(旧)マギカクロニクル   作:サキナデッタ

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※強さ予想ランキング(叛逆込み)

アルまど≧デビほむ>マミさん≧さやか(円環)≧杏子≧まどか≧ほむら>めがほむ≧さやか≧なぎさ

 ノーマルさやかは、経験が少ないから弱いんだ……き、きっと経験積んだから円環さやかは強くなったんだ(震え声)
 なぎさはぶっちゃけ分かりません。でもほむらの時間停止には絶対に対応出来ないと思います。
 でも、やっぱチート抜きなら最強はマミさんだね!!(異論は認める)



第14話 Aのひととき ~ 相棒の証

 

第14話 Aのひととき ~ 相棒の証

 

 

 

「お待たせ」

 

 まどかへのプレゼントを買って店の外へ出る。そこには私の買った物を興味深そうに見ているまどかがいた。

 

「ほむらちゃん、何買ったの?」

 

「今は内緒。その……この後、まどかはなにか用事あったりする? もし無ければ私の家に来て欲しいの」

 

 今ここでプレゼントを渡すのは人目もあってちょっと恥ずかしい。なんてことを思っていると、まどかはニッコリと笑って頷いた。

 

「うん、いいよ。でも場所はほむらちゃんのお家じゃなくて、わたしの家でいいかな?」

 

「構わないけどどうして?」

 

「ママとパパがほむらちゃんと会いたいって言ってて……」

 

 申し訳なさそうにもじもじしながら話すまどか。もしかしなくてもこの子、何か変なこと喋っていないでしょうね……? 嫌な予感がしてならないわ。

 

 でも折角誘ってくれたのだからそれを無下には出来ないよね。

 

「分かったわ。粗相をしないように気をつけなくちゃね」

 

「もう、そこまで固くならなくていいよ。いつも通りでいいから」

 

「あまり友達の家に遊びに行ったことが無いから勝手が分からないのよ」

 

 あまりというか、これまでのループを換算しても行ったことのある友達の家ってまどかくらいしかいないのよね。

 さやかや仁美は無いとして、巴さんは……友達って言うよりあの人は先輩、仲間のカテゴリーに含めた方がいいのかしら? そして風見野に住んでるあの子は……家、なのか?

 

 失礼なことを考えていると、まどかに手を掴まれて引っ張られる。

 

「心配しないでわたしが付いてるから!」

 

「そうね、頼りにしてるわ」

 

 こうして私はまどかと手を繋いだ状態のまま、彼女の家へと向かった。

 

 

 

 

「着いたよ。ここがわたしの家!」

 

 何故か自信満々に家を紹介するまどか。思えばこの時間軸でこの家を見たのは初めてよね。これまでは私の目を離した隙にキュウベぇと契約をさせないようにずっと外から見守っていた。

 でも今回はその必要がない、彼女には契約をしようとする意思が見られない。アイツもそれを知っているのか、むやみやたらと契約を迫っていない。

 

「立派な家ね」

 

「ほむらちゃんのお家も素敵だったよ!」

 

「あのアパートが? まどかも物好きね」

 

 お返しに言ってくれたのかと思ったけど、見ると本心から思っているようで、それが可笑しくて笑ってしまう。

 

「笑わないでよ……わたしも一人暮らしをするならああいう場所がいいな~って思っただけだもん」

 

「大変よ一人暮らしは、私も巴さんもこれでも結構苦労してるのよ?」

 

「例えばの話だよ。さあ、早く中に入ろう!」

 

「そうね」

 

「ただいま~」ガチャ

 

「お邪魔します」

 

「おー、おっかえり~お二方」

 

 ドアを開けて家の中へ入ると、近くのドアからスーツを着た女の人が顔をこちらから覗かせていた。多分まどかのお母さんだろう。

 でも何でこの時間に? その疑問はまどかが聞いてくれた。

 

「ママ?! お仕事はどうしたの?」

 

