※はじめましての方は初めまして、そうでない方は一ヶ月ぶり! sakiでございます。
先々週にTSU○AYAで『叛逆の物語』を借りて、そこから無計画で始めてしまった二作目ですが、どうぞよろしくお願いします。
12/6追記 新たにPrologueの章を作りましたが、雰囲気づくりのため、第1話投稿時に書いた「前書き」「後書き」はこのままにしておきます。
第1話 Mの誕生 ~ 幼なじみと転校生
第1話
一ヶ月前……見滝原中学校
「今日は皆さんに転校生を紹介します」
「そっちが後回しかよ!」
失恋の愚痴を一通り思いをぶちまけた後に、何事もなかったかのように切り替える和子先生にさやかがツッコミを入れる。その様子に仁美は微笑みながら、近くの席にいるまどかに声をかける。
「それにしてもこの時期に転校生なんて何かあったのでしょうか?」
「何でだろうね、えへへ~」
「?」
何故か嬉しそうに笑うまどかを仁美は不思議そうに見つめる。
「ねぇ、まどか。今朝からずっとその調子だけど…何かあったの?」
「うん。ちょっとね~」
「変なまどか」
すると急にクラスがざわめき始め、教室に転校生が入ってくる。その転校生の姿にさやかは思わず声をあげる。
「うわっ、スッゲェ美人……」
「はい、それでは自己紹介行ってみましょう」
「暁美 ほむらです。よろしくお願いします」
ほむらは深々と頭を下げる。それから先生が彼女について話そうとしたとき、まどかとほむらの視線が合った。
「あ、こっち見た」
「♪~」
パタパタとまどかが嬉しそうに振ると、ほむらも笑顔で手を振り返す。その光景にクラスにいる全員が驚きの表情を見せた。
☆
それから昼休み、まどか達は教室で今朝のHRの出来事について話し合っていた。
「ほほう……つまりまどかは転校生がここにやって来る前に運命の出会いを果たしたというわけなのか~」
「う、運命って……さやかちゃん、それは大袈裟だよ」
「そんなこと言って鹿目さん、凄く嬉しそうな顔で暁美さんに手を振ってたじゃないですか」
「HR終わった後も凄かったよね。みんな一斉に二人のトコ向かってきて」
「わたしもビックリしたよ」
「にしても人が悪いな~、さやかちゃんというものがいながらあんな美少女にも手を出してたなんて」
「こ、これが三角関係というものですか!」
「違うよ!」
まどかが顔を赤くして叫ぶ。
しかしさやかは悪ノリをそのまま続ける。
「そう、そして最後にまどかは運命の選択を求められる! あたしかあの転校生、どちらを選ぶのか……!!」
「修羅場ですわー」
「もう二人とも!!」
「「あははは」」
楽しそうに会話をする三人に話題となっていた人物、ほむらが声をかけた。
「まどか、ちょっといいかしら?」
「あっ、ほむらちゃん! どうしたの?」
普通に話しかけてきたほむらだったが、まどかの問いかけに対して気恥ずかしそうな素振りを見せる。
「えっと……その……」
「も、もうお昼でしょ? だから私と一緒に__「あっ、分かった!!」」
最後まで言いきる前にさやかが何かに気づいたのか手をポンと叩いた。
「転校生、アンタこれからまどかと一緒にお昼ご飯を食べようと誘おうとしてたな~?」
「ええ、そうだけど」
「なんだと~、おのれ転校生そうやってまどかの気を引いて何か良からぬことを企んでいるな~。させぬ、させぬぞ~まどかは私の嫁になるのだ~♪」
「…………」
さやかの言葉にイラつきを少しあらわにするほむらだが、その二人の間にまどかがうまく割って入る。
「そ、そう言えば、授業が終わってからずっと話しっぱなしだったね。じゃあほむらちゃん、一緒に食べようよ!」
「ありがとう、まどか。とっても嬉しいわ」
「えへへ~」
二人の仲睦まじいその様子にさやかはほんの少しだけ胃がもたれるような感覚になる。
「随分と見せつけてくれるね~、お二人さん」
「では、さやかさん。私達は邪魔にならないように別の所で食べましょうか」
