※明けましておめでとうございます。
※ここ最近、スマホゲーとのまどマギのコラボ率がとんでもないくらい高い気がする。CMでいつもやってる感じがします。何かの前触れですかね(歓喜)
※そして tyanドラーさん、一言評価の感想ありがとうございます!! まどマギらしいと言われて、嬉しさのあまり感想をスクショさせていただきました!!!
※それでは新年一発目のマギクロを……どうぞッ!!
「……ここは?!」
気が付くと私は暗闇の中にいた。禍々しく、不気味で、だけどもどこか心地いい…この空間は一体何?
「まさか私、魔女になってしまったの?!」
『いいえ、違うわ。『まだ』ね……』
「?!!」
疑問を口にしていると何処からかそれに答える声が聞こえてきた。だけどその声を聞いて自分が信じられなくなってしまう。
すると突然、誰かに肩に手を置かれて耳元で囁かれた。
『何を驚いているんの? 『自分自身』の声でしょう?』
「ひゃっ!!」
驚きのあまり悲鳴をあげてしまう。それを見てか、声の主は面白そうにクスクスと笑っていた。そしてゆっくりと私の周りをグルリと回り、その姿を見せる。
「あなたは……誰なの?!!」
『知っているでしょ? 私だってあなたのことをよく知っている』
その私そっくりの声をした人物は、まるで嘲笑っているかのような目つきでこちらを見ていた。
確かに私はこの人物のことを知っている。間違いなくこの世の誰よりも、だけども一度も見たことがない。
私自身を見て、衝撃を隠せないけれどもこれはキュゥベえ、あるいは美国織莉子達の罠ではないかと捉えて『私』に強く問いかけた。
「あなたが暁美ほむらの姿をしているのは分かっている。それを踏まえて何者かと聞いているのよ。
魔女? 使い魔? それとも美国織莉子の仲間の魔法少女が化けているのかしら?」
『ぷっ……あっはっはっは!!』
何が可笑しいのか『私』はその質問を聞いて、笑い出した。
不気味だ。これまでで一度も感じたことがないほどの邪気、しかもそれが自分と全く同じ容姿をしているのだから……
眉をひそめていると『私』は急に笑うのを止めて、黒い宝石をこちらに見せつけてきた。その宝石からも『私』と一緒で禍々しい気を放っていた。
『私は人間でも、魔法少女でも、魔女でもない。全ての理から外れた、魔なる者。
そうねぇ……分かりやすく言うとしたら__【悪魔】かしら?』
第21話
「悪魔……?」
『えぇ、私が円環の理から奪った力を使って成る姿をそう呼んでいるわ。これが意外と好評でね……美樹さやか達の間でもすっかりと定着してしまったみたいなの』
「円環の理……?」
次々と出てくる謎の言葉に頭が混乱してくる。それにさやか達の間って……
そこでようやく私は目の前にいる『私』がどういったものなのか、ようやく理解できた。
「あなた、別の世界から来た暁美ほむらね」
『あら、気づくのが早いのね。さすが私といったところなのかしら』
以前、別の時間軸でインキュベーターが言っていた。私の時間遡行は正確には時間をやり直しているわけではない。よく似た別の世界に飛んでいるにすぎないと。
今の私は能力を使うことが出来ないのでそれをすることは不可能だけども、別の世界の全く違う私なら出来ていても何も不思議ではない。でもそれならそれで不可解な点が更に増える。
「別の世界の私が一体何の用かしら?」
『私がここに来れたのは、全てを並行世界の出来事を見通すことが出来る円環の理の力があって。
だけどもそれを持っていたとしても、別の世界に行き来したりはしないわ。私は『私の世界』でやるべきことがあるからね』
「なら何故、この世界に?!」
『あなたのせいよ、暁美ほむら』
「私の……せい?」
いきなり責められて、よく分からない状態に見舞われる。私が何をしたというの?
