※いよいよ第二章スタート!! まずはこちらのシーンからどうぞ。
※サブタイ、また変えました。予告していたやつは14話で使うので許してくだせぇ……
第13話 Aのひととき ~ 贈り物
吹き荒れる旋風、降り注ぐ雨粒、闇に覆われた大空。
わたしはひたすら階段を上っていた。理由は分からない、でも本能がこのまま突き進めと命じていた。
「まどか、急ぐんだ!!」
肩に乗っているキュウベぇがわたしを急かす。どうして急ぐのか……そのことを問い詰めたい気持ちで一杯だったけど、それでも上り続けた。
やがて屋上らしき扉が見えてくる。この先に一体何が? そう思いながら一気に扉を開け放った。
「えっ?!!」
目の前には壊滅した見滝原が広がっていた。そしてその上空には、かつて一度も見たことがないくらいの強大で邪悪な魔女が浮かんでいた。
現状が全く掴めずに慌てふためいていると轟音が聞こえた。音の元を目で追っていると、もっと驚くものがあった。
「ほむらちゃん?!!」
わたしの友達であり、一緒に戦う
大量の重火器を配置して、それをどうやってかは分からないけれど全て撃ち尽くす。それから橋の上へと一瞬で移動してロードローラーを操り、衝突させる。
ほむらちゃんの猛攻はそれだけじゃなかった。再び、姿が消えたと思うと今度は河原の方にいて、たくさんの兵器を魔女へ向けて一斉に放ち、魔女を大きく後退させる。そして後退した先にいつ配置したのか分からないけれど、数えきれないほどのミサイル砲があり、それらが一斉に魔女へと撃たれた。
「キャァァァアアア!!!」
あれだけ離れているはずなのに爆風がわたしのところまで届いてくる。キュウベぇも飛ばされないようにわたしの髪に必死にしがみついていた。
攻撃の全てを終えたほむらちゃんは、息を切らしながら爆炎を睨み付けていた。今まで戦ってきたけれど、あんな顔で戦うほむらちゃんは初めて見た。いつも冷静に対処して、最善の戦略を見つけ出すような戦い方ではなく、ただがむしゃらに。例えるなら己を犠牲にしても敵を倒す……そんな執念が感じられた。
「やったの……かな?」
あれだけの攻撃を食らったからきっと倒れているに違いない。そう確信したときだった。
『アハハハハハハ!!』
「?!!」
不気味な笑い声が辺りに響き渡って、炎の中からさっきの魔女が姿を現す。しかも……無傷のままで。
その光景にほむらちゃんは悔しそうな顔を見せる。でもすぐに武器を構えて魔女へと向かっていった。
それからの戦いは一方的なものだった。
魔女の元へ辿り着く手前に使い魔と戦って、そこから生まれる隙を突いて魔女本体が攻撃をしかける。炎を飛ばしたり、魔力の塊をぶつけようとしたり……放つ攻撃はどれも強力なもので当たれば一発でやられてしまう感じがした。
圧倒的に不利な戦況に必死に立ち向かうほむらちゃん。でも何処からともなく飛んできた瓦解したビルがほむらちゃんにぶつけられた瞬間、彼女の動きは無くなった。
「酷い……こんなの酷すぎるよ……」
「相手は超弩級の魔女。彼女一人で戦うのには荷が重すぎたのさ……」
「そんな……」
「けれど鹿目まどか。君なら彼女を救うことが出来る」
キュウベぇが催促するようにわたしを見てくる。どうすればいいのか? それは何故かもう頭の中で決まっていた。でもそれは……
「契約だけはほむらちゃんにするなって……」
「この状況を見て、そんなことを言ってられるのかい?
このままだと君は彼女との約束を果たすどころか、彼女自身も失ってしまうんだよ?! それだけじゃない、君がここで戦わなければこの見滝原に住む全員の命があの魔女によって奪われてしまうんだ!! それでもいいのかい?!!」
「!!」
そんなのは嫌だ。大切な相棒だけじゃなく、大事な家族、大好きなこの街までも全て無くなってしまうなんて……!!