「言ったろ~超特急で帰ってくるって、仕事全部終わらせて一番に戻ってきたのさ」

 

「もう、そんなに張り切らなくていいのに……」

 

「ははっ、それよりもその子かい? 例のまどかを落とした相棒(パートナー)って?」

 

「ちょっ……ママ!!」

 

「」

 

 ビンゴ。やっぱりこの子私について余計なことを言ったみたいね……別に咎めはしないけど、ジトーっとまどかの方を見た。

 

「あっ……あはは……」

 

「全くあなたは……はい、初めまして先週見滝原中学に転校してきました暁美ほむらです。まどかさんとは以前から知り合っててクラスでも大変仲良くしてもらっています」

 

「ほぅ……この歳にしては随分としっかりとしている子だねぇ。アタシは鹿目 詢子、普通に名前で呼んでもらって構わないよ。何ならお義母様でも構わないけど?」

 

 何故だろか『おかあさま』の漢字が微妙に違っている気がする……。

 

「よろしくお願いします。詢子さん」ペコリ

 

「あ~まだ早かったか。それよりも見滝原はもう馴れたかい? 転校してまだ日は浅いけど」

 

「はい、問題ないです」

 

「どうして見滝原に?」

 

「心臓の病気を患っていてその療養にここへ来ました。今は大分良くなって普通に体育の授業にも参加できています」

 

「大変だねぇ~、聞けば一人暮らしもしてるってのに」

 

「両親は二人ともあまり家にいませんでしたから、もう慣れっこです」

 

「へぇ、それじゃあ____」

 

 

 

 詢子さんの質問に順々に答えていく。質問が全て終わった後、詢子さんはポンと私の肩に手を置いてきた。

 

「中学生でここまで出来てるなんて上出来だ。でも、もし何か困ったことがあったらアタシみたいな大人でも良かったら頼ってきなよ。ほむらちゃん」

 

「ありがとうございます、詢子さん」

 

「っと……ちょっと馴れ馴れしかったかな? でもまぁ……これからもまどかのことをよろしく頼むよ。危なっかしいとこあるかもしれないけど、とても優しいやつだから」

 

「勿論です。まどかと約束しましたから」

 

「そうかい。なら二人で部屋に行ってきな、後で飲み物持ってくるからさ」

 

「分かったよママ、じゃあほむらちゃん上に行こっか」

 

「えぇ、それでは」

 

「今だけでもいいからゆっくり休みなよ」ボソッ

 

 詢子さんに手を振られながら私はまどかの部屋へと連れてって貰った。

 リビングを出る前に後ろから詢子さんに何かを言われたような気がしたけど、小声だったせいでよく聞き取れなかった。でも、この数分の間であの人に色々なことを知られたような感じがした。

 

 

 

 

「ここがわたしの部屋だよ!」

 

 部屋を案内されて中へ入る。以前のループで何度も入ったことがあるけれど、内装はこれまで同様だった。

 

「ぬいぐるみが一杯ね」

 

「子どもっぽくないかな……?」

 

「いいえ、まどからしくてとても可愛い部屋よ」

 

「えへへ……///」

 

 嬉しそうに照れるまどか。私も部屋を持っているけどこういった女の子らしいものとは縁が離れている。この子を真似て何か部屋に置こうかしら。

 

「ほむらちゃん、ここに座って」

 

「ありがとうね」

 

「それじゃ何話そっか」

 

「そうね……さっき店で買ったもの見てくれないかしら」

 

 鞄の中からプレゼントの入った箱を取り出して、まどかに渡す。

 

「何が入ってるんだろう? 開けてもいい?」

 

「どうぞ」

 

「どれどれ……これって!」

 

 プレゼントの正体。それはピンク色の宝石が埋め込まれた指輪だった。

 

「リボンのお返しよ、安物だけどもどうかしら……?」

 

「どうして指輪なの?」

 

 必ず来るであろうその質問に私は自分の想いを伝えた。

 