その疑問に『私』はすぐに答えてくれた。直接でなく、私にしか分からない形で。
『以前の世界で、あなたがまどかにしてしまった過ちのせいよ。それで私はここに来なければならなくなってしまった』
「まさか別の世界の自分にまで咎められることになるんてね……」
『別に咎めてなんかいないわ。寧ろ、褒め称えたいくらいよ』
「えっ?」
予想外の言葉に思わず『私』を凝視する。すると『私』は私の頬に手を伸ばしてきてそっと撫でてきた。
『あなたは、私の別の可能性……正しい道を選んだかもしれない暁美ほむらなのよ。偽りの世界に大切な人を閉じ込めてしまった私なんかとは違って』
「別の……可能性」
『本来ならさっさとするべきことを終わらせて元の世界に帰ろうと思ったのだけど、あなたを見て気が変わったの。だからあなたをこの空間に連れてきた』
「それってまさか、力を貸してくれるというの?!」
『そんなわけないじゃない。私は何もしない__』
開きかけたと思っていた突破口が消えてしまい落胆する。だけど『私』はまだ言葉を残していた。
『ただあなたに『きっかけ』を与えるだけよ』
「きっかけ…ですって?」
『私』はニヤリと妖艶な笑みを浮かべて、私にこう言ってきた。
『悪魔と相乗りする勇気、あなたにはある…?』
★
「うぐっ……」
「「さやかちゃん(美樹さん)!!」」
これまで美国織莉子さんと呉キリカさんという人達と必死に戦っていた親友が遂に膝をついてしまった。
キュゥベえから教えてもらった作戦は最初こそは上手くいっていたけれど、それが織莉子さんに見抜かれてから状況が一気に悪くなった。
「回復魔法を使って捨て身の特攻とは……初めはビックリしたけどその程度の小細工じゃ、私と織莉子と破るなんて到底無理だね」
「く、くそっ……これくらいでェ……」
「その辺りにしておきなさい、美樹さやか。ほとんど魔力を使い切っていて、尚且つこちらには二人に人質がいるんです。もう勝ち目なんか残されていませんよ」
そうわたしは戦いに巻き込まれないように遠くでさやかちゃんの戦いを見守っていた。だけどもいつの間にかキリカさんがすぐ後ろに現れてあっという間にわたしは拘束されて、マミさんと一緒に捕まってしまった。
ちなみにマミさんはほむらちゃんの予想通り、しっかりと生きていてくれた。だけどもそれと一緒にわたしにとてつもない不安が襲い掛かってきている。もし、ほむらちゃんの予想が『全部』合っていたとしたら……
「舐めるんじゃないわよ!! うおりゃあああああ!!!」
「やれやれ……君のようなしつこい奴は嫌いだよッ!」
「かはっ……」
最後の力を振り絞って立ち向かっていったけど、キリカさんはそれをあっさりと破ってしまい、さやかちゃんはその場に倒れこんだ。
「ごめんなさい、美樹さん……私がこんなのばっかりで……」
マミさんは、自分のせいでこんなにもボロボロになってしまったさやかちゃんを見て自分を激しく責め立てていた。
するともう動けない状態でいたはずのさやかちゃんは、その言葉を否定するかのように立ち上がった。
「マミさんのせいじゃ……ないって言ってるじゃないですか。
こうなったのは……全部アイツらのせいですから、二度とそんなこと言わないでください!!」
「美樹さん……」
「ふん、何言ってるんだか。元々は巴マミ、君が魔女との戦いで恐れなんか抱かなければ起こらなかった事態じゃないか」
「黙れ!! そもそもお前らはなんでまどかとほむらを狙う?! そんなにアイツらの力が怖いのか?! 臆病者はお前たちじゃないか!!」
キリカさんはピクッと身体を動かして一歩前へ踏み出そうとしたけれど、それを彼女の前に出てきた織莉子さんが制する。
「えぇ、あなたの言う通り私達は臆病者なのかもしれませんね。ですが慎重……いえ、臆病でなければこれから起こりうる最悪の未来を変えることなんか出来ないですから」
「それってわたしが持つ魔法少女の素質のせいなんですか?」
ちょっと怖いけれど、わたしは織莉子さんに感じていた疑問を問いかける。すると織莉子さんは予想外の答えをしてきた。
「いいえ。確かにあなたの持つ魔法少女としての潜在能力は計り知れません、ですがそれが直接私が恐れている脅威とは繋がりません」
「どういうこと…?」
「折角ですから教えてあげましょう。あなたを殺さなければならないのは『ある人物』が最悪の未来を引き起こす可能性を限りなくゼロにするためです」
「ある人物?」
「お前、勿体ぶらずにさっさと話せよ!! うぐっ……」
「もう少し自分の立場を弁えて喋れ。トーシロー」
焦らしつつ説明する織莉子さんの話し方に耐えかねたさやかちゃんは苛立ちを表に出す。だけどそれはすぐにキリカさんによって黙らされた。
そしてキリカさんは足でさやかちゃんの身体を仰向けにして、お腹にはめられているソウルジェムに手を伸ばした。
「な、何を……」
