ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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おまけ編 もしもありんすちゃんが至高の四十二人目だったら……

 ナザリック地下大墳墓 第十階層玉座の間──玉座にはありんすちゃんがちょこんと座っていました。

 

「モモンガしゃま、ペロロンチーノしゃま、ぶくぶく茶釜しゃま、えっと……えっと……たっちゃんしゃま……しーとべるとしゃま、……えっと……ままいかしゃま、えっと……えっと……いっぱい」

 

 壁にかけられた四十一の旗を指差しながら一人一人の名前を上げていましたが、全員の名前は言えないようでした。

 

 しかし、何故ありんすちゃんが玉座に座っているのでしょう?

 

 ユグドラシル最終日、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターのモモンガがさっきまでいたのですが、ちょっとの間ログアウトする事になり、代わりにありんすちゃんが留守番をする事になったのでした。

 

 ありんすちゃんは玉座に座り、足をブラブラさせながらキョロキョロします。隣には守護者統括のNPC、アルベドが立っていました。

 

 ありんすちゃんは手を伸ばすとアルベドの角を触ってみました。

 

「……ちくちくしるでありんちゅ」

 

 次にアルベドの設定を開きました。文字が多すぎて目がチカチカしてきたのでありんすちゃんは目をこすりました。

 

「──えくちゅ!」

 

 大変です。ありんすちゃんはくしゃみをした拍子についうっかりアルベドの設定を全て消去してしまいました。

 

 ありんすちゃんはコンソールを叩いてみましたが何の反応もありません。次に鼻の穴を髪の先でくすぐってまたもやくしゃみをしてみますが勿論元には戻りません。

 

 ありんすちゃんは仕方ないので新しくアルベドの設定を書き直す事にしました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「お待たせしましたありんすちゃん。用件を済ませて戻りました。ん? ……どうかしましたか?」

 

 ありんすちゃんは慌てて玉座から飛び降りるとモモンガを迎えました。

 

「な、なんでもないでありんちゅ。アルベドが、しぇってぃ変わってないでありんちゅよ」

 

 明らかに動揺した様子のありんすちゃんでしたが、いつもの事だった為、モモンガは気にしませんでした。

 

 ユグドラシル終了まであとわずか……モモンガは玉座に座り目を閉じます。隣にはありんすちゃんが坐り込み、コックリコックリと居眠りしていました。

 

 

 ……23:59:57、58、59……

 

 やがてブラックアウトし──

 

 ……0:00:00……1、2、3

 

 モモンガは目を開けました。

 

「……サーバーダウンが延期した?」

 

 隣を見るとありんすちゃんが寝転がってスヤスヤ眠っています。

 

「……モモンガちゃま、どうちまちたでありんちゅ?」

 

 モモンガが初めて聞く声に振り返ると、そこには幼女のような表情をしたアルベドが見つめているのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 モモンガが戻る少し前──

 

「……えーと……好きなものは、モンブランっと……ちょれからお風呂大好き……お風呂はアワアワのやちゅでありんちゅ。……でありんちゆ、っと。やっと出来たでありんちゅ」

 

 アルベドの設定を書き直す時にありんすちゃんは自分自身の好物や好きな遊び等を書き込んだ為、アルベドがありんすちゃん化してしまったという訳です。

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。


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