ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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126ありんすちゃんおもいだす

 ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉──ベッドの上でありんすちゃんがマカロンをほおばっています。時刻はもうお昼近くなんですが……

 

 ありんすちゃんは中でもピンクのマカロンがお気にいりみたいですね。もっとも色が違うだけで味はどれもおんなじなんですけれど。

 

 マカロンを三つつかんで大きく開けた口に放ります。あらあら。さすがにありんすちゃんの口では小さすぎたみたいでマカロンが一つベッドの下に転がっていってしまいました。

 

 ありんすちゃんはベッドの下を覗きこんでマカロンを見つけます。

 

「……ありんちゅちゃの口から逃げ出したふとどきなマカロンはこちてやるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはマカロンを拾うと上に放り投げ大きく口を開けました。

 

 残念。マカロンはありんすちゃんの唇に当たってまたベッドの下に転がってしまいました。

 

「……逃がさないでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは逃げたマカロンをつかみます。と、ベッドの下になにやら箱があるのに気がつきました。

 

 マカロンをいそいで食べてしまうとその箱をベッドの上にあげました。

 

「……しゅごい箱でありんちゅね。中身はなんでありんちゅ」

 

 その箱は魔封じの箱でした。……うーん。その箱の中にはたしか……

 

 ありんすちゃんは躊躇せずに箱を開けます。なんと中には可愛らしいチャイナドレスが入っていました。

 

 ……たしかそのマジックアイテムは……うーん……

 

 ありんすちゃんはチャイナドレスを自分にあてて鏡を見てみました。とてもありんすちゃんにお似合いですね。

 

 ……しかしそれは……

 

 ありんすちゃんはさっそくチャイナドレスに着替える事にしました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 チャイナドレスを着たありんすちゃんは鏡の前に立ちます。それから悩んだすえに長い銀髪を結ってお団子二つにしてみました。

 

 次に鏡にむかってウインクしてみます。もっともありんすちゃんは片目だけ閉じる事が出来ないのでただ両目をつぶるだけでしたが……

 

 突然ありんすちゃんの脳裏にかつて見た光景が甦りました。ありんすちゃんがシャルティア・ブラッドフォールンとして行動不能になった瞬間に確かに見たのが鏡の中の女の子だったのです。

 

 ありんすちゃんは口を大きく開けて呆然としました。やがて正気に戻ると手足をバタバタさせながら駆け出していきました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「……どうしたのだ? ありんすちゃんよ?」

 

 第九階層のアインズの執務室にいきなり飛び込んできたありんすちゃんにアインズは驚きます。

 

「ありんすちゃん。今わたくしはアインズ様と大切な仕事をしているのよ? 遊びたいなら他に行きなさい」

 

 ありんすちゃんは手をバタバタさせるばかりで何が言いたいのかわかりませんでした。実はこの時ありんすちゃんの喉に食べかけのマカロンがへばりついていたのでありんすちゃんは喋ることが出来なかったのです。

 

「……アインズ様。ありんすちゃんの事はプレアデスに任せては如何でしょう? 彼女たちならうまくありんすちゃんから聞き出せると思います」

 

 アインズは頷くのでした。

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 プレアデスを前にありんすちゃんは身ぶり手振りで伝えます。

 

(……頭にお団子……チャイナドレス……光でまっ白……動けなくなる……)

 

 ……そう。かつてシャルティアとしての自分に起きた事態を懸命に伝えてみました。

 

「……えっと。なになに? ……タヌキが……えーと……お腹でポンポコ……ビックリして……死んだふりっすね?」

 

「……違うわ。きっとタンコブだわ」

 

「……残念。ゼスチャーのレベル低すぎ……解読不能……」

 

「……やっぱりぃ……人間が美味しいわよぅ……」

 

「……だめね。誰もわからないみたいね」

 

 プレアデスにもどうやらお手上げみたいでした。

 

「──あ! わかったかもっす!」

 

 突然ルプスレギナが叫びました。

 

「……今日はカレーライス……お腹一杯食べて……お昼寝……っす! 完璧っす!」

 

 ありんすちゃんは首を振りますが……ググゥ……と思わずお腹が鳴ってしまいました。

 

「それなら早速食堂に行きましょう」

 

 ありんすちゃんはプレアデスと一緒に食堂に行きました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「……お腹一杯でありんちゅ」

 

 カレーライスを食べたありんすちゃん、いつの間にかはりついていたマカロンも飲み込んでいつも通りです。

 

「……おや? ありんすちゃんカレーの染みが付いちゃったっすね。急いで洗わないと大変っす」

 

 ありんすちゃんは万歳してルプスレギナにチャイナドレスを脱がせてもらいます。

 

「これは私が洗っておいてあげるっす。ありんすちゃんは気にせずデザート食べていて良いっすよ」

 

 ありんすちゃんはデザートのリンゴを食べました。可愛くウサギになっているやつです。

 

 ありんすちゃんは満腹になるとせっかく思い出した事をすっかり忘れてしまいました。

 

 仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 ルプスレギナはチャイナドレスを広げて自分にあててみました。

 

「……これはなかなか素敵っすね。このルプーさんのセクシーさが120%アップ間違いなしっす。……今度カルネ村で悩殺しまくりっす」


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