「キュウベぇ……ほむらちゃんのところへ連れていって」
「御安い御用さ」
キュウベぇに連れられ、わたしはほむらちゃんの元へ着く。そこにはビルの瓦礫に足を挟まれてしまって身動きが取れなくなっているほむらちゃんの姿があった。
「どうして?! どうしてなの……何度やってもアイツには勝てない!! 私のやってきたことは、結局……」
絶望し、打ちひしがれているほむらちゃんの手をわたしをそっと掴んだ。すると彼女は信じられないようなものを見るような目でわたしを見た。
「まどか……」
「もういい……もういいんだよ。ほむらちゃん」
「まさかあなた……!!」
「大丈夫。わたしは絶対に今日までのほむらちゃんの頑張りを無駄にしたりしないから……」
大粒の涙を溢しながら、ほむらちゃんは駄々子のように首を振り続ける。でもわたしは決めたんだ……あなたを、この街のみんなを守るために魔法少女になることを……!
「さあ、鹿目まどか。その魂を対価にして、君は何を願う?」
「わたしは____」
「…………あれ?」
気がつけばわたしはベッドの上にいた。辺りを見渡しても、魔女やキュウベぇ、ほむらちゃんの姿はどこにも無かった。
じゃあ、もしかして今の今までわたしが見ていたのって…………
「ゆめぇ……?」
第13話
目元を擦りながら階段を下りてリビングへ向かう。そこには既に知久が朝食の準備をしていてテーブルに皿を並べていた。
「おはよ~パパ」
「おはようまどか。今日はちょっと遅かったね」
「うん。昨日は色々忙しかったから」
「ねーちゃ、ねぼすけ~」
「タツヤもおはよう」
椅子に座りながらまどかを指差す弟の鹿目 タツヤ、その頭を撫でていると母親の鹿目 詢子が軽い伸びをしながらリビングへ入ってきた。
「うーん……おはよ、三人とも……」
「あれ、ママが一人で起きてくるなんて珍しい」
「おう、どこぞのお二人さんがいつまでも起こしに来てくれないから自力で頑張った」
「いつもそうすればいいのに~」
「ああやって起こしてもらわないとシャッキリしないんだよね」
悪びれることなく詢子が笑っていると知久が二人に呼び掛ける。
「ほらほら、もう朝御飯の準備出来たから、二人とも顔を洗っておいで」
「「はぁーい」」
顔を洗い終えて、鹿目家四人が席に着く。いつもより少し起きるのが遅かったので、少し急ぎ目に朝食を食べていると詢子がまどかに話しかける。
「そういや、さっき忙しいとか言ってたけど何か用事とかでもあったのか?」
「ううん。友達と一緒に出掛けたりしてたの」
魔法少女のことは話すことが出来ないのでなるべく包み隠した感じで説明する。そうしていると詢子はニヤッと笑った。
「その友達って、もしかして最近仲良くなったあの子かな?」
「う、うん。そうだけど、どうして?」
「だってね~ここしばらくずっと何かある度にほむらちゃん、ほむらちゃんって言ってるからさ」
「そ……そんなことないよ……」
「照れなくていいだろ~、ほれほれ」
「照れてないもん……」
頬を膨らませて不機嫌そうな表情になるまどか。けれど、その顔は真っ赤になっていた。
「まろかー、かおまっかー」
「隠すことないじゃん、ていうかバレバレだし」
「う~~~っ」
「ママ、そろそろその辺にしておいたらどうだい」
「たははっ! 悪ふざけが過ぎたかな? でもやっぱり気になってね~、あのまどかをここまで落とした子がどんなのなのか」
「確かに僕も前に暁美さんについて相談されたけど、結局分からなかったしね」
「何それ?」
「!!」
あまり思い出したくないことを話題に出されて、まどかの目が大きく開かれる。
無理矢理なんとかして話を変えようと考えていたが、努力虚しく続けられた。
「実はね先週の金曜日、帰ってきたと思ったらいきなり、喧嘩しちゃったからどうしようって物凄い勢いで泣きついてきてね、相談に乗ってあげたんだよ」
「へ~」
「それで仲直りしをしに出掛けたと思ってたら、いきなり電話で「ほむらちゃんのお家にお泊まりしたいんだけど!!」って言われてね~」
「あーだからあの日、まどかウチに居なかったのか」
「もうパパ! そのことは内緒にしてって言ったのに!!」
「喧嘩して仲直りしたばっかの相手の家にいきなり泊まるなんて、昔のまどかじゃ考えられなかったよ」
「いいな~アタシも見てみたかったな~。積極的なまどか」
悪戯な笑みを浮かべながらチラリとまどかの方を見る。まどかは顔を逸らして視線を合わせないようにしていた。
「んで、結局ほむらちゃんとはどんな関係なのよ?」
「と、友達だよ……」
本心では
けれどそんな分かりやすい嘘に騙されるほど詢子は鈍くなかった。