「私とまどかの相棒(パートナー)としての証が欲しかったから……それにあなたは魔法少女に憧れを持っているから、せめて形だけでもその願いを叶えてあげたかったの」

 

「ほむらちゃんの指輪とお揃いだね」

 

「偶然見つけて衝動的に買ってしまったけど、良かったかな……?」

 

 リボンと比べると見劣りしているんじゃないか……不安に思いながら恐る恐る聞いてみると、まどかはギュッと私に抱きついてくれた。

 

「ありがとう……すっごく嬉しいよ。この指輪、ずっと大切にするから!」

 

「そう言ってもらえると私も嬉しい」

 

「早速付けてもいいかな?」

 

「どうぞ」

 

「うーん……どの指に着けよう?」

 

「どうして悩んでるの?」

 

「どの指に指輪を着けるかによって色々と運勢とか変わるんだよ。折角ほむらちゃんからの贈り物だからちゃんと考えたいなって」

 

 今までで一度も聞いたことのない話に興味を持つ。そんなことよく考えたこと無かったけど、巴さんとかもそういうの知っていたのかしら?

 

「どんな意味があるの?」

 

「えっとね……左手が恋人や現状を変えたい時、右手だと自分の能力を発揮したい時とかに着けると願いが叶ったりするの」

 

「指ごとにも違ったりするの?」

 

「うん。結婚指輪を着ける左手の薬指には愛の証、絆を強める効果があってね、愛する人達が同じ指輪をつけることによってお互いに心が繋がって、永遠の愛を得れるんだよ」

 

「ロマンチックね。なら私達のような相棒にはどの指に着けるのがいいのかしら?」

 

「それだとね左手の中指が一番だね。友達や家族とよい関係が築けるから、それに相手の微妙な気持ちの変化にも気付けてそれを素直に受け入れるようになるんだ」

 

「それじゃ、これからは左手の中指に着けることにするわ」

 

「関係を深めるんだったら、別の指でも良いんだけどね。親指とか……」

 

「親指? それってどういう意味が込められているの?」

 

「ええっ?!!」

 

 何気なく言ったことが気になって質問すると、まどかは急に顔を赤くしてあたふたし始めた。気になるわね……帰ったら調べてみようかしら?

 

 そんな考えが通じたのか、慌てながらまどかは私の疑問に答えてくれた。

 

「えっとね……自分の信念を貫きたいとき、自分の意思で現実を切り開きたい時、後は目標を達成したい時に着けるのがいいんだ」

 

「あれ? 関係を深めるっていう意味は?」

 

「ま、ま、間違っちゃったんだよ! 本当は人差し指。自分の気持ちを相手に素直に表現できるようになる! ほらこの前だってお互いの気持ちが伝わらなくて喧嘩しちゃったりしたでしょ?!」

 

 確かにその通りだけど、やけに必死ね……純粋に間違えたのならここまで取り乱したりしないのに。でも現実を切り開く、か__

 

「なら中指じゃなくて左手の親指にしようかしら?」

 

「えっ?!!!」

 

「今の私には守らなくちゃいけない約束があるから……それを再認識させるにはいい機会じゃないかと思ってね」

 

「だ、大丈夫だよ。どんな約束かは分からないけど、ほむらちゃんはしっかり意識しているんだし……

 それに……わ、わたしは一緒に中指に着けたいんだけど、どうかな?!」

 

「まどかが望むなら、それでも構わないけど……」

 

 様子がおかしいまどかを不思議に思っていると、部屋のドアがノックされて詢子さんがひょこっと顔を見せてきた。

 

「邪魔するよ~。飲み物持ってきたけど…………どしたまどか、そんな顔真っ赤にして?」

 

「さあ……私にもよく分からないんですよね?」

 

「ま、いいや。じゃあ飲み物は机に置いておくから引き続きごゆっくり~」

 

 詢子さんは手をひらひらと振りながら部屋から出ていった。

 

 とりあえず一旦、まどかを落ち着かせましょうか……。それから彼女が元に戻るまで五分ほど時間を有した。

 