「こうすれば大分マシになるんじゃないかと思ってね。人質ならぬ魂質って奴かな?」
「魂質? ……魂?」
発した言葉にマミさんが反応してしまう。それを聞いたキリカさんは確かめるようにマミさんに話しかけた。
「そういえば君はまだそこの二人と違ってまだ知らなかったよね。ソウルジェムの正体を」
「正体?」
「そうさ、私達魔法少女はキュゥベえと契約を結んだ時点でそいつの魂を__「聞いちゃダメだ、マミさん!!」」
魔法少女の本体、魂はソウルジェムである。その事実を聞かせないためにさやかちゃんは大声で言葉を遮る。だけどそれによってキリカさんの怒りが有頂天になってしまった。
「……君って奴はつくづく癇に障るね。私と織莉子の計画の邪魔立てするだけに飽き足らず、言いたいことを好き放題に……
暁美ほむらの一件からずっと抑えていたけど、もう限界だ。ソウルジェムの真実は君を実証にさせてもらうよ」
キリカさんはさやかちゃんのソウルジェムを軽く上へと放り投げて、そしてそれを思いっきり蹴り飛ばした。
その行為にわたし達は声をあげた。
「「「あっ!!!」」」
ソウルジェムは窓を突き破り何処か彼方へと飛んで行ってしまった。そのことが何を意味してしまうのか、それはすぐに分かった。
肉体とのリンク100m以上を離れてしまった為、さやかちゃんは突然糸の切れた人形のように地面に突っ伏してしまう。
「「さやかちゃん(美樹さん)!!」」
「こういうことさ、巴マミ。契約してしまった魔法少女はその魂をソウルジェムに変えられて、肉体から100m以上離れてしまったら意識を失って動かなくなってしまう……要するに死んだ状態になるってことなのかな?」
説明を聞いてマミさんの顔色が段々と青くなっていく。わたしは着々と組み立てられていく絶望的な展開にただ呆気にとられているだけだった。
「う、嘘……だってキュゥベえはそんなこと一度も……!! じゃ、じゃあ今の美樹さんって……」
「ソウルジェムが見つからず、あるいは何処かに落ちた拍子に砕けてしまったら美樹さやかは二度と息をすることはないね」
「そんな……どうして、私……今の今まで……」
知りたくなかった真実、信頼していた者からの裏切り、ほとんど確定されていると言っても過言ではない大切な後輩の死。
一気に押し寄せてくる絶望がマミさんの精神を崩していっているのは、わたしの目でもはっきりと分かってしまった。
「キリカ……」
「分かってるよ、織莉子。さっきのは怒りで我を見失っていた。だけどもう過ぎたことさ、美樹さやかは私がどうにかする」
どうしてこんなことになってしまったのだろう。こうなったのは誰のせい?
魔女との戦いで恐怖してしまったマミさんのせい?
下手にキリカさんを刺激し過ぎたさやかちゃんのせい?
この計画を企てた織莉子さんのせい?
さやかちゃんの魂を蹴り飛ばしたキリカさんのせい?
マミさんに真実を教えずに騙していたキュゥベえのせい?
それとも……
織莉子さん達に目を付けられてしまうほどの膨大な魔法少女の素質を持ってしまったわたしのせい?
「もう……分からないよ……」
わたしが涙を流したその時だった。
「えっ……?」
「どうして……?」
織莉子さんとキリカさんが何かを見て驚いた。一体何に驚いたのか? それは……
「あれ…? あたしどうなってたの?」
何故か意識を取り戻したさやかちゃんだった。
「「さやかちゃん(美樹さん)?!!」」
「なっ……?!」
「どうして……?!」
ありえない事態にこの場にいる全員が驚嘆する。そしてそのすぐ後に、屋内にカツーンと誰かの足音が響いた。
音のする方に視線を向ける。そこには…………
「ほむらちゃん……」
傷だらけの身体でこちらへと近づいてきている
☆
どうしてさやかの意識が再び戻ったのか? その答えは、文字通りほむらの手の中にあった。
彼女の手にはキリカによって蹴り飛ばされたソウルジェムが握られていた。恐らく工場に向かっている最中に偶然見つけたのであろう。
最初は驚いていた織莉子だったが、すぐに頭の中でそのように解釈するとほむらの方を見て、身構える。遅れてキリカも鉤爪を前に突き出して臨戦態勢を取る。
「まさかあなたの方からこちらへ出向いてくるなんて思わなかったわ」
「えぇ……優秀な情報提供者がいてくれたお陰かしら? 最も私にとってはただの畜生に過ぎないけど……」
織莉子はそれがキュゥベえの仕業であることに気付いて小さくため息をつく。
(鹿目まどかを目の前で殺してしまっては、魔女化してしまう危険性が大きく高まる。だから敢えて彼女の名は手紙に書かなかったというのに……
インキュベーターめ……エネルギーの欲しさに暁美ほむらをけしかけるなんて……)
だが、それと同時にこれは織莉子達にとってチャンスとも捉えていた。
(でも逆に今度こそ確実に彼女の息の根を止めてさえしまえば、必要最低限の犠牲者で今回の件を終わらせることが出来る!!)
