「魔女と呼ばれた、悪である私なんかで泣かないでください」
その言葉は理解するのに時間がかかった。
「アーシア?お前一体何言ってんだよ、?」
アーシアは慈愛の微笑みを、何かを悟ったような笑みを、そして全て諦めたかのような笑みを浮かべながら言う。
「いいんです。 私なんて魔女と呼ばれた悪であり生きる価値などない者ですから。これも主によって導かれた運命なのでしょう」
その言葉を聞いて一誠は
「ふざけんなよ、」
「ふざけんなよアーシア!!!!!!」
怒髪、天を衝くの如く怒り狂い叫ぶ。
「俺はアーシアとは少しの間しか関わってねえけど言わしてもらうぞ!」
「周りから魔女と言われ私は悪人だから生きる価値が無い?ふざけんな!生きる価値なんて誰にも付けられねぇ!!魔女と呼ばれたことを言い訳に、生きることから逃げるなぁ!!アーシア!!!」
その言葉を聞ききょとんとした顔になりその言葉の意味を理解したあと呻く様に、苦しむ様に、泣きそうな顔で言った。
「私は、イッセーさんみたいに強くありません。そんなふうに生きることが出来ません」
声のトーンを下げ諭すように、己の内側の思いを吐き出すように言う
「だったら、」
「だったら頼ってくれよ」
「ドーナシークのオッサンでもいい、ミリスさんでもいい、何なら俺でもいい。アーシアお前はもう独りじゃないんだからさ」
「独りじゃ、ない?」
「そうだ。友達もいる、姉の様な人もいる、父親の様な人もいる。アーシアお前はもう独りじゃない。今はみんなが居る。だからみんなに頼ってもいいんだ」
その言葉にアーシアふわりと笑う
「皆さんが私の事思ってくれている。それだけで私は幸せです」
そう言って静かに目を閉じた。
「「ッ!?アーシア!!起きろ!!目を覚ませ!!」」
2人でそう叫ぶが目を覚まさない。
「クソッタレがぁぁぁぁ!!私ではここが限界だと!?またあのような結末に至ると!?あの誓いを忘れていた代償がアーシアの死だと!?ふざけるなァァァァ!!」
ドーナシークは叫び怒り狂い、地面を殴り始める
地面を殴る度に肉が潰れ骨がひしゃげる音が鳴る。しかし痛みなど知らぬと言った顔で自傷行為をやめない。
「オッサン落ち着けって!!」
慌ててドーナシークを一誠が拘束して動きを止めようとするが腕が使えぬならば頭を使うという様に地面に頭突きをし、額を割った。
「今程、この身を恨んだ事はナイィィィィ!!」
そして自身を呪うように叫ぶ。
しかし、そこに割って入る声があった
「いやー案外そうでもねぇーぜオッサン。アンタのおかけでアタシが間に合ったんだからよ」
その言葉は入口から聞こえた。
そこには目を金色にしたミリスさんが立っていた。