 

 

 

「ご、ごめんね……急に取り乱しちゃって」

 

「本当に大丈夫? 具合が悪かったら言ってくれてもいいのよ」

 

「うん、わたしは大丈夫だよ」

 

 さっきまで顔も赤かったから熱でもあるのかと心配したけど、無理はしていなさそうだから安心ね。

 

 まどかの体調のことを考えていると、ふと彼女の方から視線を感じる。見るとまどかはじーっと私の髪の毛を見ていて指を頻りに動かしていた。

 

「どうしたの? 私の髪に何か付いていた?」

 

「えっ?! そうじゃなくて前々から思っていたんだけど、ほむらちゃんの髪ってまっすぐ伸びていてき綺麗だなって思って」

 

「手入れとか結構面倒よ。お風呂に入って洗うときや髪を乾かしたりするときとかもそうだし……」

 

「でもこの前のお泊まりで見たときは素早く済ませていたよね」

 

「まどかをあまり待たせたくなかったからよ。本当はもっと時間がかかるわ」

 

「でもわたしも一度でいいから、ほむらちゃんくらいまで伸ばしてみたいな~」

 

「…………」

 

 その言葉が私の脳内にあったとある光景をフラッシュバックさせる。今朝の件といい……変に意識し過ぎているのかしら?

 

 頭の中の映像を振り払おうと自分の両頬を軽く叩く。それを見たまどかは驚いた様子を見せた。

 

「ほむらちゃん、いきなりどうしたの?」

 

「ごめんなさい……またボーッとしちゃって……」

 

「ほむらちゃんこそ大丈夫なの? 無理してない?」

 

「心配ないわ…………ってこれさっきと逆になっちゃったわね」

 

「ティヒヒッ、やっぱりわたし達、気が合ってるんだね」

 

「合っているというか似た者同士って言った方が正しいね」

 

「そうだね」

 

 自分で言っておいてあれだけども、私なんかじゃ彼女の足元にも及ばないわね。まどかが肯定してくれたのはちょっとだけ嬉しかったけど。

 

「ね、髪触ってもいいかな?」

 

「別に構わないわ」

 

「じゃあ触るね……」

 

 私の髪にまどかの手が当たる。思ったよりも不思議な感覚ね人に髪を触られるのって、不快感とかは全く無くてむしろ気持ちいい……何だか心が安らぐ。

 

「ティヒヒッ、ふわふわして気持ちいい。特別なシャンプーとか使っていたりしてる?」

 

「いいえ、市販の普通の物を使ってるわ」

 

「今度どんなのか教えてね。それと近くで見て気づいてけど、ほむらちゃんの髪って真ん中辺りで左右に別れてるね。前は結んでたりしてたの?」

 

「転校する前は、三つ編みにしていたわね。あまり好きじゃなかったから今はもう止めてるけど」

 

「どんなのか見てみたいな、三つ編み姿のほむらちゃん」

 

 ちょっとだけ抵抗があるけれど、まどかがどうしてもって顔をしていたので仕方がなく頷く。

 するとまどかは私の頭に巻いてあったリボンをほどいて、ゆっくりと髪を編み始めた。

 

「んしょ、んしょ……前までほむらちゃん、自分で編んでいたんだよね。凄いなぁ、結構大変なのに」

 

「何事も慣れよ慣れ、難しかったら代わりましょうか?」

 

「大丈夫……手先は部活で鍛えられたから……」

 

 部活……確か手芸部だったっけ? でもあんまり部活に行っている姿は見たことが無いわね。この時期はあまりやることが無いのかしら?