「別にそんな気を遣わなくてもいいのよ。まどか以外ともお話し出来る相手が欲しいから行きましょう、まどか、志筑さん」
「うぉい! 何、さりげにさやかちゃんをハブろうとしてるのさ!」
「美樹さん、あなたの心遣いとても嬉しかったわ。その想い無駄にならないように一杯お喋りしてくるから」
「おう、頑張れよ。……じゃなくて、それ言ったの仁美! お気遣いしたのは私じゃないよ!」
「ごめんなさい、あなたが『私に構わず行ってらっしゃい』って顔をしてたからつい」
「どんな顔だよ!」
「さやかさん、早速暁美さんと仲良くしてらして羨ましいですわ」
「流石さやかちゃんだね」
ツッコミを連発して息を切らしているさやかにまどかと仁美は笑みを浮かべていた。
「どう見てもおちょくられているようにしか見えないのだけど……」
「あなたの扱いはこれで十分よ」
「酷ッ?!」
「……ってまどかが言ってたわ」
「ほむらちゃん、それは内緒のはずだよ~」
「まどかァァァ!!」
★
それから放課後、仁美と別れた三人は夕暮れの中で共に歩いていた。
「どうだったほむらちゃん、学校楽しかった?」
「まどかに志筑さん、あと美樹さんも一緒だったからとても楽しかったわ」
「私はこの一日で疲れがどっと溜まったよ……」
「さやかちゃん、無理しないでね」
「何か困ったことがあるなら力になるわよ」
「主にあんたら二人のせいだ! くそぅ……転校生には弄られるし、嫁は取られるし、散々な一日だったわ~」
「「それは大変だったね(わね)」」
「他人事?!!」
そんな他愛のない会話をしながら、道を行く三人。だが、その平和な一時はそう長く続かなかった。
突如、彼女らのいる空間が歪んだ。
自分の周りに起きている異変にさやかは戦慄する。
歩いていた道路が消え、電灯も近くにあった公園も無くなり、辺りには見慣れない奇妙で不気味な空間が広がる。
そしてその空間の中央に人ならぬ謎の生物が佇んでいる。その姿はまさしく異形、これまで見てきたどんなものよりも恐ろしく、おぞましく、狂気を感じさせるものだった。
さやかは、突然現れた『異常』に怯えながら、まどかの腕にしがみついた。
「一体何なの? 何がどうなってるの?!」
今のさやかに出来ることは恐怖をまぎらわす為にただ大声をあげることだけだった。
すると、まどかは怯えるさやかに優しく手をかける。
「大丈夫だよ、さやかちゃん」
さやかを落ち着かせようとする彼女の顔には恐れは無く、何か強い意思がそこにはあった。
「私が何とかして見せる」
「まどか」
ほむらに呼び掛けられて一瞬まどかはきょとんとするが、笑って言い直した。
「ううん、『私達』が……だね」
「行くわよ」
ほむらはそう言って指にはめてあった指輪を外してまどかに手渡す。
まどかがそれを指につけると、突然二人の体がまばゆい光に包まれた。ほむらは紫色の光を、まどかは桃色の光に。
「さやかちゃん、『ほむらちゃんの身体』頼んだよ」
「えっ?! 何、どうなってるの?!」
連続して起こる不思議なことにさやかの頭はもうパンク寸前になっていた。だが二人はそんなことは一切気にせずにいた。
すると、ほむらを包んでいた光は急に消えて彼女はその場に倒れ混んでしまう。
「ちょ……て、転校生?!!」
倒れるほむらにさやかが呼び掛けるが反応はない。慌てふためくさやかだったが、二人に起きている変化は止まらない。
まどかを包む光はより強さを増し、桃色と紫色の二色の光をその身に纏っていた。
手を胸の前で組み、閉じていた瞳を開く。
そして『二人』は唱えた。
「『変身!!!』」
まばゆい光に包まれて、現れたのは人々の平和と希望を守る戦士、魔法少女だった。
☆ to be continued…… ★
※いかがでしたか? 今回は一作目とはちょっと違う形式で書いているので、まだ慣れてない点がありますが、今後頑張っていきたいです。