ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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148ありんすちゃんのおしょうがつ

 明けましておめでとうございます。ナザリック地下大墳墓ではアインズからの通達でお正月気分を皆楽しんでいるようです。

 

 ありんすちゃんは長い銀髪をお団子に結いあげて、可愛らしい着物を着て澄ましています。

 

 こうしてじっとしているだけなら掛け値なし、文句なしに絶世の美少女なのですが──ゲフンゲフン。

 

 ありんすちゃんは第二階層を出ると第六階層に向かいます。成程。なかよしのアウラ・マーレの双子の姉弟に会いにいくのですね。

 

 

 

※   ※   ※

 

「来たね~! あけおめ!」

 

「……あ、あけましておめでとうございます」

 

 ありんすちゃんを第六階層でアウラとマーレが出迎えます。二人はそれぞれ羽織袴と振袖を着ています。ちなみに姉のアウラが羽織袴で弟のマーレが振袖です。

 

「あけまちておめとーでありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんも双子に返します。

 

「それでどうする? お正月の遊びは何をしようか?」

 

 アウラが首を傾げます。ナザリック地下大墳墓でのアインズの新年の挨拶で『皆、正月を楽しむように』とあって、各自いろいろと試行錯誤しているのでした。

 

「……あの……ボクはカルタがいいと──」

 

「羽根ちゅき、しるでありんちゅ!」

 

 マーレの言葉をさえぎってありんすちゃんが宣言しました。見るとありんすちゃんは手際よく羽子板二枚と羽根を用意していました。三人は羽根つきをする事にしました。

 

 カチーン……カチーン……

 

 羽子板で羽根を打ち合う音が響きます。ありんすちゃんとアウラの対決はどうやらアウラが優勢のようです。

 

「…………ありんちゅちゃの羽子板小さすぐるんでありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんは自分の羽子板をポイッと捨てるとグレーターテレポーテーションで替わりのモノを取り寄せました。

 

「──わっ! なんだ一体! なんだなんだ?」

 

 ありんすちゃんは羽子板替わりの女聖騎士を片手で振り回します。女聖騎士は白いサーコートをひるがえしながらアウラの打つ羽根を体で返します。

 

「あっ! ズルい! ならあたしも!」

 

 アウラはシモベのドラゴンキンをつかんで羽子板がわりにします。そのうち羽根つきは互いの羽子板? による叩きあいになってしまいました。

 

「……飽きちゃったね、羽根つき」

 

「ちょうでありんちゅな……」

 

 ありんすちゃんとアウラはそれぞれが羽子板替わりにしていた女聖騎士とシモベを捨てます。

 

「……さて、と……次はなにして遊ぼうか?」

 

 アウラが意見を求めます。

 

「………あの……ボクはカル──」

 

「次は福笑いしるでありんちゅ!」

 

 またしてもありんすちゃんの意見で次の遊びが福笑いになりました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「では福笑いしるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃん達の前にはかつてナザリックで捕らえられてバラバラにされた少女、アルシェが──

 

 

 

※大人の事情により福笑いの内容は全て削除されました。ご了承下さい。

 

 

 

※   ※   ※

 

「うーん。意外に難しかったね」

 

「……まさか他の人間のパーツが混ざっているなんて……あの……思わなかったです」

 

「ありはカルカ棒の欠片でありんちゅ。ちゅぎは初日の出見に行くますでありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんは二人と手を繋ぐとグレーターテレポーテーションで何処かに転移してしまいました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 バハルス帝国皇帝ジルクニフは寝室で鏡の前に立ちました。そして静かに頭に手をかけると……

 

 なんという事でしょう! ジルクニフの髪はカツラでした。カツラの下にある本物の髪の毛はもはや残りわずかなものでした。

 

 ジルクニフは慈しむように微かな自毛を撫で付けながらため息をつきました。

 

 かの魔導王に対してのストレスの蓄積は彼から髪の毛を無情にも奪いさっていったのです。

 

 と、突然空間が揺らぎ──

 

「──初日の出でありんちゅ!」

 

 ギョッとして立ち竦むジルクニフの前に三人の子供が現れて──

 

 ありんすちゃんはジルクニフの残りわずかな髪の毛をつかむとむしりとりました。

 

「こりで初日の出でありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは楽しそうに笑いました。仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子にすぎないのですから。


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