そう考えてキリカに合図を送ろうとしたが、それを行う前にほむらが彼女達に話しかけてきた。
「美国織莉子。こんなことを言っても無駄だってことは分かっているけれど、今すぐまどか達を解放しなさい。
そして今後一切私達に関わらないことを約束して頂戴……」
急なほむらからの命令に織莉子は目を丸くする。彼女の代わりにキリカがそれに対して嘲笑しながら答える。
「何を言い出すのかと思えば……君も美樹さやかと同じく、自分の立場を理解していない人間なのかな?」
「私をさやかなんかと一緒にしないで頂戴……」
「おい」
「じゃあ一体何だい? 君には私と織莉子の二人にそういった命令を出せると確信しているってことかな?」
「そうよ」
挑戦的なキリカの発言にほむらは冷静さを保ったまま返した。
虚勢を張っている。ほむらの今の姿を見て、織莉子はキリカと同じ考えを持っていた。
だがしかし、もしそれが虚勢でなかったら? 何か考えがあってこの提案を持ち掛けているのでは?
そういったことも一方で考えていた。予知がどれだけの確率で当たるのか、それは織莉子自身もハッキリと把握していない。
だからこそ今回の予知は必ず外れるようにしなくてはいけない。だからこそ暁美ほむらの一つ一つの行動に細心の注意を払わなくてはならないのだ。
「何を企んでいるのかは分からないけど、無駄な抵抗は止めた方が身のためよ。私達はあなたの言うことなんかには揺らがないし、聞き入れる気はないわ。
ただこの世界を守るためにあなたを殺す、それだけよ」
「そう……それがあなた達の答えなのね……」
ほむらは残念そうに嘆息する。それから彼女は懐から自分のソウルジェムを取り出して手の上に掲げてみせた。
「何のつもりなの……?」
「『警告』はしたわよ」
突然ほむらの周りにドス黒い瘴気が立ち込めた。
☆
「ソウルジェムが呪いよりもおぞましい色に染められていく?! 暁美ほむら……何を考えているんだ?!!」
『今、彼女の心には様々なものが渦巻いている。欲望、執念、後悔、贖罪……きっとあの頃の私よりも凄まじいものになっているでしょうね』
「?!! 君は一体……」
『見ての通り、暁美ほむらよ』
「君は、人間でも魔法少女でも魔女ですらもないね……あの現象を引き起こしたのは君が原因なのかい?」
『そうと言ったらそう、違うと言ったら違うわね。私はあくまできっかけを与えたに過ぎない』
「君は何を企んでいるんだ?! 何を目的としてこんなことを?!」
『さあ? 意味なんてないわ…それよりもあなたも見届けてあげなさい。
かつて『暁美ほむら』だった者が犯した過ちと同じように、全てをかなぐり捨ててたった一人の少女の為に尽くした
『愛』のカタチを…………』
★
突如発生した瘴気にまどか達は巻き込まれないように身を寄せ合っていた。
「な、何だよ……これッ?!!」
「暁美さん!!! あなた何をするつもりなの?!!」
「ほむらちゃん!!!!!」
彼女がこれからしようとすることそれはきっかけを与えたもう一人の『暁美ほむら』以外、見当がついていなかった。どうにかして止めさせようと必死に呼びかける。
しかしそれに対して、ほむらは静かに微笑むだけだった。
美国織莉子達も同じだった。今からほむらが行おうとすること、それは確実に阻止しなければならないと分かっている。
だがそれを分かっていてもほむらには近寄ることすら出来なかった。
五人がそれぞれ思っていると、ほむらが行動を起こした。
おぞましい色に染まりつつあるソウルジェムを掴んで、徐々に力を籠め出したのだ。
ミシリミシリ…とジェムにヒビが入っていく。その音は小さな物体からは考えられないほど大きな不協和音を響かせていた。
ほむらは苦しそうな表情を何とか抑えて、まどかに満面の笑みを見せてこう言った。
「さようなら……まどか……」パリン
ほむらのソウルジェムは激しい音を立てて砕け散った。
そしてまどか達の前に現れたのは……
『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!』
禍々しき『魔なる者』であった。
Chapter2 魔の再臨
☆ to be continued…… ★
※第2章のサブタイを伏せていたのはネタバレを防ぐためです。っても要所要所にフラグは立てていたんだけどね(笑)
※この章の残すところあと3話!! こっからどんな展開が待っているのか、是非楽しみにしてもらえると嬉しいです。