※少し遅れましたが、二日目でございます。
※追記 三滝原じゃなくて見滝原だった……やっちまった。他にも一部を修正しました。
第6話 放課後のC ~ 見滝原の魔法少女
「巴マミさん…あ、あなたも魔法少女なんですか?」
ほむら以外の魔法少女を見たことが無かったまどかは、恐る恐る聞いてみた。それに対してマミは笑顔で答える。
「えぇ、そうよ」
「ほへぇー、魔法少女って他にもいるんだ」
「わたしも……」
驚く二人のことを見ながら、マミは変身を解いて制服姿に戻る。
「ところであなた達、私のソウルジェムを見て魔法少女だとすぐ分かったみたいだけどどうしてか教えてくれないかしら?」
「ああ、それはですね__」
説明しようと口を開きかけるが、向かいの方から人の話す声がしてきて段々とこちらへ近づいてきていた。
「待って。ここで話すのもアレだからどこかでお茶でもしながら話さない?」
「あたしは大丈夫ですけど……」
まどかが買い物の途中であることを思いだし、そっと目配せをする。
「わ、わたしも平気です……ちょっぴりだけなら遅くなっても問題ないので」
「そう。それならなるべく手早く済ませた方が良さそうね。あっ、あそことかどうかしら?」
笑みを浮かべながらマミは目に入った喫茶店を指差す。
「じゃあ早速行きましょう!!」
「そうだね」
そうして三人は店へ向かって歩いていった。この時、まどかとさやかは気づいていなかったが共に歩くマミの足取りは軽かった。
☆
それから店に入り、マミがあまり周りに人の居なさそうな席を探してそこに座る。
「二人とも何か好きな飲み物頼んでいいわよ」
「ええっ! そんなの悪いですよ」
「いいのよ、鹿目さん。私が勝手に付き合わせちゃっているだけだし」
「分かりました! んじゃ、お言葉に甘えて」
「さ、さやかちゃん……」
「気にしなくて良いのよ。これでも先輩なんだから」
「制服見たときから同じ学校の人ってのは分かってたけど、先輩だったんだ……」
「なんかビックリ、こんな身近に魔女と戦ってる人がいたなんて……」
興味津々と見つめる二人にマミは少し恥ずかしい気持ちになる。
「んんっ、今はその話は後にして……単刀直入に聞かせてもらうわね。あなた達は魔法少女のことを何処で知ったのかしら?」
軽く咳払いをしてマミは魔法少女についてのことを聞き始めた。それに対してさやかが順々にあげていく。
「まず、魔女という化け物から皆を守る為に戦う戦士であること。
次にキュウベェっていう動物に、願い事を一つ叶えてもらって魔法少女になる。
そして魔女を倒すと貰えるグリーフシードを使ってソウルジェムを浄化しながら、生活している。
って感じですかね?」
「なるほど、大体の事情は分かっているってことね」
「はい、あたし達の知り合いに魔法少女のやつがいてソイツから色々と教えてもらったんです」
「知り合いの魔法少女? それって誰かしら?」
これまでずっとにこにこしていたマミの顔に陰りが生まれる。さやかはそれに気づかずに話を続けた。
「マミさんも聞いてませんか? この前、うちに転校してきた二年生の暁美ほむらっていう」
「名前までは知らなかったけど、そう……暁美さんと言うのね、ちなみにその子は今どこに?」
「さあ? さっきまで一緒だったんだけど、急に走ってどっか行っちゃいましたよ」
「そう……」
顔の陰りが増える。よくよく注意して聞いてみると声もさっきよりも重々しくなっている感じがする。
「後、あなた達二人が魔法少女としての素質を持っていて、キュウベぇに願い事を言えば、すぐに魔法少女になれるてことも知っていたりする?」
「はい……それもほむらちゃんから聞きました」
「そうそう、それと転校生が言うにはまどかには、凄い素質を持っていてとんでもない魔法少女になるとも話してましたよ」
「へぇ……でもそれを知っているのにどうして魔法少女になろうとしてないのかしら? もしかして願い事が決まってないとか?」
「いえ、そういうわけではなくて……実はわたし達、ほむらちゃんに契約はするな。って言われているんです」
「…………」
更に陰りは増す。そして二人もマミが自分達の話に何か不審を抱いていると気づく。
「何故、契約を止められているのかしら?」
「『魔法少女になんかなっても苦労するだけよ』とか『魔女と戦うのは命がけで危険よ』とか結構否定的なことばっかり言うもんだから、ちょっと悩んじゃって……」
「あら、私は悪くないと思っているのだけど? それに魔法少女になったお蔭で生き甲斐を見つけられたものだし」
「生き甲斐……?」
「私の大好きなこの町__見滝原の平和を魔女から守る。というものかしら?」
「ほぇ~」
「凄い……」
マミの話すことに二人は目を輝かせながら聞いていた。
「それに魔法少女になってからは前まで空っぽだった自分の中が少しでも満たされたような気分になるの」
