「そうだねあれは今から一年前くらいかな?」
「家計が苦しくてね。あの人が頑張ってくれるんだけどなかなかね?家族2人には良い生活して貰いたかった」
「だからアイツ、ソロモン柱第28位公爵ベリト。奴の悪魔の囁きに乗ってしまった」
「具体的にはこうだ。『私なら彼らを幸せにできるよ?本当だとも!だから私の下僕になるといい。そうすれば私が君の家族を幸せにしてやろう。』とな」
「今思えば何故調べなかったのだろか。ベリトは嘘つきだというのに」
「いや正確に言えば厳命に成功すれば錬金術に詳しくなったり栄誉を貰えたりするらしいが、それは召喚者だけ」
「奴は私を下僕にした直後に私を犯した。私も抵抗しようとした。だがこう言われた」
『あれれれぇ?抵抗しちゃっていいのかなぁ〜?もしかしたら君の家族が不幸になっちゃうかもねぇ〜?』
「実に悪魔らしいクソだったよ。その言葉で私は抵抗を止めた。何故か?簡単だ。私には家族の方が大事だからだ」
「そんなゴミみたいな生活が始まった。だが幸せにするという約束通り金など手に入ったよ」
「しかしその悪魔の下僕として働かなくてはいけなくなった。これについては不満は無い。仕事の様なものと思えば楽だった」
「奴がレーティングゲームとやらに出て、私が剣で斬られ様とも、槍で刺されようとも、魔術によって吹き飛ばされようとも、何度も死ぬような思いをしても。その後に憂さ晴らしとして身体を嬲られようとも。汚れていく私が嫌いになっても」
「私は家族と居れればそれだけで良かった。ただそれだけで良かったんだ」
「だがそんな願いも呆気なく砕かれた」
「その日はレーティングゲームでやられた傷が酷く歩けるまで時間が掛かり帰るのが遅くなった」
「そんな状態でも何とか家に帰って来れた」
「だが不審に思った。何時もなら娘が飛び付いてくるのにそれが無かったから」
「嫌な予感がした。たった数メートルなのに廊下が長く感じる」
「私がリビングに着いたら、そこには真っ赤に染まって血溜りに沈むあの人の姿と事切れた娘の姿」
「そして事切れた娘を未だ犯し続ける
「帰ってきた私を見るなりあいつは言ったよ」
『あぁ邪魔させて貰ってるよ。本来なら君がやるべき事を出来なかったからね。君の娘でやらせてもらってるよ。そういえばそこにいるクズはね私の邪魔をしたからね黙らせて貰ったよ』
「私はその場で崩れ落ちたよ。幸せが一瞬で無くなってしまったからね。それにアイツは続けてこう言ったよ」
『まぁ実際はいずれこうする予定だったけどねぇーうっ』
「その言葉を聞いて私は考えもしなかった。身体が勝手に動いていた」
「私は殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って頭が潰れるまで殴り続けた」
「その後はあの人と娘に駆け寄って息を確認したけど娘はダメだった。あの人はまだ生きてた」
「あの人を治療するのだが、無理だった。流石に私程度では腹部の穴を治すことは出来なかった」
「あの人は事切れる前にこう言ったよ」
「ごめん守れなかった。娘を守りきれなかった。そんな失態をしたまま君を一人にしてしまう最低な夫だよ」
「あの人はそう言って事切れた」
「その後はみっともなく泣きわめき、その家族を失ったショックで髪も白くなり、ただ何をするでもなくただ生きてただけ。そして今に至るって訳だよ」
「これが私がはぐれ悪魔になった経緯さ」
原作では逃げだしたって言ってましたが、どうであれ何らかの理由があると思う。