ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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006ありんすちゃんとベッドとひみつ

 副料理長の努力も虚しくありんすちゃんはカウンターで眠ってしまいました。

 

「はあ……どうしたものだろうね。まったく……」

 

 磨いていたグラスを片付けると副料理長はため息をつきました。

 

 昨日までならシャルティアのシモベが迎えに来たのでまかせてしまいましたが、今晩はどうやら本当に、迎えはなさそうです。

 

「シャルティア様……起きて下さいませんか?お願いです。……シャルティア様?」

 

 

 ありんすちゃんは死んだように無反応でした。

 

 え? ありんすちゃんはアンデッドだから当たり前? ……そんな事を言ってしまったら話が進まなくなるので、ここは突っ込まないようにお願いします。

 

 よろしくお願いします。

 

 一向に起きる気配がないありんすちゃんの対応にすっかり困り果てた副料理長は、思わず天を仰いで祈りました。

 

「たすけて……かみさま……」

 

 きっとその声が届いたのに違いありません。まさにその瞬間、勢いよく扉を開けて救世主が現れたのでした。

 

「やほー! こんばんは! 頼まれていた果物持って来たよ? ……あれ? シャルティアじゃん?」

 

 副料理長は思い出しました。第六階層に新しく植えたリンゴ、桃、ミカンが食べ頃になったら知らせて欲しい旨、アウラのシモベに頼んでいたのでした。それをわざわざアウラ自ら、しかも果物を持って来てくれたという訳です。

 

「これはこれはアウラ様。わざわざお持ちくださるとは誠にありがとうございます」

 

 副料理長の瞳にはキラキラと光るものがありました。

 

「そんな事よりどうしたの? シャルティア? また寝ちゃったんじゃないの?」

 

 副料理長はアウラにこれまでの経緯を説明するのでした。

 

「ふーん……あっそ。仕方ないなあ、シャルティア。邪魔ならあたしの家に連れて行ってあげようか?」

 

 副料理長は渡りに船とばかりに、頷くのでした。そしてアウラを静かに拝むのでした。

 

 かくしてありんすちゃんは眠ったまま、アウラに背負われて第六階層に運ばれていきました。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 夜中にふとありんすちゃんは目覚めました。自分の部屋でなくアウラとマーレの部屋でしたがありんすちゃんは気がつかなかったみたいです。

 

 マーレはハンモックで、アウラはありんすちゃんと一緒のベッドでぐっすり寝ています。安心したありんすちゃんはまた眠りに落ちました。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 おやおや? 五分も経たないうちにありんすちゃんがまた目を覚ましました。

 

 どうしたのでしょう? ありんすちゃんはアウラを揺さぶりだしました。アウラを起こそうとしているのでしょうか?

 

 アウラはぐっすり眠っていて、一向に目覚める様子がありません。そのうちゴロンとアウラは転がってありんすちゃんが寝ていた位置に移動しました。

 

 ありんすちゃんは何やら一仕事終えたように満足げな様子でアウラが寝ていた場所に滑り込むとスヤスヤ眠り始めました。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

「あー! ウッソー! えーな・ん・で?」

 

 翌朝アウラの素っ頓狂な叫び声で皆起こされました。

 

「……ん? お姉ちゃん……どうしたの?」

 

「……いや。な、なんでもないから……だ、大丈夫……大丈夫だって!」

 

 ありんすちゃんはゆっくり起き上がりました。

 

 と、いきなり、アウラはありんすちゃんを突き飛ばしてベッドから落とすとシーツを丸め抱えて部屋の外に走っていきました。

 

 アウラが赤い顔をして戻ってきたのはそれからニ時間後でした。何があったのかをいくら訪ねてもアウラは答えませんでした。

 

 でも、ありんすちゃんにとって嬉しい事にそれ以降アウラのありんすちゃんへのイジワルがバッタリ止まったのでした。

 

 

 

 

 

 ──教訓──

 

 ミルクを飲み過ぎた後でそのまま眠るのはやめましょう

 


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