 

 私も部活に入ろうかな、と呑気なことを考えている内に髪は編まれていて両サイドともピンクのリボンでしっかりと結ばれていた。

 

「とっても似合ってるよ。でもなんでだろう、何かが足りない気がする……」

 

 店のときも思ったけど、この子案外こだわりが強いのね。何かが足りないって言ってるけど……どう考えても『あれ』よね。

 

 不本意極まりないけど、鞄からいざという時の為に携帯している赤い眼鏡を取り出す。そしてそれを悩んでいるまどかに気づかれないようにそっとかける。

 

「まどか、足りない物ってこれのこと?」

 

「えっ……? …………ほむらちゃん、だよね?」

 

「えぇ、あなたの相棒(パートナー)の暁美 ほむらよ」

 

「」

 

 目を点にさせてこちらを見て、まどかはそのまま固まってしまった。

 やっぱり似合ってないわよね、嫌っていた過去の自分の姿を見せつけて、私は一体何をしたかったのかしら……?

 眼鏡を取り出した時の自分に呆れていると、固まっていたまどかに動きが見られた。

 

 そして何をするのかと思えば、急に私に向かって抱きついてきた。

 

「____!!!」

 

「わっ! ちょっとまどか?!」

 

「ほむらちゃん、すっごく可愛い!!」

 

「え?」

 

 予想もしないとこに今度は私の思考が固まる。混乱している私に関わらず、まどかはそのまま言葉を続けた。

 

「普段のほむらちゃんはクールでカッコいいイメージだけど、こっちの方は可愛くて何だか守ってあげたくなっちゃう!!」

 

「えぇ……私はあんまり好きじゃないんだけど……その、地味っぽいし……」

 

「そんなこと無いよ! わたしは眼鏡姿のほむらちゃん大好きだよ。あ、勿論いつものほむらちゃんの大好きだけどね!!」

 

「ふぇっ?!」

 

 不意打ちの発言に思わず変な声が出てしまう。今さらっととんでもないこと言わなかったかしらこの子……?

 

 私が恥ずかしそうな顔をしていると、遅れてまどかの顔もさっきみたいに赤く染まる。

 

「え、ええっと……その……///」

 

「ま……まどかは、三つ編み姿の私のことが、す、好きなのよね……///」

 

「そ、そ……そうだよ! うん……わたしは、好きだよ……」

 

「ありがとう……でも私は今の格好が気に入ってるから……」

 

 私達の間に微妙な空気が流れる。どうすれば、分からなくなっているとまどかの方から話を振ってきた。

 

「ほむらちゃんはどうしてその格好、好きじゃないの?」

 

「どうしてって、それは……」

 

「あっ、嫌だったらいいんだよ? 別に、ちょっと気になっただけだから」

 

 昔の私の話をするのは気が進まない。これまでのループでも余程のことが無い限り話しはしなかった。

 だけども、今だけはまどかにしっかりと話しておきたいと思った。私のことを大切な相棒(パートナー)に知ってもらうために、そしていずれ伝えなければならない暁美 ほむらの真実を理解してもらうためにも……

 

「以前にも話したわよね、あなたと出会う前の私のことを」

 

「うん……魔法少女になるまで大変な思いをしていたんだよね」

 

「えぇ、勉強も運動も出来なくて、何も取り柄も無い。いつも周りの人達に迷惑ばかりかけて、何も出来ないまま人生を終える……どうしてもあの格好をするとその時のことを思い出してしまって嫌で堪らなくなるの」

 

 そして私が嫌っている一番の理由は、まどかに守られっぱなしで何も彼女にしてあげられることが出来なかったから。今とは違って、ただ彼女の背中に隠れているだけだったのが許せなかったから。

 

「そうだったんだ……ほむらちゃんもわたしと同じだったんだね」

 

「えっ?」

 

 わたしと同じ? 一体どういうことかしら?