「なんか……転校生が話していたこととは逆だね」
「そうだね。悪いことばかりじゃないって聞いて少し安心したよ」
「? 何だかもう自分が魔法少女になっているかのような言い方ね。でも鹿目さんって契約はしてないんじゃ……」
その口ぶりに違和感を抱いたのかマミが問いかけてくる。それに対してまどかは自分とほむらの変身について話した。
「…………」
「あの……どうですか? マミさん、何か知っていることがあった教えて欲しいんですけど」
「ごめんなさい、でも聞いたことがないわね。キュウベぇと契約してないのに魔法少女になれるなんて……しかも誰かと一体になって変身するって」
もう表情を作るのを止めたのか、それとも自然とそうなったのかマミの顔つきは鋭く、話に出てくるほむらに何か負の感情を持っているようだった。
「うーん、マミさんにも分からないか~」
「それで二人が一緒に変身出来るって知った後はどうしたの?」
「どうしたって言われても……あたしが初めて見た時はある程度、息が合っていて戦い慣れてるな~って思ったくらいですけど」
「最初の方は、ほむらちゃん一人で戦っていたけどわたしがただ見ているだけじゃ耐えられなくなって、お願いして変身して一緒に戦ってもらってます」
「その時、暁美さんは止めなかったの? あなたが魔法少女になろうとしたのと同じように?」
「いえ……特に何も」
「なるほど、大体分かったわ」
紅茶の入ったカップに手をかけて中身を一気に飲み干す。そして、二人の方をじっと見つめてこう言った。
「あなた達はもう彼女とは関わるべきではないわね」
★
「はぁ……やっぱり魔法が使えないと不便なものね」
ほむらはため息をついて、近くにあるベンチに腰かけた。
魔力で少しだけ身体能力を上げて追いかけていた彼女だったが結局、追いかけていた奴を捕まえれず途方に暮れて、先程の場所へ戻ってきたのだ。
「美樹さんとの話も中途半端で切ってしまったし……明日、会ってハッキリと話さなくちゃダメね」
後少しで話せるという所だったのに……と内心後悔していたが、彼女の中では決心がついたようで全てではないが、言える範囲のことは話そうと考えていた。
「さて……もう遅いから早く帰らなくちゃいけないわね…………ってあれは、まどか?」
ベンチから立ち上がった先には買い物袋を抱えて、急いでいるまどかの姿があった。その様子は危なっかしく、足元もあまり覚束ない感じだった。そして……
「あっ!!」
ほむらは慌ててまどかの元へ駆け出していった。
「痛てて……うぅ、やっぱりさやかちゃんに手伝ってもらった方が良かったかな?」
荷物の重さにバランスを崩して転んでしまった彼女だったが、幸い何処にも怪我をしている様子はなかった。
制服やスカートを払って袋から落ちた物を拾おうとしていると、向かいの方から誰かがまどかの元へ走ってきていた。
「まどか」
「ほむらちゃん……? どうしてここに?」
「偶々、この公園を通っていたらあなたを見つけて……そしたらいきなり転んでしまったから慌てて……」
「そ、そうなんだ……。ありがとうね、わざわざ心配してくれて……」
「いいのよ。私はただまどかが無事でいてくれれば、いいだけだから」
いつものように明るい笑顔を向けるまどかだったが、ほむらは何となく違和感を覚えていた。心なしかよそよそしい……というかまるで警戒されているような……
「そ、それじゃわたしもう家に帰らなきゃいけないから……また明日学校で会おうね。それじゃあね!!」
「ええ……まどかも気を付けて……」
早口で喋り、逃げるようにこの場から去っていく姿にまた違和感を感じる。
「私……まどかに何かしたかしら……」
「その様子だと、どうやらマミの方は上手く言ったようだね」
「ッ?!!!」
不安そうに呟くほむらだったが、突如聞こえてきた声に反応して辺りを警戒し始める。
「そこまで構えることはないじゃないか。別に僕は君に何の危害も加えるつもりはないのだから」
「この声はまさか……」
声のする方を向いてみると、そこにはネコのような外見をして白い生き物が暗がりの中からほむらをじっと見つめていた。
「キュウベぇ……あなた、まどかに何をしたの?」
「僕は何もしていないよ。『僕は』ね」
「それは一体どういう__「それは私から説明するわ」__」
鬼のような形相で睨むほむらにキュウベぇはわざとらしく首を傾げる。
ほむらは、キュウベぇの言った言葉の意味について問いただそうと歩み寄ろうとしたが、また別の方向から声をかけられて動きを止めた。
そしてその声の主は、忌々しいものを見るかのようにほむらの横から現れた。
「巴、マミ……?」
☆ to be continued…… ★
※ケ○姫でガチャを回したら悪魔ほむらが当たってテンションがハイになりながら書いていたので、後々誤字や表現とかを修正するかもしれません。
☆次回予告★
第7話 Tの危機 ~ 捻れる関係