勝した時の写真が載っていますけど…… 須賀君も一緒に写っていますね」

 

「すごく仲好さそうだな6人だな」

 

「そうです、もし西住殿が遠距離恋愛で須賀殿と親密になろうとしたら…… これがネックになる可能性が高いんです」

 

いったん言葉を切って湯呑をクッと呷る優花里、コトッと湯呑をテーブルに置き一同を見渡す。その眼は限りなく真剣そのものだが、話の内容が内容なのでどことなく滑稽である。

 

「須賀殿が大洗を離れた後だと西住殿が一緒に居れる時間はほぼゼロでしょう。一方の清澄の方々は同じ部活なので毎日長い時間一緒に居る、これは大きなハンディキャップですよ? それに下手すると大洗に来る前にかなり親密な関係を須賀殿と築いている可能性もあります…… いや、確実に築いているでしょう。清澄(むこう)が圧倒的なアドバンテージを握っていると想定しないと確実に負け戦です」

 

優花里の話す予想に険しい表情をする沙織、華、麻子。話を聞いてみてみほが結構厳しい立ち位置にいることが分かったからだ。やっと来た親友の春である。素直に応援してあげたいし、親友の思い人は信頼できる人柄のよく知っている人物、この恋には賛成だ。だが、このままではみほの恋は確実に実らない。お互いの視線を絡ませ合う沙織、優花里、華、麻子、そして無言の意思疎通ができたのか4人同時に軽くうなずく。

 

「みぽりん! ここは積極的に攻めなきゃだめだよ!!」

 

「西住殿! 西住流の本質は正面からの突撃による短期決戦です! ここで西住流の本質を発揮しないで何時発揮するんですか!?」

 

「そうです! 大和撫子はお淑やかが信条ですが、攻める時は攻めないといけません!!」

 

「私たちも応援する、西住さんここは攻めろ!」

 

みほの恋を応援する側は気合十分だ、一方で主役と言うべき応援される側のみほはと言うと。

 

「くきゅー………」

 

事態の展開についていけず目を回していた。

 

 

 

 

 

 …………………………………

 ……………………

 …………

 

 

 

 

 

 

みほたちが恋バナに花を咲かせている頃、大洗女子学園の生徒会室では杏、桃、柚子の三人が書類を黙々と捌いていた。大洗女学園は学園艦に存在する高校、言い換えれば学園艦が大洗女子学園そのものと言ってもいい。航海の指揮は熟練の航海士と水先人、および学園長がとるがその指揮に従って航行の運用を担うのは船舶科の生徒たちである。さらに学園艦に存在する生活に必要なインフラの運営には商業科をはじめ被服科、水産科、情報科、栄養科、農業科の生徒が携わっている。つまりは学園の生徒達が街の運営の一翼を担っていると言っていい。そして、こういった生徒達を取りまとめる生徒会の権限は陸にある高校の生徒会とは比べ物にならないほど強い。一方でその権限の強さに比例して生徒会役員の業務内容は膨大なモノになっている。

 

「会長、良かったんですか?」

 

「なんだい? かーしま」

 

カリカリと書類にペンを走らせる手を止めずに桃が杏に声を掛ける。

 

「その…… 須賀のことです」

 

その一言を聞いた杏はピタリと動かしていた手を止め桃に視線を絡ませ、無言で続きを促す。

 

「先日の脱衣麻雀ですが…… その…… 会長だけに須賀の隔意が向いてしまうのではないかと……」

 

普段見せる強気の彼女ではなく、本当に杏のことを心配する心優しい少女の表情だ。その心配を受けて杏はにこりと微笑む。

 

「ああ、あれね。まぁ、良いんじゃないの」

 

「しかし、それでは会長ばかりが!」

 

声を荒げる桃に、抑えて抑えてと手で合図を送る杏。とりあえずはそれで桃は大人しくなったが、不満そうな表情を浮かべている。

 

「まぁまぁ、2人ともこれを飲んで落ち着いて」

 

そう言って柚子が温めたカフェオレを3つ持ってきてそれぞれの机の上に置いていく。礼を言いつつ杏はカフェオレに口を付けるが少し熱かったらしくマグカップから直ぐに口を離し、「アチチ……」と舌を出しつつおどけて見せた。

 

「まぁ、かーしまの言いたいことも分かるけど、これで良いんだよ」

 

そう言って少し上等な椅子にギシリと体を預けて、ポツポツと話し出す。

 

「須賀君にも大事なこと…… 麻雀部のことやその仲間がサポートしてくれて、目指す大会があるんだ。それをウチ等は強引に大洗に助っ人に来るように仕向け、清澄の麻雀部にも多大な迷惑をかけた…… 須賀君が大洗に良い感情を持つわけがないし、怒ってるだろうね。その怒りは正当なモノさ」

 

「だけど…… 私は大洗の生徒会長として…… 廃校を阻止するために須賀君を強引に連れてくる必要があった。だけど須賀君には大洗女子学園を…… そこに通う皆のことは嫌いにならないで欲しい…… せっかく来てくれたんだ、愛する学園を好きになってほしいからね」

 

「すっごく都合の良いこと言っている自覚はあるさ。だけど、それを成す方法がたった一つだけあった……」

 

そう言って少し冷めたカフェオレで喉を潤す杏。

 

「須賀君の怒り…… それを会長ただ一人に向ける。そうですね?」

 

「その通りだよ、小山。そうすれば少なくとも須賀君の隔意が学園や生徒のみんなに向わずに済む。この間の脱衣麻雀もああいう仕向け方をすれば須賀君のヘイトは私だけに向くだろうからね」

 

「会長! 確かにそうかもしれませんが、それでは会長があまりにも……っ!」

 

「かーしま、私は大洗の廃校を阻止するためには悪魔とすら手を組むって誓ったんだ。今更、私個人の評判が地の底に墜ちようがどうってことないね」

 

そう言って窓から夜空を見つめる杏。その顔に浮かぶのは少しさみしそうで、いつもの自信に満ちた彼女らしからぬ表情だった。

 




今回は京太郎が里帰りしている時を書いてみました。
如何でしたでしょうか?

あと、会長があくどいなと言う指摘を頂いたので少しフォローも入れてみました。
確かにあくどい手を使う策士ですが、杏ちゃん、根はいい子なんですよ。
さて、チキチキ京太郎争奪戦に大きく出遅れたみほは一体どうなるのか……
今後とも本作をよろしくおねがいいたします。

感想、評価等いただければ非常にうれしいです。
作者のモチベーション維持のためにも一言でもいただければありがたいです。

ではまた次作でお会いしましょう!

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