「アタシの見立てとしちゃ、もうとっくに友達なんかよりも上の関係になってるんじゃないかと思ってたけど~恋人とか?」
「?!! ングッ……!!」
とんでもないことをいきなり言われ、飲み込んだトーストを喉に詰まらせてしまう。空かさず知久が水を渡す。
「だ、大丈夫かい?」
「んぐんぐ……ぱぁ!! い、い、いきなり何を言うのママ!!」
「あり? 違った?」
「違うよ!! ほむらちゃんは大切な相棒なの!!」
「「相棒?」」
「あっ…………」
思わず本音が漏れてまどかは見事に自爆した。二人はその聞きなれない言葉に当然疑問を持った。
「相棒? それってどういうことだい?」
「あはは……な、何でもないよ……」
「ふ~ん……」
首を傾げる知久に対して詢子は何か企んでいる表情を見せる。そしてまどかの肩を掴んで言った。
「よしっ、まどか。今日ほむらちゃんウチに連れてこい」
「ええっ?!! お仕事はいいの?!」
「やれることやったら超特急で帰ってくるからさ。おっと拒否権はないからな~」
「ほむらちゃんの都合は…………」
「時には自分の都合を相手に押し付けることも大事なんだぞ」
「なんでだろう、ママの言うこといつも正しいって思っていたのに今日だけそう感じないよ……」
「まーまーいいじゃん____ってヤベッ、もうこんな時間かよっ?!!」
時計を見るとあともう少しで七時になろうとしていた。詢子は急いで朝食を平らげて支度をし始める。
それを見てまどかも食べ終えて、登校する準備をしようとした。だがその準備の中、一つだけ気になったことがあった。
「あれっ? パパーわたしのピンクのリボン何処いったの~?」
「ごめんね、まどか。昨日洗濯するのを忘れちゃって、さっき洗濯機を回したばっかりなんだ」
「えーっ、じゃあ髪どうしよう?」
悩んでいるまどかの元にポイッと包み紙が投げ渡される。それは詢子からの物で中身は白いリボンだった。
「新品のやつが部屋に置いてあったから今日はそれ付けていきな。きっと似合うと思うよ」
「ありがとうママ!!」
お礼を言って早速結び始める。結び終えた後、鏡を見てみるといつもと同じ髪型のはずなのに何だか新鮮に感じた。
「うんうん、似合ってる。それじゃ行ってくるね!」
そう言って、知久とタツヤの頬にキスをする。そして最後にまどかとハイタッチを交わす。鹿目家伝統の習慣を済ませて早足に詢子は家を出ていった。
「さあ、まどかも行ってらっしゃい」
「うん、行ってくるね!」
「いってらっしゃーい」
二人に見送られてまどかはみんなとの待ち合わせ場所へと急いだ。
☆
待ち合わせ場所に着くとそこにはさやかと仁美、そしてほむらが既に待っていた。
「まどか~遅いぞ~」
「ごめんごめん、ちょっと家族と話していてね」
「おやおや~家族会議とな。実に興味深いですな~」
「さやかさん。あまり人様の家庭事情に首を突っ込むものじゃありませんよ」
「仁美。何を言っても無駄よ、さやかにとってデリカシーってものは生まれたときにへその緒と一緒に切り落としているんだから」
「なるほどそうでしたの」
「納得すんな!! あたしにだってそれくらいあるわ!!」
「無いわ」
「無いね」
「無いですわね」
「うわーん、親友三人が朝から辛辣だー!」
「そんなことより早く行きましょう。遅刻するわよ」
ほむらがそう言い、四人はいつもの通学路を歩き始める。いつものように他愛のない話をしているとほむらがあることについて話題を振った。
「まどか。そう言えば、いつものピンクのリボンはどうしたの?」
「確かに今日のまどかさんのリボンは白ですわね」
「あーホントだ。あたし全然気づかなかったわ」
「先週のときは真っ先に気づいていらしてたのに」
「昨日、洗おうと思ってたんだけど忘れちゃって……それで代わりにママからこれを貰ったの」
「うんうん、やっぱりまどかのママのチョイスは最高だね。いい嫁を持ってさやかちゃんは嬉しいですぞ~」
「もうさやかちゃんったら、いつもそれなんだから~」
「それがさやかさんの良いところでもあるんですけどね」
「あっはっは、照れるな~」
「……………………」
三人が楽しく会話している中、ほむらは一人ずっと黙っていた。それに気づいたまどかは彼女に声をかける。
「ほむらちゃん、どうかしたの?」
「いえ……何でもないわ……」
「もしかして似合ってなかった?」
「そ、そんなことないわ。ただこっちのまどかもとても可愛いって思ってただけよ!」
ちょっとだけ落ち込む姿を見て、ほむらは慌てて首を横に振った。
その弁解に対してまどかは恥ずかしく思い、顔を赤くする。