 

 不思議に思っていると、まどかはその理由を説明してくれた。

 

「わたしも前まで一緒のこと考えていたんだ。そしてそんな自分が嫌だった、ずっと変わりたいって思っていたの。

 でもそんな時、ほむらちゃんと出会って全てが変わった。こんなわたしでも誰かの役に立てる、大切な人達を守ることが出来るって分かって凄く嬉しかった」

 

「まどか……」

 

 そんな風に思っていたんだ……だから魔法少女になった時のあなたはあんなに嬉しそうにしていたんだね。

 

「だからほむらちゃんにはとても感謝しているんだ。ほむらちゃんがわたしのことを想っているのと同じくらいに。

 あなたがわたしの生きている意義を教えてくれたから……」

 

「そこまで思っていてくれたなんて……ありがとう、まどか。勇気を出して昔の自分を伝えた甲斐があったわ。もしかしたら呆れられて嫌われるんじゃないかって思っていたから……」

 

「そんなことないよ。わたしはほむらちゃんのどんなことだって受け入れるつもりだよ。相棒(パートナー)だもん!」

 

「それは私も一緒。あなたがどんな人であろうと、全て受け止める。でも…………」

 

 三つ編みをほどいて、リボンを手に持つ。それからまどかに近づいて、彼女の頭にリボンを着ける。

 

 

 

 まどかはどんな姿でも、どんな髪型でも似合っていると私は思う。だけども彼女にとって一番はきっとこれだろう。ピンクのリボンにツインテール。

 私にとって鹿目まどかという存在はこの姿で無くてはならないと思っている。だからリボンを白くしたり、髪を長く伸ばしたり、今の自分から変わろうとするのは絶対に認めたくない。その想いを込めて私はこう言った。

 

「やっぱり……あなたの方が似合うわね……。

 私にとって一番は今のあなたよ。全て受け止めるとは言ったけど、出来ればあなたには今のままでいて欲しい。友達として、相棒(パートナー)として……」

 

「わたしも……どの姿のほむらちゃんも素敵だと思うけど、やっぱり今のほむらちゃんが一番だよ」

 

 ニッコリと笑って私を見るまどか。だけどね……あなたが思っていることと、私が思っていることは違う。

 

「まどか、明日からは二人ともいつも通りの格好で登校しましょう? イメチェンも悪くはないと思うけど、私はあまりこういう姿は人に見せたくないから……」

 

「うん、いいよ。でもその代わりわたしと二人っきりの時は二人で色々と変わろうねっ!」

 

「そうね」

 

 

『おーい、二人とも~夕飯が出来たぞ~。ほむらちゃんも折角だから食べてきなさ~い!』

 

 

 下の階から詢子さんの声が聞こえてくる。外を見ると辺りはすっかり暗くなっていて、気がつけば時はあっという間に流れていた。

 

「すっかり話し込んじゃったね」

 

「私としてもまだまだ話し足りないけど、今日は夕飯をご馳走になったら帰るわね」

 

「ティヒヒッ、今度はわたしの家でお泊まりしたいね」

 

「いつかしましょう。でも今は早く下に降りた方が良さそうよ、いつまでも家族の皆を待たせるわけにはいかないし」

 

「じゃあ行こっか、ほむらちゃん!」

 

「えぇ」

 

 まどかの部屋の明かりを消して、手を繋ぎ合って下へと降りていく。

 

 

 

 こうした穏やかな日々を送れるのは後どのくらいなのだろうか?

 私の心に平穏が訪れるのは一体何時なのだろうか?

 

 それらを永遠に続けたいのなら、私は話さなくてはならない。私の過去、全ての始まりである『はじまりの夜』

 

 そして、いつかは自分の罪ともしっかりと向き合う必要があるだろう。私の『贖罪の物語』はまだ終わりは見えない……

 

 

 

☆ to be continued…… ★

 





※まどほむ、ほのぼのストーリーと見せかけて第二章のフラグを建設。この章も全12話で終わらせる予定です。
※次回から物語が動き始めます。お楽しみに!


☆次回予告★

「マミさん、あれから学校にも来てないよね……」

「あなたに教えてあげる。ソウルジェムの真実を」

「もうどうすればいいか分からないの!!」

「これは彼女の問題だ。僕は何も出来ない」

「それならわたしは……」

第15、16話 Fを乗り越えろ 

「奇跡も魔法もあるんだよ!」


 これで決まりだ。

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