「か、可愛いって、そんな……」
「ちがっ……いえ、違くはないけど……その…………」
まどかが顔を赤くするのを見て、ほむらも先程の発言に対して恥ずかしさを感じる。二人が顔を赤くしている光景に、さやかと仁美はただニヤニヤしながら眺めていた。
「おやおや、朝からオアツイですね~」
「禁断の恋…………キマシ、キマシ!!」
「も~っ、ママ達といい、さやかちゃんといい!!」
「ははっ、拗ねんなって」
「むぅ……」
「でも本当に似合ってますわよ、そのリボン」
「これはこれで、アリかもね~。今度からピンクと白、交代で付けていったら?」
「考えておくよ……」
むくれるまどかをからかうさやかと仁美。そんな感じに三人は和気藹々と会話をしながら、学校へと向かった。
楽しそうにお喋りをするまどかだったが、登校するまでこちらを見ているほむらがずっと気になって仕方がなかった。
★
それから放課後、まどかは帰りの支度をしているさやかに声をかけた。
「さやかちゃん。一緒に帰ろ!」
「ごめん、今日どうしても外せない用事があるからパスするわ~」
「もしかして上條くんのお見舞い?」
「まあね~、それよりもあたしなんかよりもほむらと一緒に帰ってあげたら?」
「えっ、一緒に帰るつもりだったけどどうして?」
意外なことを言われて、不思議そうにするまどかにさやかはそっと耳打ちする。
「だってさ、今日のほむらなんか元気無かったじゃん。だから嫁のアンタがしっかりと慰めてやらなくちゃな~って思ったからさ」
「よ、嫁って……それはさやかちゃんじゃなかったの?」
「勿論そだよ~、まどかはあたしという存在がいながら他の女にも手を出す浮気者なのだ~」
「そ、そんなんじゃないよ!!」
「えっ、じゃああたしの嫁であることは否定しなかったりする?」
「そんなのごめんだよ」
「酷っ!! しかも結構マジトーンだったし!!」
「冗談だよ~。それよりも上條くんと上手くいくといいね」
「だ~か~ら~、あたしと恭介はそんなんじゃないってば!」
「さやかちゃん、わたしと同じこと言ってるよ」
「あっ……。と、とにかく急がなくちゃいけないからもう行くね! じゃあまた明日!!」
今度はさやかが顔を赤くしたかと思うと、身体を180度回転させて、逃げるように教室を去った。
さやかの照れた表情を思い出して笑っていると、今度は入れ違いにほむらがまどかの所へとやって来た。
「さやかはどうかしたの? 何だか凄い勢いで走っていっちゃったけど……」
「ティヒヒ、朝わたしをからかったお返しだよっ」
「そう……それなら一緒に帰りましょう? 魔女探しも含めて」
「そうだね! あっ、それならそのついでに一緒に寄り道していかない?」
まどかの提案にほむらは意外そうな表情をする。
「珍しいわね、あなたがそんなこと言うなんて」
「いっつもはさやかちゃんが決めちゃうから、たまにはね」
「分かったわ。それなら案内よろしく頼むね」
「りょうか~い!」
☆
それから街中を軽くパトロールし終え、私達はショッピングモールの中を歩いていた。
「今日は魔女が出てこなくて良かったね」
「そうね。出来ればもう一生出てこないことを願いたいわ」
「ティヒヒ、そうだね」
「ところでまどか、さっき寄り道したいって言ってたけどここに何か用事でもあるの?」
「うん。そうだよ! もう少しで……あったよ!」
「ここって……雑貨屋?」
「わたしのお気に入りのお店なんだ!」
まどかのお気に入りの……確かに店の内装や売ってある物とかは、まどかの好きそうな可愛らしいものばかりね。
クスッと笑っていると、不意にまどかに手を握られて店の中へと引っ張られる。
「ま、まどか?!」
「そんなところにいないで早く入ろっ!」
「え、えぇ……」
気のせいだろうか、巴さんとの一件があってからまどかが随分と積極的になった気がする。今までこうして手を繋いだりしたことも無かったし……信頼されているのは悪い気はしないけど、なんだか恥ずかしいわ。
意気揚々と進んでいくまどかに顔を見られていないか、とドキドキしながら付いていく。するとまどかの足がピタリと止まった。あれっ、この場所って……
「リボンが一杯……」
「うん。わたしがいつも付けているリボンもここで売ってあるものなんだ」
「そうなの。でもどうしてここへ?」
「今日わたしがイメチェンしたから、どうせならほむらちゃんもイメチェンさせたいなって思っちゃって!」
「どうせならって……」
「だってほむらちゃん、朝学校へ行く時、わたしのことずっと見ていたよね」
「!!」
なるべく見ないようにしていたつもりだったのに、どうしてバレたの?!
なんて驚いているとまどかが一歩私の元へ近づいて言った。
「あの時似合っているって言ってくれたけど、ちょっと恥ずかしかったんだよ?」
「ごめんなさい。気を悪くしたのなら謝るわ……」
「だーめっ、ほむらちゃんにも恥ずかしい思いさせてあげるんだから!」
「が、外見を変えたところで別に恥ずかしがったりなんかしないわ……」
「ティヒヒ、強がってもダメだよ。わたしとっくに知ってるんだよ? ほむらちゃんがとっても恥ずかしがり屋さんだってこと」
「そんなことっ……」
「『
「あうぅぅぅ……///」
あれからまどかが変わったことがもう一つ。何かしらある度に私のことを『相棒』と言うのだ。こっちの方は純粋に恥ずかしい……さやかや巴さんの前ならともかく色々な人の前で言ってしまうから、周りの見る目がちょっと痛い。
一度そう呼ぶのを止めて欲しいとお願いしたのだけれど、そしたらマジ泣きされてしまったから今は仕方がなく受け入れている。
「ほらやっぱり♪」
嬉しそうにしながら、まどかは自分の髪を結んでいるリボンに手を伸ばす。そして外したリボンを私の頭にグルッと巻いて優しくリボン結びで止めた。
「ほむらちゃん、鏡見てみて。とっても可愛いよ!」
「ありがとう///」
見た目としてはあまり変わってないが、それでもまどかが誉めてくれるのは嬉しかった。
「ん~でも色はこっちの方が似合ってるかも? よしっ!」
何かを思い付いたまどかは、置いてあるリボンを手に取ってレジまで走っていった。そしてすぐに戻ってきて今しがた買ってきた物を私に渡した。
「はい、ほむらちゃんこれ!」
「でもこれって……」
「わたしからのプレゼントだよ♪」
「そんな……あなたに悪いわ……」
「気にしないでよ、わたしがそうしたいからしたんだし……もしかして嫌だった?」
「そんなわけないわ。凄く嬉しい」
「良かった。それじゃ開けてみて」
買った店で開けるのはどうかと思ったけど、レシートも持っているみたいだし大丈夫でしょう。
そう考えながら袋から取り出してみると、中身はやっぱりリボンだった。だけど、ただのリボンではなかった。
「これって……」
「わたしとお揃いの色! どうかな?」
「まどかとお揃い……」
まじまじとリボンを見つめる。それから頭に巻いていたまどかのを外して、代わりに貰ったピンク色のリボンを付ける。
「どう……かな?」
「うんうん、さっきよりもず~っと可愛い!!」
「そ、そう……?」
ぴょんぴょんと嬉しそうにするまどかを見ているとこちらまで楽しい気分になる。でもこのまま一方的に物を貰うのは申し訳ないわね……何か私もまどかにプレゼント出来ないかしら?
彼女に合うプレゼントはあるか……そう思いながら店の商品を眺めていると、私の視界に『あるもの』が映った。そして瞬間的に悟った。これがまどかにとって理想的なプレゼントになると。
「まどか、ちょっと私も買いたい物があるから店の外で待っててくれないかしら?」
「?? 一緒じゃダメなの?」
「すぐに戻ってくるから……ね?」
「分かった。じゃあ外で待ってるね」
「ありがとう」
まどかが私に背を向けて歩き出したところで、急いで『あるもの』が置いてある場所へ行く。そしてすぐにそれを手に取り、レジへと持っていった。
「すみません。これプレゼントとして渡したいんですけど……」
☆ to be continued…… ★
※詰め込み過ぎた……前回書いたアレ、一応反省のつもりだったんだけどなんの意味も無かったね(泣)
※ちなみにリボンをつけたほむらの姿は、TV最終回のリボほむです。
☆次回予告★
第14話 Aのひととき ~ 相棒の証
ほむらが選んだまどかへのプレゼントとは?